とりがら時事放談『コラム新喜劇』

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まがい物列伝

2005年10月19日 06時37分01秒 | 経済
ベトナムでは原動機付き自転車、つまり50ccのバイクのことをホンダという。
たとえそれがヤマハの製品であっても、スズキの製品であってもホンダというのだ。
これはバイクのシェアを圧倒的に本田技研が占めていることがその理由だ。
ちょうど20年少し前に、どこのメーカーの携帯ヘッドホンステレオもウォークマンと呼んだのと同じなのだ。
これに目をつけたのかどうか知らないが、圧倒的シェアを誇っていた本田技研工業のバイクに挑戦する製品が現れた。
ブランド名はホングダ。
「今は日本製品の模造品が多いですね」
サイゴンを訪れたとき、ガイドさんは言った。

先日、ヤマハモーターズが米国でヤマトモーターズという中国系の企業を商標権の侵害で提訴した。
名前が紛らわしい上に日本製品と思われてしまうからだ。
そう、ご存知の通りこういう模造品は日本製品ではなく多くが中国製品なのだ。

中国をはじめとするアジア諸国の多くは知的財産という概念に乏しく、商標や特許、著作物の不法コピーなど朝飯前という国が少なくない。
「ビックリしたで、(大阪の)海遊館そっくりの建物があるから、あれなんや?て訊いたんや。ほたら、水族館やて言うんや」
先日、仕事で上海へ行ってきた得意先の社長が言った。
商品だけでなく文化施設までコピーするのだから恐れ入る。

模造される商品は電機製品やバイク、自動車、そして味の素などの食品まで。
多岐にわたっている。
この違法コピーの中心になっている国が、靖国参拝に文句を言ったり、他人の「正しい」歴史教科書に文句をつける国なのだから、恐れ入る。
外務省やマスコミはこういう「違法という」事実に対してもっと強く文句を言うべきだと思うのだが、自分たちの仕事を増やし、ポケットに入る金にならないことにはタッチしたくないのか、ほとんどだんまりを決め込んでいる。

先日、バンコクの中華街近くを歩いていると「MISUSHITA」というブランドの冷蔵庫を発見した。
MISUSHITA?
ミスした。
なんちゅうネーミングや。
きっと三菱と松下を足して2で割ったネーミングに違いないが、MISUSHITAとは情けない。
調べてみると、こちらはタイの会社。
立派にホームページまで持っている。

ナトナルにナショーナル、リコンにサニー、そしてミスした。
笑っているのは言いけれど、笑っている場合でないこともこれまた確かなのだ。