明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(45)放射線被ばくから身を守ろう(改訂版)

2011年04月15日 23時30分00秒 | 明日に向けて4月1日~30日
守田です。(20110415 23:30)

明日に向けて(31)で、「放射線被ばくから身を守ろう」という文章を書き、
9日の講演会の場にも持参しました。

これに対して、講演を聞いて下さった京都精華大学の細川弘明先生から、
放射線規制値について、僕の書き方では、年間1ミリシーベルトの放射線で、
10万人に5人がガンになる事実を受け入れるかのようになっている。
「そんなことを認めてしまってはだめだ。10万人のために5人に死んでくれと
いうことだよ。これは」と指摘を受ました。

大変、はっとしました。その点も含めて、書き直さなければと思っていましたが、
ようやく手を入れることができましたので、改訂版としてみなさんにお届けします。
同時にこの1ミリシーベルトは、外部被ばくを中心に考えた値であり、内部被ばく
の目安がないことを考え、観測される空間線量に対して、内部被ばくを考えると
3倍ぐらいを見積もった方が良いという意見も加えています。

また1ミリシーベルトの被ばくの場合、10万人に5人がガンになるという捉え方は
危険を小さく見積もりすぎている、10万人に40人が妥当な見方だという見解を
唱えてる科学者がいることも知り、この確率も、10万人に5人から40人と
書き改めました。


ここでもう少し細川さんの意見について考えたことを述べます。
この10万人に5人とか、1万人に1人とかいう値は繰り返し、マスコミでも使われて
います。非常に可能性が小さいので、大丈夫だと言う論脈で使われることが
多い。確かに自分自身のリスクを考える時に10万分の5は少ない値かもしれない。
10万分の40でもそうかもしれません。

しかし多くの人々に目を向けた時、単に確率だけでは割り切れないものが
ここにはあることを考えなければいけないと思います。5~40人が確実にガンに
なるという事実。誰かが電力のために犠牲になるという点です。あなた方
5~40人は10万人のために犠牲になってくださいという考えがここにある。

もう少し分母を大きくしてみましょう。100万人ではこの数は50人から400人に
なります。1億ではどうか。5000人から4万人にもなってしまう。
つまり日本の交通事故死者の数を超える人数なのです。

私たちは、交通事故死の報を聞いたときに、交通事情を守るためのやむを得ない
死だと捉えるのでしょうか。そうではなく、その都度、痛みを感じます。そして
交通事故死が少しでも減ることを願います。

これと同じことを考えなくてはならない。10万人に5人ぐらいから40人ぐらい
ガンになっても構わないという風には、私たちは日常的にも考えてはいないのです。
ここにはいわば確率論的なトリックがあります。

これに対して細川先生は、常に犠牲になる側、5人、ないし40人の側に
しっかりと立って、考えておられるのだなと感じました。同時に、原子力政策が、
少数の犠牲はやむを得ないと非常に安易に考えて成り立っていることも
より見えてきました。

犠牲があることを前提にしている。そのため現在のような非常時に
なると容易に、その枠を拡大し、許容値も緩和されてしまいます。
(現在非常時に働く人の被ばく許容値が、100ミリから250ミリに大きく緩和
されています)

いや事故を起こさなくても、原発は点検などのときに、たくさんの被ばく労働者
を産みながら運転されてきている。被ばく者を作りながら動いてきたのが
原子力発電なのです。

この点、僕も考えの中に甘い点がありました。その点を踏まえて、放射線
被ばくから身を守る術を書き直しました。お役に立てば幸いです・・・。


*****************************

放射線被ばくから身をまもろう 
(2011年4月15日)

みなさま。

福島第一原発では、懸命の復旧作業が続けられていますが、残念ながら
まだ危険な状態が続いてます。最近では、原子炉を収めている格納容器の
中に水素がたまり、水素爆発が起こってしまう危険性が生まれています。

窒素を注入して、爆発を未然におさえる努力が進められていますが、原子炉格納
容器内の放射能を含んだ水蒸気が外に出されています。続けて2号機、3号機でも
にも行われる予定で、1号機よりもたくさんの放射能が出てくると心配されています。

今回の事故では最初の数日間の間に、チェルノブイリ事故の10分の1にもあたる
たくさんの放射能が漏れだしました。しかし政府も、経産省保安院も、東京電力も
私たちに教えてくれませんでした。

今、起きている放射能漏れについても、情報が充分に伝わってきていません。
漏れている放射能が多くなると、気候次第で、みなさんの街に流れてくる可能性
があります。このためここで放射能から身を守る方法を、まとめたいと思います。


放射能・放射線とは何か。被ばくはどのように起こるのか

放射能とは、放射線を発する能力を持った物質のことです。放射線には主なものに
アルファー線、ベーター線、ガンマー線、中性子線があります。私たちの身体の
細胞を傷つけ、健康被害やガン、遺伝的な悪影響などをもたらすことがあります。

放射線は、出ているところからの距離の2乗に反比例して、威力が減ります。
距離が2倍になれば、威力は4分の1に、4倍になれば16分の1になります。このため、
放射線源からできるだけ離れるた方が害が少なくなります。

反対に近づけば近づくだけ威力が増します。距離が半分になれば威力は4倍に、
4分の1になれば16倍になります。放射能が身体の中に入ってしまうと、
距離がごく小さくなるため、少ない量で、大きな害がもたらされます。

このため、被ばくは、外部被ばくと内部被ばくに分けて考えられます。
外部被ばくは外から飛んできた放射線にあたること、内部被ばくは、
呼吸や飲食などで、体の中に放射能が入り、被ばくする場合を指します。


放射能はどのように運ばれてくるか

放射能は気体であったり、微粒子であったりしますが、空気中のチリなどに
くっつき、風で運ばれてきます。雲にもくっつき、雨が降ると、水滴と一緒に
なって地上に落ちてきます。水の中にも入り込んでいきます。

原発からの距離がそのまま汚染の度合いに重なるわけではありません。汚染は風で
放射能が運ばれていく地域に広がり、雨が降ったところで強くなります。原発に
近くても、雨雲が通り過ぎたところの方が汚染が低い場合もあります。

放射能が大気中に出てきた時は、天気に注意する必要があります。大事なのは
風向きです。自分のいるところが風下に入っている場合は、放射能を含んだ風や
雲の接近に要注意です。各地の放射線モニタリングポストの値を注意しましょう。

雨が降った後は、水の流れに沿って放射性物質が集まりやすくなります。浄水場に
これらの水が流れ込むと、急に濃度が高くなります。放射能はものにもくっつきます。
そのものが移動することで、運ばれることもあります。


放射線被ばくをさけるために

放射能が流れて来ている場合には、参考になるのは花粉症やインフル対策です。
まずは可能な限り、外出を控え、部屋の中にいる用にしましょう。換気扇やエアコンも
使わず、家の密閉性を高めましょう。隙間風テープなども有効です。

外出が必要な時は、必ずマスクを着用してください。キメの細かいものほど
いいです。また目や擦り傷、切り傷などからも体内に入らないように注意します。
帰宅したら、手洗い、うがい、着替えをこまめに心がけましょう。

また身体もすっぽりと包むようにしてください。髪の毛も覆ってください。
ビニール合羽で身体を覆い、使い捨てるのが理想ですが、合羽の上から
ビニール袋をもう一重かぶり、使い捨てるのも一つの手です。

雨には特に注意してください。降り始めが濃度が高いです。足元や靴にも気を
つけて濡れないようにしてください。また濡れたものは家の外で洗い流し、中に
持ち込まないようにしましょう。


避難所ではどうしたらいいのか

避難所でも、より被ばくをさけるいろいろな工夫を重ねることができます。大切
なのは、放射能を含んだチリが舞っている時は、外での活動を控えることです。
とくに食べ物の分配に注意し、屋内で行えるための準備を進めてください。

避難所はたくさんの人が常時、出入りするので、密閉性を高めることはできま
せんが、入り口のカーテンを二重にすれば、外気が入りにくくなります。靴の泥も
良く落とすように工夫し、外から持ち込まれるものを少なくしましょう。

やはり雨には要注意ですが、合羽が手元にない人がすぐに使えるように、
ビニール袋を出入り口におき、即席の合羽とすると良いです。タオルも用意し、
濡れた人をふいてあげましょう。

避難所ではみなさん、疲れがたまっているので、あまり神経質に被ばくだけを
避けようとすると、お互いの気持ちのズレが生じてしまいかねません。この点にも
注意して、それぞれに可能な工夫を重ねてださい。


放射能はどれぐらいから危険なのか

被ばくを有効に避けるためには、一方で、放射能がどれぐらいから、どれだけの
危険性があるのかを知っておくことも大切です。私たちの周りには、自然界から
発している放射線もあり、私たちには抵抗力もあると考えられています。

被ばくを避ける目安になるのは、国が定めている私たち一般人が浴びる許容線量が
あげられます。1年間に1ミリシーベルトです。シーベルトは、いろいろな放射線が
人間の身体に及ぼす影響を概算したものです。

1ミリシーベルトを浴びると、長年経ってからガンになる確率が10万人に5人から
40人の割合で生じます。この確率は、浴びる放射線総量が高まるにつれて上がって
いきます。そのため1ミリシーンベルト以上、浴びないようと法律が定めています。

こうしたガンになる確率が低い値から生じることが、「にわかに健康に
被害はない」というアイマイな言葉を生む根拠になっています。にわかでは
なく、長年たったら被害がでる可能性があるのです。


放射線被ばくの影響には年齢と個人差が

ただし、この値は成人の平均値であり、乳児や子どもはもっと低い値でもより
高い影響が出ると考えられています。どれぐらいの違いを見込むか意見が分かれて
いますが、大人の10分の1から3分の1ぐらいの幅だと考えられています。

またお酒に強い人と弱い人がいるのと同じように、放射線に対しても感受性の
強い人と弱い人がいることも考えておく必要があります。人によって
ガンになる確率が高くなったり、低まったりするのです。

テレビやマスコミで流れている放射線への対処の情報には、この個人差
が無視されています。また100ミリシーベルト以下では健康に害がないと言う
人すらいますが、全く間違っています。浴びないにこしたことはないのです。

またそのわずかな確率も人の感受性によって上下します。とくに乳幼児や子ども、
妊婦さんとお腹の赤ちゃんは、感受性が高いので、最優先で守る必要があります。
より年齢の高い方に、子ども、若い人たちのガードに回っていただきましょう。


放射線量で測れるのは外部被ばくのみ

また空間に飛んでいる放射線量で測れるのは、外部被ばくの量だけで、内部
被ばく量は測れないことを知っておく必要があります。空間に放射線が多く
観測されるときは、チリになった放射能も飛んでいます。

マスクなどで吸い込むことを減らすことができますが、全部を排除するのは
難しいので、ある場所で、ある値の放射線が出ている場合、どうしても
一定のものは吸い込んでいると考えた方が良いです。

実際にはどのような放射能を吸い込むかによって、身体が被る影響が違い、
量的に測ることが難しいのですが、ここでは概ね空間線量の2倍ぐらいの量が、
身体に入ってきていると考えましょう。

つまり1時間に10マイクロシーンベルトのところにいれば、20マイクロシーベルト
ぐらいを体内に取り込んでいて、被ばく量は30マイクロシーベルトになると
考えると良いということです。これは非常に大雑把な把握です。


放射能と前向きに立ち向かおう

一方で見ておくべきことは、放射線被ばくの害は、総量50ミリシーベルトぐらい
まででは長年経ってガンになる確率がだんだんに上がっていくことにあり、ガンに
ならない確率の方が高くあるということです。

つまり、被ばくしたら何もかも終わってしまうわけではけっしてありません。
その意味で、恐れすぎないことも大事です。放射線が細胞を傷つけても、人間の
身体には再生能力があり、修復が可能です。

ガンに対しても、医療の進歩によって、たくさんの治療法が開発されています。
ガン患者の方々の闘病記の積み上げもあります。ガンにならないための方法も、
たくさん提唱されています。他の危険な物質を避けることもその一つです。

また実はガンの大きな因子は、ストレスです。このため周りの人々と温かい絆を
保ち、前向きな気持ちを作っていけば、この大きな因子を取り除くことができます。
その意味で、周りの人々と助け合って生きて行くことが、放射能の害を防ぎます。


まとめます。

恐れからではなく、勇気をもって立ち向かう気持ちで、放射線被ばくに対応して
いきましょう。そのために放射線がどのようなものかを学び、どれぐらいから
危険が生じるのかを把握し、みんなで助け合って、お互いを守っていきましょう。

とくに間近に迫っている窒素注入による高濃度の放射能の放出では、再び、野菜の
汚染が高まったり、飲料水の制限がでたりする場合があります。ミネラルウォーター
の需要も高まるので、子どもさんのおられる家庭は、事前に買っておいて下さい。

あるいは少し前に、家のやかんやポットなどなどに水を満たしておくのも良い手です。
放射能は少しでも体内に入れないに越したことはないからです。またそうした行為は、
より大きな爆発などが起こった時の予行演習にもなります。

反対に、基準値を超した水しか手元に入らなくなった場合、その水を飲まずに、
脱水症状になる方が、赤ちゃんや子どもさんに危険であることも知っておいて
ください。被ばくを恐れ、他の大きいなリスクを背負わないようにしてしてください。

どうかみなさま。
強く逞しい気持ちで、放射能汚染と立ち向かっていきましょう。
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明日に向けて(44)炉内からどのような放射能が放出されたのか

2011年04月15日 03時20分00秒 | 明日に向けて4月1日~30日
守田です。(20110415 03:20)

今宵はどうしても気になる記事がもう二つあるので紹介します。

一つは1号機から3号機の中の解けた燃料が、細かい粒子状になって、原子
炉のそこに溜まっているという分析が、日本原子力学会から明らかにされた
ことを告げる記事です。

これはすでに予想されていることではありますが、深刻な内容を含む分析
です。なぜならセラミックに焼き固めて中に放射能を閉じ込めているはずの
燃料ペレットが粉々になっていることを意味するからです。

また「沢田隆・原子力学会副会長は「外部に出た汚染水にも、粒子状の溶融
燃料が混じっていると思われる」と説明した」とも記されており、細かい粒子と
なった固形の放射能が、外に漏れ出していることがうかがわれます。

この間の一連の動きから言えば、当然にもこれが海に流れ込んでしまっている
可能性が考えられます。海洋汚染では、ヨウ素やセシウムばかりが問題と
されていますが、燃料ペレットが粉々になった粒子には、非常に多くの種類の
放射性物質が含まれています。もちろんその中にはウランや、プルトニウムも
含まれています。それらを含む、燃料ペレットが粒子となって流れ出てしまって
いるわけです。

一方、記事には、3号機では燃料棒が冠水しているが、1,2号機では露出して
いると記載されています。東電が出している各炉のぱパラメータでは、長らく
露出の可能性が示されていて、この点と矛盾するのですが、同時に冠水して
いるというのは、炉内の温度が250度まで上がっているという、先ほど示した
事実とも矛盾するように思えます。

炉内で何が起こっているか分かりませんが、ともあれ、今後も、さらに
粒子となった燃料ペレットが外に出続ける可能性が高いと言えます。


さらに次の記事では、「経済産業省原子力安全・保安院は14日、福島第一
原発1~3号機から事故で大気中に放出された放射性物質は、炉内にあった
量の1~2%という推定値を公表した」と書かれています。

これほど膨大なものが出て来ているのに、まだ炉内の1~2%に過ぎない
というのは何ともため息がでる感じがします。まだまだ膨大な量が炉内に
あり、その炉の密閉性が破られているからです。これからも、ゆっくりと、
長く、大量の、放射能漏れが続きそうです。

またこの記事には、
「推定値は主な放射性物質としてヨウ素とセシウムを分析したもので、ヨウ素
131が約2%、セシウム137が約1%だった。」
「保安院によると、事故前に1~3号機の炉内にあった放射性物質は、
ヨウ素131が610万テラベクレル(テラは1兆、ベクレルは放射能の単位)、
セシウム137は71万テラベクレルだったという」
とも書かれています。

そうなると、ヨウ素の放出量は、約12万テラベクレル。 セシウムの放出量は
7000テラベクレルだったことになります。
ところが保安院は、すでに、この時期に全体で37万テラベクレルの放射能が、
大気中に放出されたと発表しているわけで、そうなると、残りの約24万3千
テラベクレルの放射能は何だったのかという疑問が生じます。

このうち、相当量が燃料プールからも放出されたと考えられますが、
それは炉内のものの倍もあったのでしょうか。
またその内訳は何なのか。ヨウ素、セシウム以外に大量に出ているものは
なかったのか。それらは計測されているのかなど、疑問が深まるばかりです。

ともあれ確実なのは、ヨウ素、セシウムにとどまらない、さまざまな放射能
が外部に出て来ているということです。

この大量に続く放射能汚染と、立ち向かっていく必要があります。

*******************************

溶融燃料「粒子状、冷えて蓄積」1~3号機分析
2011年4月14日22時44分 読売新聞

 注水冷却が続けられている東京電力福島第一原子力発電所1~3号機
について、日本原子力学会の原子力安全調査専門委員会は14日、原子炉
などの現状を分析した結果をまとめた。



 3基は核燃料の一部溶融が指摘されているが、専門委は「溶融した燃料は
細かい粒子状になり、圧力容器の下部にたまって冷えている」との見解を示した。

 専門委では、東電や経済産業省原子力安全・保安院などが公表したデータを
もとに、原子炉の状態を分析した。

 それによると、圧力容器内の燃料棒は、3号機では冷却水で冠水しているが、
1、2号機は一部が露出している。1~3号機の燃料棒はいずれも損傷し、
一部が溶け落ちている。溶融した核燃料は、冷却水と接触して数ミリ以下の
細かい粒子に崩れ、燃料棒の支持板や圧力容器下部に冷えて積もっていると
推定している。これは、圧力容器下部の水温が低いこととも合致している。
沢田隆・原子力学会副会長は「外部に出た汚染水にも、粒子状の溶融燃料が
混じっていると思われる」と説明した。
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20110414-OYT1T00938.htm

放射性物質放出量、炉内の1~2% 保安院が推定値公表
2011年4月15日0時34分 朝日新聞
 経済産業省原子力安全・保安院は14日、福島第一原発1~3号機から事故
で大気中に放出された放射性物質は、炉内にあった量の1~2%という推定値
を公表した。多くの放射性物質がまだ原子炉内に残っていることになる。

 推定値は主な放射性物質としてヨウ素とセシウムを分析したもので、ヨウ素
131が約2%、セシウム137が約1%だった。12日に今回の事故の国際的
な事故評価尺度(INES)を旧ソ連チェルノブイリ原発事故と同じ「レベル7」
(深刻な事故)に引き上げる根拠になった。当初、放出量だけしか
公表しなかった。

 保安院によると、事故前に1~3号機の炉内にあった放射性物質は、
ヨウ素131が610万テラベクレル(テラは1兆、ベクレルは放射能の単位)、
セシウム137は71万テラベクレルだったという。

 1~3号機では原子炉圧力容器や格納容器につながる配管や弁などの
すき間や、破損した部分から放射性物質が外部に漏れ出たとみられている。
地震後間もなく、炉内の蒸気を外に逃がして圧力を下げるベント(排気)作業
でも放出された。

 セシウム137の放射能が半分になる時間(半減期)は約30年だが、ヨウ素
131は8日と短く、当初よりも相当減っていると見られている。

 日本原子力学会の調査専門委員会が14日に発表した分析では、1~3号
機の炉内の核燃料は、一部がいったん溶けたうえで冷えて固まり、圧力容器
の底に数ミリほどの粒子になって積もっているという。(小堀龍之、竹石涼子)
http://www.asahi.com/national/update/0414/TKY201104140489.html
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明日に向けて(43)3号機の原子炉温度上昇、2号機地下水の放射能濃度17倍に

2011年04月15日 02時40分00秒 | 明日に向けて4月1日~30日
守田です。(20110415 02:40)

今宵、福島原発2号機、3号機での異変が次々と伝えられてきています。

まず3号機から見ていきますが、朝日新聞によれば、原子炉内の温度が
だんだん上昇しているとのことで、記事には「原因は不明だが12日に
約170度だったのが、13日に約200度、14日に約250度に上昇した」
と書かれています。

この原子炉の設定限界温度は約300度です。250度はそれに迫る温度であり、
しかも原因不明のままにだんだんあがってきているので、危険が増している
と言えます。

またそもそもこの原子炉は、圧力容器の気圧が、大気圧とほぼ同じに
なってしまっている。要するにすでにどこかが壊れていて、密閉性が
破られてしまっているわけです。その壊れた炉で、約300度が限界温度と
言えるかどうか、強い疑問が残ります。

ともあれ、3号機の様子をウォッチしていく必要があります。


さらに2号機では、地下水の放射能汚染濃度が、1週間前に比べて
17倍にも跳ね上がっていることが報じられています。これも原因不明です。
この2号機も、原子炉の気圧が大気圧と同じになっており、密閉性が
失われてしまっている。

そこから何らかの要因で、より高い濃度の放射能が漏れて来ている可能性
もあります。その場合、なぜそれが起こっているのか、原因が特定できない
だけに、さまざまな危険性が推論できます。

2号機もウォッチを続ける必要があります。


もうひとつ、記事にはありませんが、1号機については、水素爆発の
危険性回避ということで、窒素注入が行われているはずですが、これに
関するその後のデータが公開されていません。

2.5気圧を目指したのに、1.95気圧以上、気圧が上がらなくなり、1000立方
メートル前後の窒素と水蒸気が漏れ出したことが4月11日に伝えられて以降、
情報がないのです。放射線量計も9日に、線量の大幅な上昇を記録して
以降、情報が途絶えています。はたして1号機はどうなっているのでしょうか。

また窒素注入は2号機、3号機にも行われると発表されました。枝野長官は
「水素爆発の可能性を限りなくゼロにするため」と記者会見で述べましたが、
そうすると、窒素注入が行われいない現状では、低いものとはいえ、
水素爆発の可能性があるのでしょうか。この点もまったく不透明です。

ともあれ、1号機から3号機までまったく予断を許さない状態にあります。
これは4号機プールについても言えることです。

この点に踏まえて、ウォッチを続けます。

****************************
福島原発3号機、原子炉温度が上昇 原因は不明
2011年4月15日0時41分 朝日新聞

 経済産業省原子力安全・保安院は14日、福島第一原発3号機の原子炉内で
温度が上昇傾向にあると発表した。原因は不明だが12日に約170度だった
のが、13日に約200度、14日に約250度に上昇した。計測機器が地震に
よって破損している可能性があり正確な値を示しているかはっきりしていないが、
温度が上がっていることは確かだとみられている。今後、炉内への注水量を
調整して温度を下げる見通しという。
http://www.asahi.com/national/update/0415/TKY201104140523.html

地下水の放射能濃度、1週間で17倍に 2号機周辺
2011年4月15日1時16分 朝日新聞

 福島第一原発2号機周辺の地下水に含まれる放射能が、1週間前に比べて
17倍の濃さになっていた、と東京電力が14日発表した。2号機では高濃度の
汚染水がタービン建屋地下や外の坑道にたまっており、しみ出た可能性もある。
経済産業省原子力安全・保安院の指示で今後、週に1回の計測を3回に
増やし、警戒を強める。

 東電は13日に1~6の各号機の周囲に付設した井戸で水を採取し分析した。
その結果、2号機ではヨウ素131が1ccあたり610ベクレル検出され、6日の
36ベクレルに比べて17倍になっていた。1号機も400ベクレルで6倍と
ほかに比べ濃かった。

 2号機では、外の坑道にたまった水から毎時1千ミリシーベルト以上と高い
放射線量を計測。この水が取水口付近にある作業用の穴の亀裂から海へ
流れ出していた。6日に止水し、一部はポンプでくみ出したが、大部分は
残っている。

 東電は「止水で行き場が無くなった水が地下で回り込んでいる可能性も
ある」と説明している。

 他号機の放射能の濃度は横ばいか減少で、十数ベクレル~1ベクレル
未満だった。これらは周囲に飛散した放射能が雨などで地下に浸透した
可能性がある。
http://www.asahi.com/national/update/0414/TKY201104140463.html
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