明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(82) インターネットテレビで原発についてお話ししました・・・

2011年04月30日 15時00分00秒 | 明日に向けて4月1日~30日
守田です。(20110430 15:00)

今週の月曜日に、大阪に招かれて「清水ただしの派遣村tv」という
インターネットテレビに出演して、原発の話をさせてもらいました。
以下、映像が見れますので、よろしければご覧ください。
http://hakenmura.tv/

番組全体で20分と短い中でしたが、福島原発の現状、原発の本当のコスト、
原発が地球温暖化の原因の一つであること、メディアへの期待などを
話してきました。

テレビ局の方たちが、私の言いたいことを上手に引き出して下さいました。
感謝です。

ここでお話した原発のコストの問題は、今後、「脱原発の可能性」として、
文章の形でも紹介していきたいと思います。

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明日に向けて(81)「福島の子どもたちを守らねばならない」

2011年04月30日 02時00分00秒 | 明日に向けて4月1日~30日
守田です。(20110429 02:00)

注目すべき記事をみつけました。共同通信英語版に掲載された「福島の
子どもたちを守らねばならない」です。
記事を書いたのは、ティルマン・ラフ 核兵器廃絶国際キャンペーン代表
オーストラリア・メルボルン大学ノッサル国際医療研究所準教授です。

ラフ教授は、現在の福島の状態を批判する中で、次の点を強調しています。

「もっとも見落としてならない点は、全ての人間が同じレベルのリスクに
晒されるわけではないということだ。放射線による癌のリスクは幼児
(一歳未満)の場合、成人の3-4倍になる。また、女の幼児は男の幼児に
比べ、2倍感受性が強い。
女性全体の放射線被曝による癌のリスクは、男性に比べ4割高い。また
放射線に対して誰よりも敏感なのは、母親の子宮にいる胎児である。」

・・・ラフ教授は、幼児の放射線に対するリスクを成人の3-4倍と見積もって
います。これは10倍と主張する他の見解より低い値ですが、一方で、
女の子が男の子の2倍、感受性が強いことを指摘しています。
また女性全般の癌のリスクも、男性より4割高いことを指摘しています。

女の子、そしてまた女性の方が、放射線への感受性が強いという指摘は、
日本のこの間の報道ではほとんどなされていないのではないでしょうか。
この点は重要なポイントだと思います。

またこの記事では次のような重要な指摘もなされています。
「母親がX線検査を受けると胎児は10~20mSvの線量を被曝する。これに
より15歳までの子どものあいだの癌の発症率が四割上昇している」

「ドイツで最近行われた全国の小児癌登録データ25年分の研究では、通常
運転時であっても、原発はそこから5キロ圏内に暮らす5歳以下の子どもの
白血病のリスクを2倍以上上昇させていることが明らかになった。」

それぞれに注目すべき内容で、今後この点をフォローしていきたいと思います。

なお記事は次のように結ばれています。
「一人の親、そして医師として言う。福島の子どもたちがそのように有害な
レベルの放射線被曝をすることを許容することは、我々の子どもたちや
未来の世代にたいする保護・管理責任の許されざる放棄である。」

・・・まったく同感です!

****************************

福島の子どもたちを守らねばならない

ティルマン・ラフ
メルボルン 4/26 共同通信英語版  

今週初め、私は文部科学省が福島の子どもの電離放射線の許容線量を引き
上げたと知り、私は大変な不安に襲われた。
かれらが定めた毎時3.8マイクロシーベルトという値は、一年分にして33ミリ
シーベルト(mSv)以上に相当する。それが幼稚園児、保育園児、小学生、
中学生に対し適用されるのである。このことについて正確に考えてみたい。
(訳注参照)

放射線が健康にもたらす危険は線量に比例する、というのが一般的な科学的
見地である-線量が高ければ高いほどリスクは大きく、リスクが発生しない
レベルなど存在しない。

すべての放射線被曝はできるかぎり低く抑えられるべきであり、一般人に
ついては自然放射線と医療措置によるものを含めても年間1mSvを超過
すべきではない、と国際放射線防護委員会(ICRP)は勧告している。また
原子力産業で働く労働者については5年間の平均線量として年間最大
20mSvまでとし、かつ年間50mSvを超える年があってはならない、と。

すでに国際基準より高かった日本の労働者の最大許容線量100mSvは、
福島の大事故を受けて250mSvまで引き上げられた。

米国国立科学アカデミーBEIR VII報告書によれば、1mSvの放射線(被曝)は
固形癌(白血病以外の癌)については約1万人に1人、白血病では約10万人に
1人、癌による死亡では17500人に1人のリスク上昇をもたらすものと
みられる。

だがもっとも見落としてならない点は、全ての人間が同じレベルのリスクに
晒されるわけではないということだ。放射線による癌のリスクは幼児
(一歳未満)の場合、成人の3-4倍になる。また、女の幼児は男の幼児に
比べ、2倍感受性が強い。

女性全体の放射線被曝による癌のリスクは、男性に比べ4割高い。また
放射線に対して誰よりも敏感なのは、母親の子宮にいる胎児である。

母親がX線検査を受けると胎児は10~20mSvの線量を被曝する。これに
より15歳までの子どものあいだの癌の発症率が四割上昇していることが、
この分野では先駆的な「オックスフォード小児癌サーベイ」の調査で判明した。

ドイツで最近行われた全国の小児癌登録データ25年分の研究では、通常
運転時であっても、原発はそこから5キロ圏内に暮らす5歳以下の子どもの
白血病のリスクを2倍以上上昇させていることが明らかになった。

50km以上離れた場所でも、リスク上昇がみられた。これは予想をはるかに
上回っており、子宮の中ないし外にいる子どもが放射線に対して特に
ぜい弱であることを強く示している。

よくある外的な放射線計測器で測られる被曝だけでなく、粒子を呼吸に
よって肺に吸い込んだり、汚染された食物や水を通して取り込んだりすることで、
福島の子どもたちは内部被曝をすることになる。人々の体内には食物
連鎖を通して多量の放射性物質が濃縮されるのだ。

一人の親、そして医師として言う。福島の子どもたちがそのように有害な
レベルの放射線被曝をすることを許容することは、我々の子どもたちや
未来の世代にたいする保護・管理責任の許されざる放棄である。

(ティルマン・ラフ 核兵器廃絶国際キャンペーン代表 オーストラリア・
メルボルン大学ノッサル国際医療研究所準教授)

訳注:国は、一般人の年間被曝は1ミリシーベルト(1000マイクロシーベルト)
としてきたが、今回の事故が起こり、大人どころか子どもの年間被ばく量の
許容範囲を20倍の20ミリシーベルトに引き上げた。文科省は校庭活動など
の屋外活動を一日8時間、残りの16時間は屋内で過ごすと想定し、毎日
8時間3.8マイクロシーベルト、16時間1.52マイクロシーベルト浴びた
として、年間20ミリシーベルト(20,000マイクロシーベルト)になると
いう計算の上で校庭活動等の限度を毎時3.8マイクロシーベルトと定めている。

この計算過程は報道ではっきり示されなかったこともあり、ティルマン・ラフ氏は
そのまま毎時3.8を24と365でかけて、年間33ミリシーベルトと算出して
いるようだ。これは誤りではあるが、年間20ミリシーベルトだろうが33ミリ
シーベルトだろうがこの記事におけるラフ氏の論点や結論には影響を
及ぼさない。(参考:『福島県内の学校等の校舎・校庭等の利用判断に
おける暫定的考え方について』文科省ホームページhttp://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/23/04/1305174.htm 

原文:http://english.kyodonews.jp/news/2011/04/87835.html 

翻訳:田中泉 訳注:乗松聡
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