電話という名称は残るのだろうか。ニュースでガラケー*1ということばを聞いて、考えた。
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電話...
電話は家庭にあるもの。携帯電話というのは、(家になく)持ち運びをするので、携帯という形容詞がついた。法律用語かどうかやや自信がないが、移動体通信(端末)という。そう、昔は電話番号と住所は同じ場所を表していた。
現在では家電(家にある電話、いえでん)という言葉があるように、世の中の、「電話」という名称(名詞)が指し示すものは、移動体通信が主流になりつつある。少なくとも、(業務用でない)家庭の電話は、徐々に「電話」という呼び名を奪われつつある。家に固定されている電話のことを、説明する時にあえて家電というのだから、ステータスが低下しているのは間違いないだろう。電話という言葉は、携帯に取られつつあると思う。
携帯電話は進化し、名称が変わった。
ものの名前に二つの要素が含まれる場合、それぞれから言葉を取って、省略語を作る。「携帯」と「電話」で「携電」でもよさそうなのに、携帯電話は「ケータイ」になった。状態を表す語が、名詞になったのだ。携帯電話(端末)の機能の中で、音声を利用した情報伝達器機(電話機能)としての割合が下がったためだ。
英語でもmobile phoneからphoneがとれて、形容詞のmobileが名詞になっているのでよく似ている。
現在ケータイは急速にスマホ(スマフォ、「以下「スマホ」)にシェアを取られつつある。このスマホになぜ「ホ(フォ:電話、フォン」がつくのかは以前*2書いたことがあった。スマホ以外のケータイをガラケーと言うことも、徐々に市民権を得ているようだ。
さて、音声利用情報伝達器機である電話。この電話という名称の争奪戦、この先どうなるのだろう。
スマホはおそらくこのまましばらく「ホ」がつくだろう。ガラケーも「ケー」が付く以上電話的な名称として残るだろう。名称に含まれる「電話」の部分と、通信端末における音声通信の比率低下がイコールとまでは言えないが、いずれにしてもずいぶん短くなったものだと思う。現状で、これ以外の名前が見当たらないのも事実である。ガラケーが残る間は、どちらかにということはないのかもしれない。
電話じゃなく、全く別の名称になるかもしれない。個人的には、40年ちょと前、STAR TREKで主人公が使っていた通信機の「コミュニケーター*3」あたりがいい名称だと思う。でも、ものの名称は、こうなってほしいと思っても、そうなることはあまりない。だから、コミュニケーター... 誰でも思いつくレベルだから、こうはならないかな。
電話。いい名称を作ったものだ。英語のtelephoneはtele(遠隔の)phone(声、音)から出来たことばである。ギリシャ語~フランス語~英語になった語である。どこにも電気の意味はない。この日本語化はホントに素晴らしいと思う。
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*1
日本独自の発展をしたケータイを、ガラパゴスケータイという。
独自の進化をし過ぎて、外国市場に出て行けないことを、ガラパゴス諸島の生物になぞらえて表現している。従来型のケータイをガラパゴスケータイと呼び、その省略語がガラケーである。
*2
2011.02.02、「名称・先祖返り」
2011.03.22、「名称・先祖返り つづき」
*3
もっともこれは音声通信端末だった。