全英連参加者のブログ

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ゴジラ-1.0

2023-11-11 04:00:00 | 全英連参加者 2023
ゴジラ-1.0  焦土と化した日本に、突如現れたゴジラ。残された名もなき人々に、生きて抗う術はあるのか。

 ゴジラ70周年記念作品となる本作『ゴジラ −1.0』で監督・脚本・VFXを務めるのは、山崎貴。
 絶望の象徴が、いま令和に甦る。

 生きて、抗え。
 ...なのだ。


 実写版ゴジラ。直近は庵野秀明総監督「シン・ゴジラ」(’16年)だ。ゴジラの禍々しさ、破壊を強烈に描きだした。ゴジラに壊された社会。それをどのように守り、復興するか。懸命に模索する人間を描いた作品だろう。

 作り込まれた映像美が印象的な山崎貴が監督する作品。どんな映像になるかと考えていた。もちろん楽しみにしていた。
 劇場で鑑賞した山崎監督実写作品は_

 5本になる。これら以外にアニメの「ドラゴンクエスト ユア・ストーリー」(’19年8月)、「ルパン三世 THE FIRST」(’19年12月)を劇場で見ている。ゴジラの出てきた「ALWAYS...」はTV鑑賞である。

 僕の山﨑監督作品から受ける印象は「家族(作り、再生)」だ。本作も戦後日本の混乱期、さらにゴジラ襲来の大災禍だ。極限状態を生きる一人一人に、フォーカスがあたると予想していた。
 あたらずとも遠からずだと思う。


 敷島浩一(神木隆之介)
 特攻隊員。恐怖から故障を装い大戸島の整備場に不時着する。そこで呉爾羅ゴジラに襲われた。
 復員後も生きる意味、生きている自分への負い目を強く感じている。彼の戦争は終わっていない。

 大石典子(浜辺美波)
 両親を戦争で失い、闇市で敷島にであう。
 戦災孤児の赤子・明子(永谷咲笑ながたに さえ)をかかえている。
 3人は同居することになる。

 太田澄子(安藤サクラ)
 敷島が住む家の隣人。子供を戦争で失う。

 神木さん、浜辺さん、安藤さん。3人ともいい。現在、浜辺さんは、見逃してはいけない女優さんである...と思う。
 ネタバレになるが、3人とも死なずにものがたりが終わる。


 伊福部の音楽、ゴジラの足音。映画の《音・音効》は、過去のゴジラ作品と同様、ものがたり世界を象徴する。

 東京・銀座を破壊するゴジラ。足下を逃げ惑う人々。たくさんの命が瞬く間に消えていく。人間の恐怖・絶望感が伝わる。ゴジラによる破壊というよりも、ゴジラに多くの命が奪われる場面。Taglineの通りゴジラは絶望の象徴なのだ。劇中、高速で海を泳ぐゴジラが、小さな船を追いかける場面がある。相当怖い映像である。

 ゴジラ退治にかかわる人たちはたくさん登場する。戦争を生き延びた人たちだ。みんな懸命に生きている。灰燼に帰した東京、様々なメカの描写。さすが山崎監督だと思う。でも、何より本作は、究極的には、敷島、典子、明子3人が生き延びること、家族になること、それぞれに明日(未来)があることを中心に描かれていると感じた。絶望を超えた希望である。所々、涙が出そうになった。
 「シン」がポリティカルな雰囲気を持つ作品だとしたら、「-1.0」は家族を描くファミリー・ムービーだ。

 本作、予想・期待を大きく超えた。MUST SEEの作品である。

(文中一部敬称略)

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