ハリー・ポッターのものがたり。主要キャラクター3人のうちの1人、ハーマイオニー(Hermione Jean Granger)のGrangerから、grangeの発音の間違いに気がついた。
grangerの発音は二通り。
/grendʒɝ/(米)
/greɪndʒɜ/(英)
映画第一作、ハリーとロンとの初対面のシーンで、ハーマイオニー役のエマ・ワトソンは、「グレィンジャ」に近い発音をしていた。
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grangeに住む人だからgrangerである。僕はそもそものgrangeの発音を間違えていた。何十年もThrushcross Grangeのgrangeを、「スラッシュクロス・グランジ」と読み、覚え、思い込んでいた。でも、正しく発音すると、少なくとも英国の発音では「グレィンジ」が正しいことになる。
どうしてだろう。
「嵐が丘」は僕の大学の卒論テーマ。間違えるのはおかしい。恥ずかしいし、情けないと思う。でも、僕の頭の中のGrangeは「グランジ」なのだ。
なんで、間違えた上に、気づかなかったのだろう。
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'Thrushcross Grange is my own, sir,'
(スラッシュクロスは私の持ち物だ。)
嵐が丘の主人公・Heathcliffが、ものがたりの始まりのところで、借り手のLockwoodに言い放つ。これは読者に対して強い印象を与える。
「スラッシュクロス・グランジ ィズ マイ オウン.サ...
僕はそんな風に原書を音読していた。
間違えていたことになる。
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翻訳に「グランジ」とあったのだろうか。調べた範囲内では見当たらない。現在手元にある翻訳は以下のものだ。
新潮文庫,鴻巣友季子訳。平成15年(’03年)出版のもの。
Thrushcross Grange:鶫の辻(つぐみのつじ)
勤務校の図書館でも調べたが、「スラッシュクロス屋敷」「スラッシュクロス荘」「スラッシュクロス」は見つかったものの、カタカナで「スラッシュクロス・グランジ」は見つからなかった。
大学時代の「英文学史講義」のノートも読み返した。僕はこの講義で「嵐が丘」という作品に出会った。40年近く前のノートには英語のまま「Thrushcross Grange」としか書いていない。
卒論執筆の時、原書とあわせて読んだのは、中公文庫の「嵐が丘」である。河野一郎訳,昭和54年(1979年)出版のものだが、これが手元にない。ひょっとして同書では「スラッシュクロス・グランジ」かも知れないし、全く違うかも知れない。
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ハリー・ポッターの登場人物を調べていて、まさか「嵐が丘」にぶつかるとは思わなかった。そこでこんな間違いを見つけることは、まさに想定外のこと。もう少し調査を継続する。
それから、原書をもういちど読もうと思う。