例の、受験生が入学辞退をした大学に対して、一度払い込んだ学納金(入学金・授業料)などを返還することを求めていた訴訟(2006.11.10「前納金返還義務」)だが、11月27日最高裁第2小法廷は以下のように判決を下した。
1.入学金の返還は認めない。
2.消費者契約法施行後は、年度内に入学辞退を申し出れば、大学には授業料などを全額学生に返す義務がある。古田佑紀裁判長
「合格者が大学に入学することを約束した『在学契約』には、実害を超える賠償を禁じた消費者契約法が適用される」、「大学に損害が生じるのは入学年度が始まる4月1日以降」
学納金返還については、地裁、高裁段階で判断が分かれている。今回の判決は最高裁の統一判断となる。
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消費者契約法施行後の平成14年度入試以降、3月31日までに入学を辞退した元受験生には原則として授業料を全額返還するよう大学側に命じた。
同法施行前の入試の元受験生に対しては、大学側に授業料の返還義務はないとした。また、専願入試(いわゆる推薦入試)については、辞退した場合も返還義務はないとされた。
入学金については、「合格者が入学できる地位を得るための対価」とし、辞退の時期を問わず、返還を認めなかった。
妥当な判断だろう。この裁判が始まって以降、大学は実態としてこの判決にそったお金の集め方をしているように思える。
原告も裁判を提起した意味があったわけだ。