伊丹十三監督(1933~1997没、享年64才、不審死)の作品、タンポポ。1985年の‘ラーメンウエスタン’。田中康夫の「なんとなくクリスタル」が1980年だから、日本は総じてブランドに走っていた時代だと思う。ラーメン、オムライス、チャーハン、北京ダックと次々へと料理が登場する。食べ物にまつわるサブストーリーが詰め込まれ、当時の日本の食に対する考え方を風刺していた。
日本の食事風景を描いた作品と言えば、小津安二郎監督の映画「お茶漬けの味」を思い出す。関心事やライフスタイルが合わない、夫と妻の報われない思いと和解の物語だ。さらに、小津安二郎監督の映画には「秋刀魚の味」がある。妻に先立たれた初老のサラリーマンと、婚期を迎える娘の心情を繊細に描いていた。
森田芳光の家族ゲームは1983年。家族の食事が不快で、居心地の悪い時間として描かれていた。家族4人が細長いテーブルに横並びに座って、音を立てながら食事をするシーンは、1980年代の家族のフラストレーションを物語ってた。
ほかにも和食が食べたくなる映画がたくさんある。
日本の料理にもいろんな物語が似合う。自然のめぐみを 尊重しつつ、暮しの中で伝えられてきた工夫の上に、海外の食材や料理をじょうずに取り入れて、文化をはぐくんできました。これが、和食の文化だ。