tetujin's blog

映画の「ネタバレの場合があります。健康のため、読み過ぎにご注意ください。」

チェンマイの夕陽

2019-12-03 22:38:14 | プチ放浪 都会編

“北方のバラ”と呼ばれる古都チェンマイ。「ラーンナー」(“百万の水田”という意味)というタイ北部独自の文化をはぐくみ、風情ある多くの民族舞踏が旅人の心をとらえて離さない。


黄昏時。刻々と移り変わる夕空から、月が浮かぶ闇の中、タイの女性たちが踊りを披露する。この時期の夕暮れは早く、美しい夕焼けを見つめていると、いつの間にか夜がひっそり訪れる。踊る女性たちの厳粛な雰囲気に、観光の顔とは違った別の歴史が垣間見える。
チェンマイの闇の中に浮かぶのは、タイの民族舞踏が持つ本来の力。民衆そのものの姿だろう。舞曲の音は静かに深く魂の奥底を揺すぶり、胸を熱くさせる。

タイの民族舞踏が最も美しく輝くと思うのは、個人的には黄昏時が推しだ。青い波のように連なるミャンマー国境の山脈へと夕日が沈むころ、薄桃色の空を背にしなやかな踊り手たちは聖なる光をまとい、シルエットとして浮かび上がる。その姿は言葉に出ないほど美しく、あまりにも荘厳。切ない思いが込みあげ、旅情がくすぐられる。
・・・いつまでも見ていたい景色だ。