こう暑いと、山に涼みに来るトンボたちもラッシュだ。尾瀬の空には、炎天下にもかかわらず無数のトンボが舞っている。
子どもの頃、夏になるとトンボを捕まえようと指をクルクル回し、トンボの眼を回そうとしていた。たしかに指の動きに合わせて頭を頭をクルン、クルンと向け、指をどんどん近づけても逃げ遅れ、捕まえられることが多かった。
実際、トンボは目を回しているのだろうか。
トンボの目は複眼。空中を飛ぶ小さな餌昆虫を捕食するため、高度な3Dセンサーとなっている。一方、その高度な3Dセンサーからの信号を処理するトンボの脳はあまりにも貧弱だ。そう、昆虫にも人間と同様に“脳神経節(または球)”と呼ばれる脳の器官がある。
ちょうど、最近のデジカメで撮ったデータを、十年以上も前のPCで処理しようとするようなもの。巨大なデータを読み込むだけでPCの処理能力はパンクする。
エサか捕食者かをパターン・マッチングして区別するぐらいのことなら簡単に処理できるのだろうが、目の前を不規則に行き来する物体は『捕食者ではなさそうだが、餌昆虫としては何か様子がおかしい。しかし餌かもしれない』と考えて、じっと集中して指の動きを追っているのかもしれない。
昆虫の中には“記憶”や“学習”さらに“情報伝達”などという高次な機能を備えているものも存在するという。昆虫もなかなか利口で隅に置けない。