【撮影地】栃木県日光市(小田代が原)(2009.10月撮影)
Copyrights© 2005-2009 TETUJIN
all rights reserved.
秋深い奥日光小田代ケ原の湿原。もう冬支度に入る。
一人のカメラマンがいた。ずっと、その木だけを取り続けた写真家だった。写真家は、故 有田洋氏。
高度成長時代の幕開け。昭和45年に過度の疲労と倦怠に悩まされていた有田氏は、自殺するつもりで12月下旬の奥日光・小田代ヶ原をさ迷い歩く。
目にしたのは雪原の中央にポツンと立つ一本のシラカバだった。
シラカバは風にしなって耐えていた。何度も何度も、しなって体を持ち上げようとしていた。
シラカバを見ていて、生きることの大切さを知った彼は、それ以来、そのシラカバを「彼女」と呼び、ずっとその一本の樹だけを撮りつづけてきた。
昭和50年に最初の個展を開催、55年に2度目の個展を開く。
反響は全国に轟いた。小田代ヶ原のシラカバが一躍、アマチュアカメラマンのターゲットになってしまった。
氏は生前、多くのハイカーで荒廃していく小田代ケ原の湿原を嘆いていた。
僕も週末にどっと押し寄せるアマチュアカメラマンの一人。だが、小田代ケ原だけじゃなくて、どの世界にも、都会にも、僕らの周りにも、貴婦人はきっといる。
自分だけの貴婦人を見つけ出して、それを静かに見つめていたい。
気に入った写真や記事がありましたら応援のクリックよろしくお願いします。

にほんブログ村