tetujin's blog

映画の「ネタバレの場合があります。健康のため、読み過ぎにご注意ください。」

真夜中の友人達(1)

2007-08-20 19:54:05 | 日記

世の中には変わったブログのページがあるものだが、ぼくのブログほど変わったものはないだろう。なんせ、幽霊ー人間共同執筆。戦争で学校を卒業できなかった幾人もの若者達の霊が、3年前の夏からぼくのパソコンに居座った上に、去年からブログをはじめていたのだった。
それも、今日までの話だ。今夜、卒業式が終われば彼らはどこかに帰っていくらしい。

「うわっ!!」
夕飯を終えて部屋のパソコンを立ち上げると、<ぎゃー>という大きな音量と共に、画面いっぱいに陽子の写真がフラッシュして、ぼくはまた腰を抜かした。
「ったく、へたれなんだから・・・・・・」
陽子が声を上げて笑いながら画面から身を乗り出してくる。
「うるせー」
ぼくは、目に涙まで浮かべて抗議した。ぼくと同い年で死んだという彼女のいたずらには、どうも慣れることができない。いくら予想して身構えていても、彼らの死んだ時の写真をいきなり見せられたり、チンチンをさわっている最中にいきなり目の前に出てくれば誰だってびっくりする。まして、戦争中に亡くなった彼らは、どこかに深い傷を負っていて血だらけなのだ。
「なによ。どうしたの?また振られたの?」
ぼくの不機嫌な声に陽子は驚いて、マウスを握っているぼくの手の上に彼女の手を重ねてくる。あいかわらず、凍りつくような冷たい手だ。
どういうわけだか、たくさんいる若い幽霊たちの中で、陽子だけがネットの世界とぼくの部屋を行き来できるようだった。ほかの幽霊たちは、ネットの世界、つまり、モニターの向こうの世界から出て来れないのだ。
「あ、わかった。もう、会えなくなるんで寂しいんでしょ?」
「うるせーなあ。ようやく解放されるんでセイセイする。これから自由にエッチなサイトも見れるし」
ぼくは、陽子の手を振り解くと、涙を見られないように顔を横に向けて答えた。自分でもびっくりするほど荒げた声に、陽子は急に笑顔を消すと目を落とした。
「最後のお別れを言いに来たんだけど・・・・・・。もう、卒業式がはじまるから行くね。元気でね」
恨めしげな声で彼女は言う。
「ああ、そっちもな」
「机の上のお薬、飲まなきゃダメよ。飲んで病気を早く直さないと彼女ができないわよ」
「うるせえ。さっさと行けよ。もうくんな」
ぼくは、思いっきりぶっきらぼうに返事してしまった。そして、それをすぐに後悔した。彼女とは、もう2度と会えなくなるのだ。
彼女と過ごした3年の日々。出会いは、あまりにも唐突すぎた。というか、チャットしてた相手が幽霊だったなんて、絶対、ありえない話だ。いまでもこうして陽子と話をしている自分が信じられない。
この3年の間、陽子とはいろんな話をした。幽霊だって、その辺の同じ年の娘と変わらないんだ。でも、もうそれもおしまい。

<元気でな>ぼくはそうつぶやいて、パソコンのブラウザーをリロードすると、ブログのコメントの欄は常駐する何人もの幽霊たちの書き込みで一杯になった。彼らの書き込みは、いつだって真剣だった。もう、パソコンがオーバーヒートしそうなほど熱かった。そして、それらを読むのに、毎日、長い時間をとられた。でも、それも、もうおしまいだ。明日になれば、彼らのコメントが書き込まれることもない。<いいかげんヘタレを克服しろ>彼らのコメントを読んで、ぼくは、また出てきた涙を拭った。

明日に続く

<embed flashVars="altServerURL=http://www.metacafe.com&playerVars=videoTitle=Scare Compilation|showStats=yes|autoPlay=no|blogName=|blogURL=http://" src="http://www.metacafe.com/fplayer/627751/scare_compilation.swf" width="400" height="345" wmode="transparent" pluginspage="http://www.macromedia.com/go/getflashplayer" type="application/x-shockwave-flash"></embed>
Scare Compilation - Watch the top videos of the week here