tetujin's blog

映画の「ネタバレの場合があります。健康のため、読み過ぎにご注意ください。」

愛しのローズマリー

2006-10-03 20:24:25 | herb, plant

世界中のハーブの中で、ローズマリーが一番のお気に入りである。垣根代わりに植えた庭先で、何かの折に触れるたびに、ローズマリーのすがすがしい香気があたりに漂う。夏の日の午後には、ぴったりのハーブティーだ。
ローズマリーは、地中海沿岸地方原産のシソ科の常緑性低木。生葉もしくは乾燥葉が香辛料として用いられる。また精油は薬にも用いられる。和名:マンネンロウ、別名:ロスマリン

学名 Rosmarinus は「海のしずく」を意味する。英語のrosemaryは、「マリアのバラ」(rose of Mary)という語源俗解に基づくものである。花言葉は「記憶・想い出」で、愛や貞節の象徴とされる。様々な品種があり、立性と匍匐(ほふく)性種に分かれる。花の色は、青~紫色のものがほとんどだが、白や桃色のものもある。

ローズマリーの名前を最初に知ったのは,サイモン&ガーファンクルの「Scarborough Fair」の詩の一節からだ。その元歌は、16~17世紀に『エルフィンナイト』という古いバラードであると言われている。多くの歌い手によって、町から町へ伝えられる内にその詩は変わっていき、何十もの詩が出来上がった。サイモン&ガーファンクルによって有名になった編曲は19世紀末に生まれたものである。

「♪Are you going to Scaborough Fair? Parsley, Sage, Rosemary, and Thyme♪」
「スカーバラ(イングランド北西の町)の市に行くんですか?そこに住む人を思い出すんだ・・・彼女は一度、僕の本当の恋人だった。」

この歌の中で繰り返し出てくる"parsley, sage, rosemary and thyme"は、すべてハーブであるが、象徴的な意味を表すと解釈されている。
パセリは消化を助け、苦味を消すハーブであり、中世にはこれを霊的な意味としても捉えている。
セージは何千年もの耐久力の象徴として知られている。
そして、ローズマリーは貞節、愛、思い出を表し、現在でも英国や他のヨーロッパの国々では花嫁の髪にローズマリーの小枝を挿す慣習がある。
タイムは度胸の象徴であり、歌が書かれた19世紀末、騎士達は戦いに赴く際に楯にタイムの図柄を付けた。

歌の中で話し手は、これらの4種のハーブに託して、二人の間の苦味を取り除く温和さ、互いの隔たった時間を辛抱強く待つ強さ、孤独の間彼を待つ貞節、だれも成し得ない仕事を果たす矛盾した度胸を具えた真の恋人、そしてそれらをできた時に彼の元に彼女が戻ってくるよう望んでいると伝言を依頼する。♪せめて、やってみるとの返事をください。♪

この貞節の象徴のローズマリー。
愛しのローズマリーという映画がある。父親の遺言を守り、自分の外見をかえりみずに若くてセクシーな美女ばかりを追っかけている男が主人公。外見だけでしか女性を判断できない男が、自己啓発セミナーの講師から催眠術をかけられて、誰もがブスと認めるお相撲さんのような体型の女性の心の美しさの虜になり、本当の恋を知るお話。主人公のハルは浅はかな男、映画の原題”Shallow Hall"は、そのまま「浅はかなハル」だ。そして、相手の女性の名がローズマリー。夢中になったハルに何度も声を掛けられても、冷やかされているとしか思えない彼女は、最初は彼を訝しそうに避ける。きっと、その容姿のために、お金持ちのお嬢さんでありながら今まで嫌な事がたくさんあったのだろう。

一方、ハーブのローズマリーも、松の葉に似た小さな葉が特徴のあんまり宜しくない外見であるが(伸び放題の我が家のものは)、料理や入浴剤、リースなど利用価値大で、言うなれば性格美人というところだろうか。

社会的に弱者であっても、彼らは美しい心を持っているという映画の主張は、いろいろ考えさせられる。ところで、彼女がお金持ちのお嬢さんじゃなければ、結末はどうなっていたのだろう?美の本質って、お金じゃないすよね。
さて、こんなことを考えるオイラは、性格美人と外見美人、果たしてどっちだろうか。