いのちなりけり
葉室 麟(文春文庫)
葉室ワールドにハマりそうです。
この「いのちなりけり」は、江戸幕府綱吉の時代のお話。史実と空想と、その巧みな構成力で、非常に上質なエンターテイメント小説。
端的に言えば、私好みの時代劇小説なんです。
テレビドラマの「水戸黄門」でおなじみの光圀や助さん覚さんが出てくるし、水戸藩と佐賀小城藩の関わり、光圀と綱吉の確執、幕府内藩内の権力争い、幕府と朝廷間のかけ引き、吉良上野介、、も登場する
トドメは、和歌。
「古今和歌集」、「古今伝授」が、大きな伏線になって、この物語を「剛」だけでない文学的香りのする作品に仕上げてます。
春ごとに花のさかりはありなめど
あひ見むことはいのちなりけり
(「古今和歌集」詠み人知らず)
テーマは、純愛。