暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて茶事を楽しんでいます。2015年2月に京都から横浜へ戻りました。

「ハワイへ帰る友あり」・・・夕去りの茶事支度

2016年07月16日 | 茶会など
                         
                              ハワイへ帰る友あり・・・

我が家で夕去りの茶事をすることになり、その日が近づいてきました。

体調管理のため秋まで茶事はお預けと思っていましたが、
京都・今日庵へ留学中のSさんが修行を終えられ、ハワイへ帰国することになりました。
それで、帰国前にお会いしたい、茶事でおもてなししたいと、茶事支度に勤しんでいます。
Sさんの送別の夕去りですが、
茶事の趣旨を聞いて馳せ参じてくださるお客様との一期一会も万感の思いがあります・・・。

悔しいけれど、無理をすると身体がすぐに悲鳴を上げるので、1日でしていた仕事を2~3日に分けています。
幸いにも半東のN氏と懐石のEさんが茶事を支えてくださって、心強く感謝です。

今、茶室には茶事で使う茶道具、懐石道具、燭台などの灯りが広げられています。
骨董好きのN氏が持って来てくださったものもあり、どれを使おうかしら?
風呂敷包みや箱を開けながら贅沢にも悩んでいます。
N氏の茶道具は人の手や目に触れるのは数十年ぶりとかで、みんな嬉しそう・・・。

                         
                              ハワイの夕映え

そんなある日、N氏が大きな箱を持ってきました。
陶製の三段重で、織部でしょうか?
造形と言い、織部風な文様と言いパワフルで、作品に納まり切らないエネルギーが溢れていました。
作者は鈴木五郎氏です。

「気に入って買ったのですが、どのように使ったらよろしいのか・・・?
 先生、今回の茶事で使ってみてくれませんか?」
せっかくのお話なので、喜んで上から二段まで使うことにしました。
一番下は足付なので、蓋を工夫して水指にどうかしら?
これもいつか水指としてN氏の茶事に登場しそうです。

                         
                          玄関先の花が元気です
                          ポーチュラカと木槿(日ノ丸)

先日、懐石担当のEさんが打ち合わせに来てくださいました。
台所の動線、使う調理器具と収納場所、懐石道具などを見てもらいました。
半東N氏も同席し、秘蔵(?)の古染付向付を持って来てくださいました。
テーブルの上に並べられた汲み出し、向付、皿や鉢などから、場面や料理に合わせて選んでいきます。
その間にお客様のこと、茶事テーマやタイムスケジュール、懐石をだすタイミング、
手伝いの内容など、茶事を共有し、より好くするための話し合いが続きました。

ご案内の手紙をしたためた時から「夕去りの茶事」は始まっていますが、
とてもステキな茶事になりそうな予感が・・・          


                         
                           横浜の夕景色 (たなびく雲のあたりが富士山)


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茶カブキ之式・・・文月の五葉会 in 2016

2016年07月14日 | 暁庵の裏千家茶道教室
                        

文月の第二金曜日、7月8日は五葉会でした。
今月から新メンバーのMさんが加わってくださいました。
当ブログでの募集によくぞ勇気を出して応募してくださった・・・と、一同感謝の気持ちでMさんを迎えました。

科目は茶カブキ之式、平花月、貴人清次花月です。
中でも心待ちにしていた茶カブキ之式、五葉会では初めてでした。
それで、事前にHさんに東(亭主)をお願いし、準備のため早目に来て頂きました。
他の4人(Fさんがお休み)で札を引き、席順はTさん、Mさん、暁庵、執筆者はKさんです。

茶カブキ之式は七事式の1つで、無学宗衍(そうえん)和尚の偈頌は
   千古千今裁断舌頭始可知真味
  (古に今に舌頭を裁断して 始めて真味を知るべし)

闘茶をもとに味覚の修練のために組み立てられ、先ず試み茶を2種飲みます。
よくその香味を心に留めておき、次に本茶3種(試み茶2種にもう1種加えたもの)を飲んで
その違いを聞き分けます。

棗に入れる濃茶を7gにしてもらいましたが、詰のせいか4服はきつかったです。
本茶の2服目の茶碗が戻されたところで
「お白湯を頂戴しとうございます」と正客Tさん。
その白湯の実に美味しかったこと! 無学和尚の偈頌とは程遠い世界にいる暁庵でした・・・。

茶カブキ之式の結果ですが、正解者は残念ながらなし。
「茶カブキの記」の奉書は執筆者から亭主に渡され、亭主が水屋へ持ち帰り、送り礼。
3種の濃茶は、青雲(一保堂)、金輪(小山園)、錦上の昔(柳桜圓)でした。

                        

実際にやってみると細かい点が本に載ってなかったり、わかりにくかったりしますので、
そういう時は課題として宿題にして、次回以降に話し合ったり、メールで知らせたりしています。
この課題を宿題として皆で共有するのが、五葉会らしく素晴らしいところなのですが、
何が宿題だったか忘れることも・・・ありです。

茶カブキの宿題は、掛け帛紗のたたみ方とわさ(輪)の位置でしたが、
早速Tさんからメールが廻り、解決です(スゴイ!)。

少しずつ歩を進め、楽しく回数を重ねることを第一の目的とし、和やかにやっています。

                        

翌日、Mさんからメールが届きました。

   皆さま、昨日は本当に有難うございました
   日にちが近づくにつれ 不安になり カリキュラムを拝見して 
   これは歯が立たないと 自分の軽率な 申し込みを後悔いたしました

   しかし皆様の お優しさと和やかな雰囲気に救われ たどたどしいながら 
   有意義な時間を過ごすことができました
   心から御礼申し上げるとともに 今後ともよろしくお願い致します

   また皆さまが 独自のお茶の世界を確立されていること わたくしにはとても魅力です・・・(後略)
   わたくしも皆さまのように一日も早く 自分のお茶を確立できたらと思っております
   これからが暑さの本番 皆さまの健康 ご活躍をお祈りいたします   Mより

 (陰の声・・・五葉会へいらしてくださって有難うございます!
        緊張のうちにも有意義な時間が持てたようで嬉しいです。
        Mさんと七事式を研鑽できることが楽しみになりました・・・


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光琳の一枚の絵・・・伊勢物語・筒井筒

2016年07月11日 | 美術館・博物館
                           
                                  ユーモラスな一枚の絵
                                 (光琳画、黎明教会資料研修館蔵)

ふっと何かが頭を横切り、薄皮をはぐように思い出しました。
一枚の絵です。

京都に住んでいた頃に通った黎明協会資料研修館と、そこで出合った一枚の絵。
新しい展示に変わった或る土曜日の13時過ぎのこと、
黎明教会の関係者らしき男性A氏(学芸員の方?)が展示品の解説をしていました。

その絵は尾形光琳画と伝えられていて、伊勢物語を題材にしているとか。
一人の男が格子窓から中を覗いています。
一人の女がお櫃から器にご飯を山のように盛り上げてよそっています。
簡単な構図ですが、何とも言えないユーモラスな雰囲気が溢れていました。

                           
                            いつも静かな展示室

「この絵に、何とも言えない親しみとユーモラスを感じます」と私。
「伊勢物語の有名な話の一場面で、奥ゆかしく好ましいと思っていた女が
 自らご飯を山盛りによそっている様子を垣間見て幻滅し、通わなくなってしまったそうですよ」とA氏。
「この絵を床に掛けて茶事をしたら面白そうね・・・。
 さしあたり、屏風の向こうから袖か何かで顔を隠して、奥ゆかしく迎え付けの挨拶をし、
 そのあとにしゃもじとお櫃をかかえて登場するの・・・」と私。
「えっ! おもしろそうですね。ぜひやってみてください」
「でも・・・この絵がないとねぇ・・・・」

ここで、会話も記憶も途切れていましたが、数年ぶりに思い出しました。
早速、伊勢物語を読み返してみると、第二十三段「筒井筒」の後半の話だとわかりました。

                           
                                       能 「井筒」
筒井筒のあらすじは、
昔、幼なじみの男女が、筒井筒(丸い井戸の竹垣)の周りで、たけくらべをしたりして遊んでいました。
長ずるにつれて互いに顔を合わせるのが恥ずかしくなり疎遠となっていましたが、
二人とも相手を忘れられず、女は親の持ってくる縁談も断っていました。
女のもとに、男から歌が届き、二人は歌を取り交わして契りを結びます。

    筒井筒井筒にかけしまろがたけ過ぎにけらしな妹見ざるまに
   (井戸の縁の高さにも足りなかった自分の背丈が伸びて縁をこしたようですよ、貴女を見ない間に)
  女から返し
    比べ来こし振り分け髪も肩過ぎぬ君ならずして誰たれか上ぐべき  
  (貴方と比べていたおかっぱの髪ももう肩より伸びましたよ、貴方以外の誰が髪上げ(=成人することの印。そのまま結婚する事が多かった)できるものですか)

二人はめでたく夫婦となりましたが、やがて妻の親が死に、暮しが貧しくなると、夫は河内の国、高安郡の女の所へ足しげく通うようになりました。
ところが、妻は怒りの素振りも見せないで夫を送り出すのでした。
不審に思った夫が隠れて見ていると、妻は念入りに化粧をして、もの思いにふけってぼんやり遠くを眺めて、

    風吹けば沖つ白波たつた山夜半よはにや君がひとり越ゆらむ
    (風が吹くと沖の白波が立つ竜田山を、夜中に貴方は一人で越えているのでしょうか・・)

その心根にうたれた夫は再び妻の元へと帰るのでした。

                          

ごくまれにあの高安の女の所に来てみると、初めは奥ゆかしく取り繕っていたけれど、
今では気を許して、自分の手でしゃもじを取って、飯を盛る器に盛りつけるのを見て、
すっかり嫌になって行かなくなってしまいました。

男が来なくなったので、高安の女は大和の方を見やって、

    君があたり見つつををらむ生駒山 雲な隠しそ雨は降るとも

と詠んで生駒山を見ながら待っていると、ようやく、男が「行こう」と言ってきました。

高安の女は喜んで待つのですが、何度も訪れのないまま過ぎてしまったので、歌を送ります。

    君来むと言ひし夜ごとに過ぎぬれば 頼まぬものの恋ひつつぞ経る
 
と詠んだけれども、男は行かなくなってしまいました・・・とさ。

                           
                                       平安神宮にて

幼馴染の男女がお互いを忘れられず、やがて男から歌が届き、結ばれるという「筒井筒」の純愛物語より、
もう一つの「高安の女」の物語に強く惹かれました。

男が来なくなってから、読む歌に高安の女の待ちわびる心が切ないほどあらわれています。
確かに食欲旺盛だったかもしれないけれど、教養もあり篤い心根の女人のようです。
でも、高安の女は現実を直視できるタイプ、いつまでもなよなよと男の身勝手さや吾が身の上を嘆いていないで、
しっかりと前を向いて乗り越えていけそうですね。

伊勢物語を再読し、あの絵を想い出すと、なぜか高安の女にエールを送っていました。  


毎年、秋分の日(だと思う・・・)に開催される黎明教会資料研修館の茶会もお勧めです。
  参考) 宗編流の茶会
       萩まつり茶会と宗編流の茶会 その2

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Oさん、「また、来なはいや」

2016年07月07日 | 暁庵の裏千家茶道教室
                        

今日は7月7日、七夕(新暦)です。
スウェーデンへの帰国が迫った7月2日(土)、Oさんの最終稽古と送別会をしました。

この日のお軸は
「応無処住 而生吾心」 

読み下しは、
 応(まさ)に住する処を無くし 
 而(しか)もその心を生ずべし

足立泰道師の筆で、「金剛経」の一節です。

                          

私たちの周りには大小無形の柵(しがらみ)があり、いつの間にかそれらに心を縛られていますが、
「心をとらわれることなく、あるがままに自由自在にその心を向けよ」

暁庵からOさんへのはなむけのメッセージです。
お茶の神様のご配慮で、日本で暁庵と出会ったのですから、これを機会に
Oさんの自由自在なお茶の世界を自分の環境を活かして作り出してほしい
・・・と願っています。

                        

最終稽古は、Oさんの希望で初炭手前と唐物、それとFさんの茶通箱の客でした。
スウェーデンでは炭が入手しにくく、風炉の炭手前はほとんどしたことがないそうです。
スウェーデンに限らず日本でも、くぬぎ炭、枝炭それに香まで高騰して頭が痛いところですが、茶事では炭手前が欠かせません。
それで、果敢に初炭手前に数回挑戦して頂きました。

茶事を前提にした稽古なので、濃茶ではお菓子を運び出した後に
「どうぞお菓子をお召し上がりください。
 席を改めたく存じますので、お菓子をお召し上がりになりましたら
 先ほどの腰掛待合へ中立をお願い致します」
「それでは中立させて頂きますが、ご用意が整いましたら
 どうぞお鳴物でお知らせください」
「ことによりましたら・・・そのようにさせて頂きます」

紋切型の問答ですが、本番ですらすら言えるように稽古で言ってもらっています。
箱根の稽古茶事へ参加したので、問答の大切さがわかりましたが、
 ・・・・やってみると難しいです」とOさん。

最終稽古の後、社中が集まり、イタリアンレストランでささやかな送別会をしました。
白ワインを傾け、美味しい前菜、ピザ、パスタ、スペアーリブのステーキなどをパクつきながら、ワイワイ愉しく過ごしました。
7月7日に帰国ということで、今頃は飛行機に乗って天の川を横切っているかしら・・・。  

                       
                        「ほおずき」(神楽坂・梅花亭)と半泥子の茶碗で一服

来日の折は教室へ顔を出して、美味しいお茶とお菓子とたくさんの好い刺激を味わってください。
スウェーデン語の「さようなら」を教えてもらったのですが・・・う~ん、出て来ません。
Oさん、「また、来なはいや」 (愛媛県南予地方の方言)  


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奥の細道会・・・利休さまに見守られながら

2016年07月06日 | 自主稽古(京都編)&奥の細道会
                           

7月1日は奥の細道会でした。
奥の細道会は奥伝の勉強会で、月1回、ときどきお休みを取りながらも続けています。

床は先日の許状式のまま、利休居士の画像と鵬雲斎家元(現・大宗匠)の賛があるお軸を掛けました。
めったに掛けないお軸ですし、利休さまに奥伝の稽古を見て頂くのも励みになるのでは・・・と思ったのです。
花(水引と岡トラノヲ)、香(沈香)、蝋燭、菓子(和三盆)を供え、赤楽茶碗に湯を入れ、薄茶を一杓撒いてお供えしました。

                           

その日は4名、最初に台子初炭手前をさせて頂きました。
次いで、行之行台子をNさんとAさんが修しました。
ここで昼食の休憩が入り、午後にKさんが唐物をなさいました。
            
誰も先生はいませんが、それぞれの方がそれぞれの思いで点前をします。
「久しぶりに緊張感を感じながら点前をさせていただきました」
(陰の声・・・緊張感ってとても大事ですよね。そして、人前で点前することも・・・)
「唐物の返し方はこれで良かったかしら?}
(陰の声・・・返し方一つでもいろいろな考え方があり、勉強になりました)
「唐物茶入のご伝来は?」
(陰の声・・・行之行台子にふさわしい伝来が語られ、実際のシーンが浮んでくるようでした)

                           

素晴らしいお仲間と共に奥の細道をたどる充実感を感じておりましたら、Aさんから葉書が届きました。

   この度初めて奥の細道会に参加させて頂き、
   充実したひと時を誠に有難うございました。
   利休様の御前で、やはりこの道をどこまでも進んでいこうと
   初心を新たにいたしました。
   日頃愛する昼顔の花が神々しいまでの姿で迎えてくれ感動でした。
   また香之図棗にさり気ない励ましを感じ心にしみました。
   たどたどしい歩みですが精進致しますので、どうぞご指導のほど
   よろしくお願い申し上げます。    かしこ   Aより

  (陰の声・・・Aさんに参加して頂いて嬉しいです。
   ご一緒にゆっくり歩んでいきましょう。
   こちらこそご指導を宜しくお願い致します)


                        
                            昼顔をやな籠に

最後に恐れ多くも利休さまに講評をお伺いしてみましたところ、
全員が次のようなお声を聞いたような・・・
「「他時定作鳳凰児」(他時定メテ鳳凰ノ兒(ほうおうのこ)ト作(な)ル)には道遠し。
 心を定めてしっかり精進しなさい」

                               みんなで             
     
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