彦四郎の中国生活

中国滞在記

講座授業「日本概況」における学生発表❹―附記:中国における「社会科学発展の閉塞」―

2016-06-16 04:16:53 | 滞在記

 ⑩『「駄洒落(ダジャレ)」という日本人のユーモア』➡日本人特有というか、日本語の豊かさから成立する「駄洒落」について解説。「駄洒落」をいくつか紹介しながら、最近の日本では、「オヤジ・ギャグ」として あまり評価されなくなっている「駄洒落」。この現状を「もったいない。」とコメントしていたプレゼン。 ⑪『日本の温泉』➡日本の温泉のよさについて説明。 ⑫『日本の学校給食』➡日本の学校給食の歴史、給食活動の様子などを説明し、「日本の給食」における 「食の健康」や「日本食に親しむ」、「協力心」など、「給食教育」の良さを評価しているプレゼンだった。

 ⑬『日本の撮影カメラとカメラマン』➡日本のカメラ技術(キャノン・富士フィルムなど)や製品について説明。日本の著名な、そして「私の好きな」カメラマンとその作品について紹介したプレゼン。 ⑭『中国のお茶と日本のお茶』➡中国のお茶文化と日本のお茶文化について説明。同じ緑茶でも、「茶の香りを重視する製法の中国茶」と「茶の味を重視する日本茶」の違いがあるとプレゼン。よくわかる説明だった。

 ⑮『日本は誰の手に握られているか―男性?女性?―』➡日本の社会では、社会を動かす中心は「男性?女性?」と問いかける。日本社会における女性の社会的役割を紹介し、日本では 女性の「家庭・教育・子育てと仕事の両立」が進んでいることを説明。一方の中国では、「社会問題や教育問題が多い」現状を述べながら、中国における家庭教育の低さに言及。「日本社会の分工に習おうではないか。これは男女不平等を唱えるのではなく、男女平等を唱えるとともに、社会分工ということも 重視されるべき。」というまとめをしたプレゼン。なかなか優れたプレゼンだった。(※中国では、子育ての多くは祖父母まかせとなっている。日本のような保育所はほとんどない。学校は、知識面の勉強ばかりで、人格形成教育は重視されない。つまり、躾(しつけ)・マナーなどの教育は 家庭でも学校でも あまりなされていない。)
⑯『日本舞踊』➡日本舞踊の基本的な練習について、かなり詳しく説明していた。 ⑱『私の好きなアニメ』➡「ワンピース」「NARUTOナルト」「家庭教師」の3つについて、アニメの紹介と「なぜ好きなのか」を述べたプレゼン。

 ⑲『中国と日本の妖怪』➡中国の妖怪の代表例といえば、「西遊記」に出る妖怪。三蔵法師を食べたがる妖怪たち。その妖怪は、「もともと人間や動物だったもの」。一方、日本の妖怪は、人間や動物だけでなく、植物や物も妖怪となる。自然のあらゆるものが妖怪となる。日本人の自然観と関係があるようだと説明。「河童」「雪女」なども説明していた。このようなテーマから、日本人と中国人の自然観について深く考察できたら もっと良いプレゼンになると思った。かなり良いプレゼン。

 ⑳『日本の神道教』➡日本の神道の歴史的説明のプレゼン。 (21)『日本の職人文化』➡日本のモノづくり、匠の技の伝統について、宮大工を中心に説明したプレゼン。 (22)『日本の和服』➡女性の和服の着付けを説明したプレゼン。

 (23)『中国と日本の小学生―ボランティア活動とクラブ活動』➡発表した学生は、小学校3年生までは日本で生活していた。その後、中国へ。日本と中国の小学校のシステムの比較をプレゼン。 (24)『時間を守る』➡時間を守るという日本人の国民性について、その特徴を考察していた。興味深いプレゼンだった。

 ※2回生の学生のうち、約12名ほどが 「琉球大学」や「山形大学」に 3回生となる9月から留学する。(半年間)

◆附記―中国における「社会科学発展」の閉塞―
 中国の大学等の学究研究において、最も「発展」が停まっている・閉塞している分野は、「社会科学」ではないだろうか。「社会科学」といえば、「歴史」「地理」「政治」「経済」「社会」「言語」「文化」「人と環境と自然」「法律」などなど、人間生活の多岐にわたる分野である。
 「社会科学」の学問的発展・発達のためには、「社会批判・政治批判」などの表現の自由が欠かせない。しかし、中国ではこれがなかなか許されない。共産党政権維持にとってよくないと判断されれば、拘束される可能性もあるし、大学教員の職は解雇となる。大学の教員や学生の意識も、この中国の社会状況に順応している。
 学生達のプレゼンなどの発表でも、「社会批判」につながる考察をするものは ほとんど稀少。自粛するというか、そうゆう発想が持ちにくいというか、そんな感じがする。「表現の自由」「人権の保障」については、中国の大学での3年間の教員生活を通じて、日々感じることの一つである。
 1949年に「中華人民共和国」が成立して以来75年。「一党独裁」と「民主集中制」は、なかなか両立しえないのが人間社会というものかもしれない。この制度下では「人間活動の全面開花」は難しい。人々の自由な思い・意見を発言することが この制度下では 非常な勇気を要し、犠牲がともなうからだ。これは、中国だけの話ではない。日本の人々にさらに受け入れられる政党となるためにも、「日本共産党の党内民主主義―民主集中制」のありかたについても再考する必要があるように思われる。 
 中国の学生の特徴の一つとして、「自ら調べ、自ら考え 自ら考察し、自らの論を展開する」能力が 弱いように思う。幼稚園時代から、「知識」「知識」「知識」の習得には 日本の学生以上に長けている。しかし、事実と事実を結び付けて、考察するという能力の教育は あまり経験していないのが中国の学生かと思う。










 

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