10月1日付朝日新聞には、「ロシア4州強制併合—プーチン大統領が宣言/編入決定 住民の権利」の見出し記事。9月30日、ロシア・プーチン大統領は、ウクライナの東部・南部の4州の併合を宣言した。「ロシアへの編入決定は、これら4州の住民の権利だ」と、国連憲章を勝手な解釈で持ち出し、厚顔無恥(こうがんぶれい)にも言ってのけた。そして、このロシア領土となった地での武力攻撃があれば、「我々はあらゆる手段を講じてロシアの領土を守る」と、核兵器の使用を示唆する発言を行った。
10月1日、この併合を祝う記念式典がモスクワの赤の広場で挙行され、「アメリカは2度核兵器を使った国です。広島・長崎のことを覚えていると思います」とし、核兵器の使用をロシアが今後行って、どこが悪い。ロシアを守るためなら何でもする。アメリカにこれを批判する資格はあるのかとの批判を行った。ロシアによる核兵器使用の現実味が大きくもなったのを感じる。
ウクライナのゼレンスキー大統領は、ロシアによるウクライナ4州の強制併合宣言を受けて、NATO(北大西洋条約機構)への加盟を申請した。
10月2日付朝日新聞、「劣勢のロシア 核使うのか」の見出し記事。ロシアの4州併合宣言を受け、国連の「安全保障理事会(15ヵ国で構成)」の緊急会合が行われた。(15ヵ国の内訳①常任理事国「アメリカ・イギリス・フランス・ロシア・中国」の5カ国、②現在の非常任理事国「アルバニア・ブラジル・インド・ガボン・ガーナ・アイルランド・ケニア・メキシコ・ノルウェー・アラブ首長国連邦の10ヵ国」。
この15ヵ国による9月30日の緊急安全保障理事会で、ロシアの4州併合宣言に対する非難決議が提案された。(※ロシアによる住民投票を非難し、ウクライナ領土へのいかなる地位変更も認めないよう加盟国に求める決議案。)10か国はその決議案に賛成、しかし、ロシアは反対(拒否権行使)、中国・インド・ブラジル・ガボンは棄権した。(決議案などは、9か国以上の賛成で可決採択されるが、常任理事国ロシアの拒否権行使のため可決採択とはならなかった。)
不法で一方的な併合を問う住民投票の強行、核使用の示唆などのロシア・プーチン大統領への非難決議に対し、3月・4月の国連総会に引き続き、中国・インド・ブラジルは再び棄権をした。アメリカなどは、国連総会(193ヵ国)の場で、同決議案審議を目指し、ロシアの責任を追及する構えだ。トルコ外務省は9月30日、「ロシアによる4州併合」に関して、「国際法の原則に反する重大な違反だ」との声明を出し、容認しないと表明した。同声明は、トルコは「2014年の違法な住民投票に基づくクリミア半島併合を認めてもいない」と指摘。ウクライナの領土的一体性や主権を強く支持しており、今後も同様に、このようなロシアについて反対すると強調した。
10月2日付朝日新聞の社説には、「ロシアの併合 許されぬ民意の捏造だ」との見出し。その社説文の一部を抜粋すると以下の文章が書かれていた。
「捏造された"民意"をたてに大国が隣の領土を力ずくでもぎとる。もはや茶番を通り越して、国際秩序の破壊行為と言うべき蛮行だ。‥‥プーチン氏は演説で"人々の選択は行われた"と述べ、国連憲章が掲げる"自決の権利"まで持ち出して正当化した。‥‥グレーテス国連事務局長が"国連の目的と原則への侮辱"と形容した通りの事態だ。‥‥なりふり構わぬ強硬姿勢は弱みと焦りの裏返しでもある。ウクライナ東部で大敗走を喫するなど、守勢に立たされている。戦場を自国領とみなして核使用をちらつかせ、欧米にウクライナ支援をためらわせる狙いがあるのだろう。‥‥。」
「国際規範へのこれほどまでの冒涜(ぼうとく)を放置すれば、力が支配する弱肉強食の時代に戻りかねない。にもかかわらず、併合宣言を受けて開かれた国連安全保障理事会はロシア非難の決議案を採択できなかった。ロシアの拒否権行使は想定内として、採択で中国やインドが棄権したのは理解に苦しむ。主権の一体性は両国にとっても現実的な問題だからだ。"法の支配"で国際秩序を守り抜く。その明確な意思で結束し、プーチン政権の暴走をくい止める。日本を含む各国はその総力を挙げてほしい。」と‥。
この9月、フランスの著名俳優アラン・ドロンさん(86)は、ウクライナのゼレンスキー大統領とオンラインで対話し、「私はあなたたちと共にある」と、ウクライナへの連帯を表明した。対話は「国際放送TV5モンド」の番組内で行われ、同局が9月23日に放送した。ドロンさんは、ウクライナ国民を日々苦しませる戦争に「嫌悪感を覚える」と訴え、ロシアのプーチン大統領を念頭に「一人の男の夢想」から戦争が起きているとして「腹が立つ」と述べた。2019年に脳卒中を患ったドロンさんは、ウクライナ訪問を呼びかけるゼレンスキー氏に対し、「普通に歩けるようになったら必ず行きます」と応じた。
プーチン大統領による併合宣言後も、ウクライナ東部・南部でもウクライナ軍による奪還地拡大は続いている。
10月上旬のTBS系列のBS報道番組「報道1930」では、ロシアに占領されていたウクライナ東部のハルキウ州全域や交通の要衝地ドネツク州のリマンのウクライナ軍による奪還。そこには、ロシア軍による拷問部屋の実態などが明らかになってきている。「占領され拷問を受けたウクライナ住民の大量の金歯・銀歯を集めた」ケース箱の映像も報道されていた。ロシア・プーチン政権による、ナチス張りの戦争犯罪・蛮行だ。まあ、「22世紀のナチス再来」の感がある。
同報道では、ロシア・プーチン大統領の苦境の状況を巡り、米国の"フォーリン・アフェアーズ紙"や英国の"ガーディアン紙"の「ロシア国内でのクーデターの可能性」に関することも報道されていた。まあ、なかなかクーデターが起きないようにプーチン氏は網を張っているということなのかと思われる。そんな中、ウクライナ戦線でも敗色を巡り、プーチン氏の盟友の一人、ショイグ国防相への批判が高まってもいるようだ。
10月7日付朝日新聞には、「ナワリヌイ氏盟友、活動の再開を宣言—プーチンと戦争動員と闘う」の見出し記事。10月上旬時点で、動員令などへの抵抗などのため、9月22日以降、ロシア国外に約80万人余りが国外脱出をしたと報じられてもいる。
日本国内のさまざまなロシア・ウクライナ戦争を巡る報道。ロシア劣勢の状況を受けて、プーチン大統領に対するクーデーターの可能性や、プーチン後のことに関する報道もみられるようになってきている。パトルシェフ国家安全保障会議書記の名前とともに、ロシア軍NO3の大将に昇格した、チェチェン共和国(ロシア領)のカディロフ首長の名前が、プーチン後として最近よく挙げられる。彼は、ロシア軍内の最強硬派として知られ、戦略核兵器の使用をためらうなとプーチン大統領に催促しているような人物だ。また、プーチン後として、「プーチン大統領の次女であるカテリーナ氏とパトルシェフの息子で現は農相の地位にある人物」の名前も挙がる。これは、プーチン氏が院政を敷くことを意味している。
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