彦四郎の中国生活

中国滞在記

端午節の龍船を見に光明港河川公園に行く❶—夏の花々や人々、セミの鳴き声を今年初めて聞いた

2019-06-09 06:07:50 | 滞在記

 中国福建省福州は、6月に入りとても蒸し暑い日が続くようになった。一日中曇りの日でも、気温は33度〜35度、湿気がものすごい。5月初旬が初夏の始まりとすれば、6月からは本格的な夏の始まりとなり、7月・8月・9月は盛夏、10月下旬が晩夏となる。亜熱帯地方の半年間は夏である。11月は一応の秋、12月・1月は気温的には やはり冬、2月の季節はちょっとわかりづらい。3月・4月が春だろうか。秋はあってないような感じだ。

 6月7日(金)、端午節の龍船が出ているかもしれないと思い、閩江大学の旧キャンパスの一つ(長楽璐校区)の近くにある「光明港河川公園」に行ってみた。2013年9月から2015年7月までの2年間、閩江大学の外国人教員住宅がこの旧キャンパス内にあったので、この公園は日常的に散歩に行っていた。この市内中心地に近い河川公園のそばを流れる川は、閩江(河)とつながっている小さな支流の一つである。

 この公園は、朝夕に人が集まる。朝は6時ごろから人が集い、さまざまなグループが広場舞(ダンス・踊り・体操)や音曲を演奏したり、個人がいろいろなことをして人生を過ごしている。夕方にも人が多く来て午後9時ころまで賑わう。孤独な一人暮らしの中、この公園に行って寂しさを紛らわしていた思い出の場所でもあった。午前9時半頃、1年ぶりくらいにここに来た。川に龍船が浮かんでいるが人はいない。「社会主義核心価値観」の12の標語がずらりと掲げられている。

 太極拳をやっているグループ、中国将棋をしている人たち、なんとなく 10名くらいの いつもの知り合いと駄弁っている人たち。中国は都会であっても「近所の人と人とのつながりや、こういう公園などでの仲間たち、趣味の日常的な仲間たち」が豊かだが、日本社会は、こういうところはとても貧しくなってしまっている。

 夏の植物や花々が咲いている。白い植物棚を覆う蔓(つる)性の植物が、白くて赤っぽい可憐な花を咲かせている。亜熱帯の代表的な花であるハイビスカスも開花する蕾が多くなってきていた。インドソケイという名の亜熱帯樹木の花は白っぽくて少し黄色かかる。少し甘くて高貴な香りがする。

 午前7時ころや午後7時半ころは広場舞のグループが最も多く集まるが、午前9時半になってもまだ、舞(ダンス)の練習をやっているグループもあった。旗のような扇子のようなものを振って踊る人たち。川に沿った遊歩道には、カジュマル(榕樹)が道を覆い木陰をつくり陽射しを和らげる。

 座るところが設置されている中国風の建物が十数箇所ある。黄色い これも微かに香りをもつ草花。この公園は、祖父母といっしょに散歩したりしている孫の姿を たくさんたくさん見かける。中国という社会の「人々の幸せ(幸福感)」をとても感じる光景だ。[※次号のブログでちょっと詳しく]

 遊歩道で4人の老若男女がバトミントンの羽根のようなものを足で蹴り上げてパスし合っている。足の横やかかとなども使いながら器用にプレーをしていた。パスは30回〜50回ほども続いていた。フィリピンでもよくこのスポーツの光景をみかけた。アジサイが少しまだ咲いていた。日本人は藍色の淡い紫陽花(アジサイ)をどちらかというと好むが、中国の人は赤系統を好むようだ。亜熱帯性の黄色いラッパのような花が咲いていた。

 川の向こうに高層住宅が立ち並んでいる。湿地の池に、これも亜熱帯性の湿地植物が藍色の花を咲かせていた。夏の花「蓮」が開花している。

 ここにも中国風建物の休憩所があり、よく音楽の演奏がされる場所でもある。

 公園を一歩離れた車道沿いの売店付近に、20人くらいの男たちが集まってトランプをしていた。賭けトランプだが、賭けるお金は小額だった。トランプの横に1元(約16円)硬貨が並ぶ。可愛らしい賭けトランプをして人生の憂さをはらす人々。これはまたこれで、人々の「人と人が繋がり合う」豊かさを感じる。軒先での将棋など、日本には路上でのこのような光景は絶えて久しい。1960年代ころまではあっただろうか。庶民の暮らし文化が、30代後半以上の年齢の人々によって中国ではまだまだ濃厚に残っている。

 「龍船はいつ始まりますか?」と警備員風の身なりのおっちゃんに聞いてみたら、「10時からだ」との返答。龍船がでるあたりに戻るが、10時を少し過ぎても 龍船のパレードが始まる気配は まだ何もなかった。午後からだろうか?

 この公園の樹木で、「ジージージー」という蝉(せみ)の鳴き声を今年初めて聞いた。夏が本格的に始まっていた。


コメントを投稿