MITIS 水野通訳翻訳研究所ブログ

Mizuno Institute for Interpreting and Translation Studies

お知らせ

来月からこのサイトをMITIS(水野通訳翻訳研究所)ブログに変更します。研究所の活動内容は、研究会開催、公開講演会等の開催、出版活動(年報やOccasional Papers等)を予定しています。研究所のウェブサイトは別になります。詳しくは徐々にお知らせしていきます。

『同時通訳の理論:認知的制約と訳出方略』(朝日出版社)。詳しくはこちらをごらん下さい。

『日本の翻訳論』(法政大学出版局)。詳しくはこちらをごらん下さい。

Facebookはこちらです。

Hendrickxの同時通訳用教材

2019年03月22日 | 通訳研究

1971年に出たPaul V. Hendrickxという人のSimultaneous Interpreting: A Practice Bookというのがあり、今は昔、「通訳理論研究会」でどなかたに見せてもらったことがある(1992年か1993年ごろだったか)。その後ずっと外国の古書店でも入手困難だったのだが、たまたまオークションに出品されていたので入手した。わりと知られた教材だったようで、Lambert, Daro, & Fabbro (1995)の論文でも素材に使われている。しかしChernovのInference and Anticipation in Simultaneous Interpreting (2004)によると、「同時通訳とは何の関係もない、senselessである」という評価になる。というのも、本の中身は単語のリストと数百語からなる文章で、先生がそれを読み上げ、学生が同時通訳するというものだからだ。単語リストの同時通訳は日本通訳協会が作った教材にも取り入れられている。評価はともかく、数少ない歴史的通訳教材としての意義はあるだろう。