MITIS 水野通訳翻訳研究所ブログ

Mizuno Institute for Interpreting and Translation Studies

お知らせ

来月からこのサイトをMITIS(水野通訳翻訳研究所)ブログに変更します。研究所の活動内容は、研究会開催、公開講演会等の開催、出版活動(年報やOccasional Papers等)を予定しています。研究所のウェブサイトは別になります。詳しくは徐々にお知らせしていきます。

『同時通訳の理論:認知的制約と訳出方略』(朝日出版社)。詳しくはこちらをごらん下さい。

『日本の翻訳論』(法政大学出版局)。詳しくはこちらをごらん下さい。

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『立原道造・堀辰雄翻訳集』

2009年08月22日 | 雑想

大会準備にかこつけてさぼってしまった。そういえば先日帰省中の息子に付き合って「エヴァンゲリヲン新劇場版:破」を見てきたが、いまひとつ、いやふたつぐらい面白くない。これではコアなファン以外に広がりをもたないだろう。

『立原道造・堀辰雄翻訳集』(岩波文庫)。タイトル通りなのだが、誰がどういう方針で編集したものか分からないという、ある意味珍しい本。どうやら岩波書店の編集部らしい。「葬いの行列が墓地に入った。細長い柩が、花環をのせて、六人の人に担われて、二人の人に伴われて。」(シュトルム「忘れがたみ」立原道造訳)「彼女は高い、暑い煉瓦塀にそうて重苦しそうに歩いていた。まだそれが其処にあるかどうかを確かめるためのように。」「人は自分の持っていた病気に附属している死を死ぬのだ」「人々はその建物に所属している死の一つを死ぬのだ」(リルケ「マルテの手記」より、堀辰雄訳)
倒置法、人称代名詞・所有の他動詞・同族目的語の訳出が目立つ。この二人の翻訳を問題にするなら、それが彼等の文体にどのような影を落としているかを見るべきだろう。それから、倒置法を使うような翻訳はいつごろから始まったのだろうか。