お知らせ
■来月からこのサイトをMITIS(水野通訳翻訳研究所)ブログに変更します。研究所の活動内容は、研究会開催、公開講演会等の開催、出版活動(年報やOccasional Papers等)を予定しています。研究所のウェブサイトは別になります。詳しくは徐々にお知らせしていきます。
■『同時通訳の理論:認知的制約と訳出方略』(朝日出版社)。詳しくはこちらをごらん下さい。
■『日本の翻訳論』(法政大学出版局)。詳しくはこちらをごらん下さい。
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■1946年に『Crown』という雑誌が創刊されている。翌年から月刊になり、1948年までは続いたようだ。出版していたのは「銀座出版社」というところ。国会図書館にはプランゲ文庫に大体ある。このうち27冊を入手した。最初は30ページほどだが、最終的には50ページぐらいまでになった。内容はかつての『時事英語研究』によく似ている。アメリカ英語が中心で、時事的な英文エッセイやアメリカの文化的知識、映画のシナリオ、米会話、英文和訳、和文英訳などである。実用英語の雑誌と言っていいだろう。編集後記を見ると「通訳、翻訳当事者の活躍は注目に値する。彼等個人の語学力がそのまゝ国際的に影響してくる」とか「学業成績優秀な諸君は希望により中央連絡事務所や進駐軍関係に就職を斡旋します」などの記述がある。どうやら外務省終戦連絡事務所とのパイプがあったらしい。執筆しているのは、戦前の有名な英語関係者では勝㑨銓吉郎ぐらいのものだ(勝㑨も実用英語の人だ)。中心になっていたのは佐藤佐市という人で、米会話の著書が何冊かある。
■ソローのWaldenの日本語訳は、ごく一部だけを訳したものを除くと15種類ぐらいになろうか。(不明のものもあるのでもう少し増えるかもしれない。)そのうち、初期の翻訳として今井嘉雄(訳)(1925 T14)『森の生活』(新潮社)がある。そして戦後になって、今井規清(訳)(1948 S23)『森の生活』(大泉書店)という訳が出ている。これを突き合わせて見ると、本文は一字一句に至るまで同じなのである。今井規清訳の「訳者の言葉」の末尾に「此の譯書は嘗て一度世に出して、幸ひに公表を博したものであるが」とあるが、今井規清名義の訳本の存在は確認できない。また「訳者の言葉」の冒頭も「私の心の中には、いろんな意味に於て、私の尊敬する、古今の人々が住んでゐる」(今井嘉雄)と「私の心の裡には、いろいろの意味で私の尊敬する古今の人々が住んでゐる」(今井規清)となっている。こんなところまで剽窃する奴はいないだろうから、まず同一人物と見てよさそうである。
■まったくの別人の訳がルビを含めて同一という例(Waldenではない)もあるが、これについてはいずれ。
■1971年に出たPaul V. Hendrickxという人のSimultaneous Interpreting: A Practice Bookというのがあり、今は昔、「通訳理論研究会」でどなかたに見せてもらったことがある(1992年か1993年ごろだったか)。その後ずっと外国の古書店でも入手困難だったのだが、たまたまオークションに出品されていたので入手した。わりと知られた教材だったようで、Lambert, Daro, & Fabbro (1995)の論文でも素材に使われている。しかしChernovのInference and Anticipation in Simultaneous Interpreting (2004)によると、「同時通訳とは何の関係もない、senselessである」という評価になる。というのも、本の中身は単語のリストと数百語からなる文章で、先生がそれを読み上げ、学生が同時通訳するというものだからだ。単語リストの同時通訳は日本通訳協会が作った教材にも取り入れられている。評価はともかく、数少ない歴史的通訳教材としての意義はあるだろう。
■やるやる言ってて、2年間もやっていなかった研究所開設に向け、HPを作っています。安いHP作製ソフトで作り始めたところ、これが使い物にならず、また今さらタグを打つのも気が重いのでやむなくネット上にある無料のソフトを使用。こちらは直感的にできることが多く、なかなか良い。HPと言っても簡単なものでいいし、あとは別のところに置くPDFなどにリンクすればほとんど容量もいらない。誤解のないように言っておくと、あくまで「私設」研究所で、ほとんどシャレですのであまり期待しないように。
■1980年代に「国際同時通訳者連盟」(AIICとは無関係)という通訳学校があった。別名がサイマラーズ・ギルド。『通訳事典』No.1によると、場所は渋谷区の桜ヶ丘町で、150人ほどの受講生がいたようだ。講師として初沢清明という人の名がある。ここで使われていたと思われる「日英/同時通訳入門」というテープ教材をオークションで入手した。オリエンテーションが3本、本編10本の13本である。市販もされていたように記憶する。サイマルやインターといった学校の教材は公開されないので、教材史を研究するためには格好の素材のひとつだろう。写真にあるレコードは「田崎英語会話スクール」の教材のようで非売品である。「田崎」は田崎清忠。おまけでつけますというのでもらっておいた。
国際シンポジウム「世界における翻訳通訳教育の現状」
■檜誠司さん(ジャーナリスト、英日翻訳・研究者)がJapan In-depthに「日米繊維交渉“善処します”誤訳伝説」という記事を4回にわたって連載した。先に『通訳翻訳研究への招待』に「「善処します」発言の誤訳問題の一考察」という論文を寄稿しているが、今回は一般向けに、しかし内容は加筆して書いている。「善処します」をめぐる都市伝説を打破する重要な論考であり、写真も豊富で読みやすい。まだ読んでいない人に一読をお薦めする。
(第一回から第三回まではリンクでたどれるが、第四回へのリンクがないので、以下に4回分のURLを書いておきます。)
http://japan-indepth.jp/?p=35492
http://japan-indepth.jp/?p=35649
http://japan-indepth.jp/?p=35775
http://japan-indepth.jp/?p=35887
■しばらく前に Interpreting: International Journal of Research and Practice in Interpreting のvol.19 no.1が届いていたのを忘れていた。目次とabstractsはこちら。最初の論文はドイツ語から英語への同時通訳(とシャドーイング)では、文脈と遷移確率のどちらの要因が大きいか、という問題を扱っている。二番目のは同時通訳においてhedgeはオリジナルスピーチよりすくないのではないか、女性通訳者のhedgeは男性よりも多いのではないかという仮説の検証である。顕著なのは三番目の逐次通訳の流暢性についての論文も含めて、どういうわけか理論的考察がほとんどないことである。とりあえず適当な仮説を立てて実験的に検証し、統計処理でおしまいというパターンになっている。これは困った傾向だと思う。
■未刊だがvol.19 no.2の内容もここで分かる。
■本年度の日本通訳翻訳学会年次大会は2017年9月9日(土)・10日(日)の両日、愛知大学(名古屋キャンパス)で開催されます。名古屋駅から歩ける距離です。
■大会のプログラムと非会員の参加申込書、前日の9月9日(金)に行われるプレ・カンファレンス講義についてはこちらをご覧ください。