多文化共生なTOYAMA

多文化共生とは永続的なココロの営み

外国人多い学校の日本人女児「友達は国籍で選んだりしない」

2013-08-01 10:37:06 | 多文化共生
(以下、マイナビニュースから転載)
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外国人多い学校の日本人女児「友達は国籍で選んだりしない」
  [2013/08/01]

小学校には10か国語に訳された挨拶の言葉も
 日本国内に居住する外国人は1992年の128万人から、昨年は203万人にまで増加した。それにともない公営住宅に住む外国人の数も増えている。そうした中で特異な例が、神奈川県営いちょう団地。約3600戸の3割を外国人世帯が占め、住人の国籍は20か国を超える。

 同団地で暮らす外国人と地域社会の「共生」の取り組みは、試行錯誤を繰り返しながら続けられており、現在では自治会の役員にまで外国人のメンバーがいる。地域の防災リーダーとして、日本人を含めた5か国のメンバー20人からなる〈防災トライ・エンジェルス〉という多国籍青年団も結成された。

 10代以下の世代では、さらに融和は進んでいる。団地内にある横浜市立いちょう小学校の全生徒数は161人。うち外国籍や外国にルーツを持つ子供たちは122人と7割以上を占める。

「日本人以外の生徒でも9割は日本で生まれた子供たちです。ベトナム国籍の生徒だけでも58人いて、日本人のほうが少数派なので、子供たちは国籍など全然気にしてませんよ」(田中秀仁校長)

 毎年、入学時に日本語をまったく話せない児童が3人ほどいるというが、同じ国籍で日本語も話せる生徒が通訳を買って出るため、生徒間のコミュニケーションは問題なく成り立ってしまう。

「色々いすぎて(国籍は)関係なくなっちゃう。友達は“国”で選んだりはしないよ」(4年生の日本人女子児童)

 人口激減時代を迎えた日本人が、これから直面する「外国人との共生」という課題。その最前線は、ニッポンの団地にあった。

撮影■小笠原亜人矛

※週刊ポスト2013年8月9日号

観光立国道半ば 外国人の目で見つめよ

2013-08-01 10:36:43 | 多文化共生
(以下、東京新聞から転載)
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観光立国道半ば 外国人の目で見つめよ

2013年7月31日


 円安で訪日外国人数は過去最高ペースだ。しかし、日中関係の悪化で中国人観光客は激減し、安倍政権が成長戦略で掲げる目標にはほど遠い状況である。魅力ある国でなければ、成果は望めない。
 日本政府観光局によると六月の訪日外国人数は、前年同月比で30%以上も増え、九十万一千人と過去最高を記録、上半期では四百九十五万人に達した。政府は十年前から本格的に観光立国に取り組み始め「年間一千万人の訪日客」を目標にしてきたが、このままのペースだと初めて達成できそうだ。
 とはいえ、政府はさらに二〇一六年に千八百万人、六月にまとめた成長戦略では「三〇年に三千万人まで拡大」を掲げており、その遠大な道筋はとても見えてこない状況である。
 目標に少しでも近づくには、幅広い国々から誘客を図ることも必要だが、やはりまずは中国人観光客の大幅拡大は欠かせない。
 しかし、韓国や台湾、マレーシアなどからは大幅増加となる一方で、中国本土からは減り続けている。上半期は韓国の半数以下にとどまった。尖閣問題をきっかけとした日中関係の冷え込みで、団体旅行客の訪日中止が続いているのである。
 安倍政権は関係修復に向け努力を続けているだろうが、領土や歴史をめぐる姿勢で反省すべき点は多々あるはずだ。譲れない一線は堅持し、主張すべきは主張するとしても、経済的に重要なパートナーとして互恵の理念で共栄を図るべきだ。旺盛な中国マネーを取り込んで成長に生かす。それこそが成長戦略であるはずだ。
 訪日客は、消費や雇用増をもたらし、国を豊かにしてくれる「金の卵」の存在だ。昨年一年間に訪日客が国内で消費した金額は約一・一兆円で、訪日客三千万人になれば、それが四兆円に膨らむ。少子高齢化で国内需要が先細るわが国にとって経済効果は大きい。
 だが、外国人旅行者の受け入れ数で日本は世界で三十位、アジアでも中国や韓国、タイなどに後れを取り、八位に沈んでいる。欧米のリゾート客が集まるタイなどよりも参考にすべきは韓国である。国を挙げて外国人の関心を細かくくみ取り、交通や宿泊など受け入れ体制を整えた。
 日本は地方の観光地の知名度向上や外国語の案内表示といった課題も多いが、何よりまず近隣の国を引き付けるような安全で温かいおもてなしの国を目指すべきだ。

多様性がない会社にイノベーションは生まれない

2013-08-01 10:36:06 | ダイバーシティ
(以下、日経ビジネスONLINEから転載)
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多様性がない会社にイノベーションは生まれない
女性登用はダイバーシティの第一歩
魚谷 雅彦
バックナンバー2013年8月1日(木)

 日本企業の間でも、女性をもっと管理職に就けようという動きが盛んになってきています。数値目標を掲げる大企業もありますね。これはご存じのとおり、安倍政権が成長戦略の柱として女性労働力の活用を挙げていることを受けたムーブメントです。数値目標を設けること自体には賛否両論ありますが、僕自身も変革を促すためには女性の登用が必要だと思います。

 「女性」と「経済」をかけ合わせて「ウーマノミクス」という造語を打ち出したのは米ゴールドマン・サックス証券です。同社のキャシー・松井氏(チーフ日本株ストラテジスト兼グローバルECSアジアヘッド)はこう述べています。

 「ウーマノミクスは日本経済にどのような押し上げ効果をもたらすのだろうか。当社の試算によると、仮に女性の就業率(約60%)が男性(約80%)に肩を並べるまで上昇した場合、就業者数は約800万人増加し、日本のGDPの水準は14%も押し上げられる。当社エコノミストのケルヴィン・デイリーの比較分析によると、日本は先進国のなかでウーマノミクスにより最も大きな押し上げ効果が期待できる国の一つである」(“Fortnightly Thoughts” April 25, 2013)

 では現状、日本のウーマノミクスはどうなっているのでしょうか。

 世界経済フォーラム(WEF)が2012年10月24日に発表した「ジェンダー・ギャップ指数」によれば、日本の男女平等度合いは世界で101位です。ちなみに1位アイスランド、2位フィンランド、3位ノルウェーといった具合に北欧勢が上位を占めています。米国は22位でした。

 「101位ではグローバル立国としてはとても情けない!」というのが僕の感想です。それは単に順位を上げようという話ではなく、女性の登用は企業の業績向上に役立つと言いたいのです。日本企業のダイバーシティが進んでいないことと、マーケティングが上手くないことは、実は関連していると僕は考えています。

多様性を受け入れずして成長はできない

 僕は日本コカ・コーラに勤務している間、5人のCEO(米アトランタ本社)と仕事をしました。日本は大きな市場であるため、接する機会も多かったのですが、今その5人を思い返すと本当に多様な顔ぶれだったことが分かります。

 最初に出会ったCEOはキューバ出身。米エール大学で化学を学んだ後、帰国して現地のコカ・コーラのボトラーで働きましたが、キューバ革命で祖国を追われ、米国に渡ってコカ・コーラ本社に入社。後に18年間もCEOを務め、「米国に富をもたらした」と評された著名な人物です。

 2人目はCFO(最高財務責任者)を経て就任したアメリカ人。「とにかくガンガン利益を上げよう」といった、典型的な財務出身のアメリカ人経営者でした。3人目はなんと数学の教師だったというオーストラリア人。1990年頃には日本コカ・コーラ社長に就いていたこともあるので、「あなたはラッキーでしたね。バブル景気で売上げもよく伸びて」なんて冗談まじりに話したこともあります。

 彼が辞任した後、しばらくCEOが空席となり、白羽の矢が立ったのが4番目のCEO、かつての欧州コカ・コーラ社長でした。北アイルランドに生まれ、父の仕事の関係で少年時代からザンビアで過ごし、南アフリカ大学を卒業後、コカ・コーラのボトラーでトラックの運転手から叩き上げたという人物です。既にリタイアしてセカンドライフを満喫していたところ、CEOのオファーを受けました。奥様が大反対したそうですが「愛するコカ・コーラのために」と現場復帰を決めたのです。そして5人目はトルコ人の現CEO、ムーター・ケント氏です。それぞれ個性の異なるCEOでした。

 オーストラリア出身の元数学教師がCEOだった時代には、僕にとっても周囲にとっても大きな出来事がありました。日本コカ・コーラ社長にアメリカ出身の女性、メアリー・E・ミニック氏が就任したのです。僕自身はDeputy President(社長代行)として、5歳年下の女性を部下の立場で支えるのは初めての経験でしたから、やはり驚きはありました。

 ただ事前にCEOから顔を合わせて直接説明を受けて「日本コカ・コーラの将来のために彼女を社長に就けようと考えているが、どう思う?」と問われたとき、こう思い至ったのです。異質な人がトップに就くこと、その変化、多様性を受け入れることが変革につながるのではないかと。特にコカ・コーラの商品を購買してくれるのは、圧倒的に女性が多い。もう一歩成長するために若い女性社長の就任は有効であると考えられましたし、またこうした変革を受け入れられない内向きな会社ではいけないとも思ったのです。

 そう伝えると、すぐさま扉を開けてメアリーが登場しました。どうやら隣室に控えていたようです。

文化の違いを伝えるときは率直に話すこと

 メアリーと経営チームのタッグを組むにあたって意識したのは、社内外と彼女自身のカルチャーショックを緩和させることです。たとえば米国流の白黒ハッキリさせる言い方ではいらぬ反発を招くこともあるので、会議での話し方について要望することもありました。あるいは日本は米国のように社員や経営者の流動性が高くないので、そこを踏まえた接し方をするよう助言したこともあります。

 特に日本では、経済合理性だけでは行動しない文化がありますよね。「あの人のためなら一肌脱ごう」とか「意気に感じたから」といった行動原理です。鼻先にニンジンをぶら下げれば、誰もが頑張るというものではない。メアリーにとっては違和感があったでしょうが、そうした文化の違いをよく理解してもらいました。

 もちろん全面的に日本の流儀に迎合してもらったわけではなく、時には、米国流に思いっきりロジックで押し通すようにすすめたり、時には僕をうまく活用してもらったりしました。伝え方が難しい場面などでは、僕が前面に出ることもありました。通常、米国のトップはそうしたやり方をしないとは思うのですが、日本ではそうしたことも必要だと考えたのです。

 そして、こうしたデリケートな話をするとき大事なのは、オープンに、ストレートに、フランクに伝えることです。下手に気を遣って説明を省いたり、遠回しに伝えたりすると、思いがけず相手の不信感を買ってしまうことも多々あります。だから夕食に誘うなどして、文化の違いを率直に話し合うのがいい。“Let’s have dinner together.”の一言が扉を開くカギになるというのは、万国共通ですよ。

多様性のある集団に不可欠なコラボレーション

 グローバル市場で成功を収める企業には、ダイバーシティとコラボレーションが息づいています。それを示す光景は、営業戦略会議でも商品開発の場でもよく見受けられます。

 例えば日本コカ・コーラの会議で、今月の数字をどこまで積めるか、という生々しい議論をしていたときのこと。日本人の社員が「もうここまで」と音を上げる中で、営業のトップを務めていたオーストラリア人がこう檄を飛ばしました。

 「どうして君たちはそう簡単に諦めるんだ? もう一回、全部精査してみよう。その中からフォーカスして当たってみれば、まだ予算を達成できるかもしれないじゃないか」

 とはいえ、初めは半信半疑な様子の社員も多くいました。しかし実際にやっていくうちに、目標を達成できてしまうことも珍しくありません。そういったときの成功の鍵は何かといえば、コラボレーションなのです。単に「諦めずにやれ!」と命じるだけでは反感を買ってしまいますが、協力関係を醸成することができれば成功に向かってチームが動き出すのです。

 多様な人たちが集まったときに、議論あるいは論争が起こることは多々あります。例えば文化や商習慣の違いから「1+1はなぜ2なんだ?」といった非常に根源的なことを問われたとしましょう。そこで「そんなもん、2と決まっているから2なのだ!」と頭ごなしに言いたくなる気持ちもあるでしょう。しかしそこからコラボレーションは生まれません。時には「いや待てよ、3の場合もあるか?」と考えることで、皆で同じ方向を向くきっかけになりうるのです。日本的な表現で言えば「一丸となる」のです。

 商品開発をめぐる議論も同様です。企画側が調査データやヒアリングの結果、どんな商品をいつ発売したいか伝えたとき、開発側が同調しないこともよくあります。「無理だ」「前にもやったが売れなかった」といったネガティブな意見が返ってくることもしばしばです。しかしそうした縦割りの弊害に負けていてはいけない。特にブランドマネージャーなど取りまとめ役の人であれば、自らのミッションに基づいて、情熱やコミュニケーション力で説得していかなければなりません。相手がどんなに年上でも、いかに実績のある人でも、引き下がってはいけないのです。何故ならその時、「どこまで本気か」が試されているからです。

 特にベテランの人はよく観察していますからね。僕もライオンのブランドマネージャーを務めていた若い頃など、夜討ち朝駆けで研究室に行っては説得した経験があります。「あいつ熱心にまた来たよ。じゃあやってやろう」という雰囲気を醸成すること。こうした人を巻き込んでいく力も、リーダーシップと言えると思います。

 これは当然、社内に限ったことではありません。関連企業、パートナー企業に対してもそうです。例えばマーケティング担当者が広告代理店に対して、単なるサプライヤーのように扱ったらどうでしょう。「こちらは顧客なのだから、とにかく言うことを聞け」という態度で、コラボレーションが生まれるでしょうか。パートナーであるはずの人たちも心が入らず、「やっつけ仕事」をしてしまうでしょう。

米国本社と真っ向から戦ったメアリー

 性別や国籍、部署、所属会社といったダイバーシティの中で、率直に議論してコラボレーションを生むことがビジネスを推し進めるのです。

 先ほどお話した、かつての上司メアリーに対して、「必ず彼女を成功させなければ」と思うことがありました。特に印象的だったのは、一緒に本社へと赴き、予算獲得の難しい交渉をした時のことです。僕が注目していたのは、彼女が「どちら」を向いているかです。本社の顔色をうかがうか、日本法人のトップとして戦うか。

 彼女が取ったのは後者の立場でした。「これから魚谷さんが説明するプランは今後の日本コカ・コーラにとって絶対に必要なことであり、私は全力でこれを支持します」と。このような姿勢で本社に挑んだガッツを、どれほどの人が示せるでしょうか。そこに女性も男性もありません。人を「ここまでコミットするのであれば、この人を成功させなくては」という気持ちにさせて、巻き込めるかどうかです。そんな彼女を僕はリスペクトし、日本での任務を成功させなければ、と思ったのです。メアリーは本社でマーケティング担当のExecutive Vice Presidentになった後退任し、現在は英国で投資ファンドの仕事をしていて、今も友人として親しくしています。

 経営やマーケティングの視点から見ると、ダイバーシティを実現する目的は発想の転換を促すことにあると思います。多様性のある組織では、世の中の変化を鋭く捉え、一つの事象を様々な観点から理解し、新たな可能性や解決策を構想する事が日常的に行われています。これはまさに、日本のマーケティングに今最も求められていることです。

 男性、女性の多様性のみならず、年功序列を越えた登用、プロパー社員と中途採用社員の組み合わせ、外国人の採用、パートナー企業との新たな取り組み、社外取締役やアドバイザーの活用、一般社会とのオープンイノベーションの仕組みなど、従来の内向き経営を変革するカギとなるダイバーシティを実現する方法はたくさんあるのではないでしょうか。