多文化共生なTOYAMA

多文化共生とは永続的なココロの営み

「『HIRO学園』にフットサルクラブ」

2008-01-21 21:27:57 | 多文化共生
 一般に、在住ブラジル人は、日本での自己実現へと至るヒーロー像が描けないと言われている。ブラジル国内には「ジャパンドリーム」があっても、実際に日本で暮らす在住ブラジル人の子どもらには将来の夢が描けない、つまり、日本社会で成功したブラジル人の具体的な人物がいないということを示している。このことが、彼らに学習意欲を持たせることができないネガティブな理由のひとつであるとも言われている。
 日本で生まれ、日本に育ったブラジル人の子ども達の中から、ワールドカップで活躍するようなサッカー選手が出現するようになれば、彼らの住む世界も、また変わるだろう。そして、記事中にもあるが、子どもの交流から親同士への交流が始まることも期待したい。
(以下、読売新聞から転載)
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 国内にあるブラジル人学校で初めて学校法人の認可を受けた大垣市の「HIRO(ヒロ)学園」が、2月の新学期から、初のクラブ活動として「フットサルクラブ」を発足させることになった。川瀬充弘理事長(52)は、「サッカー王国ブラジルの子供たちなのでレベルは高い。全国大会を目指すことで、子供たちに自信を持たせたい」と意気込んでいる。

 同学園は、日本語になじめないブラジル人の子供の教育のため、2000年4月に開校した。帰国する子供たちのために母国語のポルトガル語教育を中心に日本語にも力を入れているのが特徴だ。

 ブラジル政府の認可を受けて、同学園を卒業すれば本国の大学受験資格を得ることができるようになっている。このため、大垣市のほか、愛知県など県外から通う子供も多く、幼児科から高等科3年生まで約300人が学んでいる。

 同学園には運動場がなく、初等科1年生から高等科3年生までの体育の授業は、大垣市の施設を借りている。正規の授業をするのがやっとで、とてもクラブ活動にまで手が回らなかった。

 しかし、川瀬理事長が「学校法人化から1年が過ぎて、何か子供たちが喜ぶことをしてあげたい」と、子供たちの要望を聞き、本国でも人気のあるフットサルをクラブ活動に取り入れることにした。

 フットサルクラブは、中等科2年から高等科3年までの希望者を募り、2月に発足させる予定だ。今のところ、男子20人ぐらいが参加しそうだ。当面、民間が運営する大垣市興福地町のフットサル場をホームグラウンドにし、川瀬理事長自らがJR大垣駅から送り迎えする。

 川瀬理事長は、「生徒の父親たちに指導者になってもらい、親同士の交流も図りたい。いずれは全国大会にも出場して、日本で良き思い出を作ってもらいたい」と話している。
(2008年1月19日 読売新聞)

「東海3県で年収2500億!?=共立総研=在住ブラジル人の経済力試算」

2008-01-21 21:26:18 | 多文化共生
 在住外国人による経済波及効果について、指摘されることが多くなったが、実際の試算値が公表されたのは今回が初めてではないだろうか。長野県の上田市においても、中小企業がブラジル人から中国人研修生へと雇用をシフトしたことによる地元商業への影響は計り知れないという見解を耳にしたことはあるが、この記事ほどのショッキング性はなかったのではないだろうか。
 今後、この分野での議論も進展するだろう。
(共立総合研究所の本文URL:http://www.okb-kri.jp/press/20071220.pdf)
(以下、ニッケイ新聞から転載)
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 日本の東海地方三県(愛知、岐阜、三重)に住むブラジル人の収入が年間約二五〇〇億円に上るという試算が発表された。大垣共立銀行系のシンクタンク、共立総合研究所(岐阜県大垣市)が昨年十二月二十日に発表した試算によるもの。同試算ではさらに、同地方在住ブラジル人の年間消費額を一四〇〇億円以上と推測しており、在日ブラジル人コミュニティの経済力が地域経済で大きな割合を占めつつある現状が浮き彫りとなっている。
 同研究所では、〇五年の国勢調査、在留外国人統計に基づいて同地方のブラジル人労働者を約七万二〇〇〇人、うち九〇%が製造業・サービス業に従事していると仮定。浜松、岐阜で実施したアンケートから、ブラジル人労働者の年間収入を年間三六〇万円(非製造業は三三六万円)と推計し、総収入を二五七四・七億円と試算した。
 また、米州開発銀行のデータから、母国への送金額を約四八二億円と推計している。
 総収入から、送金や貯蓄、税金や保険料などの支出を引いて「国内消費額」として試算した数字は、一四二八億円。この金額から直接・間接的に二二七四億円の経済波及効果が発生すると算出した。
 これら在住ブラジル人の消費活動が東海三県のGDPに占める割合は〇・二八%に上る。同研究所では、同地域の経済にとって「決して見過ごせない規模のもの」と、その経済的影響の大きさを指摘している。
 東海三県在住のブラジル人(二〇〇五年末時点、法務省「在留外国人統計」による)は、愛知が七万一〇〇四人、岐阜が一万九一五二人、三重が二万一三三人の計一〇万二八五人で、在日ブラジル人全体の約三分の一を占める。
 この数字は〇六年末(同統計)には、愛知七万六二九七人、岐阜二万四六六人、三重二万一二〇六人の計一一万七九六九人へと約一万五〇〇〇人増加した。在住ブラジル人社会が同地域の経済に及ぼす影響も、同様に増大していると推測される。
(ニッケイ新聞 2008年1月18日付け)

「災害から在住外国人守れ」

2008-01-21 15:32:10 | 多文化共生
 阪神淡路大震災~新潟中越~新潟中越沖地震と、災害時における外国人支援体制の構築が各自治体、国際交流協会で進められてきている。
(以下、京都新聞から転載)

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災害から在住外国人守れ
滋賀県国際協会が翻訳・通訳の人材バンク

 地震や洪水などの災害時に、言葉の壁から「情報弱者」になる可能性が高い定住外国人に情報を正確に伝えるため、滋賀県国際協会は新年度、ホルトガル語やスペイン語などの翻訳や通訳の人材バンクを立ち上げる。大規模な被害が予想される琵琶湖西岸断層帯や花折断層帯による地震に備えて、災害援護情報を提供したり、要望を聞く役割を担う。他府県の災害にも派遣を検討する。

 県内には3万人を超える定住外国人がおり、特に南米国籍の住民が近年、急増している。災害時に日本語が通じないために必要な情報が得られなかったり、日本人とのトラブルが発生するのを防ぐため計画してきた。

 通訳(翻訳)ボランティアは、定住外国人の約54%を占める南米国籍の住民に対応するため、ポルトガル語、スペイン語を中心に、中国語、英語などで日常会話以上のレベルの人を募る。

 災害発生時には、支援の司令塔の役割を果たすコーディネーターとともに避難所を回り、給水や食料補給の提供時間などを伝えたり、要望や不安などを聞いて、適切な支援につなげる。日本語の情報を翻訳したり、災害給付申請など日本語の書類手続きも手伝う。

 広域的な災害に備え、近畿2府4県と政令指定都市3市の国際協会とも協定を交わし、ボランティア情報の共有や研修を合同で行い、災害時には相互派遣するという。

 登録したボランティアは定期的に研修を実施。面談などを経た上で、在住市町や話せる言語、他府県に派遣可能かどうかなどの情報をデータベースにして蓄積する。
 問い合わせは県国際協会Tel:077(526)0931。