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多文化共生なTOYAMA

多文化共生とは永続的なココロの営み

ダウン症の子を出産したタイの代理母に支援の声

2014-08-05 09:36:47 | ダイバーシティ
(以下、livedoorNEWSから転載)
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ダウン症の子を出産したタイの代理母に支援の声

 【シンガポール=吉村英輝】代理母としてダウン症の男児を出産したが、依頼人であるオーストラリア人夫妻から引き取りを断られ、自ら育てることを決めたタイ人女性(21)に支援の輪が広がっている。

 女性は仲介業者を通じ、1万6000豪ドル(約153万円)で体外受精の卵子の代理出産を引き受けた。借金の返済や、6歳と3歳の子供の養育費が必要だったという。

 双子を身ごもったが、障害が判明。妊娠7カ月目で依頼人夫妻は中絶を要求したが、女性は拒否し、昨年12月に出産した。依頼人のうち50歳代の夫は病院を訪れ、面倒を見られないとして健康な女児だけ引き取ったという。夫はメディアに「男児の存在は知らなかった」としている。

 女性は自分の子として養育することを決めたが、男児の心臓に疾患が見つかり、治療費が不足。このことが報道され、オーストラリアを中心に4日までに目標を上回る19万ドル(約1950万円)が集まった。

 男児の容体は安定しているという。オーストラリアでは営利目的の代理出産は認められず、海外の代理母を頼るケースが毎年500件近くあるという。

精神障がいを抱える親と暮らす子どもたちに必要な支援とは

2014-08-05 09:36:11 | ダイバーシティ
(以下、SYNODOSから転載)
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2014.08.05 Tue
精神障がいを抱える親と暮らす子どもたちに必要な支援とは
土田幸子 / 親&子どものサポートを考える会

看護師として児童精神科に勤務する中で、親の不安定さに翻弄され調子を崩す子どもがいた。また教員として関わる学生の中にも、遅刻や忘れ物が多かったり、家の話題になると日によって話すことが変わる学生がいた。このようなことから、親のメンタルヘルスの問題は子どもの生活にも影響を与えるのではないかと考えるようになった。

しかし、こうした子どもの存在は、あまり知られていないように思う。なぜ、取り上げられないのか。そして、子どもの生活はどうなっているのか。こうした疑問がわき、2009年から、“精神障がいを抱える親と暮らす子ども”の支援に取り組み始めた。


増加しつつあるメンタルヘルスの問題と現状

精神的不調を主訴に医療機関に受診している患者の数は、近年大幅に増加し、平成23年は320.1万人と、平成17年以降、300万人を超える状況が続いている[*1]。

[*1] 厚生労働省 みんなのメンタルヘルス総合サイト:精神疾患に関するデータ‐精神疾患による患者数,http://www.mhlw.go.jp/kokoro/speciality/data.html,2014.4.29

それに伴って、精神障がいを抱える親の元で育つ子どもの存在も増えていると考えられる。古いデータになるが、2002年に川崎市が行った調査では、精神障害者福祉手帳を有している人の25%[*2]に、2004年に全国の患者会・当事者会に行った調査では対象者のうち17.5%[*3]に子どもが存在していた。社会で“精神障がい者の子ども”と認識されることはあまりないが、実際には、そうした子どもは想像以上に多いことが予想される。そして、当然のことだが、子どもの存在が認識されていないということは、子どもへの支援もほとんど実施されていないということになる。では、これらの子どもは支援を必要としていないのだろうか。

[*2] 川崎市精神保健福祉ニーズ調査委員会(2003):川崎市精神保健福祉ニーズ調査報告書,財団法人神奈川県社会復帰援護会.

[*3] 精神障害者九州ネットワーク調査研究委員会(2005):精神医療ユーザーアンケート報告ユーザー1000人の現状・声,精神障害者九州ネットワーク調査研究委員会.

精神障がいを抱える親の症状のうち、例えば、やる気が起こらない(意欲低下)、考えがまとまらない(思考・集中力の低下)、イライラする、幻聴、妄想などは、身体に現れる症状と違って目に見えづらいため、他人には理解されにくく「怠けている」、「何を考えているのかわからない」と誤解を受けやすい。また、これらの症状は、家事や育児、自分の身の回りのことができなくなるだけでなく、「誰かに悪口を言われているのではないか」という妄想から、人との交流を避けたり、相手の意図を汲み取って臨機応変に対応することができなくなったりするため、対人関係や社会活動にも支障をきたしやすい。

成長発達の過程にある子どもは、大人の保護や養育を受けて成長していく。親が歪んだ認知(物事の捉え方)や他者とのつきあい方をしているとしたら、子どもたちは、そうした養育環境に影響を受けることも稀ではない。

子どもたちは支援を必要としていないのではない。おそらく、テレビに現れる家庭や友だちの家をみて、自分の家庭環境との違いに違和感を覚え、「普通の家ってどんな生活なんだろう?」と疑問を持つようになっても、家族そのものが地域から孤立していることも多く、人に直接聞くこともはばかれたのだろう。障がいを持つ親との生活に困りながらも、家の状況を外部の者に知られることや家の中に人が入ることを避けるため、支援を求めることができなかったというのが現状なのではないだろうか。


子どもが着目されなかったのはなぜか?

こうした子どもたちがこれまで着目されなかった一番の理由は、子ども自身が自分の生活体験や思いを語ってこなかったからだと考える。しかし、私が調査や支援を行う中で、障がいを持つ親自身や家族から家のことを人に話してはいけないと言われていた子どもは意外に少なかった。何かおかしいと感じながらも何も説明されない、大人の誰もが触れようとせずに隠そうとする雰囲気に、「子どもが関与してはいけないことなんだ、隠さなければいけないことなんだ」と感じ、“語ってはいけない”と、セルフスティグマを強めていったのではないかと考える。

家の状況を外部の人に知られてはいけないと思うこれらの子どもは、学校でも地域でも、家の状況に気づかれないように普通を装っている。自分に自信がないため、自分の家の状況、親のこと、自分のことについて「あなたはどう思うの? あなたの家はどうしているの?」と質問されないようにひっそりと存在を消しているのである。そのため周りの大人はこうした子どもの存在や子どもの生活状況に気づかないのである。

子どもが外部の人に気づかれないように適応的に振る舞うとはいえ、私が学生の様子から違和感を感じたように、子どもの身近に存在する学校の教師などの中には子どものサインに気づいていたものもいるかもしれない。それを積極的に取り上げなかったのは、周囲の大人に精神障がいに対する知識がなく、どう対応して良いかわからなかったからではないかと思う。

人は誰でも自分の知らないこと・よくわからないことには手を出したがらない。教師が子どものことで気になることがあっても、それを伝えることで親が不安定になったり、意図した通りに伝わらなかったりすると、「あの家族だから仕方ない」と諦め、気になる子どもの行動もそのままやり過ごしてしまうことがあるのではないか。また、教師という立場上、親の不安定さに影響を受ける子どもに気付きながらも、親の問題であるがゆえに立ち入れないために、見て見ぬふりをしてきた状況もあるように思う。

では、親の受診先である医療機関の者は、子どもの存在をどのように捉えているのだろうか。結論から言えば、子どものことはあまり眼中になかったようである[*4]。診療の中心は障がいを持つ親本人なので、子どもに関心が向かないのは仕方がない。しかし、診療場面で焦点が当てられるのも、「眠れているか、調子はどうか、副作用は出ていないか」など症状の変化が中心で、障がいを持ちながら家や地域でどのような生活を送っているのかという“生活状況”の聴取はあまりされていないように思う。この辺りを具体的に聞いていかないと、子どもへの影響は見えてこないと思われる。

[*4] 土田幸子、長江美代子、鈴木大ら(2011):精神に障害を持つ親と暮らす子どもへの支援‐「精神障害の親との生活」を語る講演会の開催と参加者の反応‐,三重看護学誌,13,155-161.

また実際に私自身が、医療機関で働く医師に言われた言葉であるが、「子どもに接近し介入することは、落ち着いている子どもの心をかき乱すのではないか」との懸念から敢えて子どもに接近しなかった側面もあるようである。しかし子どもは、家の状況に気づかれないように適応的に振る舞っていただけで、落ち着いていたわけではない。何が起こっているのかわからない不安を抱え、「○○してもらえないのは私のせい?」と自分を責めたりしていた。障がいを持つ親のことについても、親の障がいのことを知りたいと思っていたし、子どもの力ではどうすることもできない親の症状を、誰かが医療に繋げて欲しいと願っていたのである[*5]。

[*5] 親&子どものサポートを考える会「全国版 子どもの集い・交流会」(2013)で実施したアンケート調査の結果

貧困連鎖がもたらす社会的損失と戦争のスパイラル

2014-08-04 15:18:17 | ダイバーシティ
(以下、Yahooニュースから転載)
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子どもの貧困率16.3%と過去最悪にしたアベノミクス-貧困連鎖がもたらす社会的損失と戦争のスパイラル

井上伸 | 国家公務員一般労働組合執行委員、国公労連書記、雑誌編集者
2014年7月16日 10時56分

厚生労働省「国民生活基礎調査」より過去最悪となった貧困率

昨日(7/15)、厚生労働省が公表した「国民生活基礎調査」で、2012年の相対的貧困率が16.1%となり、過去最悪だった前回調査(2009年)の16.0%より0.1ポイント悪化したことや、17歳以下の子どもの貧困率は前回を0.6ポイント上回る16.3%に達し初めて全体の貧困率を上回ったこと、ひとり親家庭の貧困率が54.6%と前回を3.8%も上回ったことなどが明らかになっています(上のグラフ参照)。また、平均所得額は537万2千円で1988年以降で最も少なく、生活意識について「苦しい」と回答した世帯の割合も全体の59.9%と増加し(下のグラフ参照)、母子世帯の84.8%、子どものいる世帯の65.9%が「苦しい」と回答しています(下のグラフ参照)。

こうした過去最悪の数字は、深刻な貧困化をすすめるアベノミクスの正体を明確に示しています。加えてこの調査は、2013年7月時点での所得によるものですから、貧困層を直撃している今年4月以降の消費税増税でさらに貧困が深刻なものになっていることは明らかです。とりわけ、子どもの貧困を深刻化させているアベノミクスがもたらす社会的損失を考える際のいくつかの言説をあらためて紹介しておきます。

まず、『子どもの貧困白書』(子どもの貧困白書編集委員会、明石書店)によると、「子どもの貧困」は次のように説明されています。

子どもが経済的困難で社会生活に必要なものの欠乏状態におかれ、発達の諸段階におけるさまざまな機会が奪われた結果、人生全体に影響を与えるほどの多くの不利を負ってしまうことです。これは、本来、社会全体で保障すべき子どもの成長・発達を、個々の親や家庭の「責任」とし、過度な負担を負わせている現状では解決が難しい重大な社会問題です。人間形成の重要な時期である子ども時代を貧困のうちに過ごすことは、成長・発達に大きな影響をおよぼし、進学や就職における選択肢を狭め、自ら望む人生を選び取ることができなくなる「ライフチャンスの制約」をもたらすおそれがあります。子どもの「いま」と同時に将来をも脅かすもの、それが「子どもの貧困」です。

出典:『子どもの貧困白書』(子どもの貧困白書編集委員会、明石書店)より

そして、「子どもの貧困」は、経済的困難によって、「(1)不十分な衣食住、(2)適切なケアの欠如(虐待・ネグレクト)、(3)文化的資源の不足、(4)低学力・低学歴、(5)低い自己評価、(6)不安感・不信感、(7)孤立・排除」などの「不利の累積、ライフチャンスの制約、貧困の世代間連鎖(子どもの貧困→若者の貧困→大人の貧困→次世代の子どもの貧困)」をもたらすものと指摘しています。(『子どもの貧困白書』11ページ)

以前、ブログで紹介していますが、山野良一さん(千葉明徳短大教授、「なくそう!子どもの貧困」全国ネットワーク世話人)は次のように指摘しています。

軍事費へ税金投入→教育・医療・社会保障費削減→貧困増大→子どもの貧困増大→貧困脱出へ軍隊入隊→戦争、という「貧困と戦争のスパイラル」
アメリカでは、貧困な人たちだけが暮らす地域と、豊かな人たちが暮らす地域が、明確に分離しています。いちばん児童虐待が多い貧困地域では子ども1,000人に50人の割合で発生し、いちばん少ない豊かな地域は1,000人に0.2人です。貧困地域では、豊かな地域の250倍の児童虐待が起きているのです。

児童虐待だけではありません。ティーンマザー=10代の子どもの妊娠は、貧困地域の大きな問題ですし、銃犯罪、麻薬の問題などが貧困層に集中してあらわれています。

アメリカは、「貧困大国」であり、「虐待大国」でもあります。アメリカでは1年間で、1,300人もが児童虐待で亡くなっています。日本は虐待は50人で、一家心中を含めると1年間で100人の子どもが亡くなっています。アメリカは子どもの数が日本の3倍ぐらいありますが、それでもアメリカの児童虐待による死亡数はケタが違って多いことが分かります。また、アメリカは「監獄大国」でもあり、人口3億人のうち刑務所・拘置所などに収容されるのは1年間に1,000万人、30人に1人で、貧困者が多くをしめています。

また、アメリカの子どもの貧困は戦争と深く結びついています。ジャーナリストの堤未果さんが『ルポ貧困大国アメリカ』(岩波新書)の中で指摘されているように、子どもが貧困から抜け出すには、軍隊しか選択肢がないような状況にされているわけです。貧困で学校にも通えない、家族は十分な医療も受けられない。そこを抜け出すには、軍隊に入れば、大学にも通えるし、いろんな資格も取れる、家族も医療を受けられるようになる、というわけです。アメリカでは、「徴兵制はいらない。貧困があるから」と言われていて、まさに国家規模の「貧困ビジネス」が戦争になっているわけです。

たとえば、イラク戦争において、兵士が戦場には行きたくないと拒否すれば懲戒除隊として扱われ、奨学金や医療保険、住宅ローンの融資などを受ける権利も奪われるわけです。結局、貧困のため戦場に行かざるを得ず、イラクからの帰還兵にPTSDなどの精神障害や自殺が増大しています。PTSDで兵士を続けられなくなった貧困層の若者の家族は崩壊し、本人も社会への復帰ができずホームレスとなるケースも増えています。

アメリカにおいて、軍事費へ税金投入→教育・医療・社会保障費削減→貧困増大→子どもの貧困増大→貧困脱出へ軍隊入隊→戦争、という「貧困と戦争のスパイラル」ともいえる状況になっているわけです。

アメリカのこうした状況は、貧困問題と戦争の問題が密接に関係していることを示しています。日本においても、憲法25条の生存権保障と、憲法9条の平和主義をともに重要な課題として追求する必要があるのです。

給料から税金、社会保険料などを引き、児童手当、児童扶養手当など社会保障給付金を足して計算し、中央値の半分を「貧困ライン」といいます。日本では親子2人で195万円、3人で239万円ほどで、この額は生活保護の基準とほぼ同じです。

この「貧困ライン」以下で暮らす17歳以下の子どもの割合を「子どもの貧困率」といい、日本の特徴は「ひとり親家庭」の貧困率がOECDで最も高いことです。しかも、政府が社会保障などの施策を行うことによってヨーロッパ諸国は子どもの貧困率を下げているのに、日本だけが政府の施策によってかえって子どもの貧困率が高くなる状況にあります。ひとり親は、ほとんど非正規労働者であり、社会保障が少ない一方、税金や社会保険料が非常に高くなっているのです。

アメリカでは、貧困家庭の乳児の死亡率は1.7倍で、入院回数も2倍になっています。日本でも阿部彩さんの調査「0~4歳の子どもの成長と家族の経済状況(2008年)」によれば、貧困家庭の子どもほど、身長・体重の数値が小さく、病気の発生率が高いが通院ができず、逆に入院が多くなるなどの傾向があることが分かっています。

アメリカのチャイルド・ディフェンス・ファンドの報告はこう述べています。「当該の子どもだけが被害者なのではない。子どもが発達上の課題を背負ってしまったら、社会はそのコストを代償しなければならない。企業はよいスタッフを見つけることができなくなる。先生は補習や特別教育に時間を費やさなければならなくなる。裁判所はさらに多くの犯罪や家庭内暴力の審理をしなければならなくなる」。子どもの貧困を解消するための社会的な投資を増やすことによって、子ども自身だけでなく、社会全体の損失を減らすことができるのです。私たちは「子どもの貧困」の問題に敏感にならなければいけないと思います。

それから、ノーベル経済学賞受賞者のロバート・ソローが中心になって、子どもたちの貧困がアメリカ社会全体へおよぼすコストを試算したレポート(1994年、Children's Defense Fund)の内容を、山野さんは著作『子どもの最貧国・日本――学力・心身・社会におよぶ諸影響』(光文社新書)の中で次のように紹介しています。

子どもの貧困を放置すると財政の無駄遣いとなる
子ども時代に1年間貧困状況にあると、生涯賃金は約1万2,000ドル(約152万円:92年当時)減額すると予想。そこで、国内すべての貧困な子どもたち約1,400万人について合計すると、1年間の影響のみで1,769億ドル(約22兆円)の減額になるとしています。一定の条件のもとでは、賃金の変化はほぼ生産性の変化と等価であるという経済学上の仮説に基づけば、この額は子どもたちの貧困がもたらす社会全体の生産性の減額になります。

他方で、ここでは子どもたちの貧困をなくすためのコストについても計算していて、国勢調査からすると、92年当時は、子ども1人あたり、平均2,800ドルあれば貧困ラインを超えることができたとして、合計約400億ドル(約5兆円)があれば、全米の子どもたちを1年間貧困から抜け出させることができると分析しています。

つまり、ソローたちの計算によれば、貧困を終結させるためのコストより、貧困から影響を受けるコストの方が上回っていることになります。こうして、ソローたちは、子どもの貧困を放置することによって、多くのお金を無駄遣いしていると主張するのです。

ソローのレポートには次のように書かれています。
子どもが貧困に苦しんでいるとき、当該の子どもだけが被害者なのではない。子どもが貧困を原因とした発達上のさまざまな課題を背負ってしまったら、社会はそのコストを代償しなければならなくなってしまう。企業は良いスタッフを見つけることができなくなる。消費者は、商品にもっと高い料金を払わなければならなくなる。病院や保険会社は、本来なら予防できたはずの病気を治療しなければならなくなる。学校の先生は、補習や特別教育に時間を費やさなければならなくなる。一般市民は、街頭で危険な思いをするかもしれない。政府は、刑務所の職員をさらに多く雇わなければならなくなる。市長は、ホームレスの人たちにシェルターを提供しなければならなくなる。裁判官は、さらに多くの犯罪や家庭内暴力などの事件を審理しなければならなくなる。税金を払う人は、防げたはずの問題にさらにお金を払わなければならなくなる。消防職員と医療関係者は、貧困の問題がなければ発生しないはずの忌まわしい緊急事態に対応しなければならなくなる。葬儀の担当者は、貧困の問題がなければ死なないはずの子どもたちを埋葬しなければならなくなる。

これも以前ブログで紹介していますが、阿部彩さんは次のように指摘しています。

“貧しい「子どもの貧困」見る目”の改善を
子どもが希望したとしても、親が貧困なら、高校にも大学にも行けなくても仕方がない――このような最低限の生活水準に対する貧しい価値観であるというのが残念ながら日本の現状といえます。これは、「貧困は自己責任」とする考え方が、親のみならず、その子どもにまで浸食しているといえるのかもしれません。こうした状況で、「教育の平等」や「機会の平等」を訴えても、支持されないはずです。しかし、「教育の平等」「機会の平等」が支持されない社会とは、どのような社会でしょうか。不利な状況を背負って生まれてきた子どもたちが、そのハンディを乗り越える機会を与えられない社会とは、どんな社会でしょうか。自らが属する社会の「最低限の生活」を低くしか設定せず、向上させようと意識しないことは、次から次へと連鎖する「下方に向けての貧困スパイラル」を加速させ、結局、社会全体の活力や生活レベルを下げていくことにつながります。私たちは、まず、この貧しい価値観、この貧しい“「子どもの貧困」を見る目”を改善しなければなりません。「子どもの貧困」に対する政治の無自覚は、じつは社会の無関心、私たちの無関心の裏返しでもあるのですから。

それからフィンランドの事例を以下のように以前ブログで紹介しています。

「教育機会の平等」があってこそ、活力ある社会が生まれる
フィンランドでは、子育ては、親だけの責任ではなく、社会全体の仕事だと考えられています。子どもに平等な教育を提供するのは、親にではなく政府の責任にあると考えられています。ノートや鉛筆など学校で必要なものはすべて教室にそろっています。理解するまで一人ひとりに丁寧に教えていく授業。フィンランドに学習塾はありません。子どもに授業の内容を理解させるのは学校の責任です。フィンランドでは、教育は子どもの可能性を引き出すものと考えられています。家庭の経済状況によって、子どもの未来が閉ざされてしまうことはありません。家庭の経済状況にかかわらず、すべての子どもに平等な教育機会を保証するフィンランド。その背景には社会全体で支え合う国民全体の合意があります。フィンランドの企業の社会保険料負担は日本の2倍です。1991年の不況で、フィンランドの失業率は18.4%に跳ね上がり、財政危機に陥りました。しかし、フィンランド政府は、教育費を増額したのです。財政危機にもかかわらず、教育費を増額したのには次のような裏付けがあったのです。教育が受けられないため、働けない人に対する国の負担は、生活保護など年間1人当たり96万円、生涯で2,230万円もの負担になります。一方、教育を受けて働くことができれば、国に税収が年間1人当たり76万円、生涯で1,770万円の税収を得ることができるのです。教育への投資を最優先することが財政危機を解決することなのです。教育への投資は、将来の経済成長につながり、税収が拡大するのです。教育にかかるコストよりも教育で得られる利益の方が大きく、「平等」と経済の活力というものは相反するものではなく、「教育機会の平等」があってこそ、活力ある社会が生まれるのです。

最後に、東京大学名誉教授・田端博邦さんの指摘を紹介しておきます。

労働市場と連関する自己責任社会の貧困問題
賃金・労働条件が産業別に社会的に決定されるヨーロッパにおいては、失業も個々の企業の問題ではなく、社会的に解決すべき問題になりますので、手厚い失業保険や公共的な教育訓練制度の充実がはかられているのです。ところが、日本などの「自己責任社会」においては、失業した場合には、失業保険があるとしても、基本的には自分自身で生活を立てなければなりませんし、また再就職のための教育訓練なども自前の費用でまかなわなければならないというのが原則になります。日本の若者の貧困問題などは、こうした「自己責任社会」の負の側面を示していますが、北欧やヨーロッパでは、こうした場合に生活保障付きの教育訓練機会が提供されるのです。

そして、ヨーロッパでは産業別に労働者の技能によって賃金が決められますから、子どもを育てる際の支出については、賃金とは別に社会保障が必要となるため、労働組合は社会保障を充実・発展させていく役割も果たすことになります。つまり、ヨーロッパの労働者は、技能別のフラットな賃金ですから、子育てなどライフサイクルに応じてかかる支出については、賃金以外の社会保障によってカバーすることになったのです。そういう意味では、ヨーロッパで社会保障が発展した理由のひとつは、労働市場の構造にあるともいえるでしょう。

それから、教育のあり方の問題です。北欧をはじめとするヨーロッパでは、大学の授業料が無料というだけでなく、大学生に生活費が支給されます。つまり、大学に行きたい人は誰でも生活が保障されて通学することができるのです。

ところが、日本などの「自己責任社会」では、教育費はプライベートに負担する考え方が支配的で、とりわけ高額な授業料となっている日本の大学教育においては自己責任が貫徹しています。教育費が私的に負担される「自己責任社会」では、私的負担の教育費は個人がそれによって将来の利益を得るためだけの投資と考えられ、それで獲得した知識や能力は、個人の利益を追求するためだけに使われるべきものと考えられることが多くならざるをえません。その教育費を負担することができない個人は、そうした利益を得ることができませんが、投資をしていないのだからやむをえないという考えが基本的になってしまいます。

逆にヨーロッパなどの「社会的責任社会」「連帯社会」では、教育の機会が親の経済的地位で左右されるのではなく、社会の構成メンバーの経済的能力を高めるためにみんなで支え合う公的な教育を提供する必要があるとベースで考えています。「社会的責任社会」「連帯社会」では、教育への投資は、個人の「自己責任」ではなく、「社会の責任」ですから、教育の成果は、個人の利益だけに還元されるべきものではなく、社会に還元されるべきものとなります。ヨーロッパでは、大学まで含む教育全体が公共サービスと考えられているのです。

私は「自己責任社会」と「社会的責任社会」「連帯社会」の大きな違いが、この教育に対する考え方にあるように思えるのです。教育を提供する社会の考え方と、教育を受ける個人の考え方は、相互に強め合う関係になるのではないでしょうか。教育を自己責任にしないで社会の責任として提供する社会には、社会的な意識の高い個人が生み出され、そうした個人が構成する社会はさらに強い「社会的責任社会」「連帯社会」を生み出していき、まったく逆の流れで、教育を自己責任とする社会では、さらに強い「自己責任社会」が生み出されてしまうことになると考えられるかもしれません。

雇用や教育、社会保障、住宅などの公共的な支えが弱くなればなるほど、人々は「自己責任」で暮らさざるをえません。公共性の欠如は人々の利己心を増殖し、公共支出の増加は、利己心から人々を解放するといえるでしょう。
【東京大学名誉教授・田端博邦さん談、文責=井上伸】

児童虐待、最悪の7万3千件…「心の暴力」増加

2014-08-04 14:55:25 | ダイバーシティ
(以下、読売新聞から転載)
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児童虐待、最悪の7万3千件…「心の暴力」増加
読売新聞2014年8月4日(月)13:08

 全国に207か所ある児童相談所(児相)が2013年度、児童虐待の相談や通報を受けて対応した件数は、前年度より7064件多い7万3765件(速報値)だったことが4日、厚生労働省のまとめでわかった。

 1990年度に統計を取り始めて以来、7万件を超えたのは初めてで、過去最多を更新した。同省は「虐待への積極的な対応が件数増加の大きな要因」と分析しているが、子どもが虐待を受けて死亡するケースも後を絶たず、深刻な状況が続いている。

 都道府県別の最多は大阪府で、1万716件。神奈川県9803件、東京都5414件、千葉県5374件、埼玉県5133件と続き、都市部での増加が目立った。愛知県3957件、広島県2585件、兵庫県2426件、北海道2089件、福岡県1701件なども多かった。

 同省は昨年8月、虐待を受けた子どもにきょうだいがいた場合、きょうだいについても、「心理的虐待」として対応するよう指針を改正。また、親が子どもの目の前で配偶者に暴力を振るう「面前DV(ドメスティック・バイオレンス)」についても、警察が近年、「心理的虐待」として積極的に通告するようになっており、同省では、こうした点が「虐待対応件数の増加につながった」とみている。

ダイバーシティの成果で輝くルノー

2014-07-30 09:10:36 | ダイバーシティ
(以下、読売新聞から転載)
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ダイバーシティの成果で輝くルノー
2014年07月14日 09時00分

ルノーの女性ディレクターがダイバーシティを語る


ダイバーシティについて語る、ルノーの品質担当ディレクターであるアドリアーナ・カーネイロ・リベイロ
 フランスの自動車メーカーであるルノーは、ダイバーシティ(多様性)に取り組む世界でも有数の企業だ。

 そこで働く女性、しかも品質担当のディレクターであるアドリアーナ・カーネイロ・リベイロに様子を聞くと

 「ルノーでの女性比率を紹介すると、マネージメントレベルの職責の19.6%に達します。実際、人事の面で、役員や管理職に女性を積極的に入れるようになっています。

 ただし、大事なのは、男性か女性かではなく、男女の融合ということに注目すべきです。それによって、いろいろな調査結果からも、ダイバーシティの取り組みの成果が出ています」。

 ダイバーシティとは、幅広く性質の異なるものが存在するという意味がある。まさにそこを、融合という言葉でアドリアーナは表したのだろう。

 「成果の一例として、私の母国ブラジルでは、販売するルノーの約半数は女性のお客様です。他の国でも、ルノーのお客様の2~3割は女性です。仕事に女性が加わることで、女性のお客様が求めていることへの理解が進み、結果として、ルノーのお客様の女性比率が高いという成果に結びついていると言えるでしょう」

 単に、雇用の機会均等という平等性だけでなく、ダイバーシティに取り組むことで企業の成長に結びついているのである。

ダイバーシティがいきる、ルノーのデザイン


人生というLIFEを中心に、人生を六つのステージに例えたライフ・フラワーというデザイン概念

オランダ人チーフデザイナーが率いて描かれた、斬新なデザインの一つ、コンセプト・キャプチャー
 ダイバーシティとは、単に男女を区別なくするだけでなく、あらゆる国籍の人たちとの融合でもあると、アドリアーナは説く。

 「ルノーのデザインセンターには、29におよぶ国籍の人たちが働いています。また、パリのほかに、ルーマニア、韓国、スペイン、ブラジルにもデザインセンターがあり、新車のデザインは、各デザインセンターから、さまざまな国籍のデザイナーたちによって提案されてきます。

 そうした競合の中から、世界で通用するルノーデザインが生まれるのです」

 いま、ルノーのデザインは、オランダ人のチーフデザイナーであるローレンス・ヴァン・デン・アッカーが率いる。そして、ローレンスが推進するデザイン戦略は、〈サイクル・オブ・ライフ〉と呼ばれる。

 クルマが、単に移動のための手段だけでなく、人生とともに歩むパートナーであることに注目し、ルノーの車種構成を考え、デザインしていく手法だ。

 「サイクル・オブ・ライフから生まれた、最新のルーテシアやキャプチャーが、世界各地で人気を呼んでいるのは、まさにダイバーシティの成果です。

 もし、ルノーがフランス人だけの自動車メーカーだったら、フランスのよさを外へ発信することは考えないかもしれません。しかし、国籍の異なる人たちによってフランスらしさ、ルノーらしさが語られ、作り込まれていくことにより、フランス車ルノーのよさが世界へ伝わっていきます」

 「また、各国の人々は、その国の気質や好みを熟知していますから、それぞれの市場でどのようなクルマが望まれているかも知っています。

 ダイバーシティによって、こうしたことがルノーの中で融合し、魅力ある新車が誕生しているのです」

 誰の目にも明らかなデザインという視点でも、ダイバーシティの効果をアドリアーナは確信する。

サイクル・オブ・ライフから生まれたルノーの新車


LOVEをテーマに、情熱的で快活な走りが魅力の小型ハッチバック、ルーテシア

冒険心に富んだ斬新なデザインと、大地の色をテーマとしたオレンジ色の小型クロスオーバー車、キャプチャー
 ルノーの新しいデザイン戦略である、サイクル・オブ・ライフから生まれた新車が、最新のルーテシアとキャプチャーだ。

 サイクル・オブ・ライフは、人生を六つの場面(LOVE、EXPLORE、FAMILY、WORK、PLAY、WISDOM)に分け、そこにルノーの各車種を当てはめて展開する。

 第1弾のLOVEをテーマに、男女のめぐり合いのクルマとして登場したのが、小型ハッチバック車のルーテシアである。テーマカラーには赤を選び、情熱的で快活な走りが魅力のクルマだ。

 第2弾の、冒険するという意味の言葉、EXPLOREをテーマに、世界中を旅する小型クロスオーバー車として誕生したのが、キャプチャーである。冒険心に富んだ斬新なデザインは、モーターショーのコンセプトカーから強く影響を受けている。

 アドリアーナは

 「フランスでは、ルーテシア(フランス名はクリオ)の発売以来、毎月の販売台数でナンバーワンを記録しています。キャプチャーも毎月トップ5に入っています。ダイバーシティの効果によって、優れた販売実績を残しています。


日本人女性が担当した、キャプチャーのインテリアデザイン
 女性の活躍について具体的に紹介すると、キャプチャーの場合、室内をデザインしたのは日本人女性です。車両開発のチーフも女性です。クルマの仕様書を作ったのも女性。キャプチャーの製品マネジャーも女性ということで、キャプチャーではとくに、開発プロジェクトのマネジャークラスの半数が女性でした。

 女性の活躍と、国籍の違いを含めた広い意味でのダイバーシティの取り組みは、何年も前からルノーは行っていますが、こうして新車というかたちでいま成果が出て、販売も好調というわけです」

 と、ダイバーシティに裏付けられたルノーの成功を語るのである。

日本の女性も、諦めず、結果を求め、頑張って!


日本の女性へ、「諦めず、頑張って!」と声援を送る、アドリアーナ
 ダイバーシティを語るアドリアーナは、ブラジルからフランスにわたり、ルノー社内で着実な成果を残してきた。

 「私は、世界を冒険したいという思いから、国際的な企業であるルノーに入りました。まず、ブラジルの小さな事務所から仕事をはじめ、3年後にフランスに招かれ、ルーマニアのプロジェクトや、ロシアの工場などで働きました。そして、ルーマニアやロシアの工場の生産台数を2倍にする実績を残しました。いまは、品質を担当することで、生産だけでなく、営業やデザインにも関わりを持ちます。

 ルノーは、自分がやりたいことを実現させてくれる可能性を持つ企業です。そして、一つひとつ成果を残すことで信頼が生まれ、次の挑戦の扉が開いていきます。

 私は、どのような仕事でも興味を持ち、成果を残してきました。結果を残せば、ルノーでは扉が開くのです。


菱形をしたルノーのロゴマークを心に宿し、会社を愛し、クルマを愛する人たちが、ルノー車を作っていると、アドリアーナは熱く語った
 日本の女性も、どの分野、どの産業でも、諦めず、常に男女は平等だという考えを持ち続け挑戦してほしいと思います。そして、結果を残してください。結果を残せば、機会は平等にやってくるでしょう。私の取り組みが、そうしたみなさんの後押しになるとしたら光栄ですね」

 ダイバーシティに取り組むルノーのクルマは、いま、輝いている。また、そこで働く人々も輝いていると、アドリアーナは言う。

 「ルノーで働いている人たちは皆、とても情熱的で、クルマを愛しています」

 日本でも、ダイバーシティに裏付けられたルノーのデザイン戦略、サイクル・オブ・ライフによって生まれた最新のルーテシアやキャプチャーは、注目を集めている。(文中敬称略)

貧困率上昇、「子ども」も過去最悪の16・3%

2014-07-16 14:55:59 | ダイバーシティ
(以下、読売新聞から転載)
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貧困率上昇、「子ども」も過去最悪の16・3%

2014年07月16日 08時46分

 厚生労働省は15日、昨年実施した「国民生活基礎調査」の結果を発表した。

 2012年の所得を基に、所得が少ない人の割合を調べた「相対的貧困率」は16・1%で、前回調査(09年時点)に比べて0・1ポイント悪化した。18歳未満の「子どもの貧困率」は、前回比0・6ポイント増の16・3%で、初めて全体の貧困率を上回った。データがある1985年以降、いずれも過去最悪。

 相対的貧困率は、全国民の所得を順番に並べ、真ん中に位置する人のさらに半分の額を「貧困線」と定め、それに満たない人の割合を指す。今回の調査で貧困線は122万円だった。子どもや専業主婦など所得のない人についても、世帯の所得を1人当たりに換算するなどして計算した。

 一方、1世帯当たりの平均所得は、11年に比べて11万円少ない537万2000円で、85年以降、過去4番目に低い水準となった。

 暮らしぶりの悪化について、厚労省は「非正規雇用が増加し稼働所得が減ったり、高齢者世帯が増えたりしたことなどが要因」と見ている。

2014年07月16日 08時46分

知事会が「少子化非常事態宣言」 国との連携訴え

2014-07-16 14:54:46 | ダイバーシティ
(以下、日本経済新聞から転載)
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知事会が「少子化非常事態宣言」 国との連携訴え
2014/7/15 21:49

 全国知事会は15日、佐賀県唐津市で開いた会議で「少子化非常事態宣言」を採択することを決めた。人口減少による地域経済の危機に対応し、国と地方が連携して早急に少子化対策の総合計画を作るよう訴える。地域の実情に応じた就労や結婚の支援、高齢者から若年世代への資産移転を促す税財政制度の創設も提言した。

 宣言は少子化対策を「国家的課題」と位置づけ「国と地方が総力を挙げて抜本強化」すると明記する。16日に正式決定する。山田啓二会長(京都府知事)は人口減について「都市対地方の問題ではなく、日本全体の問題だ」と力説。少子化対策を担当する高知県の尾崎正直知事は「いま取り組めば間に合う」と呼びかけた。

 会議には全国の市町村の半数が人口減少で「消滅の可能性がある」と5月に公表した増田寛也元総務相(元岩手県知事)も参加。安倍晋三首相をトップとする地方創生本部を創設する国の方針について「50年、60年後を見据えた国土戦略を議論していく必要がある」と述べ、国と地方が緊密に協力する必要があると強調した。

「日本は子どもの楽園」 浮世絵で見る江戸の子育て 千葉市美術館で企画展

2014-07-14 10:43:29 | ダイバーシティ
(以下、ちばとぴから転載)
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「日本は子どもの楽園」 浮世絵で見る江戸の子育て 千葉市美術館で企画展

2014年07月13日 21:20


子どもをテーマにした浮世絵が展示されている企画展=中央区の市美術館

 中央区の千葉市美術館で企画展「江戸へようこそ!浮世絵に描かれた子どもたち」が開催されている。美人画や役者絵、風景画が代表的な浮世絵だが、今回はあまり取り上げられることがなかった子どもをテーマにした作品を集めて紹介。喜多川歌麿、歌川広重ら有名画家も描いた隠れた名作を展示し、江戸時代の文化を探る。

 約300点の浮世絵を、前期(171点、8月3日まで)と後期(182点、8月5日から31日)に分けて展示。通期で展示する作品も一部を場面替えする。公文教育研究会が所蔵する約1800点の「子ども浮世絵」コレクションから厳選した作品を中心に、同館の所蔵作品などを加えた。

 展示は6章に分かれ、「子どもへの愛情」では我が子を慈しむ母親、「子どもの成長」では七五三、ひな祭り、端午の節句などの行事の様子を題材にした作品が並ぶ。寺子屋や習い事などが舞台の「江戸は教育熱心」、元気に遊んでいる様子が分かる「遊び好き・いたずら好き」は、活発な子どもたちの姿が生き生きと描かれ、ユーモラスな表現も目立つ。

 「キッズ大行進」は大名行列などの大人を、子どもに置き換えた「見立て絵」「やつし絵」を紹介。子どもを主人公にすることで、ほほえましく、幸せな絵になる独特の表現が興味深い。「子どもの好きな物語」では金太郎、桃太郎、さるかに合戦などの昔話を描いた作品が紹介されている。

 歌麿、広重をはじめ著名な作家が描く、児戯あふれた作品が新鮮。また切り取って双六(すごろく)やカードにするゲームや、生き物図鑑のような「おもちゃ絵」も多数展示している。

 来日した外国人から「日本は子どものパラダイス」と評された、江戸の子どもたちの生活がよく分かる企画展。入館料は大人800円、大学生560円。「親子割引(500円)」や、展示替えに伴う「ごひいき割引(半券持参で2割引)」もある。

 また中学生の鑑賞をボランティアスタッフがサポートする「ギャラリークルーズ」(25、26日)や、子どもに関する曲を演奏するコンサート(27日)などの企画が予定されている。問い合わせは同館、電話043(221)2311。

発達障害児、地域でサポート 集団行動通じて社会性育成 静岡

2014-07-14 10:43:02 | ダイバーシティ
(以下、産経新聞から転載)
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発達障害児、地域でサポート 集団行動通じて社会性育成 静岡
2014.7.12 02:15
 自閉症やアスペルガー症候群、注意欠陥・多動性障害などの総称である発達障害。知的障害を伴わないケースも多いが、「相手の気持ちを考えるのが苦手で、対人関係をうまく作れない」のが共通の悩みだ。そうした発達障害を抱える児童をサポートする取り組みが浜松市で広がっている。

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 ◆浜松市で広がる活動

 同市内の有志の教育関係者らでつくる「浜松特別支援教育研究会」では、学生ボランティアなどの支援を受け、発達障害の児童が参加するイベント「浜松・発達支援の森」を年5回開催している。この日は静岡文化芸術大学(同市中区)を出発して15分ほど歩き、近くのコンビニエンスストアでの買い物学習。子供たちは350円のお小遣いの中で、好きなお菓子を買うという課題に挑戦した。

 同じ発達障害でも、その度合いや症状は十人十色だ。道中の横断歩道で、信号が青に変わったが1人が遅れていたため、リーダー役の子が「みんなで待とう」と呼びかけた。しかし、「青信号なのになぜ渡らないの」としきりに繰り返す子も。子供たちに付き添う浜松市発達相談支援センター職員の桐生大輔さん(41)は「発達障害には『自分はこうしないといけない』というこだわりの強さがある」と説明。実際の買い物でも、20分近くかけて、同じ味のガムばかりを買ってしまう子もいた。

 今回初参加の県立浜松江之島高校3年、太田真司さん(17)は「質問と違う答えが返ってくることが多く、会話が難しい」と戸惑い気味。だが、袋入りのアメを買った男の子に「たくさん買ったね」と声をかけると、「みんなにあげるんだ」と笑顔が返ってきた。

 同会は当初、浜松特別支援学校(同市南区)を拠点に活動していたが、「通常学級に通う発達障害の子にも参加してほしい」と市中心部での活動に切り替えた。買い物活動に加え、運動会や公園での散策といった集団レクリエーションを通じて社会性を育てることを目的としている。会の活動は評判を呼び、今年度は定員の60人を大きく超える100人以上の保護者から申し込みが殺到した。

 ◆保護者対象の勉強会も

 保護者を対象とした勉強会も実施しており、「子供が言うことを聞かない」「宿題をさせるにはどうしたらいいのか」といった質問が寄せられることもしばしば。同会代表の内山敏さん(46)は「発達障害の児童のいる家庭を地域で孤立させないことが重要。保護者は『従わせるのではなく、まず子供を理解する』ことを心がけてほしい」と話した。

高知市で人権啓発セミナー 河野義行さんら登壇11月まで

2014-06-27 16:37:40 | ダイバーシティ
(以下、高知新聞から転載)
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高知市で人権啓発セミナー 河野義行さんら登壇11月まで
2014年06月27日08時18分

 高知県人権啓発センターなどは28日から、人権問題を学ぶ「人権啓発研修ハートフルセミナー」を高知市内で開く。11月までテーマごとに5回実施する予定で、各回ごとに参加者を募集している。
 第1講座の講師は、NPO法人「リカバリー・サポート・センター」顧問の河野義行さん=鹿児島市。1994年の松本サリン事件でマスコミや長野県警から容疑者扱いされた経験や、犯罪被害者支援について講演する。
 第2講座(8月23日)は、助産師で思春期保健相談士の内田美智子さん=福岡県行橋市。自分を否定しがちな思春期の子どもの成長と食卓の豊かさの関係を語る。
 第3講座(9月27日)は、「性犯罪被害にあうということ」の著者、小林美佳さん=東京都出身。当事者意識を持ちにくい性暴力について、当事者や身近な人の視点からできることを考える。
 第4講座(10月18日)は、NPO法人「発達障害をもつ大人の会」代表の広野ゆいさん=兵庫県。30歳で発達障害と診断された経験から、個々の能力が発揮できる社会環境づくりについて語る。
 第5講座(11月22日)は、NPO法人虹色ダイバーシティ代表の村木真紀さん=大阪市。性的マイノリティーの人がいきいきと働ける社会について、自身のレズビアンとしての実感も交えながら講演する。
 参加無料。原則、各回ごとに電話による申し込みが必要。第1講座は高知市本町4丁目の高知県人権啓発センターで午後2時から午後3時40分まで。申し込み、第2講座以降の時間や場所の問い合わせは、高知県人権啓発センター(088・821・4681)へ。