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第19節 福岡戦

2010-07-29 12:34:43 | ファジアーノ岡山
 前節の勝利を自信に変えたい一戦.とは言えこの暑い時期のアウェイは簡単な試合にはならないだろうし,今年は好調の福岡との対戦ということもあって厳しい試合が予想された.

 先発はSHに妹尾に変えて岸田が復帰した以外は前節と同じ.ただ代わりにベンチから外れたのが喜山.彼はこのままだとこういった扱いで選手生活を終えてしまうかもしれない.ネクストにいる選手は,彼が地域リーグ時代にどれだけ桁違いの活躍をしていたかを頭に入れておいて欲しいものだ.

 試合は予想通り厳しいものになった.4位につける好調福岡は試合の大勢を決めてしまおうと立ち上がりに全力をかけてきた.非常に厳しいプレッシャーでファジアーノを翻弄した.
 しかし前節の勝利はチームに多少自信を与えたのだろう.これまでなら間違いなく失点していた流れだったが無失点で乗り切った.4-4-2にして守備をコンパクトに出来たことも守備の安定に一役かっているのだろう.更に攻撃もシュートにまで持ち込めないまでもゴール前までボールは運べるようになり,中断前との変化を感じさせた.
 相手の攻勢が収まった後は守備も安定し始め,相手にボールを持たせながらカウンターを狙う戦いを意図的に出来ていた.これもチームの成長を感じさせるところだろう.

 後半は疲れもあり前半以上に福岡のペースになったが,それでもカウンターが狙える.相手の時間を耐えた後は中央の運動量で福岡を上回りセカンドボールを奪って素早く攻撃できた.確かに何度か福岡には攻められたが,福岡にはゴール前での怖さが少なく,後藤・近藤で安定している今季の岡山のCBはマークを外されることも殆ど無かった.
 そして徐々にペースを掴みかけた岡山の岸田が三木のシュートのこぼれ球ゴールへ押し込み先制!!!…したはずなのだが.あれは線審の誤審だと思う.

 結局試合は0-0のドロー.4位相手のアウェイということを考えれば悪くない結果だろう.肝心なのはこれを如何に続けられるかだ.1試合良いパフォーマンスを出すのは弱小チームでも可能で,岡山だって昨年良い試合だって何試合かあったのだ.継続することの重要さと難しさ.後半戦最大のテーマだ.

 しかしこの日の審判の基準は疑問だった.あれはJリーグ以下だろう.W杯に出た審判に教えてもらった方がいい.それでは勝手に採点.

MOM
野田(6.5)
 90分まで落ちない体力,スピード.そこから決定的なパス.一時期の不調を乗り越え見事な活躍.守備は怖さはあるが.

三木(6.5)ゴールに近いところでもっと勝負したい
東明(5.0)ボールの受け方が悪いからチャンスにならないのか?
岸田(6.0)最後の精度が不足.4-4-2のSHは厳しいか?
川原(6.0)前への意識の強さは大事にしたい
田所(6.5)攻守の切り替えの速さ,球際が良い
キム(6.5)攻撃の展開,相手の出所の抑え方が見事
山中(4.5)完全に裏を狙われた.次が大事
後藤(6.0)積極的なプレーが目立った
近藤(6.5)堅い.今年の堅守はここから
真子(6.0)動いているボールのキックは相変わらず

小林(6.5)ボールの無いところで動けるようになった
白谷(5.5)早く答えを出して欲しい
妹尾(5.0)最後の残念なシュートが今を象徴

影山(5.5)
 悪くない結果で我慢できるチームになった.白谷と妹尾の使い方はもう少し考えた方がいいかも.

第18節 水戸戦

2010-07-26 00:52:58 | ファジアーノ岡山
 W杯中断明けのこの試合.直前のTMで地域リーグのチームに完敗するという非常に不安な中での再開となった.
 中断前から導入し始めた2トップを東明と三木という2人で構成した.SHは妹尾に川原.ボランチは福本復帰後もレギュラーを死守した田所とキム.SBには左に野田,そして右にはここ最近不調だった澤口に代わりJ初出場の山中が入った.CBとGKはいつも通り.

 試合の見所の中心は2トップで攻撃がどう変わるかだ.中断前の試合ではシュート数も増え,ほんの僅かに光が見えていたこの布陣だったが開始直後のチャンスを逃してすぐに失点するという醜態を晒し,希望を持つことさえできなくなっていた.
 そしてこの日.前節と同じく僅かながら光が見えた.それはサイドの深い位置からクロスを上げられるようになったことが示している.トップの1人がサイドに流れてクロスを上げたり,SHやSBがサイドの深い位置まで侵入したり.ここまでボールを持ち込めばゴール前で勝負がしやすくなり,自然とシュート機会も増えていった.
 するとセットプレーの機会,特にCKの機会も増え始め,4月以来のとても懐かしいゴール場面を見ることができた.

 なぜこのように相手陣内深くまでボールを持ち込めるようになったか?やはり2トップへの布陣変更が大きな原因だろう.中央に2枚いるのでどちらかのサイドは空きやすくなり,またボランチも下がりやすい.そのためにセカンドボールを拾える可能性が増し,そしてボールを持てる時間が増し,そしてサイドが上がれるように・・・,なんてのが机上の空論.実際まだよく分かっていない.


 久しぶりの得点.しかしその直後,常にてんぱった顔をしていた審判が不思議な笛を吹き岡山から得点を奪った.J2レベルだと審判は得点ランクの上位に顔を出すだろう.もしこれがW杯だったとして,彼はあのシーンで笛を吹けるのだろうか?主観の入った笛を吹くような審判は退場願いたいものだ.

 ここまで5連敗,7試合連続無得点というチームにこの笛は痛かった.チームは自信を失い,全体的にバタつく場面が目立つようになった.ただこの日は崩れなかった.2トップにしてMFより後ろで2ライン作るという形で役割がはっきりしたのも大きいのかもしれない.サイドに余計なスペースも出来なくなったし.
 いつ失点をしてもおかしくない状態で前半を乗り切ったのは大きかった.後半再度気持ちを入れなおしたチームはもう一度流れを掴む.そして三木がゴール.そして勝利….


 長かったトンネルを抜けて思うのは,結局ファジアーノはファジアーノらしくなるしかなかったということ.
 地域リーグの頃から堅守速攻が持ち味で,2トップへのロングボールが主体のチームだった.そうやって下から勝ち上がってきたのがこのチームだった.この日のチームは結局元に戻っていた.

 そんな事実を見せられると,このチームにちょっと洒落た戦術なんてまだ早すぎたように思う.一気に飛び越えようなんて甘かったのだ.何にしろ地道に積み上げるしか無いのだ.もちろん今年のここまでが無駄だったとは思わない.この日も水戸の監督が言うほどロングボールに依存していたわけではなかった.過去のチームに今年のチームのエッセンスが加わったような状態だった.


 だからこそ大事なのは次の試合.そういう時は大体悪い結果が待っていたのだが.それでは勝手に採点.


MOM
キム(7.0)岡山初得点に加え中盤を攻守で引き締めた

三木(7.0)復帰後即得点するのを見るとちょっと期待してしまう
東明(6.0)三木が得点した後はわがままになった
川原(6.5)前を向く意識が高かったのが良かった
妹尾(5.0)何も出来ず.手術失敗か?
田所(6.0)福西に似てきたような・・・
野田(6.5)運動量や攻撃はかなり合格
山中(6.0)祝初出場.思った以上にスピードがあった.左足は課題
後藤(6.5)安定して目立たなかった
近藤(6.0)熟練のような雰囲気を漂わせる
真子(6.0)かなり危ない状況も守りきった

小林(6.0)運動量もあり攻撃でもアクセントになれた
喜山(5.0)トラップと次の動作が課題のまま
白谷(6.0)祝初出場.気が強そうで面白そう

影山(6.0)
 これまでこだわってきたシステムを捨て現実的な采配に変わったのは,どこかの代表チーム監督を見ているようだ.結局は自分のスタイルを浸透させる能力が監督・選手共に無かったのだろうが,見極めが遅すぎるように思う.中断が無ければ大変なことになっていただろう.

まとめ

2010-07-07 12:49:51 | Sports:football(A代表)
 今更各試合のコメントを書くのもどうかと思うので,今大会のまとめとして書いておく.今大会アウェイ初勝利どころか勝ち点6で見事アウェイ初の決勝トーナメント進出を果たした日本.残念ながら引き分けで大会を去ることになったが,この大会が日本サッカー界に残したものは非常に多いと思う.

 その中で最も重要なのは日本サッカーのレベルを確認できたことだ.どんな形であれ世界の舞台で結果を残すことが出来る力が日本にはあり,世界から大きく離れた位置にいるわけでは無いことが分かったのだ.もしこの勝ち点6が無ければ単なる競技レベルの確認にあと4年も待つ必要があったし,待ったところで確認できたかどうか分からなかったのだ.本当に貴重な勝利だった.
 しかもこの結果を残したのが,世界的に無名な監督と選手だ.レギュラーの海外組は本田,長谷部,松井の3人,他は全てJリーグ所属.しかも多くは「谷間の世代」と言われたアテネ組.人材に恵まれた華やかなチームでは無かった.おかげで「黄金世代」なんていう特別な才能が集まらなくても日本は十分に世界と戦えることも分かった.

 このような成果が出せたのは前回の惨めな戦いがあったからだ.もし前回選手がまとまっていれば,中村の得点でチームは自信を持ち今回のような,いや今回以上の躍進もあったかもしれない.
 その場合,まとまることの重要性は今回ほど理解できていなかっただろうし,躍進した経験も「黄金世代だから」と,日本全体の自信には繋がっていなかったように思う.
 つまり「黄金世代でもまとまらないと結果を残せなかった」という非常に辛い「経験」が今大会の躍進の大きな要因となったのだ.

 今回はその経験に加え幸運があった.特別な攻撃の才能が1人と日本で過去最高のCBが2人揃ったのだ.弱小チームが勝ち抜く堅守速攻のキーパーツが揃っていたのだ.ただその幸運も,それを生かしきれない指揮官により潰される可能性もあった.しかし,それさえもまとまった選手たちの指揮官への提言により生かすことが出来たのだ.これも前回の「経験」が生かされたのだ.

 このような経験と幸運によって得た結果により,日本の世界における位置づけは一つ上がった.世界からは中堅国として見られるだろうし,当然アジアの強豪として扱われるだろう.そしてこれが日本の選手には「自信」になり,相手国には「警戒」を抱かせる.この精神的な変化はレベルの高い試合になればなるほど大きな影響を及ぼすだろう.
 もちろん移籍市場におけるJリーグの位置づけも変わるだろう(出て行くほうも,入ってくる方も).これが更なる日本のレベルアップにも繋がるはずだ.


 こういった結果を残した岡田監督.ここではボロカスに書いていたが,特に評価は変わっていない.今大会の彼の最大の功績は中村を切り,コンセプトを捨て,本田中心の堅守速攻スタイルに切り替えたことだと思っている.
 しかし色々情報を集めると,上にも書いたとおりこの判断は選手の提言があってこそで,岡田主導とは言い切れない.直前でコンセプトを変更できた勇気はともかく,その事実自体は決して褒められることではない.しかもそれが選手選考後というのもナンセンスだ.W杯で博打をできた決断力だけは褒めてもいいのかもしれないが失敗していたら(もし本田がカメルーン戦のシュートを外していたら)それこそ袋叩きだったと思う.

 ちなみに今回直前の戦術変更から本番まで1週間も無かったにも関わらず機能したのは,変更したスタイルがある程度形になりやすい守備的布陣だったからだ.とにかくみんなで守れ.みんな頑張れ.漫画に出てくるような弱小チームのやり方だ.攻撃も漫画に出てくるような「あとはお前に任せた」という形で,結果として必要以上にリスクを犯さないスペクタクルの無いサッカーになった.

 そしてこの突貫工事の限界はパラグアイ戦で見えた.それは最後まで有効な攻撃を見せることができなかったことだ.これこそが彼を評価できない最大の理由だ.彼に求められていたのはオシムが仕上げられなかった最後の部分,つまり組織的な攻撃の仕方をチームに植えつけることだった.しかしそれは就任時から全く進歩が無く,結局は選手の調子に左右される個人頼みの攻撃しかできていなかったのだ.
 堅守速攻スタイルと本田によりそれはある程度機能したが,それが通用しなくなった時点でこのチームに攻撃の引き出しは皆無だった.パラグアイ戦がPKになることは試合開始直後の早い段階で予想がついた.もちろん外れること,そして勝利を期待していたが.


 ただ今大会は岡田で良かったのかもしれない.彼のおかげで一つ一つ経験すべきことをじっくりと味わえたからだ.もしオシムだったら経験すべき多くの過程を飛び越えてしまったかもしれない.それは一時的な結果は残せても継続的な強化にはなら無い可能性があった.千葉がJ2にいることがその一つの示唆だと思う.
 各駅停車で経験した今だからこそ,身をもって今を理解したからこそ,今日本に不足している部分を明確にできただろう.それに対する答えを早く見たいものだ.


 次回大会はこの「経験」と「自信」がどう生きるだろうか?少なくとも長い時間準備をして,直前合宿でやり方をがらりと変えるようなことはもう無いとは思うが.