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第21節 甲府戦

2012-06-29 23:43:19 | ファジアーノ岡山
 前半戦最後の試合.勝ち点3の差で二つ上に位置する甲府には何としても食いついて,プレーオフ圏内を眼中に入れておきたいところ.この日の先発は次の通り.

     川又
   キム  関戸
田所 千明  仙石 澤口
  植田 竹田 後藤
     中林

 川又が復帰した以外は前節と同じ.特にダヴィという強烈なFWがいる甲府に対して澤口をいれて多少守備的にしたメンバーだ.

 試合は思った以上にイーブンな形で進んだ.確かにダヴィは強烈だったが,そのためにどうしてもダヴィに頼るサッカーになってしまう.とはいえ単独で来るなら数で押さえ込めないレベルではない.もちろん簡単ではないが見ていて怖さを感じるほどではなかった.
 甲府といえば大木監督の頃のショートパスベースのサッカーのイメージが強く,それを城福監督のムービングサッカーがどれだけ味付けしているか?というのが気になっていた.しかしこの日は岡山の方がまだムービングサッカーに近かった印象だ.ここまで組み立て繋げるサッカーをできるようになったのは今季の成長の印だろう.

 ただ大きな課題もある.フィニッシュだ.決定機の回数は増えたのだがシュートの数が増えてこない.どうもパスでゲームを作ること,相手を崩すことが優先されてしまっているように見える.そのためリスクの低いところへのパスが中心となり,リスクを犯すことを避けているように見える.そのため相手が万全な試合序盤は特にチャンスが作れていない.相手が研究してくるようになってからは特にだ.
 そうやって攻めあぐねていると失点するのがサッカー.この日もチャンスを逃すうちに失点した.今シーズン初のセットプレーからの失点(そのこと自体なかなか凄いことだが).リスクを犯さないことが,結果として相手に先行される形を生んだ.
 しかもこの失点はタイミングが非常に悪かった.石原投入で岡山ペースになりかけたところで,しかも残り10分強.それでもそんな最悪の状況から引き分けに持ち込んだ.こういう粘りが今後非常に大事になってくるだろう.
 
 という1-1の試合.これにより8位で前半戦を終えた.想像以上の出来だしチームの成長も感じられた前半戦だった.昨年までは勝っても引き分けても「たまたま,内容も無かったし」という試合が多かった.しかし今季は「勝てた試合だった」という引き分けや負けが増えた.北九州戦だったり,大分戦だったり,この日の試合だったり.もちろん勝ちきれる試合も増えた.自信をもってパスがつなげられ,不必要に相手にボールを渡さず守備機会が減ったことが要因だろう.

 これから後半戦は勝ち点と順位をこれまで以上に意識する必要がある.プレーオフ圏内に行くには攻撃が鍵になるだろう.ただでさえ得点できないのに相手はもっと研究してくるし,近い順位のチームは必死になってくる.それを打ち破るには,シーズン前にも書いたが3トップの組み合わせを早く固定できるようになることが重要になるだろう.チアゴとアンデルソン,上條が復帰してどれだけ上積みした組み合わせを見出せるか?

 とは言え予想以上のシーズンで,心のどこかに満足している部分もある.けど後半落ちて「やっぱまぐれだった」とか言われるのは悔しいし,正当な評価ではない.ぜひこのままシーズンを乗り切りこの3年の汚名返上をしてほしい.それでようやくみんな±0になれるのだから.というわけで勝手に採点.

川又(6.5)相手の脅威になり続けた
キム(6.0)シュートで落ち着きたい
関戸(5.5)狭いところで一つ違いを見せたい
田所(5.5)ダヴィに苦労した
千明(6.5)MOM.効果的な攻撃参加が多く見えた
仙石(5.5)もう少し広い目で
澤口(5.5)良くも悪くも試合を決めるポジションになっている
植田(5.0)ダヴィに狙われた
竹田(5.0)状況判断に課題
後藤(6.0)次節にその存在感が分かる
中林(6.5)飛び出しを含め非常に安定している

石原(5.5)堀米に負けていた.ドリブルの緩急を効果的に使いたい
桑田(5.5)途中出場の意味をもう少し見せてほしい
中野(6.0)良い積極性だった
真子,篠原,一柳,岡崎

影山(4.5)
 甲府に引き分けられたことは良かったが,攻撃に進歩が無い.組み合わせも変えてばかりでは成熟しない.交代もホームゲームなのに相手に先に仕掛けられてばかりだった

第20節 湘南戦

2012-06-22 16:12:26 | ファジアーノ岡山
 2連勝して迎えた試合がここまで高揚感が無いのも珍しい.というのも前節の川又,石原のイエロー,そして怪我人のために控えFPが2人という状況で,しかも上位の湘南との対戦だったからだ.とは言え全く歯が立たないようなメンバーとも思わないのだが.
 この日のメンバーは次の通り.

     中野
   キム  関戸
田所 千明  仙石 澤口
  植田 竹田 後藤
     中林

 メンバー不足だが先発に関しては大きく変わっていないのが唯一の救いだ.ただこのメンバーでは得点の匂いがしないのが問題だ.やはり川又がいないこと,その代わりが中野というのはちょっとつらい.まぁ0-0のドローが最高の結果だろう.とにかく川又とキムがそろわないときの得点力が現状最も大きな課題である.

 試合は最近の課題だった立ち上がりも無難にこなし悪い展開ではなかった.悪い試合ではないがゴール前での推進力が足りないのは変わらない.中野は相手バイタルでは前を向いてプレーできないし関戸はそういうタイプではない.キムはトップ下で強さを出すタイプ.どうしてもPA内でのパワーが不足し手詰まり感が出てしまう.
 そして最初の決定機は中野の象徴的なシーンでもあった.あれだけ良いボールでシュートにさえ持ち込めない.彼には貪欲にゴールを狙うという発想が無いのだろうか?もっとフリーで,もっと綺麗な形で崩さないとシュートできないのか?本来ならもっと難しいボールでもシュートまで,いや得点まで持ち込む必要があるのだが.結局この試合で同じようなシーンに至ることは無かった.

 ただこれは中野だけじゃなくチーム全体にいえるかもしれない.サッカー自体は悪いわけではない.ただちょっと綺麗すぎるサッカーになっている.特別なFWがいないからそうせざるを得ないのかもしれない.しかしゴールを目指すゲームという意識が低すぎるように感じる.もう少し意識を変える必要があるかもしれない.

 ずっとここで書き続けていることだがJのFWは特別なポジションだ.Jリーグの守備は組織的で研究熱心だ.その中でも上を行き違いを見せられるプレーヤーだけが生き残れる.他のポジションなら十分な選手もFWでは生き残れない.少なくともどこか一つは尖っていないと.平均的な選手は残念だがJのFWとしては失格だろう.桑田も中野はどうだろうか?とにかく彼らには「FWは頑張っているだけじゃだめなんだ」という西野監督の言葉を贈りたい.

 結局0-2の敗戦.このぎりぎりの状況で悪い結果ではなかった.それでも強いチームになるということは簡単ではないと感じさせられた試合だ.だからこそ一人一人が小さなプレーから改善していく必要がある.強力な補強が期待できないのだから今いる選手が頑張るしかない.ただ残念ながら今のプレーを見ると,出場停止や怪我をしている選手,ネクストの選手にファンは期待してしまう.そんなことを思われてしまう今の選手はかわいそうだが,プロはそんなものだ.それでは勝手に採点.

中野(4.0)自ら言っていたように結果が全て
キム(6.0)お疲れモードでも最低限のプレー
関戸(5.5)プレーのムラが大きい.ゴールに近づきたい
田所(4.5)足が動かない田所に価値は無い
千明(6.0)もっと得点に近いプレーをしたい
仙石(4.5)ひとつ上のレベルになるきっかけにしてほしい
澤口(4.5)コンディションが悪いのか?
植田(4.5)ここの所続く不安定なプレー
竹田(4.5)相手に簡単に振り回されすぎ
後藤(5.5)攻守に積極的だった
中林(5.5)今日はノーチャンス

桑田(4.5)かなり厳しい状況
篠原(5.0)CBは経験が大事.これもその一つ
真子,椎名

影山(5.0)
 攻撃部分のてこ入れができないままリーグを進めている.このままだと後半戦で失速する可能性が高い.

第19節 町田戦

2012-06-18 14:30:20 | ファジアーノ岡山
 週の合間の試合.相手が最下位町田というのはファジアーノにとっては非常にラッキーだ.できることなら早めに得点して主力を休ませたいところ.対する町田は一番有名なのが監督で,その次に平本.それでも昇格時の岡山よりは余程恵まれている.とは言えメンバーに怖さは無い.この日の先発は次の通り.

     川又
   キム  中野
田所 千明  仙石 石原
  植田 竹田 後藤
     中林

 チアゴが負傷で中野が入った.そして控えにはGK2人という状況.これを見てもさっさと得点して選手を休ませたいところだ.何にしろGWの岐阜戦で最下位相手に情けない試合をしているので,そんな試合はもうしないだろう.

 町田には悪いが,試合が始まるまでどんなスタイルか知らなかった.そもそもこのチームに対する印象は非常に悪かった.昇格したばかりなのに客も入ってないし,開幕に競技場の改修が間に合わなかったクラブ.こんな情けない運営をするクラブなんて昇格してこなくても良かったのに,と.ひとつ良いことがあるとすればファジアーノの降格の可能性が低くなるくらいだ.
 しかし試合を見てちょっとだけ印象は変わった.正直選手のレベルは全然高くない.それなのにDFラインからちゃんと繋いでビルドアップしようとする.昇格時の岡山よりかなりマシなサッカーだ.ただ選手のレベルに合ってなくて消化しきれていなかった.特にパススピードが無く精度も低いので相手に対応されてしまう.この数試合得点できていないのも納得だった.

 こういう相手には高い位置からプレッシャーを与えてやればいい.いつも岡山がされることだ.しかしこの日の岡山はとにかく動きが悪かった.局面で動ける選手はいたがチーム全体で動こうとしない.楽にゲームを進めようとしているのかとにかく雑だった.
 正直腹が立って仕方なかった.また岐阜戦と同じ過ちをしていたからだ.いつも通りやればさっさと仕留めることができたのに相手に合わせて低調なプレーを繰り返す.特に川又がいるから単調にそこを狙うばかりだった.

 そんなプレーを続ければしばらく得点のないチームに得点を与えてしまう.平本に甘い対応をして失点.思わず「ダサッ!」と声が出してしまった.町田には平本しか個人技がないのにそこからやられてしまうなんて.これこそ最下位の試合だった.しかし相変わらず彼のプレーは綺麗でない.
 一度ペースを失ったチームはその後も低調なプレーを繰り返す.攻撃は単調なまま,守備は相手の2列目からの飛び出しへの対応ができず.相手の方がレベルが低い中で献身的に,そして適切に動き続けていた.結局岡山の得点はチームの力ではなく個人の力で奪うしかなかった.正直まじめに崩しながら攻撃している町田に申し訳ない戦い方だった.

 逆転こそしたが,その後も町田ペースだった.動けない両WBと後半になり老人のような動きの中野がいたためにサイドの守備がスカスカになってしまい,そこを狙われ試合をつくられ,その上でボランチとCBの間をうまく使いながら2列め以降が攻撃に絡んできた.正直もう少しレベルのあるチームなら失点数は増えていただろう.
 しかしせっかくのチャンスに中野はシュートを打つ素振りもなかった.この相手であれなら,あとはJFL以下しかないのだが.

 そしてこの日の最低のプレーは,川又と石原のイエローだった.特に川又のイエローは無駄でしかなかった.時節出場停止が二人出ると言うことがどういうことか彼らは良く知っていたはず.だから慎重に戦っている部分があると思っていたのだがそうではないみたいだ.

 という2-1の試合.勝利しただけの酷い試合だった.大ブーイングされても仕方ない内容だった.岐阜戦と同じ過ちをまたしたのだから.とにかく上位を目指すチームではなかった.一からやり直しだ.せっかくのホームでこんな試合するならずっとアウェイにでも行っておけばいい.恵まれていることをもう一度確認して欲しい.それでは勝手に採点.

川又(4.5)最低のイエローカード
キム(6.5)MOM.キャプテンらしく1人攻守に努力した
中野(4.5)45分で許されるプレーをしたならともかく
田所(5.0)守り方が最後まで迷っていた
千明(5.5)ロングパスに頼りすぎた
仙石(6.0)ようやくロングフィードが実を結んだ
石原(4.5)攻撃は精度低く守備は落第,イエローは失格
植田(5.0)前以外の守備が酷い
竹田(4.0)プレーが軽すぎる.ザルと言ってもいい
後藤(5.5)中途半端なプレーが目立った
中林(6.5)もう少しつなぐべきタイミングがあった

関戸(6.0)もう少し判断が速くないとスペースが無いときは厳しい
桑田(5.0)途中から出てチャンスでシュートを打たない選手は駄目
澤口(6.0)試合を締めた

真子,椎名,篠原

影山(4.0)
 チームのモチベートが全く出来ていない状態で試合をしていた.何度繰り返すか.

第18節 栃木戦

2012-06-15 16:08:12 | ファジアーノ岡山
 4試合勝ち星が無い状況で迎えたこの試合.例年ならこのままズルズル落ちていってしまう.この試合を勝ちきれるかどうかが今季の成長を計る一つの目安となるだろう.相手は順位が一つ差の栃木.J2加入同期であり,成績は2年目以降岡山を上回っている.今季こそ成績では彼らに勝ちたいところ.それ以上に雨とは言え2000人も客を集められないようなチームには負けたくない.
 この日のメンバーは次の通り.

     チアゴ
   キム  川又
田所 千明  仙石 石原
  植田 竹田 後藤
     中林

 チアゴと川又の同時先発.これが吉と出るか凶とでるか?前節のように当たれば良いのだが.また右WBに石原を起用.この守備面の弱さも気になるところだ.

 試合が始まると少し拍子抜けした.というのもこれまで当たってきた上位陣と比べると明らかに怖さが無かったからだ.福岡や京都,東京のような一瞬でゲームを決める怖さのある選手がいなかった.そして愛媛のようにがむしゃらな運動量も無かった.全体的にスピードが無くミスが多い.まぁ代表戦とかEUROを見ていた影響もあるだろうが,この程度の相手に勝てないならJ1昇格はもちろん,J2上位も難しいだろうと思った.
 この日の岡山はいつものパスワークに加え,チアゴ,川又の大きな起点が前に2つあることでいつも以上に攻撃面では試合を支配できた.やはり3トップのうち2人はゴールの近くでプレーして,2人は中盤の攻守に顔を出してほしい.つまり一人スーパーな選手が必要だということだが.川又はそれに近いプレーだった.

 この日は塚田というとても下手糞な審判だった.今季リーグで定めた基準と大きく違うレベルでファールを取りまくり,そしてイエローカードを出しまくるような審判が大きな顔をして裁いているようなリーグは駄目だ.Jリーグは審判への関係者の批判をタブーとしているが,その結果こんな審判が笛を吹いているのならJリーグの方針は間違っていたと言えるだろう.アマチュアの審判が,生活を賭ける選手やクラブ関係者,そして時間とお金を使っているファンの気持ちを背負って冷静に笛を吹けるわけが無い.これまで何もしていない今のチェアマンも,ここを改革すれば評価を上げるのだが….ほんと彼はこれまで何をやったのだろう?

 そんな難しい試合.変なタイミングで試合を止められるとなかなかペースがつかめない.お互いそんな状況だったが,わずかに岡山が押しているうちに相手がミスをしたところから石原が得点.あのような相手のミスを勝利につなげられるようになったのは間違いなく今季の成長だろう.
 ただ問題はその得点後だ.かなり優位に試合を進めながら追加点をとることが出来なかった.結果的に後半不必要に受身なゲームになってしまった.この日の出来を見ればあそこまで押し込まれる試合ではなかった.本当に強いチームになるなら決めるところは決めたい.

 という1-0の試合.実力の近い相手,と思っていたが今季に限れば十分こっちが上回っていた相手だった.できたらこの関係をずっと保ちたいものだ.特に大和田みたいな選手がいる間は.という訳で勝手に採点.

チアゴ(5.0)取るべき時に取れていない
キム(6.5)MOM.実況は「この日は」と言っていたが「この日も」良いプレー
川又(5.5)久々の先発だが得点には至らず
田所(5.5)選択がもう少し正確なら得点は増えていた
千明(6.0)ゲームは作ったがもう少し前でできた
仙石(5.5)もう少し正確性が欲しい
石原(6.0)得点したが守備とシャドーでは何もできず
植田(6.0)ちょっと裏を狙われた
竹田(5.5)不安定だった
後藤(6.5)攻守に積極的にできた
中林(5.5)無失点はラッキーだった

澤口(5.5)途中出場ならもう少し.あのシュートは…
関戸(5.5)攻守に存在感無し
桑田(5.0)最初のプレーが全て
真子,篠原,一柳,中野

影山(6.0)
 こういうゲームを勝利につなげられるようになったのは収穫.得点パターンの少なさは課題.

第17節 愛媛戦

2012-06-05 00:52:29 | ファジアーノ岡山
 中位以上の対戦相手が連続し中々勝ち星が遠い状況.この日も中位の愛媛.愛媛には計算できる監督がいるのである程度の補強ができれば上位進出も十分ありえるチーム.今季も目立つ名前の選手はいないがしっかりとチームを作り上げてきた感がある.ただ岡山も無名選手の数ではJ2でも上位だろう.J1中心に見ている人なら知っていても,桑田,服部,一柳,植田,中林くらいだろう.特に岡山は年代別代表で活躍したがJ1で出場機会を得られず移籍してきたという選手が少ないように思う.そんな選手で今の成績は悪くない.まぁそろそろ現役の年代別代表くらいは輩出したいところだ.この日の先発は次の通り.

     チアゴ
   キム  桑田
田所 千明  仙石 澤口
  植田 竹田 後藤
     中林

 この日もチアゴと桑田のセット.それぞれ調子も少し上向きだがどうも得点の匂いがしない.この組み合わせは良くないように思う.

 そして試合は予想通り,というより予想以下になってしまった.愛媛は岐阜や京都と同じように立ち上がりからコンパクトな陣形で高い位置からプレッシャーをかけてくる.岡山対策をしてきたというのと,前節下位の富山に負けて奮起している感じだった.対する岡山の選手は逃げるようにDFとサイドでボールを廻すだけだった.
 そんな愛媛の流れの中で岡山スローインからボールを奪われ,中央を破られて失点した.流石に何度も枠を外れてはくれなかった.しかしスローインは何とかしたいものだ.

 根気の得点力を考えると開始数分で「同点が限界か・・・」と思わざるを得なかった.特にチアゴと桑田では期待はしにくい.チアゴはどうしても無理がきかないのでプレーする形が限られてくる.そこに桑田の組み合わせは相性が悪い.チアゴの運動量をカバーする運動量があるわけではないし,プレーの判断がボールを持ってからのことが多いのでズレが生じ,特にチアゴにうまくあわせられない.とにかくこの日もほとんどこの二人のコンビは見られず,キムとの組み合わせか単独の形ばかりだった.

 後半は完全にオープンな試合になった.それでも攻撃は単発.そして攻撃が停滞する中,桑田に代えて川又を投入した.それによりチアゴとのツインタワーになったが,パスサッカーで崩していくやり方には背いているように思うのでちょっと複雑な気持ちではある.ただ個人能力の最大化を考えるとこの形が最も良いことは分かってはいるのだが.
 実際にこの交代から一気に岡山のペースになった.前での怖さが増し,ラインの裏への怖さも増したことで相手がリスクを背負った攻撃やコンパクトな陣形を保ちにくくなったからだ.そしてチアゴとキムが絡みサイドへ展開し,ゴール前にチアゴと川又がゴール前に飛び込みゴールが生まれた.ここまで見られなかった前3人の絡みが出たことがそのままゴールに繋がった.本当にここまで目に見えてチームが変わるのも珍しい.

 という1-1の試合.ただゴールの後も山のようにチャンスを作っていたので「引き分けてしまった」というのが正直な感想だ.2試合連続同じ感想で試合を終えた.守備は1失点なので崩壊していたわけではない.やはり攻撃だ.この日の川又投入前後を比べてどう違うかをちょっとよく見てほしい.もちろん相手の足が止まってしまったのもあるのだが.なんにしろ子の改善ができないとこのままチームは息切れしてシーズンを終えてしまうだろう.

 ちなみにこの試合の後に代表の最終予選をJ2基準で見ると超上手く感じた.ただ一番の驚きは,もうアジアではフィジカルは日本の方が相当上にあるということ.そしてそのフィジカルがあるからこそ技術を生かせる.それが本当の技術だと思う.ファジアーノの選手も小手先の技術に頼るのでなく,本当の技術を身につけてほしい.ぎりぎりの状態でもいつものプレーができるように.それでは勝手に採点.

チアゴ(5.5)動きなおしが少なすぎる
キム(6.5)もっとゴール近くでプレーしてもいい
桑田(5.0)チームに入れていない
田所(6.0)技術にも持久力が欲しい
千明(5.5)決定的な仕事を求めたい
仙石(5.0)肝心な場面での精度が低かった
澤口(5.0)相手に苦しめられた
植田(5.0)単純なミスが相変わらず
竹田(5.5)試合の入りは何とかしたい
後藤(5.0)失点の場面は残念だった
中林(6.0)はじくことに頼りすぎなところもある

川又(6.0)得点以外のところがもう少し欲しい
中野(5.5)桑田より連携はよかった
石原(-.-)もう少し時間を与えるべき
真子,篠原,一柳,関戸

影山(5.0)
 同じ課題を改善策を感じさせずに続けるのは相変わらず.苦肉の策かもしれないが,チアゴと川又の共存を選択したのは評価したい.

第16節 福岡戦

2012-06-01 01:13:43 | ファジアーノ岡山
 京都に完敗したあとのアウェイ福岡.力のあるチームとの連戦でどれだけ勝ち点を拾えるか,そして研究され始めた中でどれだけ結果を残せるかがこれからは大事になる.福岡は中位だが,坂田という優れたFWに成岡,城後,堤,鈴木,古賀とよく聞く名前が揃う.このメンバーで弱い方がおかしい.つまり今の彼らの順位はどこかチームがおかしいのだろう.
 この日のメンバーは次の通り.

     チアゴ
   キム  桑田
田所 千明  仙石 澤口
  植田 竹田 後藤
     中林

 チアゴと桑田が先発復帰.特に川又が最近マークが厳しくなり思ったようなプレーが出来なくなっていたので,目先を変えるという意味でも良い交代だったと思う.ただ桑田とセットはあまり機能するイメージが無い.

 試合は福岡の速い攻撃と1トップという布陣に悩まされた.1トップへの対応という課題を改めて突きつけられた感じだ.引く一方の今の臆病な守り方では「守備的なサッカー」と言われても仕方ないだろう.
 とは言え攻撃は出来なかったわけではない.このところのキムの成長は素晴らしく,自信に満ちたプレーができている.正直キムがいなければ攻撃が機能しないのでは?と思わせるほどだ.彼が時間を作り前後が連動するのが今の岡山の形だ.目をつけられないようにもう少し地味にプレーして欲しいものだ.

 中盤で攻撃を組み立てる岡山と,縦への速い展開から前線の力で戦う福岡.中々面白い試合だったがゲームは意外な形で動く.後ろでのボール回しで判断を誤った竹田がプレーが遅れGKへ慌てたバックパス.すると中林が絶妙なスルー!!!・・・.彼が岡山で見せた初めての大きなミスだ.中林も悪いが竹田のプレーもちょっと酷い.ボランチ時代によくあったが,少しのプレッシャーで彼は精度を大きく落としてしまう.このまま安定したプレーができないようなら先は無いと思う.この日はこのミスだけでなく,何度も大きなミスをしていた.普通なら次の試合はベンチにいないだろう.

 何れにしろ得点力が不足するファジアーノにとっては非常に大きな失点だった.特に今のチアゴと桑田が同時に入ると,それぞれに微妙なズレが生じる.それが重なることで少し大きなズレになる.どうしてもチームとして機能しない.特に残念なのは桑田だ.結構良いポジションにいて良い動きもするのだが不思議と周囲と連携が合わない.
 しかしこの日はそんな桑田が相手ボールを奪いスピードに乗ったドリブルを見せる.そしてその流れの中からもう一度桑田がサイドでボールを受けて上げたクロスが田所のゴールに繋がった.やはり得点を狙うには全体があのくらい後ろが前に絡みながら攻撃することが必要だろう.
 今のチームはバランスが取れすぎている感がある.この日は比較的できていたが,機を見てバランスを敢えて崩すところも必要だろう.

 後半は全体としてオープンな試合となった.ただ上にも書いたとおり竹田のプレーが酷かった上に,彼が坂田に個人技で完全に負けてしまい守備の役割を果たせていなかった(シュート練習のような中でゴールを守った中林は流石だった).そのせいもあって,暑さの中で相手の足が止まり始めても自分たちの時間にすることができないまま時間が過ぎていってしまった.

 という1-1の試合.TVで「対照的な勝ち点1」とあったコメントには同意するが,その意味は全く逆だと思った.この日福岡の攻撃は個人技を中心としたもので京都のような怖さは無かった.中盤の構成力は確実に岡山が上回っていた.田所も言っていたが「勝てた試合」だった.それでも勝てなかったのは,ひとつは上に書いたとおり守備陣の個人技の不足だ.そしてもう一つは,あれだけ作った決定機を生かせなかったことだ.その要因は選手のフィジカルレベルも影響しているように感じた.最後のところで精度が出せないのは,スピードが出た中や長い距離を走った中で体がバランスを保てないからだろう.解消は簡単ではないが,シュート練習を増やすよりもこういう部分に目をつける方が大事だと思う.

 厳しいプレッシャーが増える中で,選手にはさらに上のレベルが求められるようになる.それがチームのレベルが上がるということだろう.留まっているとすぐに居場所を失う.選手にはプレッシャーだろうが,非常にやりがいがあり自らの成長に繋がる良い環境だ.この日の田所を見ていてそれを強く感じた.
 それでは勝手に採点.

チアゴ(5.0)シュートが少ない.
キム(6.5)チームを牽引するプレー
桑田(6.0)ようやく初仕事.この日はもう少し使っても良かった
田所(6.5)MOM.よく走って攻守に貢献.まさかMOMに選ぶ日が来るとは
千明(6.0)ゴール前に顔を出せるようになった
仙石(5.5)1対1で相手を上回る力がほしい
澤口(5.5)どうしてもビルドアップで力になれない
植田(5.5)相手を上手く捕らえきれず
竹田(4.0)最後まで低調
後藤(6.0)積極的に攻撃にも絡んだ
中林(4.5)ミスはミス.それ以外は抜群だったが勝ち点2を失った

川又(5.0)停滞すればこのままで終わってしまう
関戸(5.5)一つ溜めればゴールに繋がりそう
真子,篠原,一柳,石原,中野

影山(5.0)
 アウェイ福岡で勝ち点1は及第点.ただDFラインの対応や攻撃の形には大きな課題が残った.運動量のベースをもう一段上げる必要もある.あと相手の足が止まっていたのに石原の投入をしなかった理由が分からない.