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バーレーン戦

2009-01-30 20:34:55 | Sports:football(A代表)
 何とかネットで観戦できたこの試合.画質のため背番号が見づらくあまり個々の評価は出来ない試合だった.

 前回アウェイでバーレーンに負けたときのことを少し思い出した.敗戦後岡田は「これからは俺のやり方でやる」とコメントした.すなわち「俺のやり方をしなかったから負けた」ということで,敗因を自分の能力から遠ざけた.
 そして「俺のやり方」で1年近く経ったこの日の試合.結果として全く同じスコアで,内容は前回の敗戦以下の内容で,「俺のやり方」からは何の期待も抱けなかった.

 これは一体何を示すか?それは岡田サッカーには戦術はあるがチーム戦力の上積みはないということを示しているのだろう.
 確かにサッカーの内容は変わった.それを実現しようとする選手もいる.しかしそのサッカーでは大して強くない相手の上をいけない.相手の上を行くには,明らかに相手より能力の上回る中村俊と遠藤などを起用しなければならない.
 これはチーム戦術による力の上積みではないし,前回の敗戦時と全く変わっていない.

 結局岡田の目指すサッカーでは,W杯ベスト4どころか欧州組抜きでバーレーンの戦力を上回るチーム力を持つことも難しいことが証明されてしまった.


 試合をちょっと振り返る.「誰が出ても同じサッカー」というわりに,中村俊のポジションに岡崎という全く異なるタイプを配置する.目指すところが分からない.更には公式戦でいきなり馴染んでいないオランダ2部の選手を先発起用し,結果としてオランダ2部のレベルの低さを証明したりした.
 ボランチもチームにフィットしない稲本を使いバランスを崩し,中村はクラブでのパフォーマンスから程遠いプレーしかできず.
 守備陣は集中力を欠き,GKとの連携も悪い.内田は完全に調子を崩しているにも関わらず起用する.そしてその内田と長友がクリアボールを繋げないために相手に押し込まれる羽目になった.

 そして選手交代も(ある意味期待通りで)酷かった.本田を替えたのは分かるが,なぜか前回も良い所の無かった香川に.そしてイエメン戦と同様のプレーをする.その次の交代はコウロキ.何をしていたかさえ覚えていないイエメン戦に続くこの日のプレー.全く印象に無い.そして自らのポリシーを崩す巻の連続起用に至った.しかも交替以降も巻を入れた意図がチームに伝わっていなかったようなプレーが続いた.


 正直なところこの2戦の内容は2連敗.選手のコンディションが良かったとしても結果は大きく変わらなかったのではないだろうか?それにしても「岡田解任」という文字をあまり見ないのは協会が情報統制でもしているからだろうか.もちろん豪州戦に負けたら即解任でいいだろう.中身も結果も無ければ仕方ない.
 豪州戦はW杯レベルを唯一体験できるアジア予選の試合.それをホームで行えるのだから,ベスト4を目指すチームが,大会ベスト16が精一杯のチームに負けてしまっては1年後に期待など抱けない.自らハードルを上げてしまった監督の責任でもある.

 しかし本当にこの日の試合はTVで放送が無くて良かった.本当に酷い,期待の持てない,つまらない試合だった.というわけで勝手に採点.

選手:オール4.5
監督:2.0

釜玉

2009-01-29 00:27:44 | Sports:football
 CSでやっていた釜玉特集,というか羽中田特集を見た.お隣香川の地域リーグのチームだが,岡山にとって香川は非常に身近な県だ.他の県からしたら「なんで?」と思うかもしれないが,それはTV局が同じという事情のためだ.だから広島や鳥取,兵庫と比べるとかなり身近に感じる.というわけで讃岐の動向は結構気にかけている.

 そんな讃岐の特集を見て思ったことは,まず「地域リーグのくせに特集してもらって良いなぁ」ということ,そして「羽中田を美化しすぎ」ということか.スカパーの解説者だったこともあるんだろうけど,ちょっと前に地上波でも特集されていた通り,この監督の人生で背負うものがTV向けでもあるんだろう.彼が許せるなら,それはチームのために使ってしまえばいい.


 そんな監督と,一風変わったチーム名のおかげで知名度はその他地域リーグのクラブと比べかなり高い方だろう.そして胸スポンサーにはスポーツ界に理解のある地元有力企業(ちょっとやばそうだけど)の穴吹がついている.高校サッカーも昔から比較的強く「結構恵まれとるよなぁ」という印象が強かった.しかしこの特集を見てちょっと印象は変わった.

 彼らは2度目の決勝大会出場.プロへ向けての経営の体制も整ってきつつある.ファジアーノで言えばちょうど2006年あたりだろうか.あの頃と照らし合わせて見ると,思った以上に恵まれていない.
 練習で映ったグラウンドは全て土だったこともあるが,最も違って見えたのはサポーターの少なさだった.確かに2年前のファジアーノの決勝大会もサポーターの数は少なかったが,讃岐は隣県高知にも関わらず10数人….TVで特集されるようなチームからはかけ離れた注目度だった.

 やはり長年プロスポーツ空白地だった岡山,香川は施設も整っていないし,スポーツを応援する文化が圧倒的に少ないのだろう.bjが出来た香川はもう少しマシだと思っていたのだが.


 特集では地域リーグ決勝大会の模様が多く映されていた.地上波では,サッカー専門番組と名前がついていても見ることの出来ない大会.その結果さえも流されない.多くの海外リーグの情報は伝えられるのだが.
 だからこそ映像で見るこの大会は,新鮮に当時のことを思い出させる.あの1点にどれだけの思いが詰まっているか.たった1点を取るだけで涙が出そうになるくらい緊張が解けたのを思い出す.

 ちなみに讃岐は1次リーグで敗退した.上を目指すチームとして今年決勝リーグを体験できなかったのは痛かった.1次リーグでも異常な緊迫感だが,それ以上の,異様としか言いようが無い決勝リーグの舞台を知っているかいないかは今季にも大きな影響を与えるだろうからだ.
 今季彼らは勝負の年になるだろう.NEC/トーキンや加古川のように地域リーグに投資するスポンサーなど物好きでしかないのだから.

 「笑う」ことが強調されたこの特集.どうせ笑うなら負けて笑うより勝って笑った方がいいだろう.あの喜びは他とは比べようが無い.山陽ダービーも良いが瀬戸大橋ダービーも楽しみだ.

イエメン戦

2009-01-22 23:16:07 | Sports:football(A代表)
 前回アジアカップの4位の罰としてこんな時期に予選を戦うことになった.間違いなく選手のコンディションは悪い.だからこその若手起用であり,そこで見せる可能性に期待する試合となった.コインブラ時代にはこういった試合でも若手に経験を積ませることをしなかった.それがアテネ世代の伸び悩みや経験不足の原因となり,日本サッカー全体の伸び悩みに繋がっている.そういう過去があるから,監督交代直後の前回アジアカップで4位になってしまい,こんな試合をすることになってしまったのだろう.
 日本はシードされる立場から地力で這い上がることを求められる立場になってしまったとも言える.今後このようなことを無くすためにも使えるときに若手を使い,経験を積ませて日本サッカー界に反映させておくことは大事だろう.そういう意味で今回の試合は大事な試合だった.


 試合が始まるとイエメンは格下らしく引いて守る.それでも日本のスピードに対応できずすぐに失点する.どフリーの岡崎が見事に得点した.この日の岡崎はチームの中で最もコンディションが良く見えた.惜しいシュートが何本もあったが,それ以外にも色々な場面でいて欲しいところに顔を出していたことが印象的だった.
 試合開始早々の得点で楽勝を予想したが,そこからの試合は非常にストレスの溜まるものだった.まず選手に判断ミスが多かった.「我が我が」と攻める経験不足の選手たちは,しかるべき過程を余りに省略しすぎた.そこに技術的なミスが絡む.あの程度の精度のプレーではいくら格下とは言え国際試合を戦うのは難しい.選手の経験の少なさが表に出た試合となった.

 相手はどんどん引いて守る.高さの無い日本はFWと中盤の連携が肝だった.しかし何もできない興梠.そこへ余りに不用意に香川が絡もうとする.その結果前へ前へと急ぐ攻撃は行ったり来たりを繰り返す落ち着きの無いものになった.最も悪かったのは,そうなったあとに何も工夫ができなかったことだろう.
 最も気になったのは青木.自慢の守備は失点に絡み攻撃には絡めず,攻撃の判断は余りに遅かった.確かにJのクラブの1選手としては良いとは思うが,代表で最も層の厚い中盤では厳しい.もう1世代前の代表なら彼も主力でいられたかもしれないが.

 ただ彼らのような経験の少ない選手は仕方ない部分もあった.けれど経験のある選手も試合を落ち着かせられなかった.田中はサイドに開きすぎたり後ろに戻りすぎたりボールを持てば急ぎすぎたり.サイドも内田は完全に気持ちの準備不足で精度の悪いプレーを連発し,駒野は良いクロスはあげられるが,サイドをえぐれず効果的なプレーとはならなかった.中村も連携不足を露呈し,いつもなら考えられないミスを繰り返した.

 結局試合は巻を入れて中央に高さの優位性を作ってようやく勝利.勝ち点3は良かったが期待した新戦力は見当たらなかった.彼らがこの経験をどう生かすかだろう.それでは勝手に採点.


興梠(5.0)存在を感じさせなかった.
田中(5.5)何でもやりすぎ.勝負どころを見極めるべき.
岡崎(6.5)代表定着へ一歩前進.ゴール前で勝負させたい.
香川(5.0)可能性は感じるが今のままでは.今季J2は失敗.
中村(5.5)らしくないプレーでゲームコントロールできず.
青木(4.5)成長した守備で失点に絡んでは・・・.
駒野(6.0)シュートは枠に飛ばないと.
内田(5.0)休ませるべきだったろう.
高木(6.0)何もせずに済んだ.
寺田(6.0)何もせずに済んだ.
川島(5.5)残念ながら失点.

巻(6.5)経験ある選手らしいプレー.
乾(3.5)代表になるべきレベルではない.
金崎(5.5)時間が短すぎた.もう少し見たい.

岡田(5.5)
 プラン通りにいかなかったのは監督の実力.勝ち点3を獲得したのも実力.多分オシムならこの試合だと怒り狂っていただろう.時期が時期だけに岡田はそうしなかったのだろうが,プロであり国を代表する選手に対しては甘すぎるように思う.まぁ不甲斐ない選手をこれ以降選出しないというのが最も厳しいのかもしれないが.

選手権

2009-01-13 20:00:01 | Sports:football
 最初は選手権でも.今年はTV局の特定選手への変な煽りが激しいのと,作陽が早々に負けてしまったので見れる試合も殆ど見なかった.ただお隣のライバルとは言え,中国地方のチームが,しかも作陽に勝ったチームが優勝したというのはちょっと嬉しい.

 試合内容は強力2トップに頼りチーム全体として多少レベルの落ちる城西と,JのJYで基礎技術を仕込まれ,そして戦術理解も高い選手が多く揃う皆実というチームの試合だった.質は明らかに皆実が上.しかしそんなチームでも強行に突破できる強力な選手がいたために勝ちあがれたのが城西.だからこそこの日も質の高い相手から2点奪うことができた.
 対する皆実のパス回しはJチームのユースを見ているようだった.攻撃の組み立ても綺麗で試合を支配していたのは皆実だった.守備的というレッテルには違和感があった.ただ彼らには,自身が言うとおり飛びぬけた才能がいなかった.そういう才能は広島Yにいくからだ.それでも優勝できたのは広島という地域全体のサッカーレベルの向上のおかげだろう.Jユースに選手を出しても優勝できる.岡山もJチーム(嬉しい響きだ)を中心にそうありたいものだ.


 現在この年代の最高峰の舞台は高円宮杯になっている.それは優勝した皆実からプロへ行く選手も飛びぬけた才能もいないことや,この大会にこの年代の日本代表は殆どいないことがそれをよく示している.この日の城西の守備の脆さもそれを示す一つだろう.
 この大会は一発勝負のトーナメントで,試合もベスト8までは40分ハーフという世界基準からずれた規格で行われており,育成に相応しい形態とは言えない.そして試合の時期も受験直前の冬休みで,3年が引退しているチームもある.高校世代を代表する大会としては問題が多い.
 ただこの種の大会の存在が無意味とは思わない.試合の少ない部活チーム(特に普通の高校チーム)には,大会があるだけでも貴重だからだ.それなりに運営すれば,それなりの価値はあるだろう.

 しかしこの大会をTV局がショーアップし,この大会の本来の姿を歪めて放送しているために,この大会の存在自体に大きな違和感を感じてしまう.彼らは高円宮杯に触れることも無く,この大会をあたかも「世代No.1を決める大会」と詐欺のような放送をする.その放送は高校世代のサッカー支援など微塵も感じさせない.TV局が視聴率を取るために都合良く試合や選手をショーアップしているだけとしか思えない.
 その象徴が今大会得点王の過剰な報道であり,試合の内容を伝えず選手や応援席のエピソードを押し付けがましく伝える実況だ.彼らのショーのために,TVがスターを作り試合のシナリオさえ決め付けて(実況シナリオが外れるとアナが驚いたりするのは滑稽だ)放送しているのだ.

 このように放送する価値の低い大会を,TVの都合であたかも「世代No.1」を決める大会として大々的に放送していることがこの大会の最も大きな問題なのだ.別に高校のNo.1を決める大会の存在は大きな問題では無い.偽っているのが問題なのだ.日テレは「世代No.1」を伝えたいなら,TV朝日から,ロクに放送していない高円宮杯の放映権を買ってきて堂々と放映すればいいのだ.
 そしてサッカー界の人は,この大会をみて「レベルが下がった」などとくだらない辛口評論をする前に,この大会の放送のあり方について真っ先に文句を言うべきだろう.こういう下衆な演出がこの大会スポンサーの望むところなんだろうか?


 しかし年末のCWCから年始の選手権であの日テレの実況を連続して聞くのは余りにつらい.お願いだから副音声で「会場の音声のみ」というのを作って欲しいものだ.