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補強動向

2013-02-22 09:49:53 | ファジアーノ岡山
 今季に向けた補強を分析してみたい.

■OUT
GK:中牧(引退)
DF:野本(引退),一柳(琉球)
MF:民均(波蘭),大屋(神戸),喜山(松本),福本(引退),馬場(山口),ファビオ
FW:川又(新潟),チアゴ,中野,角島,アンデルソン

 この中では川又と民均,チアゴの3人が戦力ダウンなので,まずこの穴埋めが重要となる.そこに昨シーズン不足してたところを補強する必要がある.昨季の成績は次の通り.

2011年:13勝09分16敗 43得点・58失点
2012年:17勝14分11敗 41得点・34失点

 試合数が違うので正規化してみると次のようになる.

2011年:勝率(0.34) 分け率(0.24) 負け率(0.42) 得点率(1.13) 失点率(1.53)
2012年:勝率(0.40) 分け率(0.33) 負け率(0.25) 得点率(0.98) 失点率(0.81)

 2011シーズンに比べ失点率が大きく減少していることが分かる.その守備陣は今季全員残留.そこに近藤が怪我から復帰し篠原にも成長が見られる.つまり守備陣は将来性を考えた補強で十分と判断できる.対する攻撃陣は2011シーズンよりも得点率が落ちている上に3人の穴ができた.攻撃陣は穴埋め以上の補強が必要だろう.特に昨季でも不足していたシャドーには多くの補強が必要と言える.

 とは言え実績のある攻撃的な選手は少ない=高い.特に川又のようなゴールへの嗅覚がありフィニッシュできる選手はそうそういない.とすると発想を少し変える,つまり攻撃手段を変える必要がある.
 数字だけで見ると昨年のファジアーノのサッカーは「守ってカウンター」に見える.しかし実際はパスサッカーをベースとしたポゼッションサッカーだった.しかし実際にはカウンター以外では中々得点できなかった.そのため川又の存在が大きくなってしまった.

 そう考えると今季はパスサッカーの質を高め,カウンター以外でも得点できるようになれば,1人に依存するようなチーム構成は必要なくなるはずだ.
 その鍵はシャドーとボランチだ.昨季のシャドーは相手DFの前で足元にボールを受け,相手ボランチからもプレッシャーを掛けられながら苦し紛れのシュートかパス,というのが多く相手の最終ラインにプレッシャーを掛けられなかった.相手DFは怖さを感じなかっただろう.
 またボランチは3バックにも関わらず2枚とも後ろに残ってパスをする時間が多かった.4バックでも1枚が攻撃参加するのだから守備的すぎると言われても仕方ない.
 こう考えるとストライカーの補強ではなく,シャドーとボランチの補強に力をいれることで攻撃力強化に繋がる可能性が高い.もちろんある程度能力のあるCFWも必要だが.

 もう1つの攻撃補強はセットプレーのキッカーだ.昨季はキッカー不在でゴールへ結びつくことが非常に少なかったように思う.

 また昨年まで毎年書いてきたベテラン選手の補強についてだが今季に関しては優先度が低いと考える.というのは岡山の選手もかなり年齢が上がってきたし,経験を積んだ選手も増えてきたからだ.衰えが目立ちコンディションが整わない選手では今のチームの力にはもうなれないだろう.

 これらより今季の補強ポイントを優先度順に書いてみる.

1.FW
 とにかく前の狭いところで踏ん張れゴールに迎えるCFW.
2.シャドー
 民均タイプと,ボールの有無に関わらずゴールに向かう選手.
3.セットプレーのキッカー
 最低小林くらいのキック精度で,普段のプレーの質も高い選手.
4.ボランチ
 今の2人は攻撃力が少ないのでそれを補う選手.そして3人目のボランチとしてポジションを争える選手

 そして実際の補強動向は…?

FW:荒田,押谷,藤岡,小林,久木田
MF:鈴木,李,島田,幡野
DF:奇特

 見ても分かるように攻撃偏重の補強で,必要なところに上手く補強できたように思う.

荒田
 Jで初めて見たときから岡山に合うと思っていたので嬉しい補強.
押谷
 岡山に無い一人で何でもするタイプ.1人でも凄いがチームに溶け込むと想像以上の結果を残すかもしれない.
久木田
 本当なら昨季いて欲しかった選手.今季も怪我が回復すればチャンスはあるだろう.
島田
 運動量の多い重量感のある選手.セットプレーもできそうだし適切なポジションが見つかれば期待できそう.
鈴木
 セットプレーに期待.

 見たこと無いので分からないが実績は民均と同レベル.期待したい.

 そして新卒はびっくり枠があるかどうか.前評判だと小林と幡野が面白そうだ.特にトップ帯同した幡野は今季のびっくり枠かもしれない.


 昨年に続き必要と思われるポジションに的確に補強できたと言えるだろう.強化部は非常に良い仕事をしたと思う.とは言えこれでようやく昨年レベルだろう.昨年なら良かったが今季はややこしいチームがいるので厳しい戦いになるだろう.


 最後にネクストのことを書いておきたい.純粋なネクスト経験者として昨季篠原が成長し戦力と言えるレベルになった.岡崎もトップ出場を経験し竹内も今季はトップを狙う存在だ.このように将来を見越した高卒選手獲得し育成するという点で非常に効果的な存在になりつつある.
 それ以上にネクストはユース選手の育成に非常に有効だということが昨季分かった.ユースからトップに入れるのは極僅かで,高校生のまま2種登録でプレーできる選手は更に少ない.このように通常ならプロの近くにいても上のレベルの真剣勝負はなかなか体験できなかったのだが,ネクストのおかげで地域リーグとは言え大人の真剣勝負を経験できるようになったのだ.
 地域リーグとは言えJ経験者もいるし,日本一厳しいと言われる地域リーグ決勝大会の決勝リーグもあり,実際にその場を経験した選手もいた.そこで通じるものを感じられれば,それは本当に大きな宝になるだろう.

 位置づけが難しいセカンドチームだが,今季から若手は移籍しやすくもなった.J3の話もある.今後この機能を最大限に生かせれば,クラブ強化の大きな助けになるだろう.