Motor Sports Sound

車とスポーツと音楽と

琢磨の一言

2005-09-29 09:09:13 | Motor
 ブラジルGP前の木曜日のインタビュー.こんなことを言ったそうだ.

「このまんまで引き下がるのは絶対しないので、必ずF1で走って行くつもりで頑張ります。もうなんの制限もないし、思いっ切り自分のレースをしようかと思ってます」

 「言いたい事はたくさんあるが」という前提でのこの太字部分の発言.言いたい事を凝縮したのが「もう何の制限も無い」ということだろう.

 佐藤君がどんな制限を受けていたかはまだはっきりしないが,後々今年を語ることがあれば少しずつ分かるだろう.最低でもチームオーダーは出ているだろう.その内容もちょっと酷いものが.
 ただ,今それを言ってしまうと本田からの支援を得られなくなるだろうし,言わないことを前提でサポートしてもらっているのだろう.「バトンがいろいろ制限かけてきて走りにくかった」なんてコメントでも出れば面白いのだが.遠慮なくバトンの文句が書けるし.


 さて日本GPがあと1週間くらいとなった.チャンピオンは決まって,あとは興味の無いコンストラクター.まぁメルセデスが獲るべきだろう.佐藤君は10番目からの予選.正直2列目はいけると思っている.ただブラジルでのトラブルを考えると,車体でトラブルが起きてしまいそうな予感がする.バトンには起こらないトラブルが(その癖にマシンにけちをつけるが).

 まずは金曜日の走りを楽しみにして観戦だ.

企業野球

2005-09-28 13:55:11 | 興行--日本野球--
 「野村辞めたら廃部」.これが日本野球界の実態だ.野村が東北の監督になる,というニュースはTVでやっていたが,廃部の事実は私が見た2つの番組では放送していなかった.

 ちなみにシダックスは昨年「プロ参入か?」と騒がれたようなところだ.そんなところでも「広告効果が無いから」程度で廃部にしてしまうのだ.企業スポーツの弊害をまざまざと見せ付けた感がある.野球に関わらず他の企業スポーツでも同様のことは起きている.マラソンの野口みずきでさえそういったところに振り回されている.
 ただ,その中でも野球というのは,今まで日本スポーツの象徴的位置におり,相当な知名度があるにもかかわらず,こういった惨状であることがあまりに酷く感じる.

 プロ野球といえど,実態は「レベルの高い企業野球」でしかないのは昨年の近鉄消滅でも明白だ.1社が1チームを支え,その1社の動向のみがチームの行き先を決める.
 サッカーは運営会社があり,運営会社がお金を集め,お金を使い,チームを運営している.その中でスポンサー企業が撤退すれば,それにあわせてチーム規模を縮小したり,他のスポンサーを探す.だから運営会社が資金繰りできる限りはチーム自体は存続できるのだ(特にフリューゲルスの消滅のあとからは).「チーム」を応援するファンには理想的な形だ.
 しかし,野球は企業が企業の「予算」を配分し,企業がお金を使い,企業が運営する「部門」なのだ.その他の企業スポーツと同様に.一応チームは「企業」とはなっているが,実態はそうなのだ.そして選手は所詮社員でしかない.だから企業の予算が無くなれば,「赤字部門清算」で企業の中で勝手になくすことができるのだ.それがプロ野球であっても同様なことは近鉄が証明済みだ.その後の「選手の雇用確保」にばかり目を向けていたのは,一般企業の「事業撤退」のときの状況と酷似している.

 企業野球の頂点に立つ「プロ野球」.当然アマチュアも「企業野球」.そしてそれらの差は,単に企業が勝手に枠組みをつくって「プロ」か「社会人」かに分け,「宣伝効果」に見合ったチーム運営を企業がしている.優勝直前の伝統の一戦でスポンサーが集まらず全国中継を中止したプロ野球は,その宣伝効果に見合った形にならざるを得ないのだろう.どんどん「プロ」と「社会人」の宣伝効果の差は無くなっていく.
 しかし,そんな基本も忘れ,今の規模を維持するためだけに親会社に「痛み」を与えながらその規模を縮小せずにチームが企業に運営されていく.その結末は明らかだろう.


 こう考えていくと「企業スポーツ」である限り,その競技を「サポートする」という発想は全く生まれないだろう.その競技の「発展に貢献する」などという発想も無いだろう.「他の宣伝媒体に予算を移す」だけで終わりだろう.今回のシダックスの「ドライ」ともとれる方針が正にその象徴だ.ただし企業としては正しい選択だ.

 このまま今のプロ野球の人気が,社会人と同じレベルのものになったとき,野球という競技を支えるのは誰だろう?

 ファンが支えるべきスポーツ.しかし,企業が支えているスポーツは企業が支える形でしか運営手法がないので,支える企業がなくなれば無くなるしかないのだ.その競技団体ごと.少なくとも今のプロ野球はファンだけでは支えられない.


 ファンがいるけれど試合ができない.競技をする場が無い.選手の行き場が無い.そんな状況が間近に迫っている.

F1ブラジルGP

2005-09-26 13:58:15 | Motor
 アロンソのチャンピオン確定.もっと攻撃的なドライバーだと思っていたので,最近のふがいない走りには多少がっかりさせられた.ミハエルが以前鈴鹿でチャンピオンを6位で決めたときの複雑な気持ちをコメントしていた.そんなドライバーであって欲しかった.ただ,初めてのことなので仕方ない面もあるかもしれない.

 レースは最速マクラーレンが,しかも殆どホームであるファン・パブロが勝ったのは順当な結果だろう.彼がマクラーレンに慣れた今,このチームは最強になったし,どちらが本当に速いのか,という楽しみが残り2戦に残った.どちらも面白いコースであるので面白そうだ.

 他には見所が少なかったが,フェラーリが復調基調であることだけが気になった.来年に向けた動きだろうが中々興味深い.残り2戦でどこまで上位に食い込めるか楽しみだ.

 さて,佐藤君.スタートはうまく混乱を避けた.ちょっとは運が向いてきたように感じる.その後は1ストップ後のバトンより前に出ることもでき,しかもタイムはバトンより良かったようだ(タイム差は広がっていたので).この辺はもっと評価されても良いだろう.しかし,1ストップ後タイムは伸びなかった.タイヤがしんどかったのか?と思ったが,実はサスペンショントラブル.「またかよ」である.これでどんどん遅れをとり,うまくいけば取れたはずのポイントも取れなくなった.こういう内容でも,数ヵ月後には単なる「ノーポイント」として扱うBARは信じられないが.
 比較対象としてバトンを出す.客観的な評価にはやはりチームメイトが分かりやすくていい.多少湿り気味のトラックで,彼は絶対にタイムを出せないと思ったが,やはりそうだった.スタートは完全なるミス.そしてその後も全くタイムが伸びず.「タイヤに問題が…」と得意の言い訳をかましていたが,スタート直後にタイムが伸びなかった理由はよく分からない.まぁ「オーバーステアだった」などと言っていたが.そのセッティングをしたのは君だろ?
 琢磨がタンク満タンで走ってあのタイム,というのを考えると,ちょっと遅すぎる.重たいマシンの琢磨の方がよっぽどタイヤには厳しかったはずだし.

 まぁあまりバトンの批判をするのは良くないと思うが,遅いものは遅いのだから仕方ない.だって駄目なときはいつも車のせいだもんね.開発者はたまらんだろうな.ホント.車の批判を極力避けてきた佐藤君とはえらい違いだ.やっぱチームに残しいと思ったのはスポンサーなんだろうな.


 来期の琢磨君はミッドランドの線が濃い.まぁトヨタエンジンの質は悪くないから,どこまで車体を開発できるかだろう.ジョーダンは遅いなりにいつもいい車を作っていたから,何レースかに1回は勝負できるときはあるだろうけど.ウィリアムズはこのレースを見る限り,混迷の時代が待ってそうだから,ミッドランドの方がいいかな?

 まぁ残り2レース.特に鈴鹿で「奇跡」が起きるのを期待したい.鈴鹿で待ってます.

20年近くつまらないF1を見つづけた人の意見

2005-09-24 03:12:21 | Motor
 佐藤君,BARを辞めて本当に良かった.どうせなら「お願いされても嫌」くらい言える程度の成績を残して辞めて欲しかった.

 正直なところ,BARには未来は無い.トップが駄目なチームがうまくいったためしは無い.ニック・フライとジル・ド・フェランという2人が入って以来,このチームは完全に駄目になった.
 例えば今年のレース戦略.1度でも成功したことがあるだろうか?彼らが大好きなバトンにしてももっと順位が上げられるレースはあったはずだ.失敗,とまでは言わなくとも,成功は極端に少なかったのでは無いだろうか?更に言えば,チームのピット作業.明らかに他チームより落ちる.ワークス,ということを考えるとこれは無いだろう.
 そんなチームが「かなーん」などというアメリカ2流ドライバーをテストで乗せて「誇りに思う」なんて言っている.明らかに他のチームとは違う「カントリーレーシングチーム」の雰囲気だ.こんなチームが勝てるわけが無い.

 そして来年は「ドライバー貧乏」になる.彼ら2人でいくらお金を注ぎこむ気だろうか?絶対に開発費を抑制するしかない.スポンサーもタバコ規制でそれほど金を出さなくなるというのに.そして「ホンダが金を出さない」と来年の今ごろ言い訳するだろう.
 しかもバトンとは「5年契約」とも言われている.正直大馬鹿である.バトンファンには悪いが,彼はよく言われているように「タクシードライバー」以外の何者でもない.確かにデビュー初年は多少切れた部分もあったが,それ以降は論外だ.チャンピオンには程遠い.その可能性さえも見えない.後ろから低位置をキープして,争いを起こさずいると,「あれ?表彰台?」というタイプだ.悪いが今年,遅いフェラーリ以外で彼がトラック上で抜いていったことがあるだろうか?予選でトップチームを脅かすタイムを出しただろうか?全て「それなり」だ.

 こんなドライバーに5年契約するようなチームに未来は無い.

 そして,佐藤君.君は右京がいつも言っているように,一つきっかけがあれば一気に変わる.ドライビングテクニックは相当上位に入る.今年は人種差別に近い扱いを受けた部分があるが,そういうことが無いところでできるだけの結果を残して欲しい.BARを悔しがらせ,他チームが欲しがるような.
 ブラジル以降はチームもイタリアのようなあからさまな邪魔することは無いだろう.フリーもいきなり2位タイムを出したようだし.このくらい追い込まれて,焦りを感じないくらいがいいのだろうか?鈴鹿も毎年良い結果だし.

 とりあえずこのレースは人種差別的10位降格があるからトップ6が目標として,次の鈴鹿で結果を残して欲しい.中途半端なものでなくて.

盛り上がらない優勝

2005-09-20 13:25:34 | 興行--日本野球--
 阪神の優勝はほぼ間違いない.けれど関西でさえメディアを除いて盛り上がりに欠ける.原因を考えてみた.

 一番よく言われているのが「2年前に優勝したばっかりやから,そないすぐに騒げるかいな」というもの.確かにそれはある.星野が監督になり,今まで応援してきた落ちこぼれ達が10数年ぶりに優勝する,というドラマには野球に興味の無い地元の人までも巻き込む騒ぎとなった.「良かったなぁ」「あいつらがなぁ」と.関西にいると,ファンでなくとも阪神が生活の一部になっているもので,自然と喜んでいた.本当に一般の人まで「お祝い」という感じだった.この感覚は讀賣ファンには無いだろう.
 今回は2年ぶり,ということで,そういった野球に興味の無い人を巻き込むことが無い.「良かった」とは思えど感動は無い.純粋にファンが喜ぶ優勝になっている.だから盛り上がりが少ないと感じるのは仕方ない.

 けれど.

 「それにしても盛り上がってない」というのが正直なところ.だからこそ「盛り上がっていない」ということが話題になるのだろう.正直昔からのファンでさえ盛り上がりが無い.ではなぜそうなったのか?


 「讀賣が弱かったから」

 これはどうだろうか?多分讀賣が弱いことは阪神ファンにとってはどんな形でも「うれしいこと」だ.100敗してももっと負けてほしいと思う.どん底まで落ちてくれてかまわない.「インチキ球団に勝った!ざまぁみろ」が喜びの原動力である.別に讀賣と競って優勝することが最高!だなんて全く思っていない.なので直接的な原因ではないだろう.

 では他に原因は?

 「野球人気が落ちたから」

 やはりこれが一番可能性が高い.関西で30歳以上の中高年と話すと,多くが「阪神優勝やな」という話をする.一応おっさんには人気がある.しかしそれ以下になるとおっさん達との付き合い以外で話すことは殆ど無い.あれだけ2年前盛り上がっていた「若者」はどこに?

 これが意味するのは,2年前の優勝の時に多くいたファンは,「奇跡」「久しぶり」の優勝を祝う,ある種「にわか」ファンであった,ということだ.「プロ野球のリーグで優勝すること」には価値を感じていない人々だったのだ.ただし,今回の優勝でも,やはり生活の一部に入り込んでいるので「よかったね」くらいは思っているのだが.
 つまり,2年前から今年と同じ程度しか本当の「ファン」はいなかったのだ.2年前が「異常」だったのだ.だから今年の盛り上がりが,今の「正しい」阪神の人気なのだろう.
 「プロ野球人気の低下」が原因と書いたが,本当は「すでに低下していた」ということが白日の下に晒されただけ,というところだろうか.


 これだけ地元に文化として入り込んでいる阪神の人気がここまで落ちている,ということは「プロ野球」というものが完全に世間から見放される危機を意味している.ここまで文化となっていたものが,離れていっているのだ.にわかなファンなどとっくにプロ野球を捨てている.


 これでも多分NPBは現状を理解していない(しようとしない)だろう.来年,阪神と福岡がそろって優勝しなければ,その惨状が少しは理解できるんじゃないだろうか?間違いなく物凄く悲しい未来が待ち受けている.

明らかな不人気

2005-09-16 17:02:46 | 興行--日本野球--
 伝統の一戦の視聴率が5%を切った.阪神が優勝争いをしていながら.以前なら30%近い数字を出していた.

 10年ほど前からプロ野球の人気は下がり基調だった.それは視聴率動向を見れば明らかだ.個人的には2002年のW杯で「とどめ」だと思っていたが,その年,そしてその次の年の「原讀賣愛」と「星野阪神」の優勝で何とか生き延びていた.
 しかし,今年になり気づけば「とどめ」を刺された状態になっていた.原因はもちろん昨年のあの騒動だ.

 「どうしたら人気が上がるか?」ということをすぐにメディアや球界関係者は語ろうとするが,「人気はどうして下がり続け,どうしてとどめになったか?」に関しては中々語られない.問題解決能力の無い組織にありがちな状態だ.

 原因も分からずどうやって対策がうてるのだろう?逆に言えば,原因が分かればその対策をすればいいだけだ.

 ではその原因を考えてみる.

1.讀賣の横暴
 FA,ドラフト,放映権,交流戦をしない,などの行動が他の球団のファンの怒りをかった.また,「アンチ讀賣」という大事なファンが「無関心」に変わっていった.他球団ファンも諦めの境地に達し,プロ野球を見なくなる原因となった.
 しかし,頭の固い親父ファンは「長嶋」さえいればよく,このことは若年層以外には影響は無かった.

2.サッカー
 Jリーグ開幕,W杯.しかしサッカー人気でプロ野球ファンが減ったわけではない.これらによりプロ野球の制度の不自然さ,理不尽さをまざまざと見せつけられたこと.そして国際試合の面白さ,世界に普及しているスポーツの多彩さを見せつけられたことが,プロ野球から離れていく原因になった.
 ただし,これも若年層のみにしか影響は大きくなかった(一部地域を除き).

3.情報化
 インターネットにより,これまでマスメディアによる「讀賣万歳運動刷り込み」状態からの脱却が図られ,よりナチュラルな立場で情報を得られるようになった.それにより刷り込みが解け,より冷静にプロ野球の理不尽さを理解できるようになった.
 しかしこれらもPCの使えないおじさんには効果は無かった.


 これらのような原因でプロ野球人気は下がり基調であった.しかし一番コアな「おじさん」が離れることが無く,致命的な状況は避けられていた.それが次の原因で致命的になった.

4.2004年の合併騒動,ストライキ,1リーグ騒動
 これにより,プロ野球が「ファンのためにある」わけではないことを思い知らせた.いくら応援しようと「企業」が勝手に捨て,勝手に合併するのだ.そして応援していたのは「チーム」でなく「オーナー企業」だった,ということに気づいたのだ.
 これが最も大きな影響を与えた理由は「全国的」「全世代的」話題になったからだ.一般ニュースからワイドショーまで全てで取り上げられた.これにより「おじさん」から「主婦層」まで完全にプロ野球の理不尽さを理解してしまった.


 これらは私個人で考えた原因だが大きくは外れてないはず.人気回復を行うにはこれら1-4の対策を行えばいい.

 プロ野球界は人気回復策として「犬」,「ラップ」,「交流戦」,「ドラフト改悪」,「おかえりなさい長嶋さん」,「星野讀賣騒動」など様々な対策を行ってきた.しかしどれも1-4の解決策になっていないのは明らかだ(「交流戦」はパリーグのためにしただけだからファンのためではない).ここに書いてあるような「ジャイアンツレストラン」や「讀賣が強くなること」も対策ではない.原因に「讀賣が弱くなったから」なんてことは全く書かれていないことからも明らかだ.

 では人気回復策は?

 1-4をまとめると全て「NPBの制度の問題」に行き着く.つまり,「NPBの制度を改革する」しかない.

 決して讀賣の横暴を隠し,サッカー人気を貶め,インターネット使用禁止を行い,昨年の騒動を無かったことにする,ことが対策じゃないことはプロ野球関係者でも分かるだろう.それをやってくれればそれはそれで面白いが.

監督問題

2005-09-15 20:59:20 | 興行--日本野球--
 たった一チームの監督の人事が話題になるのがプロ野球だ.ずっとあえて触れずにきたが,そろそろ書いておこう.

 野球は個人成績が表に出やすいスポーツで,チームプレーが目立ちにくい.攻守の対決はバッターとピッチャーという形で基本的には1対1.世界で有名なチームスポーツで,ここまで個人の対決が表に出るチームスポーツも珍しい.アメフト,サッカー,バスケ,バレー,ラグビー,ハンドボール,アイスホッケー….どれも野球とは遠い存在だ.敢えて言うなら柔道とかの団体戦が近いだろう.

 けれど,野球は「チームワーク」が必要なスポーツだということは,今年の讀賣の成績を見れば明白だ.チームは野手も投手も全てつながっている.高校野球を見ても,優れた選手一人でなく,チームのまとまりがある方が勝つことが珍しくない.甲子園優勝チームからドラフト指名なし,何てこともしばしばだ.

 こんな難しい特性を持っているからこそ,野球では監督というものは重要になる.しかしその重要性さえ理解されていない.だからこれまでは一部例外を除き殆どが根性論の好き嫌いの多い無能監督の元,プレーヤーの中の「リーダー」を中心にまとまり,監督の代わりもチームワークを作ったチームが強かった.逆に言えばリーダーシップの無いチームは弱いチームばかりだった.

 プロ野球界はこの重要な監督・指導者育成を完全に放棄している.育成組織もライセンス制度も持たない.アマとの決別で指導者として経験を積む場も殆ど無い.だからぶっつけ本番の監督が多く現れる.「次の監督誰が良い?」なんて聞いているメディアもあるが,判断基準がない.「やってみなきゃわからない」が現状だ.あるとすれば「あいつの解説は良い」「コーチ経験がある」くらいか?意味の無い基準だ.

 だから,監督の人選は半ば「ワイドショー」的なものになり,「話題提供」の手段として喜ばれる.根拠が無く誰でも適当なことが言えるからだ.そしてその人選には「視聴率が取れる」なんていう本来の目的からは程遠いものまで出てくる.

 そして賢くなったファンに「くだらない」と呆れられてしまう.それが今の讀賣監督問題だ.


 ちなみに野球は監督までユニフォームを着る,なんていうとても珍しい競技だ.野球を知らない国の人が見ればとても不思議に思うだろう.サッカーでそんな監督を見たことないし(ジャージはあるけど),バスケでもバレーでもない.「監督も出場するの?」なんて聞かれてしまいそうだ.ずっとベンチの日陰にいるのに帽子かぶってるし.シンクロの監督が水着を着ているくらいの不自然さだ.

 そんな不自然さが改善されないのが野球という競技だから,たくさんの不自然さを大事にしているんだろう.こんな特殊競技に理性で語るのは間違っているのだろう.当然その運営形態にも.


 ちなみに今回の騒動による「話題づくり」によって視聴率が上がり,チームやメディアが喜ぶだろう,プロ野球人気安泰,プロ野球組織安泰,なんて考えた人はいるのだろうか?いるからこういうことをしたのだろうが.
 多分星野が監督になれば視聴率は上がった.しかしそれでさえ一時的なものにしかならない.結局ここには人気回復への解決策が無いのだ.
 だからと言って「優勝争いを主軸に報道しろ」も解決策ではない.どちらにしろ人気回復は無い.もっと別なところに問題があるのだから.その問題については別のところで書くが,その問題解決を行う能力があるとは到底思えない.

 すると残る選択肢はただ一つ.人気低迷による地上波放送打ち切り.

 これが何を意味するかはここにも少し書いたが,野球の消滅を意味する.代表戦が無く,ルールの難しい野球は,誰からも理解されないスポーツになり,放映権も無くなり,スポーツニュースでも取り上げられないプロ野球に生き残る道は無い.あるとすれば,殆ど無給での新リーグ創設だろう.


 監督問題からずれてしまったが,この問題の狙いがここにあるから仕方ないか.

 しかし,プロ野球に関しては前向きなことを殆ど書いたことが無い.いろいろなblogで問題提起されている.本当に「危機」だと思っているからだろう.そして書いている人もプロ野球が嫌いなわけではない.文化として野球は必要だと思っている人だろう(じゃなきゃ無視すればいい).
 そしてこの危機の緊急性を最も理解していないのがNPBとそこに所属する球団というのがこの問題の深さを表している.

bjリーグの前途

2005-09-14 13:30:14 | Sports:other
 まさに前途多難.今のbjリーグ,そして日本バスケットボール界の状態だ.

 バスケ協会はまだプロチームさえできていない(10年くらい前からプロリーグ移行とだけ言い続けている)状態のくせに,bjを「独立リーグ」と言い,プロのトップリーグは自分達だ,という.繰り返すが,自分達はまだ「プロ化」さえできていない.10年くらい前「Jリーグうらやましいなぁ」と思い,その後「プロ化」の話題が出ては消え,という状態によく一喜一憂したものだ.

 どうも協会には馬鹿がいて,アイシソやらモルテソやらの,「自分が偉い」と勘違いして「自分の思い通りに以外はさせない」というような人が,バスケの普及を妨げようとしているようだ.世間や選手が望んでいるものを協会が「妨害」するという,思い上がりも甚だしいことをしている.まるで日本プロ野球や高野連,学生野球連盟のようだ.
 どうもこういう古い体質を好む人間が,今のいろんな協会のトップに立つ世代(団塊のちょっと上くらい)には多いようだ.ちょうど幼い頃に「戦争」を体験し「敗戦」を体験した人々だろうが,それが変なプライドを持つ原因にでもなっているのだろうか?


 こんな馬鹿な協会のおっさんどもを黙らせるためにも,bjリーグが盛り上がって欲しい.しかし協会は各地の学校等に「bjには絡むな」との通達を出すなど,汚い手を使いbjリーグを貶めるのに必死なようだ.「おんなじバスケじゃん」なんていう概念は,腐った脳みそには理解できないのだろう.


 私のように「スラムダンク」や「DEAR BOYS」(こっちはあまり語られないけど)世代,更にいえばマイケル・ジョーダン,マジック・ジョンソン世代にはバスケを経験した人が多い(オリンピックの「ドリームチーム」効果は大きい).私もその一人だが,まず,bjチームのある地域のそういう人間がbjを少しずつでも盛り上げていくことがbjの今後を左右するだろう.

 そしてbjが「地域に根付く」ような活動をし,来場した人には「思った以上の感動」そして「参加意識」を与えることで本当に僅かずつでいいからファンを増やしていくことが大事だろう.
 別にレベルなんてどうでもいいはず.だって「高校野球」なんてプロより絶対にレベル低いけど地元はなんとなく応援するもんだし.野球好きでなくても応援するし.それが普通のことだし.「うちの地元勝ったで」,「うちの方が強いって」,なんて友人と言い合うのが普通だろうから.


 私は住んでいるところが近いので大阪を応援することにしよう.プレシーズンマッチでは早速勝利をあげていた.大阪という土地柄,阪神を超える盛り上がりは難しいが,バスケは「ミナミ」の高校生文化に合いそうだから,そこを起点に盛り上がっていけば中々面白いことになると思うんだが.
 新潟は勝手に盛り上がってくれるだろうし,さいたまは「レッズ」とうまく連携がとれれば一気に盛り上がるだろうし.けど元が三菱とマツダだから厳しいかなぁ….


 最大の課題は「知名度の向上」だろう.あまりに知られていない.ネット掲示板にあったが「bjリーグ版スラムダンク」が一番の起爆剤かなぁ.リーグの冠スポンサーも欲しいところ.キリンとか応援してくれないかな?サッカーに比べりゃコストは安いもんだと思うんだが.
 各チームのHPを見たが(bjのHPから仙台のリンクが切れてるし…)チームの後ろだて,つまりスポンサーが貧弱なことも問題だろう.新潟だけはしっかりしてるけど.Jリーグってすごい.


 松山千春も選挙応援してる場合じゃない.会場で歌えよ.

ホンジュラス戦

2005-09-12 13:57:06 | Sports:football(A代表)
 遅くなったけど感想を.

 この試合はテストという意味ではとても意味があったように見える.4失点の守備は失格,5得点の攻撃は及第点.それがテスト結果だろう.そのテスト結果を生かすかどうかはジーコしか知らないが.

 まず守備だが,ボランチ2人が全く機能しなかった.稲本・中田浩のコンビは今後使ってはいけないことが分かった.コンビネーションなどという問題ではなく,基本的に相性が悪い.どちらも比較的攻撃寄りでつぶれ役を好まない.そしてこの試合で守備的な面を受け持った中田浩にはスピードが無い.これでは中盤が機能しない.稲本は攻撃に行っても全くチャンスも作れず空回り.そしてボールを奪われピンチになる.相当がんばらないとこのままでは代表に残るのも難しそうだ.
 この試合はボランチとDFの間のスペースをつかれ,そこにカバーが遅れ,次に展開されて失点する,というパターンで3点取られた.上に書いたようにボランチも悪いが,欧州と違って日本DFが引いてしまうことに慣れていなかった,という要因もある.大体日本のDFの感覚は「もっと引いて守ればよかった」というコメントからも相当ギャップがあることが分かる.
 とにかくこのボランチコンビは駄目だし,DFラインとの相性も悪いことは明らかだった.今回は早目からの合流だったので「時間が無い」といういいわけも使えないし.

 そしてもうひとつ悪いところ.いつもどおり左サイド.この間の弱小編成イランでそこそこ動けて慢心したのか,三都主は最悪の出来だった.守れない,攻めれない.相手の足が止まってせめてがなくなった時点でようやくアシスト.論外だろう.相手のスピードが速いと怖くて前に行けなかっただけだ.守っていてもスピードに乗って攻められると全く止められない.自らラインを破綻させる.いわゆる「ザル」.
 まぁ予想通りだったし,相手監督にも指摘されていたし.彼は4バックのサイドバックとしては世界レベルでは全く通じないことがコンフェデに続き明らかにされた.全く通用しない自分に「信じられない」という顔をしていたのが笑えてしまった(たぶんアシストして「やっぱ俺すごい」に変わったんだとは思うが).
 ちなみに彼は雑誌で「サイドは守備を求められますが?」という質問に「攻めていれば相手は攻めれないから守らなくていい」といった趣旨の発言をしていた.お前が攻めれるレベルはアジアの弱小国だけ,ということも理解せずに.W杯ではずっと守るんだよね.Jリーグの控え選手だから.あ,W杯は呼ばれないのか.


 攻撃に関しては柳沢が本当に良くなった.2点目のあの位置からシュートを決めれるようになったのは大きな成長だ.対して高原は….点こそ決めたが相手の脅威となるプレーは無かった.あの偶然の得点が無ければなんていわれていただろうか?だからタークなんていわれるんだ.


 あと,テストという意味では,中田英をボランチに下げるとき,前に入れるのが小笠原しかいないっていうのも課題だろう.彼がすごい,という人には分からないかもしれないが.
 
 では勝手に採点(負けた試合みたいだ).

柳沢(7.0):2得点目は見事.FW一人は確定かな.
高原(5.0):1点とったから+0.5.正直高原である必要は全く無かった.
玉田(4.5):あの時間に出てあの存在感の無さは格別.
大黒(5.0):チャンスに絡む動きがリーグでもできなくなった.

中村(5.5):取り立てて良くも悪くも無く.無難.
中田英(5.0):1点取られたんで.
中田浩(4.5):修正が遅すぎた.
稲本(4.0):見るべきところ無し.
小笠原(5.5):1点取ったから.

加地(5.0):攻めも守りもパッとせず.
三都主(3.5):起用した監督が悪い.
宮本(4.0):最後まではっきりとした修正が見出せず.
中澤(4.5):相手に高さが無いときには目立たない.
田中(-.-):評価無し.

楢崎(4.0):悪くは無いんだろうけど4失点すれば評価はこの程度.

ジーコ(4.0)
 システム破綻していたボランチに後半頭から手を加えられなかった点は大きなマイナス.メキシコ戦の修正も全くできていなかったのも大きなマイナス.

F1ベルギーGP

2005-09-12 11:32:00 | Motor
 深夜にハーフウェットのコースを見て「佐藤君が自滅するのを見て寝よう」と思いTVを見ていたら,その通りになった.

 その前に,チャンピオンシップのポイント計算を間違えていた.アロンソとキミで25ポイント差.あと6ポイントアロンソが取ればチャンピオンである.今回の結果で,まず間違いなくチャンピオンは決定だろう.うまくいけば鈴鹿までもつれるかもしれないが.

 もうチャンピオン争いは面白くないので,佐藤君.今回のレースでとうとう来シーズンのシートはほぼ絶望となっただろう.凡ミスをあろうことか目立つところで,しかもミハエル相手にしてしまったからだ.

 このレースで彼の「速さ」は見せることができた.バトンをぶち抜いて見せた.バトンは言い訳していたが,雨で遅いドライバーに「速い」ドライバーはいない.明らかに佐藤君より遅かったし,他のドライバーと比べても全くセンスが感じられなかった.結果だけは一流だが.
 速さを見せ,荒れたGPで結果が残せそう,というときには不運がある,というのが今年の佐藤君.期待通りチームがSCのときにあろうことか「ドライ」のタイヤを選択したのだ.前回のレースに引き続き,立て続けに2回のピットイン.SC中とはいえ,6位のポジションは最後尾近くまで落ちてしまった.まさに二流チームだ.
 これで結果の出ていない佐藤君はいつもの「焦りモード」に入ってしまった.暖まっていないタイヤでミハエルに衝突.リタイヤ.しかも次のレース10番手降格のおまけ付き.まぁ,このペナルティーはちょっと解せないが(それだったら他にも該当者は多々いる),相手が悪かった.

 せっかくいい結果が出ているときのチーム「ミス」で焦るのは分かる.チームのミスがなければ表彰台,もしかしたらその頂点に近い部分にいけたはずだ.そしてチームの「ミス」のあとも冷静に走っていれば2位はあったはず.そう考えると今回の佐藤君のミスは非常に大きなものだった.
 このレースでも分かるが,佐藤君には決定的に冷静さが欠けている.非常に攻撃的なドライビングをするのが特徴ではあるし,その速さはトップに負けないものだが,この部分が欠けては誰にも評価されないのだ.

 フランスGPの時にあのレース以降で今年まともなレースができるのは確率として2戦くらい,と書いた.ハンガリーでひとつ.トルコもいいレースだった.と考えると今年はもう駄目な可能性が高い.実際次のレースは10番降格,しかも予選はほぼ最初,と焦りで今GP含め2戦をつぶしてしまった.F1が車と精神の耐久レースということをまだ理解できていないようだ.

 残るは鈴鹿と中国.ポイント取れればいいんじゃないかな?