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対バーレーン

2009-03-31 20:42:46 | Sports:football(A代表)
 この試合に勝てばW杯が一気に近づく.逆に負けは絶対に許されない試合.布陣は玉田,田中達,大久保の3トップ気味の布陣で,中村はいつもより内側に位置した.

 相手はカウンター狙い.時折見せる速さに怖さはあるが全体的にレベルが低い.J2の助っ人を集めたチームみたいなものだろうか?その方が強いか?しかもかなり低い位置で守る.そんな相手に日本は終始試合を支配した.
 最近J2を見ているのでその技術の高さには感心してしまう.特に海外組はさすがの技術レベル.そんな中でも中村と遠藤がボールの置く位置は一つレベルが違った.相手がボールを取りにくく,尚且つ次の行動をとりやすいところにボールをコントロールする.この2つの起点があることが日本の強みにもなっていた.

 しかし点が取れない.ボールはゴール前付近まで行く.しかしそこからシュートにならない.これが前述の2人との技術の差だろう.自分の形ではシュートはうまいが,少し外れるとプレーが一つ遅れる.遅れるから相手DFが詰めてくる.するとシュートをしてもはじかれる,もしくはシュートできなくて消極的なパスをする.この試合はその繰り返しだった.特に田中達はボールタッチが多すぎテンポを落とし,尚且つパスは横へばかり.自分の間合いでは良いのだが.

 結局こんな試合はセットプレー頼み.そしてそれが後半開始直後というとても良い時間に決まった.これで相手が出てくればそれは狙いどころだし,出てこなければ守ればいい.試合はほぼ決まったようなものだった.

 この日目立ったのは遠藤.「守備しかしなかった」とのことだが,チーム全体のバランスのとり方はさすがとしか言いようが無かった.今回W杯に出られればベンチを暖めることも外れることも無いだろう.あと長谷部の出来の良さも目立った.今の日本にはいないタイプ.守れて攻撃の推進力にもなれて.まさに欧州のセントラルMFという感じ.帰ってくるたびに質が向上しているように思う.

 対して悪かったのは松井.短い時間しか出なかったが悪さは飛目立っていた.フランスで試合に出ていないことから期待していなかったが期待異常に悪かった.あれでは自分のチームでも試合に出れないのも分かる.仕掛けのタイミングは悪いし攻守の切り替えも遅い.良いときとの差があまりに大きい.使いにくい選手になってしまった.

 と言う試合.次でW杯出場は決まるだろう.では勝手に採点.

玉田(5.5)いて欲しいときにゴール前にいない.ドリブルは良かったけど.
田中達(5.0)怖くないFW.
大久保(6.0)全体的な出来は良いけどシュートが少ない.
中村(6.5)どんな形でもゴールはゴール.やっぱうまい.
長谷部(6.5)怪我が心配.
遠藤(6.5)MOM.存在感が増してきた.
長友(5.0)消極的なパスが多く相手に狙われた.
内田(5.5)ゴール外すのも問題だがクロスも問題.
田中闘(6.5)ミスも少なく安定していた.
中澤(6.0)ちょっと空回り気味.
楢崎(6.5)とりあえず南アまでは正GKで.

橋本(6.0)急な出番だったが決して良くは無かったがうまくまとめた.
松井(4.5)これならいらない.
岡崎(-.-)

岡田(6.0)
 勝利は見事.ただゴールへのパターンは全く増えないまま.いつもどおりの課題を見せて終わった.やっているサッカーは「W杯に出場して1勝を狙うチーム」のもの.目標が目標なだけに,せめて「グループリーグ突破を狙うチーム」のサッカーを見せて欲しい.とにかく攻撃に可能性を感じない.

第4節 対鳥栖

2009-03-26 23:44:18 | ファジアーノ岡山
 ようやくJ1未経験チームとの対戦.しかし昨年は昇格争いに絡み十分な実力を備えている.しかも3連敗中.勝利に飢えているチームとアウェイで当たるのはあまり良い巡り合わせとは言えない.

 岡山は前節得点した関口をFWに入れ喜山をMFに下げ,尚且つボランチの保坂をJ初出場のルーキー田所に代えた.当然連戦疲れを考慮したのもあるだろう.しかしそれ以上に噛み合わない攻撃の梃入れという意図が強かったと思う.
 しかしこれまで安定していたボランチの1枚を入れ替えるというのは大きな賭けだった.しかも保坂はベンチからも外れた.不安は尽きない.


 試合はその不安どおりになった.田所は緊張からか全ての動作が遅く,チーム全体の動きの悪さに繋がった.そしてチームはこれまで見せていた玉際の強さも影を潜めてしまい,鳥栖の素早いプレスに圧倒されたまま時間は過ぎるのみだった.
 またMFで出場した喜山は相手ボール時のアプローチが弱く,攻撃では相手プレスの強い状況下で目立った動きは見せられなかった.初先発の関口はボールの来ない状況では何も出来ずだった.
 それに加え西野と小野のパフォーマンスの悪さが目立った.共に疲れが出るとパフォーマンスが落ちる選手という印象だったが,その落ち方は予想以上で,J2であれだけ落ちるとチーム全体に影響が出てくる.システムを変えたこの日のような状況で,連続出場していた選手の不調はチームのパフォーマンスを大きく落としてしまった.

 前半は鳥栖が完全に制圧し,単に彼らのフィニッシュの精度の低さに助けられた形で0-0というスコアになった.
 後半は喜山をFWに戻すことで多少チームが落ち着いた.しかし選手のパフォーマンスの悪さは改善されるわけではなく,これまでの3戦のような内容にはならなかった.特に攻撃は,噛み合わずフリーになれない,サイドの深いところまでえぐれない,バイタルエリアから中に入れない,という状態.打ったシュートは「仕方なく」という部類のものが殆どだった.
 やはりボールの無いところでの人の動きが不足しているんだろう.それに加え攻撃が素直すぎた.素直な攻撃は相手の守備を外すまでに至らず.もう少し相手のタイミングを外すようなプレーが欲しかった.

 それでも組織立ったプレーでゴールは守り続け0-0という結果となりアウェイで初の勝ち点1をゲットした.この結果は決して悪くは無い.メンバーを代えて負けずに済んだのは収穫だ.変更したメンバーは機能しなかったが,勝ち点1をゲットした上でそれを知ることが出来たのは収穫と言ってだろう.


 鳥栖で気になったのは10番.視野も広く左足の精度は素晴らしい.おかげでセットプレーやサイドからのクロスで岡山のDFはズタズタにされた.あのレベルの精度のクロスやFKはこれまで未経験だったと思う.今後はあれを頭に入れてセットプレーの守備練習を行う必要があるだろう.


 しかしファジアーノのサッカーにはどこかに魅力があるのだろう.この日のスカパーの解説者も驚くほど岡山寄りの解説だった.まぁ試合終了間際の澤口や植田の攻撃がその象徴なのだろうが.

 というわけで勝手に採点.

西野(5.0)疲れるとトラップまで疲れている.
関口(5.5)それでもシュートは欲しかった.
喜山(5.5)現状を打破する選手になって欲しい.
川原(6.0)一人相手のタイミングを外すプレーをしていたが雑だった.
田所(5.0)イエロー2枚でもおかしくなかった.初出場を考慮しての点.
小野(5.5)これまでの出来からは程遠かった.
尾崎(6.0)守備で1点守り,運動量も豊富.あとはやっぱり最後のところ.
澤口(6.0)守備は合格点.
植田(6.0)セットプレーの守備は課題か.
キム(6.0)多少連携の穴を突かれているように見える.
李(6.0)ポストと喜山と尾崎に助けられた.

臼井(5.5)攻撃のアクセントにはなったが最後の部分は抑え込まれた.
小林(-.-)評価無し

第3節

2009-03-24 23:16:13 | ファジアーノ岡山
 相手は湘南.またもやJ1経験チーム.昔しか知らない人にはベルマーレ平塚と言った方がいいだろうか?あのナカータが所属した唯一のJリーグチーム.そして手塚監督の元所属チームでもある.
 メンバーも豪華.FWには昨年までJ1にいて,色々問題があって解雇された田原,元FC東京の阿部,そして元新潟の寺川に野澤.そして監督は五輪代表監督の反町.これだけ書いただけでも格が違うのはすぐに分かる.

 湘南は昨季昇格を争い,今季も当然昇格を目指すチーム.中々大変な相手だ.対するファジアーノは前節出場停止の臼井が先発復帰し,CBには負傷の野本に代わり植田が入る万全とはいえない状況.それでも昇格候補の連戦で得た経験を元に戦う.

 試合は開始から10分間は湘南ペース.岡山はクリアボールを繋げず攻撃の形が作れない.けれどしっかりした守備組織により危ない場面は少なかった.前半15分頃からようやく形を作れるようになったが得点には至らず.その後は一進一退の時間が続いた.
 とにかくこの日のスカパーの解説は何故かアウェイの岡山びいきで誉めまくっていた.何か嬉しいやら恥ずかしいやら.ただ前半はその誉め言葉も恥ずかしくない出来だった.しっかり守り,戦い,連動し,運動する.それは昇格直後であり,2年前は地域リーグにいたチームとは思えないものだった.

 後半もプレー振りは悪くない.けれど少しずつ足が止まり始める.このレベルになると少しの緩みが失点につながる.それが阿部のゴールだった.これがJリーグ初失点となった.
 気になるのはその後のプレー振りだったが,逆に開き直ったようにゴールへ向かうようになり,昨年のファジアーノのような良さが見えるようになった.

 そして来た.初ゴール.昨年も1試合しか出場してなかった関口だ.自分もプレーを見たのはこの日が初めて.そんな選手.いい選手と言う噂は聞いていたが.まさか.このゴールはファジアーノと言うクラブが存在する限り残るものだ.
 このプレーが示したのは「シュートを打つこと」「枠へ飛ばすこと」ということ.きれいな形とかはいらない.泥臭くゴールを目指すことの重要性をこのゴールが示していたように思う.

 初ゴール前から足が止まりかけたチームには多くの隙があった.そして「ファールちゃう?」というプレーで湘南にボールを奪われた後のカウンターで失点.それが記念すべきJ2初黒星を決めるものとなった.


 この日湘南で目立った選手は寺川.ゴールという結果ではなく,前半から非常に運動量豊富で嫌なところに顔を出していた部分が非常に怖い存在だった.正直「こういうベテラン選手はほしいなぁ」と思わせた.いい選手だ.そしてゴールを奪われた阿部も前半から嫌だった.やっぱりレベルの高いサッカーを知っている選手は怖い.チャンスをゴールに結びつける力を持っていた.逆に恐れていた田原は思ったより怖くなかった.サッカーってこんなもんかもしれない.


 という初黒星.今週は水曜も試合があるのでさっさと忘れられるので良かった.残念な敗戦だが,この日の前半を見ると「この内容で負けても悪い気はせんな」と思った.いいサッカーだけじゃ駄目なのだが.
 あと,やはりこのチームのサッカーは心に訴えかけてくるものを感じる.「昇格」という目標が無い中でこれだけ感じるとは思わなかった.これはチームカラーだしこれからも続けていくことで可能性が出てくるだろう.

 この日岡山で気になったのは喜山.ポジションは悪いし,やたらボールに触りたがってゴールから遠くにいるし.1.5列目ならそのプレーでいいと思うけど.もっと裏を狙うとか工夫が欲しいところ.


 というわけで勝手に採点.

西野(6.0)潰れ役が出来るのは既にわかっていて.ゴールにつながるプレーが.
喜山(5.0)もっと前に.中央に,ゴールに.シュートの数が少ない.
川原(6.0)この日は攻撃の起点として非常に良い動き.
臼井(5.5)目立った動き無し.
保坂(5.5)疲れ気味?攻撃に絡めず.
小野(6.5)攻守ともに合格.
尾崎(6.0)最後の精度が.全体としてはどんどん良くなっている.
澤口(5.5)課題は攻撃か?
植田(6.0)個人的には評価は高い.G大阪は凄いチームなんだ.
キム(6.0)荒さも減り相手に嫌な強いDFになっている.
李(5.5)2失点したから.まぁノーチャンスだったが.

玉林(5.5)祝Jデビュー.地域からの選手の活躍は嬉しい.
妹尾(5.5)前節より良かった.次はJ2レベルへ.
関口(6.5)何か持ってる選手かも.

第2節

2009-03-20 20:15:25 | ファジアーノ岡山
 相手は昨年入れ替え戦で惜しくも負けた仙台.そんなチームと同じ舞台で戦えること自体が感慨深い.でも「ボロ負けするかな?」とも思ったりする.

 この日は日曜夕方の試合ということでさすがに家でスカパー観戦.しかし見始めると違和感がある….そういえばファジアーノの試合の生放送を見るのは初めてだった.県外の人にはJリーグ昇格というのは本当にうれしい.

 試合は一方的な展開になると思っていた.しかし実際は一進一退という表現が良いだろうか?さすがに個人レベルでは仙台の方が上だった.しかしファジアーノもFWからの献身的な守備により効果的にボールを奪い何度もチャンスを作れていた.
 問題は開幕戦で体験できなかった11人での90分だった.そしてやはり後半時間が過ぎると共に足が止まり始め,押し込まれる時間が増えていった.それでも無失点に抑えられたことは収穫だろう.


 開幕からの2試合.守備では成果を出した.しかも昇格候補に挙げられる甲府と仙台に対してのこの結果だ.オフの間に昨年不安定だった守備陣の強化を行った結果が出ていると言って良いだろう.
 これはDFの成果というより,チーム全体への守備戦術の浸透という方が良いだろう.前からプレスすることによりパスコースが限定されることで,後ろも守りやすくなる.逆にそうしないといくらDFが優秀でも守りきれない.
 もちろんDFのレベルアップもある.昨年途中加入の金がチームに馴染み,守備の良い澤口がSBに入った.昨年レギュラーの木村を欠いていながら自信を持ってプレーしているように見える.

 対する攻撃は2試合で無得点.攻撃的チームと言われた昨年とは大きな変わりようだ.原因の一つはJ2のDFのレベルの高さだ.特に対戦したチームはJ1昇格を狙うようなチームなのだから無得点は責めるべき対象では無いだろう.
 ただこのレベルにFW陣が対応する必要があるのも確かだ.J2に慣れている西野はともかく,まだ慣れていない喜山は少しシュートの場面で慌てているように見える.それ以外の場面では物凄い可能性を見せているだけに,最後のところでの落ち着きが出せるように早くなって欲しい.

 ただ昨年より攻撃の組み立てができていてチームとして相手を崩せている.昨年のようにFWが孤立しているわけではない.一つ歯車が合い出せば昨年のようなことも有り得るのではないだろうか?
 ただカウンターの精度,スピードはもう少し上げたい.ちょっと手数をかけすぎだろう.オートマティズムが不足しているように思う.

 あと怪我の功名と言うか,臼井が出場停止,小林康の体調不良,野本の負傷によりこの2戦で妹尾,小林優,植田が出場機会を得ることができ,そして彼らが安定したプレーを見せたことは収穫だろう.また玉林や関口もベンチ入りできるなど,Jの雰囲気を多くのメンバーが早く感じられたのは良かった.


 という試合.J1経験チームとの連戦で2引き分けで勝ち点2というのは上々の出来だ(さすがに昨年のように上位に連勝は無理だったが).他の昇格チームと比べても厳しい対戦相手だっただけにこの結果は前向きに捉えるべきだろう.想像以上に良いチームに仕上がっていると思う.
 また観客数も平均8000人と上々の滑り出し.これから減っていく一方だろうけど..


 というわけで勝手に採点.

西野(5.5)期待しているものはもう少し上.
喜山(6.0)フィニッシュに力を.
川原(6.0)フィニッシュに絡んで欲しい.キープ力は見せた.
妹尾(5.0)仕掛けるタイミングを読まれた.パス,シュートの精度も低い.
小野(6.5)豊富な運動量とタイミングの良い飛び出し.
保坂(6.5)攻守にわたり絶妙な仕事.
尾崎(5.5)守備に追われる日だった.
澤口(5.5)攻撃に絡む時間を増やしたい.
野本(6.0)負傷までは安定したパフォーマンス.
金 (6.5)この日は荒削りさもなく.
李 (6.5)MOM.この2戦を自信にして欲しい.

植田(6.0)G大阪出身は伊達じゃなかった.
小林優(6.0)あんなにクロス巧かったっけ?今後に期待.

第2節

2009-03-18 20:00:46 | Sports:football(J)
G大阪と磐田

 前節大敗した磐田とゼロックス以降上り調子のG大阪.試合はG大阪が優勢なのは確実だがこの日の彼らにはACL疲れがあった.全体的に動きが少なく連携も良くない.それでもこの日初の先発コンビを組んだレアンドロとチョの迫力は満点だった.
 逆に磐田は想像以上に悪かった.ジウシーニョが1人気を吐き,というより1人で戦っていた.非常に良いパフォーマンスをしていたが周りがあれでは.磐田はチームとしての攻撃の意図は全く見えず,数少ないカウンターのチャンスを生かすことしか期待が持てなかった.

 そして出た結果は順当なものだった.それでもこの日のG大阪に対して4失点は酷い.対するG大阪の代表は遠藤にしろ橋本にしろ安定したパフォーマンスでゲームを組み立てていた.明神と二川の不在を感じさせないプレーだった.
 ただ両SBにはまだまだ改善の余地があるだろう.安田は右からのクロスの精度が低いし下平は全体的に精度が低い.そんな彼らがいたのに磐田は攻撃の手がかりさえつかめなかったのは重症だ.

 あとこの日デビューの大塚は決めなければいけないシュートを外した.あぁいったところが大物との差になるのだろうか?まぁまだ18だけど.選手としての大きなチャンスを逃した感がある.


神戸と川崎

 今年の神戸は開幕前に主力FWが抜け,開幕戦で助っ人2人とも怪我で離脱してしまうという,最悪のチーム状態.もしこの日負けようものなら早くも降格という文字が頭をよぎりそうだ.対する川崎もプレシーズンから調子が上がらない.神戸のような相手から勝ち点を奪いたいところだった.

 試合は驚いたことに神戸の内容が思ったより良かった.チームは連動して守備し,そして攻める.飛びぬけた選手のいないチームのあるべき姿だろう.いいチームになっているように見えた.
 対する川崎は飛びぬけた選手ばかりで,彼らの個人能力に頼る部分が目立った.そこに両SBの不安定さが加わりチームとして機能していないように見えた.

 しかし先制は川崎.得点はまさに個の能力という感じだった.神戸はチャンスがありながら決定力不足.個の能力の差はこの辺に出るのかな?と思っていた.しかし後半に入り神戸がシステムを変更したことが当たった.優れ者といわれる監督の本領発揮だろうか?
 勢いに乗って逆転し,最後は押し込まれながらも守りきって今季初勝利.逆に川崎は不安の残る敗戦だった.


 しかし須藤,松橋という2人は久しぶりの得点.元々能力が高いだけに助っ人不在の穴埋めが出来るかもしれない.それ以上に助っ人の穴埋めを見事に行い,そして試合中の選手交代策も見事に決めた神戸の監督は,本当に良い監督なのかもしれない.1年以上得点していない選手を出して結果まで残したのだから.

 対する川崎はこのままでは今シーズンは低迷するのではないかと思わせる開幕からの3戦だ.前の4人は確かに凄いがフッキのようなデタラメな凄さではない.このままでは「前の監督の方が良くなかった?」と思われてしまいそうだ.ここで手を打たないと.

ACL GL第1節

2009-03-15 00:35:44 | Sports:football
G大阪と三東

 試合はほぼG大阪が支配.実力差はかなりのものだった.G大阪はいつものようにポゼッションサッカーをかなり自由に行っていた.特にレアンドロが裏へ,2・3列目の間へ,とうまくポジションを取り攻撃の起点となり続けた.
 実力差はロングボールにも出た.相手のクリアは本当に前に蹴りだすだけ.J1のチームでは有り得ないレベル.対するG大阪はクリアもつなぐことを意識したもので相手にボールを与えないサッカーを続けた.

 そしてレアンドロが先制.昨年足りなかった1ピースを彼が十分に埋める存在であることはJリーグの開幕戦とこの試合を見るだけで十分に分かった.先制後も相手は人数をかけた攻撃はできず防戦一方.追加点を早めに奪い試合を決めてしまいたかったがそれはできなかった.というのもレアンドロと周囲の連携が十分では無かったからだ.個々のできは良かったのだが.
 後半はしばらく相手のペースになった.しかしG大阪は格が違った.相手が攻勢に来ても決定的なチャンスは与えなかった.そして追加点を奪い試合を決めた.

 この日気になったのは安田のクロスの精度と橋本の疲れ.特に橋本は全体的に切れが無かった.
 あと一つ良かったのは相手サポーターの声が聞こえてきたことだ.あの国の応援はアジアカップや五輪で大嫌いなのだが,ACLが発展していくには日本だけでなく各国で盛り上がりが欲しい.そう考えると相手サポーターの来襲というのは歓迎すべきだろう.そこまで注目されていることの証明なのだから.
 あと中国チームのくせに思ったよりラフプレーが少なかった.半島にある国基準になってしまっているのかも.

 というわけで核の違いを見せ付けた3-0の勝利だった.


名古屋とヒュンダイ

 ACL初登場の名古屋.しかも舞台はアウェイ.そんな不慣れな状況で名古屋がどう戦うかが見ものだった.特に国際経験豊富な選手も少ないこのチームはかなり未知数なところがあった.
 試合序盤は名古屋はそれなりに攻撃ができた.しかしあの国らしい肉弾戦を挑まれ徐々にペースを失った.さらにFWが起点になれず中盤は動きが少ない.多少疲労もあるのだろうか?
 しかしあの国は理解しがたい.あれ程代表が人気があるのにクラブチームではこの日のようにガラガラのスタンド.相手が宿敵日本にも関わらず.あの場で戦っている選手は何を励みにしているのだろう?

 そして彼らは肉弾サッカーだけならともかく,自分たちは競り合いで大袈裟に倒れファールをアピールするという見るものが不快になるだけのサッカーだ.こんなんだからこそ客が入らないのか?嫌な見世物だ.

 試合は名古屋が主導権を握れないまま先制される.その流れは後半になっても変わらない.こんなときはセットプレー頼み.そう思った矢先にセットプレーから得点.そんなこともあるもんだ.その後は名古屋の動きが変わる.全体的に動きが生まれ多少マシなサッカーになった.
 結局名古屋はセットプレーのみで3点を奪い逆転勝ち.名古屋の左SBは面白い存在になるかも.あと相手の10番は来年くらいに日本にいるのかも.あと楢崎が復帰して無かったらどうなったかと思わされる試合だった.


鹿島と水原

 Kリーグのビッグクラブらしい水原.確かにJ2並みの観客はいる.そのビッグクラブに対するのはJリーグチャンピオン鹿島.しかし彼らは「内弁慶」と一部で言われているようにACLでは結果を残せていない.昨年はG大阪が全く寄せ付けなかったアデレードに敗退.今年こそ汚名返上したいと思っているはずだ.
 試合は相手は3バック.だったらゼロックス同様両サイドを攻めれば攻略は簡単かな?と思ってみていた.しかし実際は水原は5バックだった.ラインは低く攻撃は3,4人でという,昨年までの浦和のようなチーム.

 鹿島のサッカーは相手に合わせるリアクションサッカーに近いものがある.そういうサッカーはこういう風に後ろ荷重のチームにはかみ合わせが悪い.それはこの日もそうだった.そこにかの国特有のバイオレンスサッカー.鹿島は彼らの行動に腰が引けてしまった.

 そして無残な1-4の敗戦.Jリーグチームもわざとこういうサッカーをやるチームがあってもいいんじゃないかな?と思わせた.ただビッグクラブがあのサッカーでは恥ずかしいが.


川崎と天津

 この試合は流してみたので簡単に.相手にはトンマージという選手こそいるが全体としてレベルは低い.対する川崎は4-2-4というスタイルになり,どうしても後ろと前の距離が開きバランスを崩す.結局は前の外国籍選手4人の調子次第になってしまいがち.

 この日も例外ではなく,勝利こそしたが常にちぐはぐした攻撃が繰り返された.トップレベル以外の海外リーグってこんな感じなんだろうと思わされる攻撃陣の連動のなさだった.日本では特殊だし,こういうチームもいいんだろうけど,アジアでトップのリーグを目指し,欧州と肩を並べたいリーグならこういうチームが勝てないようにならないと駄目かもしれない.トップレベルから落ちたリーグという証明になるし.


 という4試合.G大阪は確実に決勝トーナメントに行くだろう.その他は次の試合次第か.

初舞台

2009-03-13 01:46:25 | ファジアーノ岡山
 J2も開幕,そしてファジアーノのJリーグも開幕した.「岡山にJリーグを」という岡山サッカー関係者の夢が2度目にして結実した日だ.

 Jリーグともなると試合はスカパーで生で見られる.地域リーグ時代やJFL時代とは比べ物にならない良い環境だ.当然加入済み.しかしさすがにこの日は関西から現地まで足を運んだ.

 岡山の盛り上がりを見るため駅から歩く.NHKのビルにはフラッグが掲げてあった.ちょっと感動.しかし西口からの道中にはポスターは増えたもののフラッグは激安チャリの店にあっただけ.自治体は全面バックアップと言うくらいなら,フラッグを通りに掲げるくらいはしてくれてもいいんじゃないだろうか?(サッカーだけじゃまずいならシーガルズと並べてでもいいし).これで上がる評判を考えれば安いものだと思うのだが.
 ただスタジアムにはかなりの人がいた.S席に大きな空席があったので記録更新とはいかなかったが10500人(!)という今節のJ2で2位の観客数を集めていた.これをご祝儀じゃなくさなければならないのだが.
 この日も昨年のホーム最終戦同様スタジアムで演出があった.ただJFL基準では感動したエンジ一色のスタンドやビッグフラッグも,Jリーグでは珍しい出来事では無いので感動は薄かった.Jリーグに参入することは全ての面で基準が上がるということを改めて感じた.


 ここからは試合について.ファジアーノは新加入の西野,保坂,澤口が先発.それ以外はJFLを戦ってきたメンバーというのは感慨深い.ちなみにJ初出場は7人.対する甲府は見慣れた名前が並ぶ.元代表もいる.やっぱりここはJリーグだ.
 試合の見所はそんなファジアーノの選手,サッカーがどれだけ通用するか?ということ,新戦力がどの程度効果的か?,喜山はJ2でもスペシャルな選手に成り得るか?という3点だった.

 まずは新加入選手.西野は想像通り体が強く昨年までに無かった前での起点として十分に機能していた.もう少し積極的にゴールを狙って欲しかったというのはあるが.保坂はかなり効果的だった.ボールを散らし前へ飛び出す.運動量も十分.とても良い補強だ.そして驚きは澤口.人に対する守備が非常に良く,マラニョンを機能させなかった.

 そして試合.開始直後からファジアーノが攻勢に出た.甲府は全体的にコンディションが良く無かった.藤田にしろ林にしろトップコンディションとは思えず明らかに運動量も少なかった.そのためか思った以上にロングボールが多いことには驚いた.
 そんな中で良かったのはダニエルと途中交替の美尾.特に美尾は後半の劣勢を決定付けた.

 内容としては前半はとにかく新しいファジアーノを見せられていたと思う.攻撃は以前より前でパスをつないで崩す攻撃があったし,そこに保坂と小野が前へ飛び出すことでチャンスを拡大していた.
 そして特筆すべきは全体の運動量.本当によく動けていて試合の序盤の主導権を握れた大きな要因となった.
 また守備も昨年とは比べ物にならない安定感だった.やはりコーチにDF出身者が入ったことが大きいのだろうか?どこか自信に満ちたプレー振りだった.あと全体的に声が出ていたのも良かった.

 このように期待を持てた試合だったが前半ロスタイムの無理をする必要の無いときに臼井がやたら強烈なスライディングで一発退場.経験の少なさが出た場面だった.
 この退場は痛すぎた.それは1試合通してチームがプレーできるかどうかをこの初戦で確認できなくなったことに加え,調子の悪い甲府から勝利を奪うチャンスが殆ど消えてしまったこと,この日来場した多くの初観戦者に45分間期待感を持てない時間を経験させてしまったからだ.このプレーは後から響くことになるかもしれない.

 憂鬱なハーフタイムのあとの後半は予想通り一方的な展開.守りきったことには価値はある.昨年なら終了間際に失点していたところだろう.そんな中気になったのはカウンターの質の低さ.シュートで終わるよう意識を徹底させたいところだ.

 そして最後に喜山.J2では十分に通用するところは見せていたが,それ以上かどうかは,退場もあったしマークもきつく無かったので判断は難しい.けれどその片鱗は見せていた(J'sGoalでベスト11に入っていたし).
 全体的に少し劣っていてもスペシャルな選手が一人でもいればJ2なら可能性がある.少し期待の持てた開幕戦だった.


 しかし応援は甲府に比べて声が小さかった.やっぱ年季が違う.あと運営だがスタジアム周辺の人の誘導はもう少し気を使ったほうが良いだろう.53号を横断する人が多いし.迎えの車の路駐も論外だ.そういえば神戸で見に行ったときは地元警察も協力してた記憶があるが岡山はしないのか?不要な取締りで忙しそうだし.


 というわけでプロになったので勝手に採点をしてみたい.

西野(5.5)もう少し決定機を作って欲しかった.
喜山(6.5)後半もゴール近くでのプレーが見たかった.
川原(5.5)足が止まるのが早すぎた.判断の遅さも気になる.
臼井(3.5)余りに軽率なプレーだった.
保坂(6.5)安定したプレーと豊富な運動量.
小野(6.0)昨年終盤のできの悪さが信じられない.
尾崎(5.0)守備は遅れ気味,攻撃もいいところ無く.
澤口(6.0)もう少し攻撃に絡めれば.
金 (5.0)冷静さを欠くプレーはカードをもらうだけ.
野本(6.0)多少怖い部分もあったが無失点は上出来.
李 (6.5)MOM.セービングはさすが.ハイボールは相変わらず.

小林(5.5)流れを変えられなかった.
妹尾(5.0)シュートは相変わらず.ドリブルの見せ場無し

09年開幕

2009-03-10 22:23:03 | Sports:football(J)
 Jリーグが開幕した.今年も関西勢を中心に色々と書いてみたい.

千葉とG大阪

 G大阪は先週のゼロックスで醜態を晒した.しかしそんな中でも4バックに戻した後半は彼らが十分に戦えるチームであることを示していた.そしてこの日はその4バックにレアンドロを加えたメンバー.昨年からの穴であったFWのピースが一つ埋まった.
 レアンドロの持ち味はスピード.裏を狙いゴールする能力はJでもトップクラスだ.それに加え彼はパスも出せる足元のうまい選手.彼の移籍はG大阪がどこまで強くなるか楽しみに感じさせるものだった.
 対する千葉は戦術を前からプレスするものに変わっていた.この日は試合開始直後から鋭くG大阪に迫った.ただ昨年までの神戸や柏というようにJにはこういうチームは少なく無い.G大阪は慣れているだろう.そしてこの手のチームは大体ペース配分が出来ないで後半に失速する.


 この日のゲームはG大阪がどれだけプレスを凌げるかで試合が決まるように感じた.しかしG大阪のチーム力は千葉を十分に上回っており,凌ぐどころかショートパスでプレスをかわして試合を支配した.すぐにゴールが奪えなかったのはレアンドロがチームにまだ馴染みきっていないという理由しか無かった.

 そしてこの試合の転機が前半にきた.加地の負傷交替だ.これにより今年のG大阪の本当の攻撃陣のお披露目(二川抜きだけど)となった.チョの投入だ.清水にいた頃の彼を見ればレアンドロ同様に強力な補強というのはすぐに分かる.しかもG大阪に大きく不足していた高さが補われたのだから,それは反則としか言えない.
 チョの入った後のG大阪の攻撃の迫力は好調時の川崎を上回るような雰囲気だった.まだFW2人が馴染んでいないにも関わらず.Jリーグ屈指の中盤がJリーグ屈指のFWを手に入れたのだから当然だ.これでチョにクロスが入るようになったら…,と思わされた.
 試合はその後予想通りレアンドロが見事に先制し,後半には明神,そして高さを生かしてチョがゴール.後半途中に足が止まった千葉に反撃の余力は無かった.

 千葉もそこまで悪くは無かった.深井と巻の2トップは脅威だし,中盤も悪く無い.結局この日は決定力の差だったのだろう.GKもちょっと…,と言う気はするが.

 という試合.G大阪は良いところにいくだろう.千葉も昨年よりマシだろう.しかし千葉は客がよく入る.いいスタジアムとサポータが似合うチームになって欲しいものだ.


鹿島と浦和

 浦和サポータにすれば今年ほど開幕が待ち遠しかった時は無いだろう.昨年内容も結果も良くなかった.クラブ全体に暗雲が漂った.それをドイツから来た監督が立て直そうとしているという噂.その噂が本物かどうかが確認できるのだから.

 試合開始5分で浦和が変わったことは分かった.まずパスが短い.そして複数の人が動く.少し期待させる内容だった.しかしその間にも脆さを見せていた.攻撃的なのは良いが行きっぱなし.ボールを奪われたあとその様子を(わずかの時間だが)眺める選手もいた.こういった染み付いた習慣は簡単には取れない.
 そして浦和の新システムも馴染みきっていなかった.染み付いた3バックから4バックに変えDFからビルドアップするが,当然慣れていない上,それを担うのが足元の弱い坪井.鹿島と比べれば明らかに劣るチームの成熟度.鹿島にしてみれば2年落ちのG大阪と戦うようなもの.確かに浦和には選手の力はあったがそれでも戦いやすい相手だったろう.

 鹿島の攻撃はヒディンク風に言えば「コレクティブカウンター」といえば良いだろうか?ラインの高い浦和の裏をロングボールで突く攻撃が多くを占めた.そこで彼らは戻りの遅い浦和の選手よりも多くの人数で攻撃し決定的場面を何度も作った.そしてその攻撃は浦和の足を奪った.後半早々に浦和の足は止まり2得点目は選手の心から自信も奪った.

 正直なところ浦和は期待外れだった.新監督がよくいる助っ人選手と同じようにJリーグのレベルを測り違えていたのでは無いか.Jリーグはスピードのあるリーグと言われる.それは瞬発力だし切り替えの速さだ.そこへの対応が全く出来ていなかった浦和を見ると,1月から始動したとは思えないほど仕上がりが悪かった.
 ただし期待させるプレーもいくらか見えた.浦和のようなビッグクラブがこういったアクションサッカーになることは日本サッカーにとって素晴らしいことだ.
 ただ彼らは新しく手に入れたものもあるが捨てたものもあることを忘れているように見えた.それは強固な守備だ.攻め終わった後に守ってくれる選手の数はこれまでとは大きく異なる.体に馴染んだその感覚をどれだけ早く捨てられるかが今季の浦和の行方を決めるように思う.

 ちなみに先発した17歳ルーキー.それだけで賞賛ものだと思う.もう少し前でプレーして貰いたかったことと,ゲームを眺めている時間も多かったことが課題か.あと運動量はもう少し欲しいところだ.まぁこの組み合わせで出場できるだけでも凄いことだが.



 という2試合.今年は鹿島と言われるがG大阪はかなり侮れない存在だろう.まぁ遠藤が出場する前提だが.しかしJリーグは国内で過小評価されすぎだと思う.あの観衆とあの試合のレベルは相当なものだと思うが.

今季展望

2009-03-04 22:00:48 | ファジアーノ岡山
 今季よりJ2で戦うことになったファジアーノ岡山.クラブ創設から5シーズンで県リーグからプロリーグのJリーグ2部まで駆け上がってきた.このように残してきた輝かしい結果ほど未来は明るく無い.
 もしファジアーノが親会社の強力なバックアップに支えられたクラブならこの結果は手放しで喜べた.しかし親会社は無い.そして余りに成長が早すぎたため地域への地盤も固まりきっていないので,自治体も他団体の建前もあり全面バックアップできない状態だ.
 このように親会社や自治体の強いバックアップが無いクラブには,今季から参加するJ2の華やかな舞台は非常に残酷な舞台になりかねない.

 もちろんスピード昇格が悪いことばかりではない.プロスポーツ不毛の地の岡山に僅かに生まれたJリーグへの熱が醒める前に昇格できたのは幸運だった.それに加え降格制度が無い時期に昇格できたのも幸運だった.クラブはこの期間をクラブの地盤固めに利用できるからだ.
 つまりクラブが上を目指すならば,この幸運を利用してクラブを発展させなければならない.つまり今年から数年間のクラブ運営は非常に重要になる.

 この期間に取り組む最重要課題はクラブ運営資金についてだ.クラブの平均予算はJ2では12億だがファジアーノは5億.J2最下位クラスだ.資金が成績に直結するのがプロリーグだ.

■弱いながら発展するには?

 ではどうやってこの課題を解決するか?いくら岡山初のプロスポーツチームとは言え2部リーグ下位が予想されるクラブが簡単に資金を集めることなどできない.もし強くなれば注目が集まり資金も集まるかもしれない.しかし現有戦力で上位争いに加わる可能性は極めて低い.そんな可能性に頼ってクラブ運営などできない.
 つまりファジアーノは今後数年間「弱いながら資金を得る」という非常に困難な作業を行わう必要がある.

 ではそんなファジアーノが資金を集めるにはどうすれば良いか?それは「企業がどんなところに金を払うか」ということを考える必要がある.答えは単純で「人が集まるところ」「人が注目するところ」だ.
 ここには必ずしも「強さ」は求められない.それどころか強くてもガラガラのスタジアムのクラブには魅力は乏しい.クラブはここに僅かな可能性を見出すことができる.
 つまりスタジアムにできるだけ観客を呼んで注目度を高める必要がある.それは企業からのスポンサーシップを生むだけでなく観戦料収入の増加にも繋がる.結果的に資金の底上げが進みクラブの体力強化が進むのだ.


■人を集めるクラブ

 上に書いたように強さは必要ではない.しかし敗戦ばかりのチームの観客が増えるはずも無い.だから強さが望めない今季は利用できるものは全て利用しなければならない.
 特に今季は「J2昇格」というご祝儀を最大限に生かすべきだ.このご祝儀が効果のあるうちにできるだけの策をとり,1人でも多くの固定客を増やす必要がある.現在固定客は3000人程度.今季はその倍増を狙いたい.アウェイサポータ含めて7000人を平均動員の目標にしたいところだ(この数字の厳しさは分かっているが).

 観客を増やす手段の一つは現在の固定客を利用することだ.彼らは自発的にクラブを応援し支える気持ちを持っており,一人一人が営業マンとして活動する素地を持つファンだ.だからクラブは彼らが新規顧客を連れて来やすい環境を整えることが大事だろう.
 例えば新規同伴者割引とか,観戦回数に応じて新規同伴者を無料にするなど.企業の販社へのご褒美みたいな感じで.

 その次に狙うのは「以前から存在は知ってて興味はあるけど,スタジアムはちょっと・・・」という消極的なファンだ.彼らも自ら情報を集めているコアなファンになる素地のある人たちだ.
 当然だが岡山にはスポーツ生観戦に不慣れな人が多い.彼らはそういった部類の人だと思う.「1人で行くのは恥ずかしいなぁ」という人もいるだろうし「いい年してサッカーを見に行くのもなぁ」というのもあるとおもう.ネットを使えない世代は「試合がいつか分からん」とか「どこでやっとるんか知らん」とかいうのもあるだろう.更には車社会の岡山では「駐車場はあるんか?無いなら嫌じゃのう」というのもあるだろう.サッカーに偏見がある人は「みんなあんなに跳ねるんか?」「ユニフォームは着にゃおえんのか」とかもあるかもしれない.

 だからこそクラブはこの種の人がスタジアムに集まりやすい状況を作らなければならない.例えば「観戦ガイド」なるものを作るのも1つの手だ.何にしろ不慣れな人でもその気になったときに行き易い状況を作ることが大事だろう.
 そして作ったものはHPだけでなく,冊子にしてスポンサーの店頭などに置いてもらうなどして広く目に触れるようにすべきだろう.

 他の集客手法としては,地域イベントなども良い機会になる.特に大事なのは,一方通行のまま終わるのでなく,イベントによる効果をクラブが示すことだ.共に1つのイベントを作り上げ,そしてそれが成功に繋がったと感じさせ,クラブとの距離を近づけることが最も大事だ.


■クラブ最大の武器

 このように多くのことを書いてみたが,最も大事なのは選手の努力だ.彼らが試合で最後まで諦めず立ち向かう姿を見せ続けることが最も重要だ.いくらクラブが努力してもチンタラプレーする選手がいたらその時点で全ては無駄になる.
 相手はファジアーノにしてみれば殆ど「ビッグクラブ」.そんなクラブ相手でも「ひょっとしたら」と思ってもらうことが非常に大事だ.クラブの多くの努力より,選手のひたむきな姿の方が数倍感動を与える.幸いこのクラブにはそれをしっかり理解して戦っている選手が多いので心配はしていないが.


 結局はクラブ全体で戦わなければ未来は開けないということだろう.それはJリーグ全体の傾向でもある.今強いチームは総じてクラブ全体の力が強い.どこかがサボると結果は残せない.それをファジアーノも忘れないで欲しい.


 ということで彼らが明るい未来を見せてくれることを期待して開幕を待ちたい.