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JFL第8節TDK戦

2008-08-29 00:39:02 | ファジアーノ岡山
 久しぶりにファジアーノのことを書く.決して「勝つまで書かない」とか考えていたわけではなく時間が無かっただけで.

 ちなみに書いていなかった間のことを簡単に書くと,岡山ダービーは相手が一人少なくなった後の得点でなんとか勝利.陰陽ダービーは終了直前の失点で敗戦・・・.ここで変則日程のため2週間以上の空き.本当は勝って休みたかったところだが,長期の休みで心身リフレッシュできたことを考えると負けたのがこの日で良かったとも思える.あのまま連戦だと連敗もあり得ただろう.
 リフレッシュ後の印刷戦は「過去最低の出来」という評価の0-0の引き分け・・・.リフレッシュ効果でも引き分けがようやく.ただ上位チームや追い上げてくるチームがもたついてくれていたおかげで4位.良いのか悪いのか.


 そしてこの日のTDK戦.もちろん秋田に・・・,行けるはずも無く(週末なら秋田にいたのだが),試合経過を速報で見るのみ.この日の試合でようやく正規の試合数に戻る.TDKは2年前の地域決勝,今年の前期と敗戦した因縁のチーム.もし2年前彼らに勝っていればもうJ2にいたかもしれない.来年「あの時勝ってたら昇格してたのに」と思わないためにも絶対に勝ちたい試合だった.

 しかしいきなり先制される.木村が入ると落ち着きが足りない気がするのは気のせいか?このところの試合で得点を取れていないことを考えると非常に悪い試合の入りだった.
 しかし直後に喜山が同点ゴールをあげその悪い空気を一掃する.このゴールはこの試合だけでなく今後の試合にとっても大きな得点だった.というのもボランチコンバートという劇薬を飲んで以降彼は明らかに調子を落としていた.鳥取戦でバー直撃のシュートの後,ボールが生きているにも関わらず目を離してしまったシーンなどは彼が如何に精神的に調子が良くないかを示すものだったと思う.しかしこの日「自分で何とかしてやろう」と思い,そして本当にそうできたことは彼の調子が戻りつつあることを示すものだろう.
 後半相手の退場もあって試合を押し続け,小林康のゴールで逆転勝ち!この結果により首位と勝ち点差5の4位となった.ようやく首位争いに戻ってこれた.まぁ6位との勝ち点差も6しかないが.


 勝つには勝った.しかし先制され,1人少ない相手からなんとかゴールを奪う状況に不安になる人もいるだろう.ただ今の状態は決して「不調」では無い.その証拠に失点はシーズン当初よりかなり減っている.確実に守備力のベースは上がっている.ゴールが決められないのは相手が研究してきているためだ.
 相手がファジアーノの速攻主体の攻撃と強力2トップに対し,引いてスペースを潰し2トップへきっちりとマークをつけて対応している.なのでポゼッションできるがゴールが遠く見ていて不完全燃焼の試合が続いているとおもう.そこに更に喜山の不調が重なり最後のところの個人技で相手を制しゴールすることができなかった(ここのところ試合に行けてないので刈谷戦を見た上での想像だが).

 ただこれはファジアーノだけに起きている現象ではなく,その他のチームも研究され抑えられてきている.上位チームの成績が伸びないのはそのためだろう.つまり「研究すれば抑えられる」レベルの選手しか今年のJFLにはいないため現在のような混戦を招いているのだろう.
 しかしこの日の喜山のゴール.ファジアーノは研究してきた相手を制する個人技を取り戻した.そういった技量を持つ選手を2人抱えるのはファジアーノだけだろう.次の試合で彼の復活が本物となると喜山,小林という2人の相乗効果+開幕当時より上がったチーム力が機能する姿を見ることができるようになるのでは無いだろうか?残念なのは次の試合で1ヶ月リーグ戦が空くことだ.


 勝ち点差5.残り9試合.「昇格」だとか「優勝」だとか.シーズン前には全く予想もしていなかった.多分最終節までどちらかを争って戦っているだろう.その喜びを感じて応援したいし戦って欲しい.

五輪女子サッカー3位決定戦

2008-08-27 00:35:07 | Sports:football
 ドイツとの対戦.相手は世界タイトルを取っているチーム.ただこの試合まで試合を見たことは無かった.だから実績だけ見て「まぁ負けるだろう」という感じで試合を見た.

 その試合は内容は日本が間違いなく上だった.アメリカ戦以上に選手が動きボールも人も動く.こんなところでオシムサッカーを見るとは思いもしなかった.日本はこの大会で最もボール扱いのうまい国だったのではないだろうか?
 しかし攻めながら点を取れないのも日本.そしてこの傾向が続くと負けるというのはサッカーを見ている人なら頭をよぎる.事実ドイツは動かないが攻めると決めた瞬間のスピードは凄かった.疲労を考えた上でのドイツの作戦だったのだろう.

 この日良かったのは原.非常に献身的なプレーをしチームを助けた.そして1点ビハインドの中彼女が足を攣って交代したことはチームの勝利から遠ざかったことを意味した.気になった選手は宮間.怪我の影響もあるのだろうがミスした後にプレーが止まることが多い,つまり攻守の切り替えが遅い.それにより周囲の選手が余計に走ることになりチーム全体の体力を落とす形となった.

 2失点めで勝負は決まった.後半20分くらいに足が止まり始めていた日本には余りにつらい失点だった.相手の守備陣を崩せていなかったわけではないし,試合も支配できていた.だからこそこの敗戦は悔しいものだった.


 プロ選手がいるとは言えリーグスポンサーさえ見つからいような恵まれない環境で戦う彼女たち.しかも男子以上に世界とのフィジカル差は大きい.競技人口が多くないとは言え決して少なくも無い(野球やソフトより余程多い).そんな中で得た五輪4位という称号.この五輪で日本選手が残した数少ない偉業の1つだ.この価値は計り知れない.
 ただ残念なことにスポーツを知らない人にとっては単なる「メダルなし」にしかならない.それも含めてこの敗戦は悔しいものとなった.


 日本女子の示した日本サッカーは間違いなく大きな可能性を秘めていると思わせた戦いぶりだった.近い将来何らかの大きなタイトルをとる可能性も感じさせた.4位という結果の凄さを何とか日本企業に理解してもらい,この可能性を伸ばす手伝いをしてくれる人が増えてくれれば.このままというのはこの偉業に対して余りに失礼だ.

 久しぶりになでしこリーグも見に行こう.

五輪サッカー女子準決勝

2008-08-21 01:28:50 | Sports:football
 ベスト4でメダルを争う戦い.そんな場に日本がいるとは・・・.初戦,第2戦を見る限り全く想像しなかった.残念ながらノルウェー,中国戦は45分程度+ダイジェストしか見ることが出来ず日本がどの程度調子を上げたのか?それとも相手が弱かったのか?というのはよく分からない.しかし第2戦での米国との戦いを見る限り,この準決勝で日本が勝つ可能性など想像できなかった.
 なのでスーパーサッカーで「米国ならチャンスがあります」などと楽観的な発言はちょっと浮つきすぎのようにも感じた.

 第2戦を見て日本が勝つ条件を考えてみた.まず相手がアジアへの長期滞在で疲れていて,なおかつ調子が出ておらず自信を失っているという前提で,日本が過去最高のパフォーマンス,特に運動量で相手を圧倒するという状況だろうか.かなりレアケースだ.何にしろ相手のパフォーマンスが第2戦より落ちていないならば,延長に持ち込んで相手のパフォーマンスが落ちるのを待つしか無いのではないだろうか?そんなことを思っての観戦だった.


 試合は日本がペースを握る.積極的なサッカーは相手を怯ませるだけの力があった.好調といわれる理由も分かった.ただそんな中でも目立ったのはミスだ.特に簡単なパスをミスする回数が多かったのが非常に気になった.それはアメリカに対しては致命的だ,とも思った.
 しかし先制は日本.セットプレーから近賀の積極的なシュートがゴールを生んだ.正直男子にも見習って欲しい点が多かった試合だ.「ゴールしないと勝てない」というサッカーの原則は間違いなく女子のほうが正しく認識している.ペナルティーエリア内で80%の確率を求めているへたれ男子サッカーよりも見ていて好感が持てた.そしてその意識がゴールを生んだ.

 しかしその後が悪かった.日本は全体がどんどん引き始めた.心理的にも守りに入ってしまった.メダルの重圧というやつだろうか?
 スペースを与え前を向くと米国は圧倒的なフィジカルの差を再度見せ付けた.試合後のコメントでは「前からのプレスを続けるのは厳しい」とのことだったが,あれだけ力のあるチームに攻撃されっぱなしというのはもっと厳しい.どんどん走らされ,そしてどんどん穴を作られた.いけるところまで行って欲しかったというのが見ていた感想だ.

 ちなみに米国は決して調子は良くなかった.その証拠に日本なんかに先制された.しかしメダルへが懸かった戦い.疲れなんていう言葉は全く無かった.高いモチベーションで試合に挑んでいた.その時点で日本が勝つ可能性は偶然以外見つけられなかった.


 アメリカの同点ゴールは前へ守備する左SBの裏を使われ見事に崩された.守り疲れしていた日本は意気消沈し,その瞬間2点目を獲られた.最もまずかったのはリードしている間の攻撃だろう.宮間も近賀も非常に消極的なプレーを繰り返し,そして殆どが横パスをカットされカウンターの速攻をされていた.そしてどんどん疲弊しゴールに近づけなくなっていた.前に行くときはシュートで終わるということさえしていれば前半はリードしたまま終われただろう.


 そして後半はGKを狙われた.レベルが低いとか身長が低いとかいう話ではなく,これが日本の女子の今のレベルだ.日本女子サッカーに揃う人材ではこれが限界なのだ.圧倒的なフィジカルの差.GKの身長.それらは両方とも日本の実力なのだ.女子サッカーのおかれる立場なのだ.彼女たちはその圧倒的な差がある中で立ち向かっているということを忘れないでおきたい.


 結局2-4での敗戦.しかし終了間際に奪った得点は見事だ.本当に男子に見せてやりたいゴールだった.そして荒川がベストコンディションならと同時に思わされた.永里がもう一皮むけていればそんなことも思わなかったのだろうが.彼女はまだまだできたはずだ.
 次は銅メダルを懸けての戦い.ドイツがどんなサッカーをするか知らないが,世界のタイトルを取っている相手ということは知っている.彼女たちがそこでどう戦い,今後にどうつなげるかを楽しみにしたい.

五輪サッカー男子第3戦

2008-08-15 19:43:38 | Sports:football
 文字通りこのチームでの最終戦.相手は前評判の高かったオランダ.しかしオランダはみっともないサッカーをしていた.4,7,10,15番は常に日本からファールを貰うための消極的かつ汚いプレーに終始した.特に15番はかなり汚いプレーの連続.こんなチームが上に行ったところで何の期待も持てないし応援もしたくない.

 対する日本.この日はゴール前に顔を出す選手がこれまでと比べかなり多かった.岡崎が入ったからでなく,本田,梶山が前へようやく動くようになったからだ.ただ普段そういうプレーをしない彼らがいきなり始めても簡単に点を取れるほどサッカーは甘く無い.彼らは力不足を再確認するだけだった.

 結局0-1で敗戦.このチームにこれ以上の結果は望めなかった.


 このチームの長い戦いは終わったが,結局は予選の段階からチームの攻撃方法を確立できなかったことが全てだっただろう.

 アジアレベルにさえセットプレーからアジアレベルでしか通じない高さを生かして得点し勝ち抜いてきた.そんな攻撃は世界レベルでは通用しないのでどうオプションを加えていくか?と思っていたが,予想外の方向にチームは動いた.
 セットプレーのキッカー水野,得点源の青山を外し,そして3バックを捨て青山を捨て.チームは再構築ではなく1から作り直しを始めたのだ.当時から言われていたが,本当に「予選は予選を勝ち抜くためだけのサッカー」だった.反町の目指すサッカーをしていたわけではなかった.日本のスタイルの確立という最も大事なポリシーなど当然無かった.

 これがこのチームが早い段階でバッシングされ,見捨てられた原因だろう.アジア予選のために戦うサッカーがいくら化粧直しをしても世界で戦えるわけが無い.世界と戦うためのサッカーでアジアをどう戦い抜くか?というのが今の日本の命題だ.

 戦術の変更自体は悪くは無かった.5バックよりはマシだったはずだ.しかし時間が無いのにメンバーを変えすぎた.本番ではレギュラー経験の殆ど無い香川,森本が先発していた.更にトゥーロンで調子の良かった梅崎は選考からも漏れ,調子の悪かった本田圭を中心に据えた.
 時間が無い中で不可解な選手選考をしていればチームがまともに機能するはずも無い.そんなことをしておきながら「悔いは無い」と抜かす反町が敗因の全てを背負っていると考えるのが妥当だろう(いや香川や本田の人選に関しては他からの圧力もありそうだが).


 ただ選手に責任が無いわけでは無い(余りに監督の犯したミスが大きすぎただけだ).本田圭は全ての試合で殆ど何も出来ず.それどころかFKを全て直接狙い,その精度が余りに低いため日本の得点源のセットプレーは全て相手へのプレゼントボールになってしまっていた.彼のFKで「惜しい」と思った瞬間が一度でもあっただろうか?ボールが無いと動かないのは復帰したドイツのA代表選手みたいな時代遅れなスタイルだ.
 そしてかわいそうだが梶山.たぶん遠藤が出ていれば彼は日本で五輪を眺めていただろう.そんな選手を出していれば日本は勝てない.いや彼の意地に期待したのかもしれないが,その意識が見られたのは最終戦のわずかな時間だった.

 またJリーグ後世代の彼らは恵まれた環境過ぎた.あのような芝は味スタくらいでしか味わえない.タフに戦うことができない世代になってしまっていた.ただ最も力の出せていない梶山はその味スタをホームにしているのだが….



 逆に五輪の新しい発見は?というとトゥーロンから結果を残していた谷口や森重が期待通りの活躍をしたということだろう.谷口のような戦うタイプのトップ下は現在の日本には合っているということを理解させた.森重はボランチ出身で足元もうまいが阿部よりCBに向いている.この2人の今後の活躍は楽しみだ.

 また変わらず香川,内田は高い評価だ.香川はやはり可能性に満ちている.年上ばかりの中にいきなりレギュラーとして組み込まれて戦った割に,最も可能性をみせた.運動量,スピード,判断力をそれぞれ1ランクあげればどんどん面白い存在に変わっていくだろう.
 内田は最も落ち着き,最も冷静にいつものプレーをしていた.近年これだけ度胸のある選手は少ない.SBとしてまだ海外は厳しいだろうが非常に面白い選手として印象付けられただろう.

 一つだけ残念だったのは豊田の怪我だ.彼が直前に怪我をしていなければもしかすると結果は変わっていたかもしれない(アルゼンチン戦ではボロカスだったが).そのくらい可能性を感じさせた.気が強くふてぶてしいプレーができ,そして高さがあり足元も悪くない.この大会では明らかにチームに入りきれていなかったが周囲との連携が取れ,コンディションも上がっていれば物凄く面白い存在だった.



 このように勝ち点0で黒メダルを3つ頂いて,北京にさえ行くことも出来ず帰国し解散したU-23日本代表.可能性のある選手が多かっただけに指導者,協会により潰された五輪,選手という印象が拭えない.監督が悪いとここまで影響するんだ,と改めて理解した.まぁレベルの高くない日本がどこか内部で足を引っ張れば当然か.
 この大失敗,大失態を協会は反省しなければ年代別代表だけでなく,A代表までぶち壊してしまうかもしれない.幸運なのは今回の元凶の一つ,川淵が表舞台から退いたことだろう.年代別代表と同じように協会も新しい世代が牽引して改革して欲しいところだ.


 そうそう,この大会で「やろうとしたことができた」「自信につながった」みたいなコメントを出した勘違い選手がいるのはちょっと笑ってしまった.勘違いじゃないといいですね.

男子五輪サッカー第2戦

2008-08-11 19:21:03 | Sports:football
 敗退がほぼ決定していて,それを確定させるための試合.前戦で最低の出来だった梶山は細貝に,臆病になった長友は安田に,機能しなかった森本は李へとそれぞれ先発メンバーは代わった.

 試合はアメリカ戦同様日本は思ったより試合を支配できた.相手は連戦の疲れもあるのかペースを抑えているように見えた.正直アメリカ戦で結果を残していたら可能性はあったな,と思わせる試合だった.そして日本の選手のスキルは全体として低くないということも再認識した.
 ナイジェリアの選手は前を向いて攻撃するときには物凄い力を秘めているが,それ以外のプレーの質はとても高いとは言えなかった(少なくともアメリカの方が全体のレベルは高かった).抑えるところをきっちり抑えれば勝てる相手だった.まぁそこが抑えきれないくらいパワーがあったのだが.

 ただ日本の攻撃の迫力不足はいかんともしがたいものがあった.ナイジェリアのような前への圧力は皆無.彼らは何人攻め上がってきていただろうか?対して日本は?どうも日本のMFは名前の通りフィールドの中央を行ったり来たりするのが仕事と勘違いしているように思う.両SBは相手ゴールラインまで走るのに.
 特に攻撃的ポジションの本田圭などペナルティエリア内に何度入って行っただろうか?向かってすらないように見えた.ブレ球?パスがブレているのか?

 対する香川は仕掛けてはいたが悪いピッチに手間取り本来の力を出せなかった.ただ本田と異なるのは国際舞台で前を向いて勝負できていたことだ.前への圧力があってこそ日本のパスや運動量が生きる.本田と同じく敗因の一つだが,彼には希望が見えた.
 ただ失点は香川のミスから生まれた.仕掛けるタイミングの問題,状況判断力だ.そこをもっと正確にできるようになればもう一つ上のレベルになるだろう.悲しいのは,そういう仕掛けがチームとして少ないので,仕掛けたリスクを予測した動きを取れていないことだろう.攻守の切り替えが遅いのか.

 結局攻撃は単発で,試合を支配しながら得点を奪われるというアメリカ戦と全く同じ流れとなった.そして後半,0-2となりほぼ敗退決定した.そんな時に今回のU-23日本代表の最も大きな問題点を見せ付けられた.3人目の投入選手が梶山だったのだ.
 意地でも点を取らないといけない場面.そこで梶山しか駒がいなかった.サッカーを見ている人ならこの場面で完全に「終わった」と思った人も多かったと思う.反町はこういう場面で梶山を投入すると想定して選手選考をしたのだろうか?もしそうなら彼に見る目が無かったのだろうし,そうでないなら彼には本番をシミュレートする力が無かったと言える.こういう日本が最も陥りそうなビハインドの場面の対策が出来ていない.この場面は今大会で最も非難されるべき場所だろう.


 OAを使わなかったことが悪いとは思わない.U-23の中でも適切な人選をできなかったことが大きな問題だった.内田の「軸がいなかった」というコメントは,反町が軸にしようとした梶山が検討ハズレだったことを端的に示している.「全力を出し切った,悔いは無い」と監督はコメントした.当たり前だ.監督は思ったとおりにやれるのだから.しかし選手はどうだろうか?実力を出し切れる状況を監督が作れていたのだろうか?


 正直この世代にはアテネより期待していたからこそ苛立ちは大きい.ベストを出せたとはとても思えないからだ.メンバー選考はOA以外でも混乱していた.最後まで選手を絞りこなせるきれず,そして下した決断は理解できないものだった.谷口,梶山,本田拓,細貝,森重,本田圭(香川も?)とボランチを選手をこれだけ選出した.しかし攻撃的MFのスペシャリストは香川だけだった.こなせる選手も安田と本田圭だけ.これでどう点をとるのか?更には1トップ下に入れる選手も谷口以外いなかった.1トップ主体にしながら.
 今回監督が目指したのは4-4-0-1-1という布陣だったとしか思えない.これで世界と戦えるわけが無い.メンバー選考だけでももっとまともならば・・・.4人もFWがいても孤立してシュートが打てないような布陣ではどうしようもない.2試合でFWのシュートは何本なんだろう?

 そしてもう一つ.水野,家長(怪我だけど),平山,青山,水本,本田圭・・・と伸び悩む選手がやたらと多かったことが気になる.指導者と指導方針にも問題が多かったのではないか?協会はしっかりとした分析をすべきだ.


 結局1-2でこの世代の世界への道は閉ざされた.オランダはアメリカに引き分けた.アメリカに勝っていれば予選突破の可能性はかなり高かったと改めて今回の監督の無能さを見せ付けられる結果となった.

 それでは勝手に採点.

選手(4.5)
監督(2.0)

女子五輪サッカー第2戦

2008-08-10 18:39:00 | Sports:football
 特に書くことは無いな,と思ったこの試合内容.それは実力どおりに米国が勝利したからだ.走力,キック力.それらの差だけ見ても日本との差は明らかだった.ボールのスピードははるかに違うし飛ぶ距離も違う.走っても後ろから追いかけてくる相手に追い越される.まるで大人と子供の追いかけっこ.惨めなくらいの身体能力の差だった.

 結局女子アスリートとして全体のレベルが上がらない限りこれ以上を望むのは厳しいだろう.ただしそれだけ劣った身体能力でできるだけのことはしたし,最良に近い結果でもあったと思う.荒川がベストコンディションなら最初から使いたかった.

五輪サッカー男子第1戦

2008-08-09 01:56:58 | Sports:football
 この試合はこのチームの懸念材料が全て出た試合だった.ゲームメーカとFWの不在.そして直前のテストマッチで見えた本田の運動量不足と森本の連携不足,そして攻撃的MF,特にドリブラーの控えの不在だ.

 暑さに負けて魅力が皆無の省エネサッカーをする米国.前日のNZとは正反対の試合の入り.楽に試合を支配できた日本がすることは,立ち止まったサッカーをする米国を揺さぶって走らせ,そしていち早く点を取ることだった.しかしその得点は遠く,相手を走らせるどころかボールを持たされ走らされていた.

 懸念の一つのFW.森本はFW不足の解決策になるかという期待をもたれていたが,合流の遅れた彼は周囲との連携は結局本番まで合わないままだった.この試合も速攻でゴールに向かうときに度々テンポを狂わせた.ゴール前でのプレーは遅功となったときのみで,当然のようにマークに阻まれ何もすることは出来なかった.

 そしてもう1つの懸念材料「司令塔不在」.この日は深刻だった.プレスのない相手に対しボールは持っているが「回させられている」状態.単調なリズムでサイドに出すのみ.香川のようなアタッカーが攻撃のテンポを変える以外何も出来なかった.
 反町がゲームメーカとして期待した梶山は散々だった.かたくなに中心と言い続けた反町でさえ最初に交代させるほど出来が悪かった.彼は大舞台に弱い.多分日本の綺麗な芝以外では本来のプレーができないのだと思う.本来のプレーでも不足気味の彼から本来のプレーを奪うと,単に走らない中盤の選手に成り下がってしまった.周囲を追い越すプレーは最後まで見られなかった.

 更に他の懸念材料もそのまま出た.本田圭の運動量の無さ.この日もダントツに早く足を止め,そしてプレーの精度も欠いていった.守備をサボり周囲がカバーすることでスペースが空く.唯一の武器のFKも精度が悪い.やたら大きく鍛えた体が逆に体力を奪い,更に悪い走り方がスピードと体力を奪う.


 試合はJ基準の笛を吹く審判にもペースを崩された.アウェイ状態の観客はともかくなぜ審判まで?と2戦連続で思わされた.結局中国だから仕方ない.繰り返される36歳FWの演技をファールとする審判はなぜかエリア内での日本へのファールを流す.ただ悲しいことにその笛が無くてもこの日の日本は「勝っていた」とは言えない内容だったが.
 少なくともこの日の相手は弱かった.個人技は高くなく守備はルーズ.組織だった攻撃もない.それでも負けてしまった.人もボールも動かないサッカーでは仕方ない結果だが.


 懸念のとどめは1点を奪われた後に出た.攻撃的に行くときにFWしか駒が無い.運動量の落ちた中盤に入れる攻撃的な駒がいない.個人技で打破できる選手がいない.どう考えても守備的MFが多すぎる.なぜ誰も指摘しなかったのだろうか?
 ピッチで試合後のクールダウンをするように走る本田圭の姿は見ていられなかった.


 予想通りの試合だったので予想以上の落胆も無い.香川の出来の悪さは予想外だったが.本番では準備の内容が怖いほど結果に出る.今回の準備ではこの結果は仕方ないだろう.
 次も同じような結果だろう.香川の個人技にでも期待する以外ない.3連敗だと黒メダルがもらえたら良いのに.


 では勝手に採点.


森本(4.5)枠内シュートは0か?とにかく機能しなかった.
谷口(6.0)ゴールを決めていれば.フィジカルに優れる相手に対して潰れ役のトップ下は適役.
香川(5.5)ピッチに負けた.精度も低かった.
本田圭(4.0)口だけ.
梶山(4.5)走ることを覚えた方がいい.前半は何をしていたのか?
本田拓(5.0)彼の及第点.
長友(4.5)攻撃しか出来ない相手に守備をさせなかった.どうしてここで臆病になるか?
内田(6.5)1人落ち着いてプレー.顔に似合わず肝がすわっている.
森重(5.5)敗因の一つ.だがプレーは良かった.
水本(4.0)内容より結果と言った限り結果が無ければこの点.
西川(5.5)止めたかった.それでもいいプレーは多かった.

李(5.0)躍動感は出たが.
豊田(5.5)勝負できていたが時間が無かった.
岡崎(-.-)

反町(3.5)
 準備段階で後手後手になったことが本大会できっちりと結果として現れ,そして初戦でほぼ敗退決定という最悪の状況になったことを考えると,これ以上の得点は出せない.
 更に中心とした梶山,本田圭が不振となるなど監督としての手腕に疑問を持たざるを得ない.

五輪サッカー女子第1戦

2008-08-07 23:59:55 | Sports:football
 相手はNZ.残る試合がアメリカ,ノルウェーと考えると勝つ以外にない.スタジアムは色気の無い中国らしい雰囲気.相変わらず日本の相手チームには人気があった.見る側の意欲をそぐこの国の行為は今回の五輪失敗を期待させる.

 試合は序盤15分まで相手にペースを握られる.とは言え日本は決定的な場面を作らせなかった.相手はかなり飛ばし気味にきたのでこの時間を凌げば足が止まるだろう.十分に日本は勝てるだろうという雰囲気だった.
 それにしても日本の試合への入りは悪すぎた.相手のプレスが速いにも関わらず皆ボールを見て止まっている.そのためパスを出すところが限定され,仕方なく長いパスを出し,そして体格で負け失う.アテネの男子の情けない試合を思い出させた.特に左サイドは全く機能せず,日本のストロングポイントになるべき宮間を生かすことは全く出来なかった.

 それに加え沢のプレーも悪かった.大事にすべき場面で変に凝ったプレーをしてボールを失ったり,無理なパスを出したり.ゲームメーカーとして君臨すべき選手があの状態では日本はペースを奪えない.この辺りが男子を含めて今課題の状況判断力という技術の低さの表れだろう.
 それは15分以降に日本がペースを奪って以降も続き,その後も日本が完全にペースを握ることは出来なかった.そして日本ペースに出来なかった最大の要因は大野と安藤だった.崩しきったときにフィニッシュにいけない,決めるべきときに決められない.フリーでもパスを選択する.これを何度も続ければ勝てる試合も勝てない.相手のDFのレベルが高くなかっただけに彼女たちのパフォーマンスは痛かった.

 そして大きな大会でやってはならないミスを近賀が犯す.GK福元の指示も悪かったのだろう.けれどゴール前で周りの状況が分からないなら大きく蹴り出すのは最低の仕事だったはず.この日の日本選手の心理状況を端的に示した動きだった.彼女がミスらなくても,この日の浮ついた日本選手の誰かが同じようなことをしていたのではないだろうか?


 後半は気が狂った審判が試合を動かした.CKのポジション争いで神経質なイエローカード.この時点で彼女はヒステリーを起こしていた.そのCKで誰がどう見てもファールで無い場面で,いや何なら相手チームのファールでもおかしくない場面で,ヒステリックになった審判は日本のファールをとりPK・・・.NZの選手でさえ戸惑っていた判定だった(ただヒステリーが治まると審判は日本に帳尻併せのPKを与えたが).

 試合は大野,安藤を代えた後動き始める.ただ負けていたにもかかわらずNZより遅い交代は完全に監督の判断ミスだ.大野も安藤も悪く無かったから迷ったのだろうがゴールを決める迫力は無かった.その迷いは大事な勝ち点を失うことに繋がった.


 この同点という結果は日本の予選リーグ敗退とニアリーイコールだ.しかも悪いことにノルウェーがアメリカに勝ち更に厳しい状況となった.大きな大会でのミスは致命傷ということは誰もが知っている.大きな傷を負った日本女子サッカーチーム.傷は癒えるだろうか?アテネの日本男子はそのまま致命傷となってしまったが.監督が傷口を広げているようではこの傷は治らないだろう.

U23アルゼンチン戦

2008-08-01 02:08:43 | Sports:football
 相手は強豪とは言え日本の先発はテストマッチということを意識したものだった.それはトップの豊田,左SBの安田のことだ.結果として彼らは不合格だろう.惜しくも不合格では無く先発メンバーのパフォーマンスで下から2人が彼らだった.
 豊田は中盤の選手が奪ったボールを全く納められずことごとく相手に奪われる.ここまで機能しない楔も久しぶりに見た.それだけでなく前を向いてもプレーをさせてもらえず,周りとの連携もとれず.今からメンバーを変えられるなら,と思わせる出来だった.相手がアルゼンチンということを差し置いても余りに工夫がなかった.特に相手がフィジカルで優れるわけでは無いのだが.

 そして安田.当然失点場面に目が行くがとにかくルーズな場面が目立った.特にそれが得意の攻撃で目立ったのがいただけない.パスミスが多いし周囲との連携も悪い.軽率なミスがカウンターの起点になっていた.得意の突破も通用せず.特に仕掛けるスピードで勝てなかったのは今後MFでの起用にも不安が残る.更に攻守の切り替えも遅かった.とにかく良いところが見当たらなかった.


 アルゼンチンは試合開始直後から日本を舐めてかかっているのが分かった.「日本くらいならすぐに点が取れるだろ」というのがプレーに出ていた.そのルーズな感じは日本にはチャンスだったが生かせなかった.
 見ていると思った以上に個人の差は無かった.内田が「こんなもんか」と感じたのもうなずける.開始直後の彼らの舐めた態度は徐々に苛立ちに変わる.その驕りはラフプレーに変化した.逆に言えば彼らにそうさせた日本のレベルはかなり上がっているともいえる.
 ちなみにアルゼンチンはメッシがいれば優勝候補筆頭だろう.ただ現時点では圧倒的なスピードも迫力もこのチームには無かった.怖さより試合の巧さが目立ったチームだった.


 試合は予想通り一進一退.相手左SBは公式戦ならイエロー2枚で間違いなく退場していた.あれを1点と思えば1対1の引き分けか.中盤の守備も機能していた.最も大きな問題はサイドチェンジが少なかったこと.密集した守備が相手のサイドチェンジで揺さぶられたこと.特に安田のサイドは不安定な部分を見せた.
 この日目立たず悪かったのは本田圭.豪州戦と同じく後半開始直後には動けなくなったのはいただけない.彼がよく動いていたならまだ理解できるのだが.軽率なパスも多い.結構彼のところが穴になっているように思う.それでも彼のような怖気づかない性格の選手は日本には少ないので貴重なんだろうけど.それ以外の良いところがあんまり見えなかった.

 逆に良かったのは本田拓と梶山.特に梶山は攻守に渡り質の高いプレーを地味に続けていた.場を冷静に判断してのプレーは非常に良かった.もっと攻撃に絡んでいれば最高だったのだが.本田はアテネ当時の鈴木より数段良い.


 という水入りとなった試合.雨はもっとしょぼい相手のときにして欲しいもんだ.
 この日は日本の可能性も見えたが課題も見えた.特に負けているときの攻撃の駒不足はいかんともしがたい.仕掛けることの出来るMFがもう一人いないと….梅崎か金崎は入れていても良かったと思う.
 しかしゲームメーカーとFW不足と言われた日本がアルゼンチンとこれだけ渡り合えたのは,日本全体の質の向上のおかげだろう.また予選後になってようやく世界標準の4バックを採用できるようになったのも大きい.これによりドン引き5バックで引きこもるサッカーから一歩前進した.どっかの3バックのアジアチャンピオンがドイツチャンピオンと戦ったのを見るとその印象は更に強くなった.後ろに人が余るだけで前がガラガラ.少なくともあんな無様な試合はしないだろう.

 というわけで今回は水入りなので勝手に採点はなし.