2015シーズンも1試合を最低2回ずつ見続け採点を続けられたのでその結果をまとめてみたい。まずは採点と関係ない数字から。
■ベンチ入り選手総数
2010:33人
2011:29人
2012:28人
2013:28人
2014:28人
2015:29人
■全試合の1/3以上出場選手数/先発選手数
2010:14人/11人
2011:19人/17人
2012:17人/12人
2013:16人/15人
2014:18人/15人
2015:17人/14人
2015シーズンは、ベンチ入りメンバーは昨年より一人増えているにも関わらず、1/3以上出場した選手、先発した選手が2014シーズンより1人減った。比較的起用する選手が固定されていた結果になる。
次に出場試合数関連。
■最多先発出場(FP)
2010:近藤(33)
2011:澤口(37)
2012:仙石・後藤(41)
2013:田所・竹田(40)
2014:田所(40)
2015:岩政(42)
■出場時間(FP)
2009:喜山(4220)澤口(3510)
2010:近藤(2958)岸田(2542)
2011:澤口(3266)キム(2646)
2012:後藤(3690)仙石(3607)
2013:竹田(3574)田所(3572)
2014:田所(3600)後藤(3330)
2015:岩政(3780)片山(3447)
2年連続最多先発出場だった田所が大きく出場機会を減らし、今季は岩政がフルタイム出場というFPとしてチーム初の記録を打ち立てた。怪我無くシーズンを過ごし結果を残すというのはさすが元日本代表というところ。正直別格だった。また5点しか取れなかったFWの片山が出場時間2位というのは、戦力不足だったか監督の寵愛を受けたか。
次にベンチ関連。
■最多途中出場
2009:武田(31)
2010:小林(10)
2011:岸田(20)
2012:関戸(19)
2013:久木田(24)
2014:押谷(14)
2015:島田(16)
■最多ベンチ待機(FP)
2009:玉林(25)
2010:野本(18)
2011:仙石・一柳(14)
2012:篠原(24)
2013:近藤・島田(18)
2014:仙石(16)
2015:田中(15)
最多途中出場は島田。全試合ベンチ入りということで監督のお気に入り選手だったのだろう。基本的にFWの控え選手が弱かったので、試合途中で矢島を前に上げるための投入が多かったと考えられる。ここにもFWの補強不足の影響が出ている。過去見返しても最多途中出場はFW以外だと関戸(とは言え彼はシャドーもこなす)だけということを考えても、ボランチの途中出場の多さは異常事態と言えるだろう。残念ながら
ベンチ待機最多は田中。基本的に加地に不安があるのでベンチ入りが増え、そして加地を変えにくかったので待機させられたまま試合が終わったのだろう。昨シーズンを決めるミスを犯した結果がこういうことを招くのだろう。
次に攻撃の数値。
■シュート数
2011:民均(61)チアゴ(43)岸田・妹尾(38)
2012:川又(83)民均(70)関戸(41)
2013:押谷(66)荒田(54)田所(41)
2014:押谷(73)片山(46)清水(41)
2015:片山(81)押谷(76)矢島(56)
■得点
2009:西野(9)青木(6)澤口・喜山・妹尾(3)
2010:岸田(5)白谷(4)三木(3)
2011:チアゴ(8)久木田・民均(4)
2012:川又(18)民均(6)田所(4)
2013:荒田・押谷(9)清水(4)
2014:押谷(11)片山(6)清水(5)
2015:押谷(9)矢島(8)片山(5)
昨年よりもシュート数は押上げがあった。数としては2012年の川又がいた時期に近い。しかし得点数は少ない。この理由の一つは最多シュート数の片山がシュートが下手と言う事。そしてもう一つは相手を崩せず、無理やりなシュートが多かったということ、が考えられる。もし後者としても、シュート数が30本近く少ない矢島より片山の方が得点が少ないというのは問題だ。そもそも矢島はシーズン後半ボランチをやった選手だ。こんな状況が今季の最大の課題だったと言える。この数値を見ると片山はFW失格だ。FWは得点を取るために守備や組立をある程度免除されている、ある種特別なポジションだからだ。クラブの補強失敗の象徴のような数値だ。
それではここからは勝手に採点した結果を。まずワーストから。
■勝手に採点ワースト選手(1/3以上出場選手)
2009:武田(5.23)野本(5.05)尾崎(4.83)
2010:東明(5.11)澤口(5.04)喜山(4.63)
2011:竹田(4.50)田所(4.39)臼井(3.83)
2012:篠原(4.90)田(4.62)一柳(4.50)
2013:仙石(5.02)石原(4.97)竹田(4.79)
2014:石原(5.28)千明(5.00)久保(4.65)
2015:田所(4.94)久保、竹田(4.265)
今季は結果が出なかったので最下位2人の採点が極端に低い。彼らは昨年の最下位以下だ。しかも奇跡的に同点。本当にレベルの低い戦いをしてくれたものだ。
個別にみると、ワースト3位は田所。開幕戦ゴール以外は見どころが殆ど無かった。「今季は攻撃しろと言われている」という言葉とは裏腹に、殆ど攻撃に関わることはできなかった。昨年CBをしていたためか、攻撃の質は相当落ち、相手を抜くこともクロスを上げることも組み立てに加わることもできなくなっていた。元々守備的な選手で攻撃に期待はしていなかったが、今季致命的だったのは走れなくなっていたことだ。これも昨年CBやっていた影響か加齢のためか。後半に入ると足が止まり相手に置き去りにされる姿も度々見られた。切り替えが遅く、走れない今季のファジアーノの象徴のような選手だった。元々は全く逆だったのだが。
ワースト1位の一人目は久保。2014年から何の進歩も無く、その上怪我で出遅れ、殆どいいところ無しだった。2年連続の最下位。そんな選手を使わなければならないチーム状況も問題だろう。彼を使っている時点で負けだ。
ワースト1位の二人目は竹田。2年ぶり2度目。こんな選手がなぜ起用されるのか正直理解に苦しむ。特にシーズン中盤の勝てなかった時期は彼の軽いプレーがチームの足を引っ張っていた。唯一の良さは怪我が少ないところだろうか?早く彼からポジションを奪う選手が出てこないといつまで経ってもJ2だ。彼のように軽いDFは最も使いにくい。
次にベスト選手。
■勝手に採点ベスト選手(1/3以上出場選手)
2009:青木(5.60)西野(5.73)妹尾(5.77)
2010:岸田(5.48)テヨン(5.59)白谷(5.81)
2011:石原(5.78)仙石(5.97)キム(6.09)
2012:川又(5.88)千明(5.89)中林(6.10)
2013:荒田(5.76)中林(5.83)島田(5.88)
2014:鎌田(5.63)三村(5.70)上田(5.80)
2015:三村(5.65)中林(5.86)矢島(5.87)
今季は低迷したわりに上位選手の採点は上がっている。低迷した理由に選手以外の要素が強かったということだろう。ただ上位に岩政が出てこなかったのはちょっと意外だ。DFは勝っても高い点数をつけにくいところがあるからか。
3位は三村。昨年も2位。多分こういう仕掛けるタイプの選手が個人的に好きなんだろう。彼が使われず田所が使われるのは本当に理解しがたかった。
2位は中林。正直今季は彼に助けてもらったシーズンだ。本当にピンチが多く、彼がいなければとてもじゃないが守りきれなかっただろう。
1位は矢島。現地で見て技術のレベルが違うことはすぐに分かった。流石現役世代別代表だ。ただシーズン序盤は技術はあっても試合でうまく活用できていない場面が目立っていた。しかしプレーを続けることで、シーズン終盤には全く別の選手になったと思えるほどに成長していた。技術面で言えば上田、民均と並んでチーム過去最高レベルの選手だ。もう少し守備が良くなれば、若い世代には珍しいタイプのボランチになれるだろう。是非完全移籍で獲得したい選手だ。
次に試合採点。まずはワースト。
■勝手に採点ワースト試合
2009:第45節[横浜](4.54),第27節[鳥栖](4.42),第44節[栃木](4.27)
2010:第13節[東京V](4.46),第25節[愛媛](4.27),第12節[富山](4.08)
2011:第31節[F東京](4.50),第5節[鳥栖](4.25),第1節[湘南](3.89)
2012:第3節「水戸](4.81),第15節[京都](4.68),第25節[松本](4.64)
2013:第26節[岐阜](4.32),第40節[徳島](4.00),第41節[富山](3.81)
2014:第8節[北九州](4.11)、第29節[讃岐](3.89)、第3節[群馬](3.64)
2015:第28節[北九州](4.21)第40節[岐阜](4.17)、第24節[徳島](4.14)
意外なのはホームでダービーに惨敗した試合が入っていないことだ。全体的にもこの3年の中では点数が高いし、ちょっと甘く採点しすぎたかもしれない。まあ今季は監督にそれだけ問題が多かったと言う事だろう。
3位はどん底の時期のホーム北九州戦。絶望的な状況で、補強した岡本も使わずに糞サッカーを継続した試合。全く期待感が無い試合で降格も見え始めた時期。とにかくひどい試合だった。そんな試合を夏休みにすれば、どれだけおもてなしをしようとお客は離れるに決まっている。特に知り合いを連れて行った人にすれば、知り合いは機嫌が悪いだろうし自分は恥ずかしくて気分が悪いだろうし…。とにかく最低だった。
2位は終盤のアウェイ岐阜戦。押谷の愚行と、降格圏のチームに圧倒されてしまうと言う情けなさが数字に現れた。もう完全にチームはバラバラだった。
そして1位はどん底の時期のホーム徳島戦での惨敗。元J1だが下位に沈んでいた徳島に、なす術なく惨敗した試合。昇格したシーズン以来の圧倒的惨敗だった。
次にベスト試合。
■勝手に採点ベスト試合
2009:第13節[徳島](6.25),第34節[甲府](6.39),第11節[福岡](6.50)
2010:第32節[栃木](6.04),第18節[水戸](6.11),第9節[徳島](6.12)
2011:第4節[岐阜]・第36節[京都](6.15),第13節[横浜](6.17),第38節[徳島](6.32)
2012:第14節[東京V](6.19),第5節[山形]・第38節[東京V](6.23)
2013:第30節[京都](6.25),第29節[東京V],第35節[千葉](6.54)
2014:第10節[山形](6.31)、第31節[松本](6.42)、第15節[長崎](6.73)
2015:第21節[京都](6.31)、第35節[水戸](6.31)、第8節[熊本](6.46)
3位は調子が戻りつつあった京都戦。この勢いを維持できていれば…、という試合。結局次の試合で長澤がぶち壊してしまうのだが。
2位は津山での水戸戦。この試合は相手が悪すぎた、というべきだろう。今シーズンはこういう余裕で観れる試合が少なすぎた。
1位は熊本戦。矢島の見事なプレーが観れた試合だが、取り立てて良い試合ではなかった。まだ長澤に期待していたり、チームに期待していたから点数が良かっただけだろう。
とにかくこれだけ期待値が低く、記憶に残る試合が少ないシーズンは初めてだ。
そして個人賞。
■最多MOM
2010:多数(1)
2011:民均(3)
2012:川又(6)
2013:中林(4)
2014:片山(4)
2015:中林(6)
今季の採点通り中林が最多。本当に今季は安定していた。
■新人賞
2011:石原
2012:関戸
2013:島田
2014:片山
2015:該当なし(篠原)
そもそも新人がいなかったので該当者がいるはずもない。若手という意味では矢島だが、彼を過去に選出した選手と同じレベルで語るのは失礼だろう。そういう意味で、もし該当する選手というなら篠原になるだろうか?岡山ではまともに出場した初めてのシーズン。しかもネクスト上がり。岡山では珍しい熱血タイプ。彼の成長が無ければ今季はもっと危うかった。来季は更なる成長を期待したい。
■シーズンMIP
2010:岸田
2011:民均
2012:中林
2013:千明
2014:田所
2015:中林
今季は中林、岩政、矢島で悩んだが、やはり中林だろう。岩政のフルタイム出場や高さ、駆け引き、チームを引っ張る姿勢は素晴らしかったが正直不満も。やっぱり年齢面がパフォーマンスに影響している。矢島はレンタル。そう考えると中林が順当だろう。彼の存在が今の岡山の安定した成績を支えていると言って過言ではない。初めての2度目のMIPだ。
ではベンチ入り全選手の採点結果とコメントを以下に記して終わりたい.
■採点|ベンチ入り|出場|先発|MOM
片山(4.99|40|40|39|0)
雑さが目立ち、得点も伸びなかった。このままでは来季は危うい。
押谷(5.36|36|36|28|2)
身勝手に感じるプレーも多く、また怪我も多かった。ここで頭打ちか?
久保(4.27|23|20|8|0)
とにかく評価するポイントが無い。
岡本(4.44|9|9|2|1)
戦力になれなかった。もっと走るなら可能性はあるが。
小林(6.00|1|1|0|0)
いい選手だと思うが。是非来季は上で。
藤岡(-.--|2|0|0|0)
プレーを見たかった。
渡邉(5.13|37|37|33|0)
とても固いが、攻撃面はやっぱり、というところ。
矢島(5.87|38|37|30|5)
ぜひとも完全移籍させたい選手。
伊藤(5.21|38|35|28|1)
地味なリンクマンだった。FKは期待外れ。
島田(4.95|42|32|16|0)
自分の特長を見失っている感じ。スキル面も停滞
千明(5.64|24|19|15|0)
今季のチームには欠かせないアクセントだったが、長澤は違う目で見ていた
染矢(4.75|25|17|6|0)
もしかしたら・・・と思わされたが、去年と同じだった
関戸(3.90|18|5|4|0)
能力の限界に達し、下降曲線に入りつつある
黄(5.11|10|9|0|0)
かなりうまい選手だったがチームに入ってないように見えた
妹尾(4.38|10|4|1|0)
身体能力の低下が見え、残念なプレーが多かった
加地(5.56|40|36|36|0)
目立たないくらいツボを押さえたプレー。
田所(4.94|36|33|30|1)
身体能力の低下がそのままプレーに出るタイプだった
三村(5.65|33|20|13|0)
特長を磨けばまだ伸びる
田中(5.71|27|12|6|0)
加地のプレーを盗んでほしい
澤口(4.40|14|6|3|0)
加地が来たせいで、下位互換になってしまった
岩政(5.56|42|42|42|2)
素晴らしい高さと強さと駆け引きと経験。間違いなく過去最高レベルの選手。
竹田(4.27|41|34|32|0)
この不安定さで先発出場がDFで2位というのはチームの問題
篠原(5.55|22|21|21|0)
将来DFの軸に成長してほしい選手
久木田(4.94|28|20|15|0)
CBとして覚悟を決めて、結果を残せず
近藤(5.67|16|7|6|0)
終盤の安定したプレーは良かった
植田(3.33|13|10|2|0)
FWやWBと長澤に振り回されたシーズンだった
中林(5.86|42|42|42|6)
安定感が増し、素晴らしい活躍だった
椎名(-.--|36|0|0|0)
出番なしだが、中林に早く追いついてほしい
松原(-.--|6|0|0|0)
初ベンチ入りを果たしたので、次は2ndGKを目指してほしい。
長澤(3.13)
昨年の監督よりは良い採点だった。とは言え内容は散々だ。昨年から求められたのは攻撃力向上だ。もちろん補強失敗は言い訳にできる。しかしそれを除いてみてもあまりに質の低い攻撃だった。チームとして何ら意図を持たず、いや長いボールを放り込む意図しかない。しかもメンバーを見るとそれが有効とは全く思えない。昨年からの守備力は、メンバー補強通り強化された。ただ、失点数を減らし得点数も減らすのは補強が無くてもできる話だ。守備陣は補強できたのだから、その強さを活かしてある程度リスクを背負った戦い方を考えるべきだった。DFにある程度力があるのだからボランチはもっと攻撃的に編成しても良かったし、右WBに加地がいるのだから、左はもっと攻撃的にすれば良かった。攻撃陣は高さが無いのだから、距離をもっと近づけて崩す形を取る、などもあったはずだ。そしてそもそも攻撃力が圧倒的に低いのだから、徹底的に切り替えのスピードを上げる必要があった。
素人の考えかもしれないが、プロの監督が全く打つ手無くシーズンを送る姿は、全くプロに見えなかった。あれだけ守備的に戦えば失点は減る。ただ、あれだけ守っても11位にしかなれない。分かり切った話だ。終盤に3ボランチを試していたが、システムの穴を突かれて全く機能しなかったのも彼に対する不信感を増幅させた。
更に選手を見る目にも大いに不満が残った。1年チームでコーチをしながら、片山を1トップで使ったり、染矢や久保を使ったり。何のために1年コーチをさせたのか分からない。
今季は1年目と言うエクスキューズがついた。しかし来季は言い訳ができない。今年の評価は「選手を見極められず、戦術らしいものも無く、つまらないサッカーで戦力以下の成果しか出せない監督」だ。是非とも覆してほしい。
■ベンチ入り選手総数
2010:33人
2011:29人
2012:28人
2013:28人
2014:28人
2015:29人
■全試合の1/3以上出場選手数/先発選手数
2010:14人/11人
2011:19人/17人
2012:17人/12人
2013:16人/15人
2014:18人/15人
2015:17人/14人
2015シーズンは、ベンチ入りメンバーは昨年より一人増えているにも関わらず、1/3以上出場した選手、先発した選手が2014シーズンより1人減った。比較的起用する選手が固定されていた結果になる。
次に出場試合数関連。
■最多先発出場(FP)
2010:近藤(33)
2011:澤口(37)
2012:仙石・後藤(41)
2013:田所・竹田(40)
2014:田所(40)
2015:岩政(42)
■出場時間(FP)
2009:喜山(4220)澤口(3510)
2010:近藤(2958)岸田(2542)
2011:澤口(3266)キム(2646)
2012:後藤(3690)仙石(3607)
2013:竹田(3574)田所(3572)
2014:田所(3600)後藤(3330)
2015:岩政(3780)片山(3447)
2年連続最多先発出場だった田所が大きく出場機会を減らし、今季は岩政がフルタイム出場というFPとしてチーム初の記録を打ち立てた。怪我無くシーズンを過ごし結果を残すというのはさすが元日本代表というところ。正直別格だった。また5点しか取れなかったFWの片山が出場時間2位というのは、戦力不足だったか監督の寵愛を受けたか。
次にベンチ関連。
■最多途中出場
2009:武田(31)
2010:小林(10)
2011:岸田(20)
2012:関戸(19)
2013:久木田(24)
2014:押谷(14)
2015:島田(16)
■最多ベンチ待機(FP)
2009:玉林(25)
2010:野本(18)
2011:仙石・一柳(14)
2012:篠原(24)
2013:近藤・島田(18)
2014:仙石(16)
2015:田中(15)
最多途中出場は島田。全試合ベンチ入りということで監督のお気に入り選手だったのだろう。基本的にFWの控え選手が弱かったので、試合途中で矢島を前に上げるための投入が多かったと考えられる。ここにもFWの補強不足の影響が出ている。過去見返しても最多途中出場はFW以外だと関戸(とは言え彼はシャドーもこなす)だけということを考えても、ボランチの途中出場の多さは異常事態と言えるだろう。残念ながら
ベンチ待機最多は田中。基本的に加地に不安があるのでベンチ入りが増え、そして加地を変えにくかったので待機させられたまま試合が終わったのだろう。昨シーズンを決めるミスを犯した結果がこういうことを招くのだろう。
次に攻撃の数値。
■シュート数
2011:民均(61)チアゴ(43)岸田・妹尾(38)
2012:川又(83)民均(70)関戸(41)
2013:押谷(66)荒田(54)田所(41)
2014:押谷(73)片山(46)清水(41)
2015:片山(81)押谷(76)矢島(56)
■得点
2009:西野(9)青木(6)澤口・喜山・妹尾(3)
2010:岸田(5)白谷(4)三木(3)
2011:チアゴ(8)久木田・民均(4)
2012:川又(18)民均(6)田所(4)
2013:荒田・押谷(9)清水(4)
2014:押谷(11)片山(6)清水(5)
2015:押谷(9)矢島(8)片山(5)
昨年よりもシュート数は押上げがあった。数としては2012年の川又がいた時期に近い。しかし得点数は少ない。この理由の一つは最多シュート数の片山がシュートが下手と言う事。そしてもう一つは相手を崩せず、無理やりなシュートが多かったということ、が考えられる。もし後者としても、シュート数が30本近く少ない矢島より片山の方が得点が少ないというのは問題だ。そもそも矢島はシーズン後半ボランチをやった選手だ。こんな状況が今季の最大の課題だったと言える。この数値を見ると片山はFW失格だ。FWは得点を取るために守備や組立をある程度免除されている、ある種特別なポジションだからだ。クラブの補強失敗の象徴のような数値だ。
それではここからは勝手に採点した結果を。まずワーストから。
■勝手に採点ワースト選手(1/3以上出場選手)
2009:武田(5.23)野本(5.05)尾崎(4.83)
2010:東明(5.11)澤口(5.04)喜山(4.63)
2011:竹田(4.50)田所(4.39)臼井(3.83)
2012:篠原(4.90)田(4.62)一柳(4.50)
2013:仙石(5.02)石原(4.97)竹田(4.79)
2014:石原(5.28)千明(5.00)久保(4.65)
2015:田所(4.94)久保、竹田(4.265)
今季は結果が出なかったので最下位2人の採点が極端に低い。彼らは昨年の最下位以下だ。しかも奇跡的に同点。本当にレベルの低い戦いをしてくれたものだ。
個別にみると、ワースト3位は田所。開幕戦ゴール以外は見どころが殆ど無かった。「今季は攻撃しろと言われている」という言葉とは裏腹に、殆ど攻撃に関わることはできなかった。昨年CBをしていたためか、攻撃の質は相当落ち、相手を抜くこともクロスを上げることも組み立てに加わることもできなくなっていた。元々守備的な選手で攻撃に期待はしていなかったが、今季致命的だったのは走れなくなっていたことだ。これも昨年CBやっていた影響か加齢のためか。後半に入ると足が止まり相手に置き去りにされる姿も度々見られた。切り替えが遅く、走れない今季のファジアーノの象徴のような選手だった。元々は全く逆だったのだが。
ワースト1位の一人目は久保。2014年から何の進歩も無く、その上怪我で出遅れ、殆どいいところ無しだった。2年連続の最下位。そんな選手を使わなければならないチーム状況も問題だろう。彼を使っている時点で負けだ。
ワースト1位の二人目は竹田。2年ぶり2度目。こんな選手がなぜ起用されるのか正直理解に苦しむ。特にシーズン中盤の勝てなかった時期は彼の軽いプレーがチームの足を引っ張っていた。唯一の良さは怪我が少ないところだろうか?早く彼からポジションを奪う選手が出てこないといつまで経ってもJ2だ。彼のように軽いDFは最も使いにくい。
次にベスト選手。
■勝手に採点ベスト選手(1/3以上出場選手)
2009:青木(5.60)西野(5.73)妹尾(5.77)
2010:岸田(5.48)テヨン(5.59)白谷(5.81)
2011:石原(5.78)仙石(5.97)キム(6.09)
2012:川又(5.88)千明(5.89)中林(6.10)
2013:荒田(5.76)中林(5.83)島田(5.88)
2014:鎌田(5.63)三村(5.70)上田(5.80)
2015:三村(5.65)中林(5.86)矢島(5.87)
今季は低迷したわりに上位選手の採点は上がっている。低迷した理由に選手以外の要素が強かったということだろう。ただ上位に岩政が出てこなかったのはちょっと意外だ。DFは勝っても高い点数をつけにくいところがあるからか。
3位は三村。昨年も2位。多分こういう仕掛けるタイプの選手が個人的に好きなんだろう。彼が使われず田所が使われるのは本当に理解しがたかった。
2位は中林。正直今季は彼に助けてもらったシーズンだ。本当にピンチが多く、彼がいなければとてもじゃないが守りきれなかっただろう。
1位は矢島。現地で見て技術のレベルが違うことはすぐに分かった。流石現役世代別代表だ。ただシーズン序盤は技術はあっても試合でうまく活用できていない場面が目立っていた。しかしプレーを続けることで、シーズン終盤には全く別の選手になったと思えるほどに成長していた。技術面で言えば上田、民均と並んでチーム過去最高レベルの選手だ。もう少し守備が良くなれば、若い世代には珍しいタイプのボランチになれるだろう。是非完全移籍で獲得したい選手だ。
次に試合採点。まずはワースト。
■勝手に採点ワースト試合
2009:第45節[横浜](4.54),第27節[鳥栖](4.42),第44節[栃木](4.27)
2010:第13節[東京V](4.46),第25節[愛媛](4.27),第12節[富山](4.08)
2011:第31節[F東京](4.50),第5節[鳥栖](4.25),第1節[湘南](3.89)
2012:第3節「水戸](4.81),第15節[京都](4.68),第25節[松本](4.64)
2013:第26節[岐阜](4.32),第40節[徳島](4.00),第41節[富山](3.81)
2014:第8節[北九州](4.11)、第29節[讃岐](3.89)、第3節[群馬](3.64)
2015:第28節[北九州](4.21)第40節[岐阜](4.17)、第24節[徳島](4.14)
意外なのはホームでダービーに惨敗した試合が入っていないことだ。全体的にもこの3年の中では点数が高いし、ちょっと甘く採点しすぎたかもしれない。まあ今季は監督にそれだけ問題が多かったと言う事だろう。
3位はどん底の時期のホーム北九州戦。絶望的な状況で、補強した岡本も使わずに糞サッカーを継続した試合。全く期待感が無い試合で降格も見え始めた時期。とにかくひどい試合だった。そんな試合を夏休みにすれば、どれだけおもてなしをしようとお客は離れるに決まっている。特に知り合いを連れて行った人にすれば、知り合いは機嫌が悪いだろうし自分は恥ずかしくて気分が悪いだろうし…。とにかく最低だった。
2位は終盤のアウェイ岐阜戦。押谷の愚行と、降格圏のチームに圧倒されてしまうと言う情けなさが数字に現れた。もう完全にチームはバラバラだった。
そして1位はどん底の時期のホーム徳島戦での惨敗。元J1だが下位に沈んでいた徳島に、なす術なく惨敗した試合。昇格したシーズン以来の圧倒的惨敗だった。
次にベスト試合。
■勝手に採点ベスト試合
2009:第13節[徳島](6.25),第34節[甲府](6.39),第11節[福岡](6.50)
2010:第32節[栃木](6.04),第18節[水戸](6.11),第9節[徳島](6.12)
2011:第4節[岐阜]・第36節[京都](6.15),第13節[横浜](6.17),第38節[徳島](6.32)
2012:第14節[東京V](6.19),第5節[山形]・第38節[東京V](6.23)
2013:第30節[京都](6.25),第29節[東京V],第35節[千葉](6.54)
2014:第10節[山形](6.31)、第31節[松本](6.42)、第15節[長崎](6.73)
2015:第21節[京都](6.31)、第35節[水戸](6.31)、第8節[熊本](6.46)
3位は調子が戻りつつあった京都戦。この勢いを維持できていれば…、という試合。結局次の試合で長澤がぶち壊してしまうのだが。
2位は津山での水戸戦。この試合は相手が悪すぎた、というべきだろう。今シーズンはこういう余裕で観れる試合が少なすぎた。
1位は熊本戦。矢島の見事なプレーが観れた試合だが、取り立てて良い試合ではなかった。まだ長澤に期待していたり、チームに期待していたから点数が良かっただけだろう。
とにかくこれだけ期待値が低く、記憶に残る試合が少ないシーズンは初めてだ。
そして個人賞。
■最多MOM
2010:多数(1)
2011:民均(3)
2012:川又(6)
2013:中林(4)
2014:片山(4)
2015:中林(6)
今季の採点通り中林が最多。本当に今季は安定していた。
■新人賞
2011:石原
2012:関戸
2013:島田
2014:片山
2015:該当なし(篠原)
そもそも新人がいなかったので該当者がいるはずもない。若手という意味では矢島だが、彼を過去に選出した選手と同じレベルで語るのは失礼だろう。そういう意味で、もし該当する選手というなら篠原になるだろうか?岡山ではまともに出場した初めてのシーズン。しかもネクスト上がり。岡山では珍しい熱血タイプ。彼の成長が無ければ今季はもっと危うかった。来季は更なる成長を期待したい。
■シーズンMIP
2010:岸田
2011:民均
2012:中林
2013:千明
2014:田所
2015:中林
今季は中林、岩政、矢島で悩んだが、やはり中林だろう。岩政のフルタイム出場や高さ、駆け引き、チームを引っ張る姿勢は素晴らしかったが正直不満も。やっぱり年齢面がパフォーマンスに影響している。矢島はレンタル。そう考えると中林が順当だろう。彼の存在が今の岡山の安定した成績を支えていると言って過言ではない。初めての2度目のMIPだ。
ではベンチ入り全選手の採点結果とコメントを以下に記して終わりたい.
■採点|ベンチ入り|出場|先発|MOM
片山(4.99|40|40|39|0)
雑さが目立ち、得点も伸びなかった。このままでは来季は危うい。
押谷(5.36|36|36|28|2)
身勝手に感じるプレーも多く、また怪我も多かった。ここで頭打ちか?
久保(4.27|23|20|8|0)
とにかく評価するポイントが無い。
岡本(4.44|9|9|2|1)
戦力になれなかった。もっと走るなら可能性はあるが。
小林(6.00|1|1|0|0)
いい選手だと思うが。是非来季は上で。
藤岡(-.--|2|0|0|0)
プレーを見たかった。
渡邉(5.13|37|37|33|0)
とても固いが、攻撃面はやっぱり、というところ。
矢島(5.87|38|37|30|5)
ぜひとも完全移籍させたい選手。
伊藤(5.21|38|35|28|1)
地味なリンクマンだった。FKは期待外れ。
島田(4.95|42|32|16|0)
自分の特長を見失っている感じ。スキル面も停滞
千明(5.64|24|19|15|0)
今季のチームには欠かせないアクセントだったが、長澤は違う目で見ていた
染矢(4.75|25|17|6|0)
もしかしたら・・・と思わされたが、去年と同じだった
関戸(3.90|18|5|4|0)
能力の限界に達し、下降曲線に入りつつある
黄(5.11|10|9|0|0)
かなりうまい選手だったがチームに入ってないように見えた
妹尾(4.38|10|4|1|0)
身体能力の低下が見え、残念なプレーが多かった
加地(5.56|40|36|36|0)
目立たないくらいツボを押さえたプレー。
田所(4.94|36|33|30|1)
身体能力の低下がそのままプレーに出るタイプだった
三村(5.65|33|20|13|0)
特長を磨けばまだ伸びる
田中(5.71|27|12|6|0)
加地のプレーを盗んでほしい
澤口(4.40|14|6|3|0)
加地が来たせいで、下位互換になってしまった
岩政(5.56|42|42|42|2)
素晴らしい高さと強さと駆け引きと経験。間違いなく過去最高レベルの選手。
竹田(4.27|41|34|32|0)
この不安定さで先発出場がDFで2位というのはチームの問題
篠原(5.55|22|21|21|0)
将来DFの軸に成長してほしい選手
久木田(4.94|28|20|15|0)
CBとして覚悟を決めて、結果を残せず
近藤(5.67|16|7|6|0)
終盤の安定したプレーは良かった
植田(3.33|13|10|2|0)
FWやWBと長澤に振り回されたシーズンだった
中林(5.86|42|42|42|6)
安定感が増し、素晴らしい活躍だった
椎名(-.--|36|0|0|0)
出番なしだが、中林に早く追いついてほしい
松原(-.--|6|0|0|0)
初ベンチ入りを果たしたので、次は2ndGKを目指してほしい。
長澤(3.13)
昨年の監督よりは良い採点だった。とは言え内容は散々だ。昨年から求められたのは攻撃力向上だ。もちろん補強失敗は言い訳にできる。しかしそれを除いてみてもあまりに質の低い攻撃だった。チームとして何ら意図を持たず、いや長いボールを放り込む意図しかない。しかもメンバーを見るとそれが有効とは全く思えない。昨年からの守備力は、メンバー補強通り強化された。ただ、失点数を減らし得点数も減らすのは補強が無くてもできる話だ。守備陣は補強できたのだから、その強さを活かしてある程度リスクを背負った戦い方を考えるべきだった。DFにある程度力があるのだからボランチはもっと攻撃的に編成しても良かったし、右WBに加地がいるのだから、左はもっと攻撃的にすれば良かった。攻撃陣は高さが無いのだから、距離をもっと近づけて崩す形を取る、などもあったはずだ。そしてそもそも攻撃力が圧倒的に低いのだから、徹底的に切り替えのスピードを上げる必要があった。
素人の考えかもしれないが、プロの監督が全く打つ手無くシーズンを送る姿は、全くプロに見えなかった。あれだけ守備的に戦えば失点は減る。ただ、あれだけ守っても11位にしかなれない。分かり切った話だ。終盤に3ボランチを試していたが、システムの穴を突かれて全く機能しなかったのも彼に対する不信感を増幅させた。
更に選手を見る目にも大いに不満が残った。1年チームでコーチをしながら、片山を1トップで使ったり、染矢や久保を使ったり。何のために1年コーチをさせたのか分からない。
今季は1年目と言うエクスキューズがついた。しかし来季は言い訳ができない。今年の評価は「選手を見極められず、戦術らしいものも無く、つまらないサッカーで戦力以下の成果しか出せない監督」だ。是非とも覆してほしい。