Motor Sports Sound

車とスポーツと音楽と

スウィング

2005-11-14 18:23:56 | Sound
 スウィングガールズという映画を見た.余り映画は見ないが,音楽がらみで話題にもなったし,見てみようと思った.

 内容は,「なんや,コメディか」という映画.全ての設定に無理があり,全てがコミカルに進む.何が面白いのかよく分からないが,時間もあったので最後まで見た.

 …が,最後まで何もわからなかった.何を伝えたかったのか?何が音楽で,何がスイングなのか?


 音楽は地味な努力の積み重ねである.この映画でその部分に光を当てることをしないのは余りに音楽を馬鹿にした演出だと感じた.この映画のように楽器の表面的なかっこよさばかりを見せ付けるから,すぐに楽器をやめていく人が増えるのだ.なぜ,あの飽きっぽい主人公が音楽だけにはまったか?そこをもっと丁寧に描くべきだったろう.そしてそこから生み出される感情に.しかもコメディーなりに.

 もっと言うなら楽器が如何に難しいか,しかし如何に感情に左右される音を出すか,それを表現すべきだろう.音楽は感情が下手糞さを上回るときがある.それが音楽の楽しさであり奥深さである.まぁ下手すぎるのはどうかと思うが.

 更に言えば,大人数で気持ちをひとつにして演奏する苦労にももっとスポットライトを当てるべきだ.集団演奏を題材にするならば.ごく少数に光を当てるなら集団で演奏する場面は全く必要ないはずだ.学園祭のバンドでいい.


 で,みていて.「努力した場面は汗臭いから無いんだろうから,エンディングくらいはまともな…」と思ったが,結局素人があっという間に「プロ並み」にうまくなって,その演奏で人を喜ばせる,なんて終わり興ざめだった.しかも,その前座として「吹奏楽」「クラシック」を持ち出し,それらが「つまらないもの」として対比させる手法は,余りに音楽に対して無知である.

 クラシックが堅苦しく,JAZZが楽しい,いや,女子高生がやると楽しい,なんて素人の発想..「JAZZなんてインテリ面したおっさんのもん」という発想自体が無知以外の何者でもない.「映画館を出たら音楽をしたくなる」なんて書いているが,そんな人は映画に出てくる「すぐにやめる」人である

 クラシックだろうが吹奏楽だろうが,JAZZだろうが,そこにこめる気持ちは同じだ.確かに日本の吹奏楽とかは「遊び」が少なく見所が少ないのもあるかもしれない.けれどそれは余りに発表の場が「真剣」過ぎるからだ.そこだけしかないから,その辺のバンド演奏などと比べると物凄い集中力と緊迫感がある.だからつまらなく見えるだけなのだ.そこには本当に音楽を楽しむ気持ちが入っていることのほうが多いのだ.


 1つだけ共感できた場面があった.主人公が初めて合わせたときにとても楽しそうな顔をしたことだ.集団演奏をしたことがある人なら,あの喜びは忘れられない.それをもっと素直に引き出してほしかった.技量に欠けるが気持ちのあるスウィング,その笑顔の下の努力.努力が無くて何が音楽だろう?何が楽しいのだろう?青春臭くて今の若者には受け入れられないかもしれないが.

 あんな短期間でうまくなる,ということを喜びに置き換えるような音楽映画は失格だ.映画は詳しくないので喜劇映画としてどうか,というのはおいておく.

流行

2005-04-15 12:16:01 | Sound
 流行を嫌う気持ちから,なぜ流行るかを分析してみた.

 最近若者には(こういう言葉を使う時点で老けたなって思う)メロディが無い音楽がいいらしい.いや,正確にはメロディはあるが,朗読にリズムをつけたようなものがいいらしい.結局,こういった技法を使うと,ラップだったりヒップホップだったりという分野になるようだ.一部を除いて.

 この若者向きの音楽はメロディに聴き所が無いわけで.では彼らは何を聴くのだろう?となる.色々な人たちが出しているが,間違いなく違っているのは歌詞.じゃあそこを聴くの?と,思って聴いてみても聞くに堪えないものが殆どである.何がって,ありきたりの言葉と使い古された言葉と,小学生の作文のような羅列.

「韻を踏んでいるじゃないか」

というかもしれない.そんなものは詞を書くときの基本中の基本.使っていない人の方が珍しい.そしてその使い方は,小学生の作詞レベル.誰でも思いつくような韻を踏んでも,誰の心にも残らない.本当はそんな言葉しか使えない人は,人前で歌ったりしてはいけないんだけど.

 作詞は難しい.みんな一行を,一語一句を考え抜いて作り上げてるわけで.才能があっても.普通の曲でもそうなのに,やたら言葉の多いこの分野の人たちは,本当なら相当苦労しないと1曲の詞を書き上げることなんか不可能だし,そうじゃないと良いものは出来ないはず.

 だからこんな惨状なんだろうけど.

 じゃあバックに流れる音楽がいいの?というと,それこそ論外.打ち込みに技術はあるんだろうけど,今までに出てきた色々なアーティストを超える,っちゅーかそれに近いものさえ殆ど無い.バンド形態のものはもっとひどい.

 じゃあヴォーカルがいいの?.ここで「そう」と答えた人はいないと思うけど.これは触れたくも無いほど酷いものが多い.じゃにーさんとこの下手な部類のアイドルと同等.うまいアイドルには負けてる.


 で,こいつらが何で流行って見分けがつくか,というと「映像」だ.歌でなく,その格好と雰囲気に憧れてるんだろう.で,その後ろでは考えなくても理解できる歌詞が流れていて.それがまた日本人で,男前でもなければ親近感も沸いて.
 結局今の若者が憧れる「かっこよさ」で歌っている音楽が流行っているのだけ.音楽を聴いてなかったことに何年後かに気づくんだろうけど.


 ちなみに陽水の「最後のニュース」はラップのテイストが入っている.ただ,これはロックの一手法で,ラップじゃない.

 結局みんなそんな狭い範囲を喜んでいるだけだ.