森人 もりと

森では人も生きものも ゆっくり流れる時間を生きています

おぼすなさま

2020-02-17 | 日記


 昨日から降り続いた雪は、今朝には止んで、お昼には待望の青空が広がりました。
 
 氷上のワカサギ釣りもそろそろ終わりです。
 オジサンの今季の成果はどうだったのでしょうか。
 あまり良くなかったような雰囲気が漂っています。家に帰ったらオバサンの機嫌が悪いの
 かもしれません。

 久しぶりに白鳥を観ようと、例年この時季に集合している場所へ行ってみました。
 すでに湖氷はかなり解けています。しかし白鳥の姿はまったくありません。
 どこか別の場所に移動しているのかと思って、湖畔道を一周してみましたが見つけること
 はできませんでした。
 暮に渡って来た時に、ずいぶん少数だったことを感じてはいたのですが、それにしても一
 羽も見れないとは驚きです。



 わずか百年前までは、白鳥は日本人の信仰の対象でした。
 北から渡来して、他のどんな存在よりも真っ白に大きくはばたく姿は、幽暗で神秘的だっ
 たのです。
 ヤマトタケルが東国遠征(北上川の下流)から帰った後も、天高く舞う白鳥の姿が眼に焼
 き付いていて、死んだときに白鳥になって飛んで行ったと『古事記』にあります。
 このことから特に東北では熱烈な白鳥信仰が伝承されて、白鳥を祀る神社が数多くあり、
 今でも「おぼすなさま(産土さま)」と呼ばれています。

 白鳥たちが、まさかこの大沼を見捨てたわけではないでしょうね。
 もう一度時間をかけて丁寧に探してみようと思います。
 白鳥以外のガンやカモはいつも通り大勢いるのですから、食料に不自由しているはずはな
 いのです。

 「おぼすなさま」どうか大沼に戻ってきてください。