goo blog サービス終了のお知らせ 

昔に出会う旅

歴史好きの人生は、昔に出会う旅。
何気ないものに意外な歴史を見つけるのも
旅の楽しみです。 妻の油絵もご覧下さい。

イタリア旅行No.8 ヴェネツィア 魚市場と、カナル・グランデの風景

2010年12月17日 | 海外旅行
11/10 イタリア旅行2日目、ヴェネツィアでの午後の自由時間で、リアルト橋から大運河(カナル・グランデ)に沿って西にあるリアルト魚市場へ向かいました。



ブログ作成の参考にさせて頂いたヴェネツィアの歴史の本の表紙です。(図説ヴェネツィア「水の都」歴史散歩 ルカ・コルフェライ著、田中悦子訳、河出書房新社発行)

表紙の絵は、かつて木製だった頃の「リアルト橋」を描いた絵画「十字架の奇跡」(ヴィットーレ・カルパッチョ作 1494年)です。

この橋は、現在の石橋の前の木製の橋で、中央がはね橋となっています。

500年以上も前の風景ですが、現在と同様に3~4階の建物が林立し、屋根には多くの煙突がそびえているのが印象的です。

ヴェネツィアは、14世紀の後半になると石造りの都市となったとされ、15世紀末のこの絵も現在と同じ3~4階の建物が大運河(カナル・グランデ)に立ち並んでいたようです。

ゴンドラは、当時には貴族の乗り物だったようで、座席に小さな屋根が付いています。



左手の建物は、リアルト橋の西岸、北側に見える「カメルレンギ(財政監理官)の館」です。

1528年に完成した三階建ての建物で、財政を司る諸委員会と牢獄がおかれていたようです。

約500年前に運河沿いの軟弱な砂州の上に造られた建物が、今日まで残っていることに驚きます。

この建物の壁面には多くの窓が造られ、壁の重量を軽減させる工夫が見られます。

写真を見ると、建物の床は高潮(アクア・アルタ)で浸水していますが、大運河(カナル・グランデ)がカーブした内側に建っているだけに地盤沈下は避けられなかったようです。

浸水した建物も行き交うゴンドラで、詩的な風景にも見えて来ました。



右手の建物は上段の写真と同じ「カメルレンギ(財政監理官)の館」で、北側から大運河(カナル・グランデ)の対岸を見た景色です。

対岸の建物は、リアルト橋東岸、北側に建つ「元 ドイツ人商館」(現 中央郵便局)で、これも16世紀の建物とされています。

「元 ドイツ人商館」は、かつてドイツ商人が宿泊施設兼倉庫として利用していたもので、一階の大運河(カナル・グランデ)に面した五連のアーチがある船着場が玄関で、交易品なども搬入していたようです。

この大運河(カナル・グランデ)には多くの商館が並び、共和国時代の繁栄を彷彿させます。



大運河(カナル・グランデ)に沿って建つ建築物の基礎構造の図で、「イタリア海洋都市の精神」(興亡の世界史(8)陣内秀信著 講談社発行)にあった図を参考に作成したものです。

基礎造りの過程は、以下のようです。
(1)カラマツまたはカシの木の杭をカラント層(粘土と砂の堆積層で比較的固い)へ打ち込む。
(2)杭の上にカラマツの板材を並べたテーブル状の台を置く。
(3)その上に海水に強いイストリア産の石材で土台を築く。
(4)基礎の石の上に壁や柱を立ち上げる。

イストリア石は、アドリア海の北、ヴェネツィアの東にあるイストリア半島で算出される石灰石で、海水に耐える唯一の石材だそうです。

ヴェネツィア島に立ち並ぶ歴史的な建物が、類を見ない技術で、しかも島外から運び込まれた莫大な量の石材や、木材で造られたことを知り、驚くばかりです。



大運河沿いの道を進むと市場らしき広場があり、野菜のお店が並ぶ場所だったようです。

午後3時を過ぎ、魚市場は終了、八百屋の店舗がわずか2~3軒が開き、閑散としていました。

野菜の種類も特に珍しいものは見当たりません。

珍しかったのは、店員の方で、イタリア人ではなくアフリカや、中東の人が立っていました。



野菜売場を過ぎ、右手の大運河沿いの道は建物の中を進んでいきます。

両側の建物は、魚市場のようで、中はほとんど何もない石造りの建物でした。

本にあった写真では、商店ごとにたくさんのテーブルが並べられ、その上で魚を売っている風景がありました。

正面のアーチを出ると大運河に面した道です。




魚市場の建物を出て、左手を見た景色です。

この小運河は、すぐ後方の大運河へ続き、左手の魚市場の建物と便利につながっているようです。

今は閑散としていますが、朝には外洋や、ラグーナで採れた魚が船から陸揚げされ、仕入れた商店の人達が船で持ち帰る風景があるものと思われます。

小運河の先にレストランが見えます。



小運河の畔にある美しく飾られたレストランです。

日本人の若い女性二人が、入口付近に立っています。たずねてきたようです。

水辺の風景画を描く妻は、この景色が気に入り、写真を採っていました。



魚市場の対岸に建つ「カ・ドーロ(黄金の館)」の建物で、名称は、かつて外壁が金箔で覆われていたことによるものだそうです。

繊細な装飾が施されたこの建物は、1440年に造られた貴族の邸宅で、ヴェネツィアのゴシック建築では最高のものと言われているようです。

現在は、美術館になっているそうで、この後リアルト橋へ戻り、歩いて近くまで行きましたが、日暮れと雨で断念しました。



「カ・ドーロ」の少し西にあった建物で、珍しく庭に木のある邸宅です。

高い四階建ての建物に挟まれていますが、大運河に面してゆとりを持たせた建て方も和みを感じさせてくれるようです。

この風景も妻のお気に入りのようでした。

ヴェネツィアの自由時間は、2時から4時過ぎまであっという間に過ぎ、日暮れと雨で終わりとしました。

このブログを書くために、夢中で撮った写真を何度か見直し、ヴェネツィアの歴史の本を興味深く読むことができました。

ヴェネツィアを見て素晴らしかったと思う反面、まだ沢山の素晴らしいヴェネツィアがあることを教えられました。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。