【問 6】 Aは、Bに建物の建築を注文し、完成して引渡しを受けた建物をCに対して売却した。
本件建物に瑕疵があった場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
1 Cは、売買契約の締結の当時、本件建物に瑕疵があることを知っていた場合であっても、瑕疵の存在を知ってから
1年以内であれば、Aに対して売買契約に基づく瑕疵担保責任を追及することができる。
2 Bが建物としての基本的な安全性が欠けることがないように配慮すべき義務を怠ったために本件建物に基本的な
安全性を損なう瑕疵がある場合には、当該瑕疵によって損害を被ったCは、特段の事情がない限り、Bに対して
不法行為責任に基づく損害賠償を請求できる。
3 CがBに対して本件建物の瑕疵に関して不法行為責任に基づく損害賠償を請求する場合、当該請求ができる期間は、
Cが瑕疵の存在に気づいてから1年以内である。
4 本件建物に存在している瑕疵のために請負契約を締結した目的を達成することができない場合、AはBとの契約を
一方的に解除することができる。
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【問 6】「民法/契約総合、担保責任」
正 解 2
<登場人物の整理>
A:注文者、建物所有者
B:請負人、建築業者
C:建物の買主(売主はA)
1 誤 買主Cが売主Aに対して瑕疵担保責任を追及するためには、買主Cは善意無過失であることが要件。
Cは悪意(瑕疵の存在を知っていた)なので、瑕疵担保責任の追及は不可。
2 正 居住者等の生命、身体又は財産を危険にさらすような瑕疵(建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵)
がある場合、注文者Aだけでなく建物の買主Cも、建築業者Bに対して、不法行為による損害賠償請求ができる。
建築会社及び設計者,工事監理者(施行業者)は、完成した建築物に何らかの瑕疵があった場合、建築主(施主)
に対して瑕疵担保(民法634条以下)等の責任を負う。
そして、直接契約関係にない買主等(居住者、通行人)に対しても同様に責任を負う場合がある。
なぜなら、建設会社等は、当該建物の基本的な安全性が欠けることがないように配慮すべき注意義務があり、
その義務を怠り(安全配慮義務違反)その結果建築された建物に関して基本的な安全性を損なう瑕疵が存在し、
その瑕疵によって買主(居住者)の生命、身体又は財産が侵害されたような場合、買主は瑕疵の存在を知りながら
購入したなど特段の事情がない限り、生じた損害について不法行為(民法709条)による賠償責任請求が可能。
(判例)建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵について(最高裁平成23年7月21日第一小法廷判決)
3 誤 不法行為に基づく損害賠償請求権の消滅時効は被害者が損害及び加害者を知った時から3年である。
また、不法行為の時から20年を経過した場合も損害賠償請求権は消滅する(除斥期間)。(民法724条)
4 誤 建物その他土地の工作物の請負の場合、完成後はたとえ目的を達成することができなくても契約解除はできない。
したがって、注文者AはBとの契約を一方的に解除することはできない。(民法635条)
●合格のポイント●
瑕疵担保責任
(1)売買の目的物に「隠れた瑕疵」があった場合には、
① 善意無過失である買主は売主に対し損害賠償を請求することができる。
② 目的物の瑕疵により契約の目的が達成することができないときには、買主は売買契約を解除することができる。
(2)瑕疵担保責任は、売主の無過失責任である。
(3)瑕疵担保責任は、買主が事実を知った時から1年以内に追及しなければならない。
(4)「売主は瑕疵担保責任を負わない」という内容の特約は原則として有効である。
ただし、売主が目的物の瑕疵を契約前から知っていたにもかかわらず、それを買主に告げなかった場合には、
その瑕疵については責任を負う。
不法行為
(1)① 故意または過失によって
② 違法な行為を行い、
③ それによって
④ 他人に損害を発生させたときには
不法行為が成立し、加害者は被害者に対して損害を賠償する責任を負う。
(2)被害者に過失があったときは、裁判所は,これを考慮して、損害賠償の額を定めることができる。
(3)不法行為による損害賠償義務は、不法行為の時から遅滞になる。
(4)不法行為による損害賠償請求権は,被害者またはその法定代理人が損害および加害者を知った時から3年間
行使しないときは,時効によって消滅する。不法行為の時から20年を経過したときも同様である。
請負
(1)請負の目的物の引渡しと報酬の支払いは同時履行の関係に立つ。
(2)請負の目的物に瑕疵があって、このために契約の目的を達成することができないときは、注文者は、契約の解除をすることができる。
ただし、建物その他土地の工作物については、目的物の完成後は解除することができない。
本件建物に瑕疵があった場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
1 Cは、売買契約の締結の当時、本件建物に瑕疵があることを知っていた場合であっても、瑕疵の存在を知ってから
1年以内であれば、Aに対して売買契約に基づく瑕疵担保責任を追及することができる。
2 Bが建物としての基本的な安全性が欠けることがないように配慮すべき義務を怠ったために本件建物に基本的な
安全性を損なう瑕疵がある場合には、当該瑕疵によって損害を被ったCは、特段の事情がない限り、Bに対して
不法行為責任に基づく損害賠償を請求できる。
3 CがBに対して本件建物の瑕疵に関して不法行為責任に基づく損害賠償を請求する場合、当該請求ができる期間は、
Cが瑕疵の存在に気づいてから1年以内である。
4 本件建物に存在している瑕疵のために請負契約を締結した目的を達成することができない場合、AはBとの契約を
一方的に解除することができる。
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【問 6】「民法/契約総合、担保責任」
正 解 2
<登場人物の整理>
A:注文者、建物所有者
B:請負人、建築業者
C:建物の買主(売主はA)
1 誤 買主Cが売主Aに対して瑕疵担保責任を追及するためには、買主Cは善意無過失であることが要件。
Cは悪意(瑕疵の存在を知っていた)なので、瑕疵担保責任の追及は不可。
2 正 居住者等の生命、身体又は財産を危険にさらすような瑕疵(建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵)
がある場合、注文者Aだけでなく建物の買主Cも、建築業者Bに対して、不法行為による損害賠償請求ができる。
建築会社及び設計者,工事監理者(施行業者)は、完成した建築物に何らかの瑕疵があった場合、建築主(施主)
に対して瑕疵担保(民法634条以下)等の責任を負う。
そして、直接契約関係にない買主等(居住者、通行人)に対しても同様に責任を負う場合がある。
なぜなら、建設会社等は、当該建物の基本的な安全性が欠けることがないように配慮すべき注意義務があり、
その義務を怠り(安全配慮義務違反)その結果建築された建物に関して基本的な安全性を損なう瑕疵が存在し、
その瑕疵によって買主(居住者)の生命、身体又は財産が侵害されたような場合、買主は瑕疵の存在を知りながら
購入したなど特段の事情がない限り、生じた損害について不法行為(民法709条)による賠償責任請求が可能。
(判例)建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵について(最高裁平成23年7月21日第一小法廷判決)
3 誤 不法行為に基づく損害賠償請求権の消滅時効は被害者が損害及び加害者を知った時から3年である。
また、不法行為の時から20年を経過した場合も損害賠償請求権は消滅する(除斥期間)。(民法724条)
4 誤 建物その他土地の工作物の請負の場合、完成後はたとえ目的を達成することができなくても契約解除はできない。
したがって、注文者AはBとの契約を一方的に解除することはできない。(民法635条)
●合格のポイント●
瑕疵担保責任
(1)売買の目的物に「隠れた瑕疵」があった場合には、
① 善意無過失である買主は売主に対し損害賠償を請求することができる。
② 目的物の瑕疵により契約の目的が達成することができないときには、買主は売買契約を解除することができる。
(2)瑕疵担保責任は、売主の無過失責任である。
(3)瑕疵担保責任は、買主が事実を知った時から1年以内に追及しなければならない。
(4)「売主は瑕疵担保責任を負わない」という内容の特約は原則として有効である。
ただし、売主が目的物の瑕疵を契約前から知っていたにもかかわらず、それを買主に告げなかった場合には、
その瑕疵については責任を負う。
不法行為
(1)① 故意または過失によって
② 違法な行為を行い、
③ それによって
④ 他人に損害を発生させたときには
不法行為が成立し、加害者は被害者に対して損害を賠償する責任を負う。
(2)被害者に過失があったときは、裁判所は,これを考慮して、損害賠償の額を定めることができる。
(3)不法行為による損害賠償義務は、不法行為の時から遅滞になる。
(4)不法行為による損害賠償請求権は,被害者またはその法定代理人が損害および加害者を知った時から3年間
行使しないときは,時効によって消滅する。不法行為の時から20年を経過したときも同様である。
請負
(1)請負の目的物の引渡しと報酬の支払いは同時履行の関係に立つ。
(2)請負の目的物に瑕疵があって、このために契約の目的を達成することができないときは、注文者は、契約の解除をすることができる。
ただし、建物その他土地の工作物については、目的物の完成後は解除することができない。