隊長のブログ

元商社マン。趣味:ヒップホップダンス、ジャズダンス、日舞(新舞踊)、旅行、映画、スポーツ観戦。阪神タイガースのファン。

映画 Film264 『ミリオンダラー・ベイビー』

2023年05月13日 | 映画

隊長が、これまでに鑑賞した「映画」を紹介するシリーズの第264作品目は、『ミリオンダラー・ベイビー』をお送りします。

 

 


『ミリオンダラー・ベイビー』(原題: Million Dollar Baby)は、2004年12月15日公開(日本公開:2005年5月28日)のアメリカ映画。配給:ワーナー・ブラザース(Warner Bros. Entertainment Inc.)。上映時間:133分。


本作品は、ボクシングに希望を見い出そうとする女性と、そのトレーナーの心の葛藤(かっとう)を丹念に描いた、ヒューマン・ドラマです。


原作は、F.X.トゥールの同名小説。脚本:ポール・ハギス。


クリント・イーストウッドが、監督・出演・音楽を務めたことでも、話題になりました。


尚、「隊長のブログ」では、クリント・イーストウッドの映画作品を、これで11本を紹介したことになります。詳細は、こちらをご参照下さい


第77回アカデミー賞(2005年)で、作品賞、監督賞(クリント・イーストウッド)、主演女優賞(ヒラリー・スワンク)、助演男優賞(モーガン・フリーマン)の主要4部門制覇を始め、第62回ゴールデン・グローブ賞など、各映画賞を受賞した、問題作でもあります。


モーガン・フリーマンの出演映画は、『ウォンテッド』  などを、取り上げています。

 

 

あらすじ:ロサンゼルスの寂れたボクシングジムのオーナー兼トレーナーのフランキー・ダン(クリント・イーストウッド)は、あまりに選手を大事にするため、早くチャンピオンになりたい者は次々とジムを去ってしまいます。残っているのは、元ボクサーで雑用係をしているスクラップ(モーガン・フリーマン)だけ。


そんなジムの門を叩いたのが、田舎育ちのマギー・フィッツジェラルド(ヒラリー・スワンク)です。フランキーは、彼女を拒んでいましたが、彼女の真剣さに打たれ、彼女のトレーナーとなります。お互いに父娘の関係をなくしている二人は、激しいトレーニングの中で深く心を通わせます。


プロボクサーとしてデビューしたマギーは連戦連勝し、卑怯な手を使うことで知られるボクサーのビリー(ルシア・ライカ)と、100万ドルの賞金が掛けられたタイトルマッチに臨みます。マギーは、優位に試合を運びましだが、ラウンド終了後にビリーが放った反則パンチから、コーナーにあった椅子に首を打ちつけ骨折し、全身不随となってしまいます。


意識ははっきりしているものの体の自由が効かないマギーを、フランキーは懸命に介護します。しかし、完治の見込みがないマギーは家族に見放された事から人生に絶望し、尊厳死を希望し、フランクに幇助を懇願します。しかし、フランクに断られ、自分で舌を噛み切り自殺を図ろうとします。


彼女を愛しているからこそ苦しんだフランキーは、宗教的なタブーとのはざまで苦悩した末、彼女の願いを叶えるという選択をします。フランキー自身でアドレナリンの注射を打ち、人工呼吸器をはずし、彼女にお別れをしたのでした。その後、彼の姿を見たものはいない。。。

 

 

感想:興行的には期待が出来ず、やもすれば、映画にすることがタブーとされていた尊厳死というテーマに、真っ向から切り込んだ作品です。


映画化が難しいと思われた原作小説を、ポール・ハギスの脚本、クリント・イーストウッドの演出、そしてヒラリー・スワンクの好演で、興行収入 $216,763,646のヒット作となっただけでなく、アカデミー賞など、各映画賞を総なめしました。


安楽死・尊厳死の問題は難しく、ブログでも 『安楽死問題を考える』 で、記事にしたことがあります。


キリスト教が生活に根付いているアメリカでは、日本以上に賛否が分かれていることからも、問題の難しさが分かります。


特に、アイルランド系カトリック教徒のフランキーは、背中にゲール語で「モ・クシュラ」と書かれた緑色のガウンをマギーに贈るほどですから、その苦悩ぶりがフランキーを演じたクリント・イーストウッドの表情からも、読み取ることが出来ます。


また、アイデンティティもこの映画の隠されたテーマだと言えるでしょう。フランキーが、アイルランドを訪れたことがあるかは定かではありませんが、アイルランド系移民としてのアイデンティティを強く意識し、ゲール語で書かれた緑色のガウンをマギーに贈ったり、死の旅に向うマギーにゲール語の詩集を読んで聞かせます。


クリント・イーストウッドが、若い頃に演じた 『夕日のガンマン』  や、『ダーティーハリー』  の主人公ような格好良さはありませんが、本作品にはクリント・イーストウッドの映画観が体現されていると言ってよいでしょう。

 

 

 

 

 

==「映画」バックナンバー =
http://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/c/226e9f0193a60e6a012384176360666f
Film1~250  省略

Film251 2022/7/18 『エルビス』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/8253525b9bf7527bc081bb94708ff005

Film252 2022/9/20 『必死剣 鳥刺し』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/9e2a85ff0a9e61ab15e39f8b554e8ae4

Film253 2023/1/7  『ホイットニー・ヒューストン I WANNA DANCE WITH SOMEBODY』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/86d9b2ce72d25e29c817d658bfc84f88

Film254 2023/2/14 『おとうと』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/f2f797a386684d5d744a368d7e52f66c

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Film257 2023/4/4  『ニュー・シネマ・パラダイス』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/0c0ebc82b22ea1f323fa2c1d1264226e

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Film259 2023/4/16 『RAILWAYS 愛を伝えられない大人たちへ』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/bafc223e40fd969bcddd9582dac7005a

Film260 2023/4/23 『アルカトラズからの脱出』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/3b3b7bbdc8bdd56caeb04b160f10fd8d

Film261 2023/4/27 『コンフィデンスマンJP プリンセス編』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/381ba15a9e8aa9d8c6794ce162990d6f

Film262 2023/5/3  『わが母の記』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/f5b5239b3001d929da058399a3532216

Film263 2023/5/7  『ビリギャル』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/b4ff5279b0e1c8542ee6c132028530bf


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