隊長が、これまでに観た「映画」を紹介するシリーズの第210作品目は、『紀ノ川』をお送りします。
『紀ノ川』は、昭和41年(1966)6月11日に公開された日本映画です。配給:松竹。上映時間:173分。
原作は、昭和59年(1984)に53歳で亡くなった、小説家・有吉佐和子の同名小説。
監督:中村登。脚本:久板栄二郎。音楽:武満徹。
主演は、司葉子。
共演者:岩下志麻、田村高廣、丹波哲郎、東山千栄子、沢村貞子、岩本多代、穂積隆信、有川由紀、など。
あらすじ:明治32年(1899)、二十二歳の春を迎えた紀本花(司葉子)は、紀州有功村六十谷(むそた)の旧家・真谷家に嫁ぎました。花は、二十四歳の若さながらも村長である夫・敬策(田村高廣)を支えながら貞淑な妻に収まっていました。
真谷家の近くには紀ノ川が流れており、毎年夏になると川が氾濫し周囲の農作物に甚大な被害をもたらしていました。花は敬策に水防工事の建設を提言します。これが成功し敬策は出世を果たし、市議会議員に立候補することになりました。
一方、敬策の弟・耕策(丹波哲郎)は兄と違って不出来な放蕩者でした。日露戦争が始まり、次男以下は徴兵されることになり、軍隊が嫌で彼は敬策に分家を求めました。結局、彼は真谷家が所有する山を全て自分のものにして家を出て行きました。やがて花は長女・文緒を出産します。それから10数年後、高校生になった文緒(岩下志麻)は、支配する側である父や、古いしきたりを重んじる母と対立していくようになります。。。。。
感想: 小説『紀ノ川』⇒ http://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/504131fd665c00b7ee0e8f8b28dd1003 を読んでから、この映画を観たい観たいと思っていましたが、やっとDVDをレンタルして観ることが出来ました。
オープニングは、紀ノ川の上流にある紀本家から花が何艘もの舟で下りながら嫁入りするシーンです。カメラワークが素晴らしくて、美しい映像に一気に物語に惹き込まれました。出来れば、デジタルリマスター版を制作して頂き、さらに綺麗な映像で観たいと思わせるほどです。
オープニング・クレジットで流れる出演者一覧に、岩下志麻(東宝)の字幕が。映画会社と俳優が専属契約を結んでいた時代の産物ですね。
川から陸に上がった花嫁が、駕籠(かご)に乗って真谷家に向かうシーンは、当時の素封家(そほうか)が如何に財力があったを示して余りあります。物語は進み、太平洋戦争敗戦後の農地改革で、没落した真谷家、まさに天国から地獄へ突き落されたかの様です。
3時間近くの大作ですが、最後まで飽きることなく、魅せてくれました。
ただ、小説では明治・大正・昭和それぞれの時代背景と、花、娘の文緒、孫の華子、三代の人生を丹念に描いていますが、映画では、花を中心に描かれています。特に華子(有川由紀)の生き方の描写がありませんでした。まあ、映画のサブタイトル自体、「花の巻/文緒の巻」と断っているのですが。
キャストでは、やはり司葉子さんが光っていました。若い花の美しさは勿論ですが、老け役も見事でした。
それと、弟・耕策役の丹波哲郎さん。丹波さんと言えば、晩年の大袈裟な演技が眼に焼き付いているのですが、この作品では、花を好きなくせに面と向かうと裏腹の態度を取る屈折した耕策を押さえた演技で表現していました。
最後になりますが、この映画が公開されてから54年が経ちました。有吉佐和子さん以外にも、多くのスタッフ・キャストが、既に鬼籍に入られています;
中村登、今村昌平、久板栄二郎、武満徹、田村高廣、丹波哲郎、東山千栄子、沢村貞子、岩本多代、穂積隆信、ほか (敬称略)。
亡くなられた方々のご冥福をお祈りいたします。
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Film1~195 省略
Film196 2020/9/13 『グリーンマイル』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/876a4508199a8cf4d0832c063b02d670
Film197 2020/9/15 『チィファの手紙』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/a2928d17c0dab4ca2d5b48fdd62f7bf8
Film198 2020/9/19 『夕陽のガンマン』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/f1448b241b34eb39c42b9f97bdd98095
Film199 2020/9/23 『助太刀屋助六』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/aedb38fd6db9e282b364c163bd5dcfc5
番外編 2020/9/27 『訃報:竹内結子さん』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/05c749f8671fc7fb48c90ad928072528
Film200 2020/10/1 『マッドマックス』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/e6870d95eef84dd873c6a5e7b354e3c1
Film201 2020/10/7 『遥かなる大地へ』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/9a954d71a3a890ce823b5da663e66204
Film202 2020/10/21『沈黙 -サイレンス-』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/6e93199062e948a5cc81dc9576d40d5e
Film203 2020/11/16『ラッキー・ナンバー』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/7408388a7daaaf3ef3c833dad081e918
Film204 2020/11/21『北京ヴァイオリン』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/5506c1d49af6fb922539904348727e7e
Film205 2020/11/25『デイズ・オブ・サンダー』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/0a8f8ac94f345cd50b3fb5c5faa68935
Film206 2020/11/30『ラストレター』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/5b0a5db6da384e0b19a3edd160cc1342
Film207 2020/12/4 『桜田門外ノ変』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/5bdf04540500a483665aaa89d062b52d
Film208 2020/12/12『キャプテン・フィリップス』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/272e3cd3ff79bdf5e9c0a6439e0a095c
Film209 2020/12/21『キューポラのある街』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/188077157ae1dc14e20d838b4408b91b
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