桑の海 光る雲

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登山の記42・日光白根山②

2006-05-19 21:41:08 | 旅行記

登り初めは笹原が続き、その後森林帯に入り、ひたすら高度を稼ぐ。この辺りはほとんど記憶がないが、樹林帯では下草がほとんど無かったような気がする。

登り切ると急に視界が開け、目の前に湖水が現れた。弥陀ヶ池である。この池の畔で私は見慣れない妙な装置を見た。それは、高山植物をシカの食害から守るフェンスであった。そこにあった解説によれば、この辺りはシラネアオイの大群落だったのだが、シカの食害でほぼ全滅してしまい、現在では新たに移植した場所を、電気を通したフェンスで囲うことでかろうじて守っているのだそうだ。

池の向こうにはもう山頂が見える。高曇りではあったが、幸いに山頂には雲はかからず、このまま登頂できそうだ。

そこからまた急な登りが続く。特に山頂直下は明治時代に噴火によって切り立った崖を、岩を手でつかみながらよじ登らねばならない。後ろを振り返らずに慎重に登っていった。

山頂は何度も噴火を繰り返した火口の一角とおぼしき、狭い岩場であった。やはり日本百名山に数えられるらしく、山頂はたくさんの人でにぎわっていた。風は無かったが、気温が低いのはよくわかる。山頂からは、赤城山、武尊山、皇海山、男体山、燧ヶ岳、至仏山、谷川連峰等、360度を一望できた。これで空が晴れていればなおのこと良かったのだが、まぁ、初めての登山でこれだけの光景を眺めることができれば上出来である。

下山は別のルートを取った。怖い思いをした岩場を下るのがいやだったからである。山頂から東側に下った。やはり活火山らしく、木はほとんど生えておらず、草がまばらに生えるガレ場が続くので、とても歩きづらい。しかも人がどんどん登ってくるので、すれ違うのが大変である。石を下に落とさないよう配慮も必要だ。

かなり苦労して平坦な場所に着いた。少し歩くと五色沼に着いた。湖水は何だか神秘的な色をしている。人もほとんどおらず、ちょうどお昼時だったので、ここでお湯を沸かし、カップラーメンを作り、コーヒーを入れた。寒空の下食べるラーメンはなかなかうまかった。

後は弥陀ヶ池まで戻り、登ってきた道を戻った。駐車場には、登ってきた時の半分くらいの車しかなかった。雲が切れ、陽が差してきていた。今山頂にいる人は、きっと青空の下、四方の山々を眺めていることだろうと思われた。

帰りに黒保根の水沼温泉に入って帰った。

コメント
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