はぐれ遍路のひとりごと

観ながら歩く年寄りのグダグダ紀行

知多四国88番円通寺

2015-12-29 10:00:00 | 寺社遍路
歩行記録                                                              H27-9-4(金)
歩行時間:4時間40分   休憩時間:2時間00分   延時間:6時間40分
出発時刻:8時25分     到着時刻:15時05分
歩  数: 30、793歩(推定距離23.1km)    GPS距離22.6km
行程表
 太田川駅 0:10> 83番 0:35> 86番 0:20> 85番 0:20> 84番 0:40> 5番 0:25> 88番 0:45> 87番 1:00>
桶狭間公園 0:25> 競輪場前駅

                               88番円通寺(お札)

 地蔵寺から歩き出す道の入口が分からずウロウロしていたら “何処に行くのか” 声をかけられた。
 「県道248号に行く近道を探している」 と言うと 「この辺は県道ばかりで、県道何号線では分からない、どこへ行きたいの?」
再度聞かれた。多分言っても分からないと思ったが、円通寺の名を言うと思いもかけず
 「アー88番の円通寺さんなら・・・・・・」 と教えてくれた。四国霊場以外ではこんなことは珍しい事でラッキーでした。
入口さえ分かれば後は分かりやすい道で、広々と開墾された畑の中の88番円通寺(えんつうじ)を目指した。

  
       円通寺石柱                    200回巡拝記念碑              200回巡拝記念写真   

 本来ならこの寺を結願寺にしたかったのだが仕方ない。と幾分残念な気持ちを抱いて少々荒れている参道を上る。
寺の入口には 「新四国八十八番札所 満願霊場円通寺」 の石柱も立ちよけいの残念さが増してしまった。
でもここで疑問が生じた。
私は四国霊場を歩いた時に “結願(けちがん)” の言葉を知ってから、霊場巡りを完了する事を結願と思って使ってきた。
だがここの石柱には “満願” と書いてある。四国と知多では使い方が違うのだろうかと先ず結願の意味を調べてみた。
 「仏教用語。期間を定めて法を修する場合、その修行の完了すること、またその最終日をいう。満願とも。」
要はどっちでもいいのだ。満願でも結願でも。でも一般的な “満願成就” より “結願成就” の方が格好いいかも。

 少々荒れた感じのする境内に入り、まず目に入ったのは 「新四国巡拝二百回記念彰徳碑」 だった。
確か42番天龍寺には400回記念の納め札を奉納してあったが、あれはマイカー遍路だったらしいが、銅像のお遍路さんは
着物の遍路姿なので、明治か大正の歩き遍路なのだろう。
歩き遍路なら交通費が必要ないからお金が掛からないと思う人もいるかもしれないがそんな事はなく、交通費は掛からなくても
宿泊費が必要になる。例えば四国霊場を40日かかって回るなら40泊の宿泊費が必要で、これを車で回れば10日掛からずに
回る事ができる。歩き遍路を乞食旅行という人もいたが、経費だけとらえて言うなら大名旅行だともいえる。
実際、四国遍路の掛かった費用なら、地球の裏側のマチュピチュツアーだって行く事ができる。

 弘法堂の軒先には女性遍路の二百回記念の写真も飾られていた。やはり結願の札所だけの事はある。

 
                  本 堂                                   弘法堂

 本堂の屋根の瓦は所々剥がれているし、軒先の瓦はすでに落ちていて落下防止用のネットも張ってある。もしかして真言宗かと
思ったが曹洞宗だった。失礼しました。
 本堂と弘法堂をつなぐ渡り廊下の太鼓橋のような曲線は、寺の由緒を感じさていたが、今は使われていなのか埃が積もっていた。
本堂を再建するときは、是非この渡り廊下は復元してほしい。

円通寺は行基菩薩が馬頭観音などを刻んで安置したのが始まりとされ、その後戦乱で2度焼けたのち夢窓国師が中興開山している。
文化財も県指定の木造毘沙門天立像をはじめとして、市指定文化財も4点ある古刹である。
それが参道や境内、さらに建物全てが荒れている感じがしてならない。よく言えば山寺の風情ともいえるが矢張り手入れの状態が悪く
感じてしまう。きっと再建待ちで手を加えていないのだろうが残念な気がしてならない。ただその荒れた感じに反比例して、庫裏は
新築で洒落た建物だった。できるなら近いうちに本堂や弘法堂も再建され境内も整備される事を祈っています。
こんな感想を持つのは初めてだが、これもこの寺が結願寺だからなのだろう。

  
            錫 杖                       立弘法                     鳥彗紗摩明王

 錫杖に 「ごりやく錫杖 回してください」 とあったが、千羽鶴やリボンで握る所がない。これが四国霊場の結願寺だと、結願した
遍路が奉納した金剛杖が山ほどあった。尤も私の使った金剛杖は冥土の旅路の友にしようと家に待って帰ったが。
四国に比べここの霊場は遍路道の高低差が小さく、杖を必要とする場所もなかった。
私も今回は金剛杖も買わないしストックも持ってきていない。これでは奉納する杖がないのだから仕方ないか。

 「立弘法(たちこうぼう)」 は初めて聞く名前だが
 「“此の門をよけて通れよ風の神 とふりに姿のあらん限り” 玄関にお祀りし、家事災難、盗難等から家宅をお守りいただく有難い
弘法様です 一体二〇〇円」
とある。なら立姿のいわゆる修行大師のような大師像が、弘法堂の中に有るかと覗いてみたが分からな
かった。ネーミングは上手いが、せめて立姿の大師像が見える場所に欲しいものだ。

 「烏枢沙摩明王(うすさまみょうおう)」 が下(しも)の神さんとしてお祀りしてある寺は何か所もあったので知っていたが、ここ円通寺の
弘法堂にはあちこちに “トイレの神様” とか “便所の神様” の張り紙がしてある。で、それを見てみると
 「うすさま明王(トイレの神様)  “おんくろだのう うんじゃくそわか” トイレにお祀りして下浄を清浄へと転じ 腰から下を守っていただき
御徳を頂きます 一体二〇〇円」
 要は下の世話を人に頼らないで済む神様だが、この神様も弘法堂の中には見当たらなかった。
その代わりというか、こんな説がありました。
 「知多四国霊場一番最後=しもの札所であるため、「しも弘法」とか 「円通寺の通寺をもじって「つうじの神様」など紹介していた。
なんともうまい解釈で私も負けずに新しいお札販売に挑戦した。
円通寺にある県指定文化財の毘沙門天の奥さんは吉祥天。なのでお札の説明には
 「毘沙門天と吉祥天の御夫婦にあやかりますよう 縁が(円)がつうじ(通寺)るお札です。」としたらどうだろう。
円通寺さんどうぞこのアイデアを採用して、本堂の立て直しをしてください。 と、こんなことに影響されたのか生まれて初めてお札を
買ってしまった。
そのとき 「お札なのに何故一枚でなく一体ですか」 と聞くと 「明王様やお大師様が描かれていますので一体と言います。」
なるほどと思ったが、すぐ “そのお体を売買して罰が当たらないのか” と心で反論する臍曲がりでした。

        
                         抱地蔵                                   重軽石

 ここにも抱地蔵があったが隣はお賓頭盧様ではなく馬頭観音らしき石仏だった。そして 「重軽石」 なる物も置いてある。
これも抱き地蔵と同じように、持ってみて軽く感じたら吉というものだろう。
       
                                    5番地蔵寺から88番円通寺への道

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