はぐれ遍路のひとりごと

観ながら歩く年寄りのグダグダ紀行

花沢山と満観峰2

2009-10-12 13:09:02 | 低山歩き
 日本坂峠には日本武尊が賊に追われて逃げ隠れたといわれている穴に
小さな祠を作り奉ってある。
今は穴地蔵と言われているらしいが寂れていてみる影もない。
尤も穴といっても人が入れるようなものではなく、ただ自然石を組んだだけのようだ。
だいたい身を隠すのに峠の横の穴に逃げ込んでも直ぐ見つかってしまうだろう。
まして当時ならその付近は自然林で身を隠す場所は幾らでもあったと思う。
この話は後世になって頭の良い人が祠と峠を結びつけて言い出した伝説なのだろう。

 この祠変わった物がお供えされている。
穴の開いた石に紐を通してブル下げてある。
これを見て現代の頭の良い人は考えた。

 賊から逃れた日本武尊はお礼に剣の鍔を献上しようと鍔を手に取ると
鍔の穴の先に東国の象徴でもある富士山が見えていた。
喜んだ日本武尊は「これで先が見えた」祠に「先見神社」名付け鍔を奉納した。
それ以後村人は悩み事があると穴の開いた石をぶら下げて
「先が見えますように」お参りをするようになったのだとか。

 さらに現代になると石をぶら下げ進学・就職・縁談と将来の事を願掛けしては
願いがかなうとお世話になった人に竹輪を送ってお礼をするようになった。
こうなればお賽銭で神社はうるおうし、地元の焼津も特産品が売れて大満足。

 
 どうでもよい空想をやめて花沢山に歩き出す。
少し登ると後ろには三角錐をした丸子富士が見えてくる。
アンテナが立った高草山も林間越しに見え隠れしている。
杉の木の根が複雑に入りくんで階段状になった急坂が終わり、なだらかに
なると右手に静岡の街の先に富士山が見えてきた。
最近では富士山が見える日が少ないのに今日は8合目付近は薄っすらと
白くなった富士山が見える。
この場所は花沢山では一番眺めが良い場所なのだが、駿河湾の方は見ることが出来ない。
焼津側も港の一部が見えるだけで志太平野は見ることが出来ない。
噂通りの急で眺めが良くない山だ。

 突然巨大な反射板が東西に立っていて驚くが、これはJRの反射板とか。
反射板の後ろは木を切ってあり、その横の隙間から富士山が見える。
ここの山頂に来るといつも腹立たしくなる。
JRは大企業なのだから、こんな無粋な建造物を建てたお詫びに周囲の木を伐採して
見晴らしを良くしてくれてもばちは当たらないと思うのだ。
そうすればここは眺めの良い場所になり、南は駿河湾の先に伊豆半島。
東は用宗の港から静岡の街。そしてその先には日本平、愛鷹山そして富士山。
北の方角は冬なら雪を被った南アルプスの山々。
西に目を向けると広大な志太平野が一望できるだろう。

 またまた実現しそうもない空想癖が始った。きりがないの先に進もう。
三角点のある山頂は反射板の直ぐ先にある。
ここは以前航空灯台があったとかで、そのコンクリートの土台が今でも残っている。
ベンチと長いすのある山頂で一休み。

 眺めの悪い山頂を後にJR用宗駅に向けて下り始める。
ここから用宗までは下りだけなのだが、この後この道を引き返すかと思うとゾーとする。
先日の台風の影響か杉の葉が登山道に落ちて一杯覆いかぶさっている。
滑るかと用心したが逆にクッションになって歩きやすく感た。
山頂から35分ほどで農道に出合う。農道は黄色く色づいたミカン畑の間に延びている。
農道が終わる頃右手に150号線のトンネルが見え出し更に下ると
新幹線が横を走り覗き込むとトンネルの入口が見える。
その20mほど先に東海道線の踏切があり、ここもトンネルの入口が見えている。

すぐに旧の150号線に出るのでそこを横切り海岸の堤防の道を歩く。
海では投げ釣りをやっている人がチラホラ。のんびり富士山を眺めながら用宗駅に向かう。
駅の入口は表示がないが、道に車止めのしてある場所を左(北)に曲れば200m程で駅に着く。
                          つづく

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