木村東吉氏の論文
宮沢賢治・封印された「慢」の思想 -遺稿整理時番号10の詩稿を中心に-
によれば、
とうことである。
そこで『新校本宮澤賢治全集第十六巻(上)補遺・資料 草稿通観篇』(筑摩書房)の662p~から抽出してみると、いわゆる「10番稿」は下表のようになるだろう。
したがって、〔もう二三べん〕は「10番稿」の一つだったということが判った。つまりこの詩はやはり賢治が公表を封印した詩稿群の一つであり、
『この篇みな/疲労時及病中の心ここになき手記なり/発表すべからず』
と記していた詩篇の一つであった。
言い換えれば、本来ならばこの詩〔もう二三べん〕は世に知られることのなかったはずの詩であり、
〔もう二三べん〕はやはり賢治が封印した詩稿群の一つであった。
ということで、私の予想どおりだった。
なお、同じく「甲助」が登場している詩〔甲助 今朝まだくらぁに〕は10番稿ではなかった。この違いは何故だったのだろうか。それは、素朴に考えれば、先に
逆に言えば、賢治が封印するしないの基準がこれで少しだけ見えてきたような気もする。そこで、次回は封印された詩稿群について少し考察してみたい。
続きへ。
前へ 。
“賢治作品についてちょっと』の目次”へ。
”みちのくの山野草”のトップに戻る。
《鈴木 守著作新刊案内》
この度、お知らせしておりました『「羅須地人協会時代」再検証-「賢治研究」の更なる発展のために-』が出来いたしました。
◇『「羅須地人協会時代」再検証-「賢治研究」の更なる発展のために-』(定価 500円、税込み)
本書の購入をご希望なさる方がおられましたならば、葉書か電話にて下記にその旨をご連絡していただければまず本書を郵送いたします。到着後、その代金として500円(送料込)分の郵便切手をお送り下さい。
〒025-0068 岩手県花巻市下幅21-11 鈴木 守
電話 0198-24-9813
なお、本書は拙ブログ『宮澤賢治の里より』あるいは『みちのくの山野草』に所収の、
『「羅須地人協会時代」検証―常識でこそ見えてくる―』
のダイジェスト版です。さらに詳しく知りたい方は拙ブログにてご覧下さい。
また、『「羅須地人協会時代」検証―常識でこそ見えてくる―』はブログ上の出版ゆえ、紙媒体のものはございません。
《鈴木 守著作既刊案内》
◇『「涙ヲ流サナカッタ」賢治の悔い』(定価 500円、税込)
ご注文の仕方は上と同様です。
なお、こちらは『宮沢賢治イーハトーブ館』においても販売しております。
☆『「涙ヲ流サナカッタ」賢治の悔い』 ☆『宮澤賢治と高瀬露』(上田哲との共著) ★『「羅須地人協会時代」検証』(電子出版)
『羅須地人協会の真実―賢治昭和二年の上京―』、『宮澤賢治と高瀬露』のご注文につきましても上と同様ですが、こちらの場合はそれぞれ1,000円分(送料込)の郵便切手をお送り下さい。また、こちらも『宮沢賢治イーハトーブ館』において販売しております。
☆『賢治と一緒に暮らした男-千葉恭を尋ねて-』 ☆『羅須地人協会の真実-賢治昭和2年の上京-』 ☆『羅須地人協会の終焉-その真実-』
ただし、『賢治と一緒に暮らした男-千葉恭を尋ねて-』は在庫がございません。
宮沢賢治・封印された「慢」の思想 -遺稿整理時番号10の詩稿を中心に-
によれば、
『新・校本宮澤賢治全集第十六巻』(上)年には、詩稿に付された三種の遺稿整理時番号が記載してあり、このうち「朱のスタンプインクをつけて押されたゴム印番号」は作者が死の床にあって、床の脇に分類して山積みにしてあった詩稿の状態を記録したもので、同一の山の詩稿に同じ番号を付したものとされている。
これについて検討してみると、10の印がある詩稿が四八枚あって、黒クロース表紙Eの表紙裏にも、同じゴム印10が5カ所押されており、その力紙に先述のとおり「この篇みな/疲労時及病中の/心こゝになき手記なり/発表すべからず」とメモされている。以下これを10番稿と呼ぶことにして、このメモに従うならば、この10番稿は封印された詩稿群だったことになる。
<『国文学攷』第一七六・一七七号合併号(広島大学国語国文学会編2003年)43pより>これについて検討してみると、10の印がある詩稿が四八枚あって、黒クロース表紙Eの表紙裏にも、同じゴム印10が5カ所押されており、その力紙に先述のとおり「この篇みな/疲労時及病中の/心こゝになき手記なり/発表すべからず」とメモされている。以下これを10番稿と呼ぶことにして、このメモに従うならば、この10番稿は封印された詩稿群だったことになる。
とうことである。
そこで『新校本宮澤賢治全集第十六巻(上)補遺・資料 草稿通観篇』(筑摩書房)の662p~から抽出してみると、いわゆる「10番稿」は下表のようになるだろう。
したがって、〔もう二三べん〕は「10番稿」の一つだったということが判った。つまりこの詩はやはり賢治が公表を封印した詩稿群の一つであり、
『この篇みな/疲労時及病中の心ここになき手記なり/発表すべからず』
と記していた詩篇の一つであった。
言い換えれば、本来ならばこの詩〔もう二三べん〕は世に知られることのなかったはずの詩であり、
〔もう二三べん〕はやはり賢治が封印した詩稿群の一つであった。
ということで、私の予想どおりだった。
なお、同じく「甲助」が登場している詩〔甲助 今朝まだくらぁに〕は10番稿ではなかった。この違いは何故だったのだろうか。それは、素朴に考えれば、先に
こうして冷笑や慢に充ち満ちた〔もう二三べん〕を読んでいると、〔甲助 今朝まだくらぁに〕における甲助に対しての冷笑はまだそれ程のものでもないと思わせられてしまうくらいだ。
と評価したように、〔もう二三べん〕に較べればの話だが、〔甲助 今朝まだくらぁに〕の方にはそれほど冷笑や慢はきつくないからであったと理由付けできるから、多少分からない訳でもない。逆に言えば、賢治が封印するしないの基準がこれで少しだけ見えてきたような気もする。そこで、次回は封印された詩稿群について少し考察してみたい。
続きへ。
前へ 。
“賢治作品についてちょっと』の目次”へ。
”みちのくの山野草”のトップに戻る。
《鈴木 守著作新刊案内》
この度、お知らせしておりました『「羅須地人協会時代」再検証-「賢治研究」の更なる発展のために-』が出来いたしました。
◇『「羅須地人協会時代」再検証-「賢治研究」の更なる発展のために-』(定価 500円、税込み)
本書の購入をご希望なさる方がおられましたならば、葉書か電話にて下記にその旨をご連絡していただければまず本書を郵送いたします。到着後、その代金として500円(送料込)分の郵便切手をお送り下さい。
〒025-0068 岩手県花巻市下幅21-11 鈴木 守
電話 0198-24-9813
なお、本書は拙ブログ『宮澤賢治の里より』あるいは『みちのくの山野草』に所収の、
『「羅須地人協会時代」検証―常識でこそ見えてくる―』
のダイジェスト版です。さらに詳しく知りたい方は拙ブログにてご覧下さい。
また、『「羅須地人協会時代」検証―常識でこそ見えてくる―』はブログ上の出版ゆえ、紙媒体のものはございません。
《鈴木 守著作既刊案内》
◇『「涙ヲ流サナカッタ」賢治の悔い』(定価 500円、税込)
ご注文の仕方は上と同様です。
なお、こちらは『宮沢賢治イーハトーブ館』においても販売しております。
☆『「涙ヲ流サナカッタ」賢治の悔い』 ☆『宮澤賢治と高瀬露』(上田哲との共著) ★『「羅須地人協会時代」検証』(電子出版)
『羅須地人協会の真実―賢治昭和二年の上京―』、『宮澤賢治と高瀬露』のご注文につきましても上と同様ですが、こちらの場合はそれぞれ1,000円分(送料込)の郵便切手をお送り下さい。また、こちらも『宮沢賢治イーハトーブ館』において販売しております。
☆『賢治と一緒に暮らした男-千葉恭を尋ねて-』 ☆『羅須地人協会の真実-賢治昭和2年の上京-』 ☆『羅須地人協会の終焉-その真実-』
ただし、『賢治と一緒に暮らした男-千葉恭を尋ねて-』は在庫がございません。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます