みちのくの山野草

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「252c」関連書簡下書群・新旧対応

2019-01-22 16:00:00 | 濡れ衣を着せられた高瀬露
《早池峰薄雪草》(平成23年7月11日撮影)

 では、かなり混乱しているようだから、もう少し整理してみたい。そのために、「252c」関連書簡下書群についての『新・旧校本』の対応を調べてみた。

 まず、次の《表1》を作った。
 《表1 高瀬(小笠原)露あてと推定されると言っている書簡下書 <旧→新> 対応表》
 左側が『旧校本第十三巻』に載っていた〔日付宛名不明〕の書簡下書であり、その右側が、『新校本第十五巻 書簡』ではそれぞれどう対応しているかという表である。
・不2      =252c下書(四)前半
・不4      =252c下書(四)後半
・不5      =252a
・不5 下書(一)=252a下書(二)   
・不5 下書(二)=252a下書(三)
・不5 下書(三)=252a下書(四)
・不5 下書(四)=252a下書(五)
・不5 下書(五)=252a下書(六) 
・不6      =252c下書(十六)
・不6 下書(一)=252c下書(五) 
・不6 下書(二)=252c下書(六) 
・不6 下書(三)=252c下書(七) 
・不6 下書(四)=252c下書(八) 
・不6 下書(五)=252c下書(九) 
・不6 下書(六)=252c下書(十)
・不6 下書(七)=252c下書(十一) 
・不6 下書(八)=252c下書(十二)
・不6 下書(九)=252c下書(十三) 
・不6 下書(十)=252c下書(十四)
・不6 下書(十一)=252c下書(十五)

 したがって、従前の〝不2、不4、不5、不6〟はいずれも『新校本全集』では、
    〔昭和4年〕〔日付不明 高瀬(小笠原)あて〕と推定されると言っている〟書簡下書
となっているということがわかった。

 次に、これを逆に対応させた《表2》を作った。
 《表2 高瀬(小笠原)露あてと推定されると言っている書簡下書 <新←旧> 対応表》
 左側が、『新校本第十五巻 書簡』において、〝〔昭和4年〕〔日付不明 高瀬(小笠原)あて〕と推定されると言っている〟書簡下書であり、その右側が『旧校本第十三巻』に載っていた対応する書簡下書の表である。
( 1) 252a      =不5
( 2) 252a下書(二) =不5 下書(一)
( 3) 252a下書(三) =不5 下書(二)
( 4) 252a下書(四) =不5 下書(三)
( 5) 252a下書(五) =不5 下書(四)
( 6) 252a下書(六) =不5 下書(五)
( 7) 252b
( 8) 252c
( 9) 252c下書(二)
(10) 252c下書(三)

(11) 252c下書(四)=不2+不4
(12) 252c下書(五)=不6 下書(一)
(13) 252c下書(六)=不6 下書(二)
(14) 252c下書(七)=不6 下書(三)
(15) 252c下書(八)=不6 下書(四)
(16) 252c下書(九)=不6 下書(五)
(17) 252c下書(十)=不6 下書(六)
(18) 252c下書(十一) =不6 下書(七)
(19) 252c下書(十二) =不6 下書(八)
(20) 252c下書(十三) =不6 下書(九)
(21) 252c下書(十四) =不6 下書(十)
(22) 252c下書(十五) =不6 下書(十一)
(23) 252c下書(十六) =不6

 したがって、『新校本第十五巻 書簡』所収の下書のうちで、『旧校本第十三巻』の対応のない(7)~(10)、つまり
   252b、252c、252c下書(二)、252c下書(三)
「新発見」と嘯いたものであったということになる。なお、これらは『旧校本第十四巻』においてはそれぞれ、
   252b、252c、新発見の下書(一)、新発見の下書(二)
になっている。
 したがって、現在〝〔昭和4年〕〔日付不明 高瀬露あて〕と推定されると言っている書簡下書〟は全部で23通、そのうち『旧校本第十四巻』において「新発見」と形容したのは上掲のこれら4通である。
 つまり、
 「旧校本年譜」の担当者である堀尾青史が、
 そうなんです。年譜では出しにくい。今回は高瀬露さん宛ての手紙が出ました。ご当人が生きていられた間はご迷惑がかかるかもしれないということもありましたが、もう亡くなられたのでね。 〈『國文學 宮沢賢治2月号』(學燈社、昭和53年)177p〉
と境忠一との対談で語っていた…(投稿者略)…、天沢退二郞氏も、
 おそらく昭和四年末のものとして組み入れられている高瀬露あての252a、252b、252cの三通および252cの下書とみられるもの十五点は、校本全集第十四巻で初めて活字化された。これは、高瀬の存命中その私的事情を慮って公表を憚られていたものである。〈『新修 宮沢賢治全集 第十六巻』(筑摩書房)415p〉
と述べていた…(投稿者略)…、実は露の帰天を待って「新発見の」と嘯いて同巻は公にしたものであって「新発見」でも何でもなかった
           〈『本統の賢治と本当の露』(鈴木守著、ツーワンライフ出版)132p~〉
というような「代物4通」である、と言えることがわかった。

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