みちのくの山野草

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実はかなり混乱しているのでは

2019-01-21 16:00:00 | 濡れ衣を着せられた高瀬露
《早池峰薄雪草》(平成23年7月11日撮影)

 さて、基本的には、「(不2・不4・不6)」と下書「252c」とは別個のものだと言わざるを得ないことを私は前回知った。だから、一体どうなってるんだこれは、と言わざるを得ない。
 そこで関連資料を調べていたならば、これを見て焦った。それは、『新校本宮澤賢治全集第十五巻 書簡 校異篇』の140pをだ。そこには、次のように書いてあったからだ。
    252a(不5)〔日付不明〕小笠原露あて 下書………①
          〈『新校本宮澤賢治全集第十五巻 書簡 校異篇』(筑摩書房)140p〉
と、である。本来ならば、ここは、
    252a(不5)〔日付不明 小笠原露あて下書……②
となるべきところだと私は思っていた。
 そして同時に思い出したことは、拙著『本統の賢治と本当の露』の中の次の記述、
 あの『校本全集第十四巻』で明らかになった新発見の昭和4年の露宛賢治書簡によって、露は〈悪女〉だとされても仕方がないじゃないか、と。だがそこには信じられないほどの重大な問題点・瑕疵があるのである。
 たしかに、昭和52年になって同巻は「補遺」において、従前「不5」となっていた書簡及び下書について、
 新発見の書簡252c(その下書群をも含む)とかなり関連があるとみられるので、高瀬あてと推定し、新たに「252a」の番号を与える。            〈『校本宮澤賢治全集第十四巻』(筑摩書房)28p〉
と述べて、「新発見」の賢治書簡下書252c等を公にした。そして、
   本文としたものは、内容的に高瀬あてであることが判然としている            〈同34p〉
と断定し、この「断定」を基にして、従前からその存在が知られていた「不5」を含む宛名不明の下書「不2」「不4」等の一連の書簡下書群約23通を〝昭和四年〔日付不明 高瀬露あて〕下書〟として一括りにした。
            〈『本統の賢治と本当の露』(鈴木守著、ツーワンライフ出版)129p〉
における、特に「本文としたものは、内容的に高瀬あてであることが判然としている」だ。

 そこで私は、あっそっか、だから『新校本全集』は②のように推定記号を用いずに、①のように用いたのか、と理解した。判然としているのだからということで、『新校本全集』は
 252a(不5)については〔日付不明〕だが、宛先については推定記号〝〔   〕〟記号を用いずに、 小笠原露 であると断定表現をした。
のかと。そして私は、己の迂闊さを覚った……つもりだったが、そうではなかった。これは、『新校本全集』の軽率なケアレスミスであった(あるいは、この安易さがこの一連の関連書簡の杜撰な扱い方がなされていることを物語っているのかもしれない)。なんとなれば、
    252aも252bも、そして252cも、この個所以外は皆、〔日付不明 小笠原露あて下書
という形での推定記号〝〔   〕〟が使われていたからである。
 だからだろうか、私にはあることをついつい妄想してしまった。
 詳しくは現時点では言えないが、実はかなり混乱しているのではなかろうか。私は実は焦る必要などなかったのだ。もしその必要があるとすれば、それは、混乱を起こしているそこだ。
と。そしてまた、
 本文としたものは、内容的に高瀬あてであることが判然としている」と、大見得を切っているが、実は案外自信がないのではなかろうか。
ということもまた、である。 

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 賢治の甥の教え子である著者が、本当の宮澤賢治を私たちの手に取り戻したいと願って、賢治の真実を明らかにした『本統の賢治と本当の露』

             〈平成30年6月28日付『岩手日報』一面〉
を先頃出版いたしましたのでご案内申し上げます。
 その約一ヶ月後に、著者の実名「鈴木守」が使われている、個人攻撃ともとれそうな内容の「賢治学会代表理事名の文書」が全学会員に送付されました
 そこで、本当の賢治が明らかにされてしまったので賢治学会は困ってしまい、慌ててこのようなことをしたのではないか、と今話題になっている本です。
 現在、岩手県内の書店での店頭販売やアマゾン等でネット販売がなされおりますのでどうぞお買い求め下さい。
 あるいは、葉書か電話にて、『本統の賢治と本当の露』を入手したい旨のお申し込みを下記宛にしていただければ、まず本書を郵送いたします。到着後、その代金分として1,620円(本体価格1,500円+税120円、送料無料)分の郵便切手をお送り下さい。
      〒025-0068 岩手県花巻市下幅21-11 鈴木守
               電話 0198-24-9813

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