みちのくの山野草

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エキセントリックな行動

2018-01-05 09:00:00 | 賢治に関する不思議
『意識と感覚の脳科学』(日経サイエンス社、2014年10月22日号)
 そもそもの、本シリーズ『共有脆弱性と認知的脱抑制』を投稿しようと私が思い立った切っ掛けは、鈴木友氏が管理する〝サイエンスライター鈴木友のブログ〟所収の、「天才って何が違うの?」という投稿だった。そしてそこには、その際も引例したように、
 研究者達は、天才が統合失調症にかかり易いことに着目し、エキセントリックな行動について説明をしようとしています。その理由を示す論文がこちらです。
と鈴木友氏は述べていた。

 さて、その天才のエキセントリックな行動についだが、論文〝「天才と変人」 解き放された知性〟はそのようないくつかの具体例の紹介から始まっていた。まずは、
・ディーン・ケーメン(Dean Kamen:電動立ち乗り二輪車セグウェイ等の発明者)は、ノースダンプリング島を自らの「王国」として、米国から“独立”した島国であり、パイ(π)という単位を独自の通貨を発行している。
 そして
・アインシュタインは道端のタバコの吸殻を拾ってパイプに詰めて吸った。
・ハワード・ヒューズホテルのスイートホテルに“無菌状態”の場所を確保し、一日中そこに座って過ごした。
            〈『意識と感覚の脳科学』92p〉
などをである。

 注目したのは、これに続く次の記述だ。
 創造性にあふれた人々を変人であると受け取るのは、周囲の常人だけではない。彼ら自身も往々にして、自分が他とは違っており、周りに溶け込むことができないと感じている。
            〈『意識と感覚の脳科学』92p~〉
それは、今までの私はそのような認識を本人は殆どしていないのではなかろうかとついつい思い込んでいたのだが、実はそうではなくて、本人が自分のことを客観的に観ているし、疎外感も認識しているようだということになるからである。

 そして同誌は次に「独創と奇行の関係」という項を立て、創造性に富む人たちの奇妙な振る舞いの例は広く知られていてと前書きをして、その具体的な例として、
・プラトン
・アリストテレス
をまず挙げていた。そして次に、「統合失調症型パーソナリティー」という用語が登場し、
 統合失調症型パーソナリティーは、神秘的思考(空想的な発想や超常的な考え)、変わった知覚体験(知覚の歪曲)、社会的快感の消失(単独の行動を好むこと)、および軽度のパラノイア(周囲の人や物が自分に脅威を及ぼすかもしれないという根拠のない感情)など様々な形で現れる。
            〈『意識と感覚の脳科学』94p〉
というように、「統合失調症型パーソナリティー」を外延的な方法に近い形で定義していた。
 さらにそれぞれについて、
・「神秘的思考」の例としてシューマン
・「変わった知覚体験」のそれはディケンズ
・「社会的快感の消失」の場合にはニュートン等を
・「軽度のパラノイア」については、ヒューズ
            〈同94p〉
を挙げていた。 

 この後で、この論文の著者 S.カーソンはやっと自身の研究を次のように紹介していた。
 私の研究は、統合失調症型パーソナリティーの顕在化自体が創造性を高めることはないことを示唆している。しかし、奇抜さの根底にあると思われるある種の認知的メカニズムが創造的な思考を高めるとも考えられる。私は、創造性と奇抜さがどのように関連しているかを示す「共有脆弱性モデル」の中で、こうした根底をなすメカニズムの1つに「認知的脱抑制」というべき傾向が存在するとの理論を立てている。
            〈同95p〉
 さて、また困ったことが起きた。如何にも難しそうな「認知的脱抑制」というテクニカルタームが新たに登場してきたからだ。

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 『共有脆弱性と認知的脱抑制』の目次へ。
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