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『意識と感覚の脳科学』(日経サイエンス社、2014年10月22日号)
さて、前回の懸案事項 ならばということで、 ネットで探してみたところ「認知的脱抑制」について言及していると思われる本『解離性障害』(柴山雅俊著、ちくま新書)が見つかったので、注文した。というわけで、この投稿のつづきは注文したこの本が届いてからの予定です。
についてである。まず、結論から先に言ってしまえば、私が思っていたようなこと、特に「認知的脱抑制」ついての言及は見付けられなかった。ただし、同書の中の第7章が、
解離と心――宮沢賢治の体験世界
があったので、今回はこの章について少し触れてみたい。
まず初めて知ったことの一つが、著者の柴山雅俊は精神科の医者であるということである。それは、その章の始めの方で、
私が専門としている精神医学とは病の学問であり、
〈『解離性障害』(柴山雅俊著、ちくま新書)164p〉
と述べてあったからである。ということであれば、そこで述べられていることは専門的見地から見た賢治が述べられているはずだから、大いに信頼できるもののはずだ。
そして同氏は続けて、
賢治の生育歴を調べても、彼がなんらかの病気であったと判断する根拠はない。しかし、私には作品のところどころに解離の主観的体験と類似したものが見出されるように思われてならない。彼の心的世界はあきらかにわれわれの体験世界とは異なっているところがある。
〈同164p〉と述べていた。私は、やはりそれでいいのだ、と自答した。
そして、節「†表象と幻視」では、
賢治の作品は…(投稿者略)…心の舞台に浮かんだ現象をそのまま描写(スケッチ)したものである。そのことは賢治が何度も強調しているとおりである。
と述べていた。このよう記述は、私も今までも何度か目にしてきたことではあるものの今まではどうも信じ切れていなかったのだが、これでいいのだとまた自答した。さらに同氏は、
賢治のこころの舞台には、ありありと表象が幻燈のように形象化して浮かび上がる。
〈同166p〉と言い換えていたので、精神科の専門医がこうまで言うのだから、賢治はそれ故にあのような素晴らしい作品を書けたのだと私は確信していいのだと自分に言い聞かせた。
その後は、
†離人症
†背後の眼差し
†魂が離れる
†水と意識変容
†小岩井農場
†明滅するひかりとかげ
の各節で、賢治作品を通じて賢治の「解離性の離人症状」「気配過敏」「表象幻視」「体感幻視」「体外離脱体験」「意識変容」「幻視」等について言及していた。†背後の眼差し
†魂が離れる
†水と意識変容
†小岩井農場
†明滅するひかりとかげ
そしてこれらに続く節「†賢治と解離」で柴山氏は次のように、
解離は賢治の作品の体験世界を読み解くのに新たな視点を提供するだろう。
解離を思い切って大きく捉えるならば、それは原始心性や夢体験などの原初の意識と連続的につながっているだろう。
賢治作品には、体外離脱体験、疎隔・離人症状、表象幻視、幻視などの多くの解離の症候を読みとることができる。
〈同185p~〉解離を思い切って大きく捉えるならば、それは原始心性や夢体験などの原初の意識と連続的につながっているだろう。
賢治作品には、体外離脱体験、疎隔・離人症状、表象幻視、幻視などの多くの解離の症候を読みとることができる。
と示唆に富むことを述べ、最後に同氏は、
時間的にも空間的にも広大な視点をもつアニミズム、それをありありと体に感じる素質を賢治は持っていただろう。…(投稿者略)…みずみずしいアニミズムは、決して個を優先させない倫理的な意味での「われわれ意識」へ変容していったのだろうか。そのために…(投稿者略)…幻想感覚はしだいに衰退し…
〈同187p〉と推察していたから、私はなるほどと頷いた。
同時に、芥川、川端、三島等の自殺にも、高橋たか子が夫の高橋和巳のことを、「要するに自閉症の狂人であった」(『高橋和巳の思い出』(高橋たか子著、構想社))と言い切ったことにも、それに相似した経緯があったのではなかろうと私は想像し、かつて賢治のことを私は緩やかな自死だと口走ってしまったことがあるが、それも一概に否定できないのかな、などと勝手なことを妄想してしまった。
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