令和7年4月24日(木)
このほど、国の中央防災会議作業部会は、新たな被害想定をとりまとめ報告書を公表しました。これまでの想定と大きな変更はありませんが、静岡県は全国最多の最大10万3,000人、全壊や焼失する建物等は最大34万6,000棟と試算されました。
本県は、40年近く前から東海地震の発生が危惧され、防災対策に多くの財源を投入し、ハード・ソフト対策を合わせて、前回までの被害想定に基づく防災・減災対策について、8割減災を達成したとの報告がありますが、今回の新たな想定に基づき、今後の防災対策の見直しを早急に進めていく必要があります。(過日のブログで詳報)
今後の重点施策は、自助・共助に基づく「避難」に重点を置いたソフト対策をさらに推進していくことが重要と考えています。
これまで本県では、災害リスクに応じた個人ごとの避難計画「わたしの避難計画」(令和4年度から実施)の普及により、県民の早期避難意識の向上と、災害時の正しい避難行動の理解促進を図っています。しかし、令和7年度中に県内全地区配布が完了し、その後も「わたしの避難計画」が持続的な取組となるよう、市町、自主防災組織等との連携を図っていくことを明らかにしています。
「わたしの避難計画」とは、身の回りの災害リスク(河川氾濫、土砂災害、地震・津波等)に対して「いつ」「どこに」避難するか、あらかじめ記載したものです。
危険が迫っているときには、まずは自らの命を守ること(自助)が最優先となります。そのための具体的行動を示したものと言えます。
しかし、行動を起こす時点は、まだ、直接的な被害が出る前のことであり、周囲の支援が必要な人への配慮ができるタイミングでもあります。特に、避難行動に困難がある人を支援することで、命を救うことができます。自助と共助が交わるチャンスでもあります。
災害時に、自力で避難することが困難な高齢者や障害者などを「避難行動要支援者」と言います。平成25年6月の災害対策基本法の改正により、災害時の避難に特に支援を要する方を把握するため、「避難行動支援者名簿」の作成が市町村に義務付けられました。
令和3年5月の災害対策基本法の一部改正によって個別避難計画の作成が市町村の努力義務とされ、計画作成の優先度が高いと市町村が判断する者については、地域の実情等を踏まえながら、今後おおむね5年程度で個別避難計画の作成に取り組むこととされています。
個別避難計画は、避難行動要支援者(高齢者や障害者など)ごとに避難支援に関する情報を記載した計画のことで、あらかじめ支援者や避難先を決めておくことによって、災害時に迅速かつ適切な避難を行うことが可能になります。
時限的な流れを見ると、平成25年の災害対策基本法の改正による「避難行動支援者名簿」の作成(市町による努力義務)、令和3年5月の災害対策基本法の一部改正によって個別避難計画(市町による努力義務)、令和4年から始まった本県の「わたしの避難計画」事業の流れになり、ようやく、自助・共助の体制が整いつつあるように思えます。
私はこれまでも地域の防災訓練などに参加する度に、自助・共助に関し講話と称して上記の話題に触れてきました。「災害弱者」という表現でしたが、共助に必要な地域住民情報を得ることは、住民同士でもためらいがあり困難という意見が多くありました。最近は、能登半島地震をはじめ、豪雨災害など各地での大災害に対する「避難」に関する重要性の理解が進んでいるのか、動きが見えてきたようにも感じられます。
県の南海トラフ巨大地震対策は、私が県議会議員になった2023年から10年計画で進められ、ハード・ソフト対策により、被害想定10万人を超えるといわれた中、8割の減災を達成し、2024年以降もさらに減災率を上げる取り組みを進めています。
冒頭でも触れましたが、今後は「住宅などの耐震化」のほか、「避難」のためのソフト対策の強化が重要と考えています。
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