何かをすれば何かが変わる

すぐに結論なんて出なくていい、でも考え続ける。流され続けていくのではなくて。
そして行動を起こし、何かを生み出す。

会社の目的は利益じゃない

2013-10-27 10:15:08 | Book Reviews
『会社の目的は利益じゃない 誰もやらない「いちばん大切なことを大切にする経営」とは 横田英毅・著、あさ出版 、2013年7月31日

p.3 しかし私は、「質のよい会社をつくって、その結果として量を増やしていく」ことが、本来の経営の在り方だと思います。それが、働く人にとって、お客さまにとって、地域にとって最も幸せな形であり、永続をも可能にすると考えるからです。

p.17 一人ひとりがもっている可能性を、人生で最大限に発揮できる――。それができた人こそ、勝利者です。すべての社員に、会社でそれを実現してもらい、辞めるときに「この会社で働けて本当によかったな」と思える自分になってもらう――。会社とは、そのためにさまざまな工夫をしなければならないところである、と私は考えています。

p.21-2 結果ばかり評価すると、社員は当然、結果のみを求める働き方をし始めます。つまり、プロセスである顧客満足などはあまり意識しなくなってしまうのです。ところがお客様の満足は、自分たちのやりがいである社員満足につながっています。お客様が満足してくださり、感謝と信頼の言葉をかけてくださる。その言葉が、社員たちの満足になるのです。
 ですから、結果だけを求めて顧客満足度をあまり考えない仕事のやり方をすると、自分たちも満足できず、やりがいもなくなってしまいます。つまり結果を追い求めながら、逆に、結果を遠ざけていることになります。結果を求めるのであれば、プロセス、つまりお客様の満足を求める必要があるのです。

p.31 そして真の原因を取り除いても、結果が出るまでにはさらに時間が必要です。このように、問題解決には多大な労力がかかるため、多くの人はとりあえず、「問題対処」を選んでしまうのではないでしょうか。

p.38 会社の目的は、売上げや利益ではありません。売上げや利益は目標です。会社の目的は、「社員を幸福にする」などのように、そうなりたい、そうありたいと思う姿なのです。会社は売上げや利益などの目標などではなく、それらの目的を大事にしなければなりません。

 売上げや利益は「手段」とする人もいる。どちらもしっくりこないが、同じようにどちらもなんとなくわかるような気がする。利益や目標だとすると、それは追っていくものであり通過点とも捉えられがちだが、参考値程度にすぎず、目的の達成度を示す他の指標が目標ではないかと考える。

p.40 会社の場合、どうして売上げが上がらないのか、どうして利益が出ないのかを突き詰めていくと、「社員がいやいや仕事をやっているから」ということが原因である場合が多々あります。なぜやる気をもてずに、いやいや働いているのか? それは、彼ら、彼女らが、給料のために働いているからです。給料をもらうという目標のために働くのでは、仕事への情熱など生まれるはずがありません。いやいや、しぶしぶの、やらされ仕事になってしまいます。

p.41 経営者は、売上げや利益などの目標を後回しにすることに不安を感じるかもしれませんが。しかし実は、いくら目的を強く意識しても、目標をおろそかにすることにはなりません。目的を10でやっていると、目標は8でもよくなってくるのです。そして目標を8、7、6とどんどん少なくしていくと、目的のウエイトが高くなり、社員が幸せになれ、組織が活性化し、その企業は永続化します。

p.43 「なぜ会社の規模をもっと大きくしないのか?」という質問の背景には、「それほどいいモノだったら、もっとたくさんつくって売ればいいのに」という考えがあるのでしょう。
 「いたずらに量を拡大すると、ほかの人のシェアを食ってしまう。するとほかの人は値下げをする。そうなるとこちらも値下げさざるを得なくなる。そんなことをしているうちに、全体の質が下がる。その結果、全体の量が減っていく。だれも、得するものはいない」と。

p.44 混乱する材料が山ほどあるので、本来の「質をよくしていき、その結果として量を増やしていく」という、いちばん正しいやり方を見失いがちになるのでしょう。

p.50 完成度の高い経営理念を形成するためには、「何のためにするのか」という企業の使命(目的)を明確にしていくことが必要です。

p.58-9 中小企業は一つの拠点に力を注ぎ、他に類を見ない卓越したサービスを提供することに徹したほうがよいのではないでしょうか。そうすれば、たとえ一店舗でも、複数の店を合わせたくらいの成果を得られるでしょう。
 多店舗展開そのものを否定する気はありませんが、店を増やそうとする前に、遠方からわざわざお客様が足を運んでくださるくらい、とことんお客様に愛される存在になる。こうした努力をし続ける店が魅力ある店なのであり、景気に左右されない店になると思うのです。

p.73-4 不人気業種というのは、採用には有利です。待遇や給料ではなく、仕事そのものに魅力を感じた人が来てくれるからです。わが社は不人気業種であるだけでなく、低賃金で働き放題ですから、お金がほしい、楽をしたいという人ではなく、やりがいがほしいという人だけが残ります。

p.81 質を高めるというのはどういうことでしょうか? 会社のすべては、人が生み出します。だから、人の質が、会社の質です。

p.91-2 リーダーシップとは主体性のことで、ひいてはまわりから信頼される人、という意味なのです。よってリーダーシップは、リーダーであろうとあるまいと、仕事をするうえで必要なもののひとつです。
 本来、リーダーシップは、部下を統率したり、指示命令して人を動かしたりすることではないのです。

p.93 経営とは、変えることです。多くの人がやっているのは、管理ではないかと思えてなりません。

p.100 つまり、上司からの指示を受けることが多い一般社員の多くの仕事が、主体性のないロボットのようなものになっているということではないでしょうか。それぞれの社員が自分の人間力を発揮する機会を与えられていないため、「やらされている」という思いが強くなっている気がするのです。

p.101 幸い、わが社の場合は、成長の実感があり、自分で考えて仕事ができ、自由に意見が言えて、努力は評価され、職場の人間関係やコミュニケーションも良好で、セクショナリズムもない、と感じている社員がほとんどだということになります。
 なぜ、わが社の場合はこのような結果になっているのかというと、それは意識して、社員の主体性、すなわち人間力を失わせないよう心がけているからです。

p.112 今も大事ですが、将来も大事だという価値観。お金も大事ですが、お金以外にも大事なものがいっぱいあるという価値観。自分を大切にしようと思ったら、自分以外の人を大切にしないと自分を大切にしたことにはならない、という価値観です。

p.122 人は誰でも、人に喜んでもらうことに喜びを感じる気持ちをもっています。そしてそれが、自分を成長させることになることを知っています。ですから、社員の幸福を本気で実現しようと思うのなら、お客様に喜んでもらえるかどうかがわかるしくみをつくり、自分を成長させる機会が十分に組み込まれている形をつくるのです。

p.128 むしろ恐れるべきは、販売している商品のおかげで売上げだけがどんどん伸びていくような状態だと私は考えていました。
 質の高い成長のためには、一人ひとりの社員や組織にチームワーク、お客様との信頼関係などが、売上げの伸びとともに成長していかなければなりません。

p.139 やはり、何気ないように見える日常業務のなかで、社員自身が「問題を発見し、解決する」というプロセスを、自ら学びとっていくことが最も重要です。わが社の場合、人材を育成する方法として重視しているのは、社員への権限委譲と、プロジェクトチームの運営です。

p.141 権限委譲なしに人のやりがいは育めません。ここは勇気が必要なところだと思います。

p.145-6 実際、(プロジェクトチームによる問題解決は)まどろっこしくて時間もかかるのですが、このやり方には、そうしたデメリットをはるかに上回る効果があるのです。
 最も大きなメリットは、「コミットメント効果」で、能動的な公約が生まれるということです。プロジェクトチームでは、立場やキャリアに関係なく、参加者みんなが意見を述べ、全員が納得したうえで意思決定をしていきます。このプロセスを通じて、社員それぞれに「会社の意思決定に自分も参画した」という意識が生まれ、決めた約束を果たそうとする意欲が高まっていくのです。

p.149 (上司への)報告を義務化したら、権限委譲になりませんし、せっかくの自主性を取り上げることになってしまうからです。

p.150 「経営会議の主導権を社員に与えて、自分たちの都合のいいように物事を決められたらどうするのか?」と疑問を持つ人もいるでしょう。
 しかしわが社では、社員たちが集まって重要なテーマを議論するなかで、明らかにおかしな主張をする人がいたら、「『レベルの低い社員がいる』という問題が顕在化した」ととらえます。つまり、経営会議は、問題発見の場でもあるのです。

p.157 要するに、その会社の社員は乗組員ではなく、乗客のつもりだったんでしょう。乗組員だったら、難関を切り抜けようとして力を出しますが、お客さんだったら暗くなって、誰かが何かをうやってくれるのを待っているだけです。会社の社員がお客さんのつもりでは、それは元気もなくなりますよ。

p.161 つまり「社員を大切にする」ということが方便になってしまい、「業績を上げたいから、社員をいちばん大事にしよう」と思っているのです。
 「業績を上げる手段として、社員を大切にする」と考えるのであれば、その人は、元の「業績第一」の考えから、まったく抜け出せていないということになります。
 よい会社をつくりたいのであれば、本気で「社員を大事にしよう」と思わなければなりません。「社員とその家族を幸せにすつ」lことが目的で、業績がそのための目標にならなければなりません。その逆ではないのです。

p.163 働く人の幸せはやりがい以外にありません。そしてやりがいが高まるのは、自分が、自分のもっている人間力をフルに発揮したときです。ですから、社員が自分の人間力をぜんぶ発揮して、深いやりがいを感じるようなしくみをつくり、その結果、売上げや業績がよくなっていく、というのが本来の順序ではないかと私は思います。

p.170 この(お客様からの)信頼感や期待感は、「自分たちの要望が無視されることはない。サービスに必ずフィードバックされるはずだ」とお客様が感じることからつくられます。自分たちの声が、その会社のサービスを変えていくという、実感が必要なのです。

p.178 「みなさんやらされていないですね」 そうか、内側から沸き上がってくるサービス精神でやりがいをもって働く人々がお客様を感動させるのだと、このとき気づかされました。

p.187 自分の担当ではないお客様には、120%で対応する」 よく知らないお客様だからこそ、さらに気を配るのです。

p.196 わが社のイベントおよびサービスの最大の特徴は、「車の販売にはこだわらない」こと。モットーは、「今日の一台より、将来の100台を!」です。

p.208 経営者がいくら「プロセスを重視する」と言っても、社員がプロセスをないがしろにして自分の成果を追い求める、という現象が発生しているようです。
 それはなぜかというと、多くの場合、プロセスを評価するしくみができていないからです。「プロセスを重視する」と言っておきながら、ほとんど売上げなどの結果だけで評価してしまっているからです。


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