下界では花時が過ぎたというのに、西六甲の神戸森林植物園のアジサイ園はまだまだ盛りです。ここに限らずシーズンには店頭に、庭に、公園にアジサイがあふれます。
19世紀中ごろシーボルトによって初めて日本のアジサイが西洋に紹介されて以来、最近も数多くの改良種が生み出され、鮮やかな色、大輪、花首が直立するなどで、西洋アジサイが人気を呼んでいます。その西洋アジサイ、なぜか多くはハイドランジアとして園芸店に並びます。
ハイドランジアはHydrangeaで、アジサイ属(ユキノシタ科)の学名です。Hydranは水、geaは容れ物を意味し、Hydrangeaは水瓶(みずがめ)となります。
よく見るとアジサイの果実(朔果)が小さい水瓶そっくりなのです。
ハイドランジアに限らず、園芸店では、学名を流通名として用いることがままあります。オキザリス(カタバミ)、リコリス(ヒガンバナ)、ヒプリカム(オトギリソウ)、ポ-チュラカ(スベリヒユ)、ミムラス(ミゾホウズキ)アスチルベ(ショウマ)などなどです。日本名よりカタカナの方がおしゃれで、とくにご婦人方に買ってもらいやすいとの戦術のようです。
(写真はガクアジサイ系の果実。花びらに見える萼片は花が過ぎると下向きに垂れて何時までも残る)