新・むかごの日記

高槻市に在住の、人間と自然が大好きな昭和1桁生まれの爺さんです。
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ウメ:白梅(万葉人は白梅)

2007-02-01 09:18:46 | 植物観察1日1題

暖冬続きで、生駒山山麓のとある禅寺の境内に、早咲きの白梅(ウメ:バラ科サクラ属)がほころび始めていました。去年の記事を見ると3月1日付けで、万博公園の梅がやっとちらほら咲き始めたとありますから、ことしは1月も早い感じになります。
「わが園に 梅の花散るひさかたの 天より雪の 流れ来るかも」(大伴旅人:巻5-822)
天平2年正月13日、大伴旅人は任地の大宰府の館で新春を寿ぐ梅見の宴を盛大に催します。
万葉集にはそのとき集まった32人が詠んだ歌が「梅花の歌三十二首」として載っています。散る梅を雪に見立てた旅人のこの歌から梅は白梅だったことがわかります。
ウメは古い時代に中国から入ってきたもので、当初はウメの語源となったともいわれる梅の若実を燻した生薬の烏梅(うばい)を採るために輸入、栽培されたと考えられており、当時は実をとるための白い梅が主流でした。しかし万葉集では実用としての梅を詠ったのは1首もなく、旅人の梅見の宴のように、万葉の時代には、すでに梅は観賞の対象としても人気があったことがうかがえます。
ちなみに万葉集に梅は119首現れるのに対し桜は46種で、万葉の時代は断然桜より梅だったようです。また梅見と萩見の歌はありますが、サクラの花見の歌は見当たりません。桜の人気が高まったのはずっと後代のことになります。